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《後編》逆ナンで引っ掛けた童貞陰キャくんを筆下ろしで釣って男のプライドぐちゃぐちゃにした挙句、マゾに堕とす動画を鍵垢配信するこの人は一体、何草はづきさんなんだ……?《1.6万字》

 人間が自分と似た行動をとるものに惹かれやすいミラーリング効果――逆に言えば、似た行動をとり続けることで徐々に相手に惹かれていってしまう――を利用した好意の植え付け。はづきがやることといえば、そのへんで適当に引っ掛けたマゾ童貞を弄ぶ趣味のついでに動画をまわし、そこへ不特定多数の男用にオナ指示を吹き込んでやっているだけ。その過程で感情移入をうまくさせればオスマゾの弱点開発をスムーズに行えるうえ、『引っ剥がした』ときに女尊男卑の主従関係を強く刷り込める。  男ウケが良い容姿をしていて、懐にするりと入り込み気を持たせてしまうのが得意で、さらには男の性癖を滅茶苦茶にしてしまうことに悦びを覚える。そんな女にしかできない、まさに趣味と実益を兼ねたライフワーク。  童貞を惨めな片想いオナマゾ男子に躾ける、通信教育プログラム。  大勢のオスマゾが今日とてはづきの注意を引くべく惨めにペニスを扱くあいだ、青年もまた懸命に手淫に抗っていた。 「えーっと……ほんとに大丈夫です? あんまり手抜きすると、視聴者の方にバレちゃいますから、がんばって堪えてくださいねー……❤ 初めてセックス、するんでしょー……?❤ ご褒美は生膣内射精つきですよー……❤」  手練れのちんぽ扱きに耐えているつもりだったろうに、まったり扱かれる時間が長引くにつれ、その強がりはすっかり氷解させられていた。彼が普段からしているゴシゴシオナニーと比べるまでもなく、はづきのそれはゆるやかだし竿を握る指の数もたったの指二本と最低限。にもかかわらず、咄嗟に声が出ないよう、強く奥歯を噛みしめずにはいられない。  素人の自分が知らないだけではづきは『オスをイかせるための熟練のテク』を尽くしている。そう思いこまなければ、自分のペニスが敏感すぎるだけ――女を犯すのに向いていないオナニー用チンポ――という受け入れがたいレッテルを許容することになる。魅力的な異性から生殖機能を軽んじられたくない保身につけこまれ、かえってそれが彼のプライドをじゅくじゅくと蝕んでゆく。 『あーあー……❤ 私には見えないからって、今にも泣いちゃいそうなお顔してたんですね~❤』    自分で弄るのと、弄られるのとでは肌で感じる刺激は全くの別物だ。自分で自分をひっかいてもなんともないのに、これが他人の手になると身をよじらずにはいられないほどくすぐったい。チンポは自分の手の筒ですら『くすぐったくて』射精してしまう。ならば、童貞を弄ぶことに長けた『本物のくすぐり』は一体どうなってしまうのか――青年はそれを身をもって思い知らされていた。  単調な往復刺激ですら、尿道口がくぱくぱっ❤と開閉し、涎のように我慢汁を垂らして射精を待ちわびる。ここに不規則な刺激が加わるととりわけマズい。  ――しこ、しこ、しこぉ……にゅぽんっ❤  指輪っかが勢いをつけて、カリ首の段差をすっぽ抜けた。瞬間、亀頭を避雷針にして全身に電流が走ったようだった。瞼の裏がチカチカと明滅し、反射的に青年の長躯がチンポを庇うように丸くなる。突沸しそうになる射精欲を、どうにかこうにか懸命に抑え込む。 「あっ、ごめんなさ~い……❤ ローションですべっちゃって~❤ ……くすっ❤」  言うまでもないが、今のはアクシデントを装ったはづきのちょっかい。いつも通りの流れなら、あとほんの十数秒我慢できれば……というタイミングで期待虚しく射精させてしまうのだが、どうやらそこまではもちそうにない。それに彼があんまり一生懸命に射精をこらえるものだから、今日は存分にいたずらするつもりらしい。  あくまで扱く速さは徹底的なスローペース。初体験への期待と射精感とのあいだで板挟みのもどかしさを突っつきまわすために、故意のアクシデントを仕掛けまくる。  根元をすぼめる強さに緩急をつけてみたり、裏筋に固いネイルの先端をつんつんと掠めてみたり、小指や薬指で金玉をさりげなく撫でたり揺らしたり持ち上げたり。彼が堪えられそうなぎりぎりの塩梅で、『これでおもらししちゃったら、それはそれでかわいいな~❤』なんて顔でほくそ笑みながら。 『童貞くんって、おちんちん甘やかすオナニーほんと好きですよね~❤ 早いペースで一気にお射精まで追いこむ、短距離走みたいな刺激。もどかしさを感じる前に走りきっちゃえば、気持ちいいだけで済んじゃうからかなー? そのせいで、こういうゆったりのんびりのマラソンペースだと……ふふっ、もう息切れ起こしちゃってる……❤ もうこれ以上、拙くなんてできないのにね~❤』  歯の隙間から、ふぅ、ふぅっ、と短く細かい吐息を漏らす青年の射精がまんっぷりを副音声が解説する。画面内で「がんばれ❤ がんばれ❤」と耳打ちする声に比べてワントーン低めで落ち着いた話しぶり。 『だいたいこうやっておちんちん握って二、三分扱けば分かっちゃうんですよねー。あー、このおちんちん、人に触られたことないんだな~❤って。セックスしたことないんだな~❤って……❤ もちろん、みなさんのも、ですよ~❤』  何も知らない童貞がまんまと唆されて罠にかかっている姿を見せながら、はづきの目に男という存在がどう映っているのか、その本音を同時に流す。  画面内の青年はともかくとして、こんな動画をお金を払って見ている男たちは、もれなくその全員が女に軽んじられることでチンポを膨らませてしまう拗らせたマゾ童貞であることを、はづきは正しく認識している。 「……ねー? あれ~Kくんきいてます~? 無視なんてひどいじゃないですか~❤」  はづきの言葉に反応しないのは、青年本人の意思。余裕がなくって返せないのではなく、返さない。彼に蓄積されたもどかしさ由来のチンイラの元凶は他でもないはづきだ。一刻も早くはづきと事に及びたいのに、むしろおちょくるような指遣いが増えてきて、セックスまでがやけに遠い。せっかくオスが生来持つ荒々しさを取り戻しつつあるのに。そんな気持ちのやり場に困っての、幼稚な反抗だった。  顔を真っ赤にして押し黙る姿を、いずれ嘲弄されるとも知らないで。 『むすっとして押し黙っちゃった❤ これ、相当イライラしちゃってるっぽいですね~❤ ……お前たち女よりも、男の自分のほうが強いんだぞ~❤(笑) なのになんだ~その舐めた態度は~❤(笑) くそ~❤ ぜったいにちんぽハメて鳴かせてやるからなっ……❤ はづきぃ、はづきぃ~❤(笑) うぅ~❤ ボクだって、男なんだぞ~❤ はづきで、ボクぜったい童貞卒業するんだも~んっ❤ ……ぷっ、ふふっ……❤』  視聴者たちははづきが男を手玉に取る展開を期待しつつも、しかし何も最初から勝負をあきらめていたわけではない。むしろ初めてのセックスを経験したいと思う期待が大きいからこそ、その気持ちをまんまと裏切られた時の強烈な悔しさが射精のスパイスになる。没入感から無理やり引っこ抜かれ、Kくんを羨ましがってオナニーする今となっても、身の丈知らずにはづきとの初体験を夢見た気持ちをほじくられると、羞恥心にズキズキ響く。 『童貞さんって自分が気持ちよくなることで精いっぱいなんですよね~。だから他に気が回らなくなっちゃう……❤ まんまと女の子の言いなりになって、おちんちんで操られちゃうんですよ~❤ ん、もうそろそろかな。 ……音声ファイルの再生を用意してくださいねー?』  はづきは童貞をこれ見よがしに侮り、彼らのプライドをわざと逆撫でする。煽られた者たちの中には従順に劣等感を拗らせているものもいれば、Kくんのように彼女を諦めきれないものもいる。しかし突き詰めればそのどちらも、はづきを抱けるかもしれない女と本気で思い込んでしまったせいで、心のどこかで彼女をまだ『逃がした魚』だと見ている節がある。いつ再び燃え上がってしまうかわからない、反発心の火もとが数千本も。だがひとつひとつは米粒大の大きさだ、そんなものまとめて吹き消してしまえばいい。   『……さーん、にーぃ、いち……はい、再生』  チャンネル会員特典として公開されている、オナサポ用ファイルのひとつ。そのトラック番号6番は中身はダミーヘッドマイクを使って録音された、臨場感たっぷりの生吐息が吹き込まれている。  ふぅぅぅぅ~~~~~っっっ❤❤❤  そのたった5秒の音声データが、反抗の灯をいともあっけなく吹き消してゆく。 「こ~ら❤ Kくんそんなに怖い顔しちゃメ、ですよぅ❤ お耳ふぅふぅしてあげますからぁ、可愛い童貞君のお顔に戻ってくださいよぅ❤」 『こ~ら❤ みなさん付け上がっちゃダメでしょ~❤ セックスなんて望んじゃだ~め❤ だめですよぅ❤』  耳ふぅによって思考力を奪われると、それに守られていたやわらかな自意識が丸裸になる。そうして無防備になった深層意識に今一度、大事なお約束を刷り込み直す。  彼らオスは一度負かしてやっても、時間がたてばマゾとして負かされた事実が薄れていき、やがて自尊心が修繕されれば、また同じように思い上がりを燻ぶらせるようになる。チンポが生えているかぎり、セックスへの憧れが捨てきれない。  そんな哀れな習性が、はづきは決して嫌いではなかった。  ふぅぅぅぅ~~~~~っっっ❤❤❤  マゾを拗らせた陰キャ童貞が、身の上を弁えずはづき相手にセックスを望んでしまう。そんな思い上がりの不審火を、はづきはこうして踏み消してやる。具体的には射精をもったいぶってお預けしつつ、彼らの本性を優しく諭してやるのが効果的だ。言い逃れようのない、彼らの身体に施した負けマゾの証拠を指摘しながらだと、なお良い。 『自分のおちんちんみてくださ~い❤ どうしてつるつるになってるんでしたっけ~❤ そのハートマークの落書き、どういう意味でしたっけ~❤』  動画をおかずにオナニーしてしまったら、降参の証として陰部をつるつるに剃毛することをはづきは推奨している。そうして他の女性の前に晒せない下半身に加工することで、直接手を下されることもなくイかされた敗北感と被支配感で男の矜持を貶められるからだ。そういう恥まみれの負け方がやみつきになったチンポはもう、ただの射精では満足できなくなってしまう。  剃毛ペナルティつきの降参射精を一体何度繰り返したか。傍らに書き込ませたハートマークはそのカウントを示す『正の字』の代わり。もちろん、はづきの推奨に強制力はない。だがハートマークでいっぱいになったチンポの自撮りをはづきに送ると、スパチャの読み上げよろしく動画の最後にマゾちんぽくんのお名前を呼びあげて褒めてもらえることになっている。そのため彼らは絶対にセックスできない女からオナ専つるつるペニスを褒めてもらいたいがために、自身の生殖器をはづきの笑いを誘う惨めすぎる貢ぎ物へと加工している。  それでいてマゾ童貞の剃毛済み落書きチンポくんたちは、未だはづきとのセックスを諦めきれないでいる。本当のところ、彼らははづきにこっぴどく負かされた記憶を忘れてしまっているわけではない。  『女の子に負かされてセックスの権利を剥奪される、プライドボコられオナニー。その沼から抜け出せなくなっている』が正しい。ではそうやって録画された映像と音声だけで男たちを手玉に取る女が手ずから扱くならば、そのチンポは一体どうして無事でいられようか。  ふぅぅぅぅ~~~~~っっっ❤❤❤ 「へぇ~……❤ 彼女さんができたら下の名前で呼び捨てにしたいんだ~❤ じゃあ、私のこともこっそり呼び捨てにしちゃってました?」  百戦錬磨の手コキ尋問を前に、童貞の虚勢なぞ紙っぺらに等しい。ぼこぼこ煮えたぎる精液に唆されるがまま、青年は勢いの良い首肯で意思表示をしてしまう。 「えー、全然そんなこと、口に出してくれなかったじゃないですか~❤」  心の中でしか女の子にイキれない、内弁慶な見栄っ張り。その本性を明るみに引っ張り出し、そこが触られたくない羞恥心の温床だと無論気づいたうえで、はづきはえいえい❤と突っつきまくる。 「童貞くんの、勇気ふりしぼった呼び捨て……❤ ふふっ❤ ううん、勇気ふり絞った、なんておかしいかもですね。だって、これからセックスするかもしれないのに❤ ……あ、しないんだったら、さん付けのままで大丈夫ですよ~❤」  奥歯を噛んで一言も喋ってくれなくなった口を割らせるための、おふざけのちょっかい。しかし、焦れに焦れたチンポにその煽りはよく効いた。うわ言のように、はづきの名前を呼び始めたのだ。弄ばれているとも知らないで、自分のチンポを扱いている女の名前をひたすらに口ずさむ。  はづきっ❤ はづきぃ❤ はづきぃ~~っ❤❤ 「は~い、はづきですよ~❤ 初めてセックスできるかも~❤な、はづきですよ~❤」  セックスしたい女がすぐ近くにいるのに、例えば彼女を押し倒して無理やりことに及ぼうとするなんて思いもつかないで、ただ彼女に縋り鳴いて射精へと押し上げられていく。はづきが飼い慣らすマゾ童貞たちと遜色ない。 『もしかして、みなさんもマゾのくせに私のこと呼び捨てにしちゃってました~?』  ――うぅぅぅ~~❤ ごっ、ごめんなさい~っっ❤  ――はづき様っ、すみませんっ、はづき様ぁっ……❤  ――もうしませんからっ、イキたいっ❤ イキたいですぅ~っ❤  男たちがここを『絶好の負けどころ』だと定めて白旗を上げ、口々に降参の言葉を唱える一方で、未だ諦めたくないと崖っぷちで踏ん張っているのは青年ただひとりだけ。とはいっても制限時間の半分にすら差し掛かっていないのに、耳ふぅとスロー手コキによってちんぽは悉く威勢を挫かれ、完全に戦意を喪失してしまっている。鈴口をぱくぱくと開閉させながらカウパーを垂れ流すさまは、泣いて射精を懇願しているかのようだ。もうあと二、三回素早く扱かれるだけで精液を噴き出すだろうに、しれでも身体の主からギブアップを認める声明は下されない。  ふぅぅぅぅ~~~~~っっっ❤❤❤  そうして意地を張るほどに、耳打ちの吐息にどんどん追い詰められていく。 「はづきって呼び捨てにしながら、えっちの妄想してたってことです~? 私がどんなふうに喘ぐのかな~❤って。セックスってどんな感じなんだろ~って❤ ふふっ❤ 上手におまんこほじほじできるかな~❤って」  ――うぅっっ❤ ふーーっ❤ ふぅぅッ❤❤ 「あは、図星なんですね~❤」  意気揚々と煽りたてるふりを装いながら、内緒話のボリュームまで声が絞られる。そうしてマイクが拾えない会話であることを仄めかし、気遣うふりをして囁く。 「……ね、まだ余裕あります? それとも、結構つらい?」  普通に考えればこんな緩め指輪っかのスロー手コキなんかで、男のちんぽが射精に至れるわけがない。躾けの済んだマゾならともかく、彼は普通の男子学生だ。童貞の男子学生は普通自分のチンポに射精を焦らす扱き方なんて知らない。もどかしがっているのか、はたまた苛立っているのか。その区別がつかなくなるほど、ゴシゴシと勢いよく扱く激しい手の動きに飢えていた。しかし、そんな願いが聞き届けられればぎりぎりで押しとどめている精液が溢れだし、せっかくのセックスチャレンジが水の泡になる。だから青年はもどかしさでどうにかなりそうになっているのに、自分の意志で射精を遠ざけるようおねだりする他ない。  今更カメラに撮られていることが羞恥心に響く。顔をあげられないまま『うぅぅ~~っっ❤』などと呻きながら青年は何度も首を縦に振った。 「あ、ごめんなさい~。刺激、強すぎちゃいました……? そうですよね、先っぽがこんなにきれいなピンク色ってことは、いつもは包越しのちゅこちゅこオナニーなんですもんね……? すみません、私ったら、つい……❤ きもちよすぎちゃいましたよね~……❤」  眦を下げた申し訳なさそうな声色を上手く装うものだから、その謝辞が全て見透かされたうえでの皮肉や煽りの類だと気づけない。むしろ彼女の言う通り、自分のペニスは他と比較して敏感すぎるのだろうか、なんて新たなコンプレックスの種が芽吹きそうになる。 『くすっ……❤ まぁ、でも早漏にもいいところはあると思いますよ~❤ ねー、マゾのみなさん~♪ ボクのはオナニー専用のおちんちんなんだ~❤とか、こんなんじゃ女の子にバカにされちゃうよ~❤とかって自覚すると、気持ちよ~く射精できますし❤(笑) おちんちんには引け目いっぱい感じてたほうがいいんですもんね~❤ たとえば~……❤ ふふっ❤』  そこで言葉をいったん区切ると、はづきは笑い出すのを抑えられなくなった。いよいよ待ちわびたシーンがくることが楽しみでたまらない、といった反応。それは視聴者にとってもなぜ尻穴にローターを詰めさせたのか、なぜカメラの前でM字に足を開かせたのかの答え合わせでもある。 『おちんちんに指一本触れられずにお射精しちゃったら、とびっきりの“傷痕”になっちゃうって思いません~?❤ お声かけた時から決めてたんですよね~。この子はお尻の穴ほじってイかせちゃお~❤って』 「えーっと、それで、ですね……❤ これ以上ゆったりした指遣いって、できそうにないのでー……ちょっと、おちんちん弄らない刺激に切り替えてみますねー? それなら、お射精なんか、ぜーったいしないと思いますから……❤」  これ以上、頭がおかしくなるチンポ焦らしが与えられるわけではない。心にゆとりがなくて、この際ともかくはづきと初体験を迎えられさえすればいい。そんなふうに考えていたので、持ちかけられた眉唾物な提案に青年はにべもなく頷く。  チンポにさえ触れられなければ、射精するわけがない。そんな男としての当たり前を、脅かされることになるなんて思いもせずに。 「お手々離せないので、代わりにこれ開けてくれません?」  背後から手渡された避妊具の包み。その間もチンポが涎を垂らし続けているので、何に使うのだろうなどと考えている猶予はない。あたふたした手つきで開封すると、脇からはづきの指先が伸びてくる。  差し出されたのは配信前に誓約書にペンを走らせたり、PCを操作したり、ペットボトルのキャップを開けていたほうの、つまりは利き手。それでようやく、彼女の言う手加減が真実だったと気づかされることになる。ペニスを弄ぶのにかかりきりでいる指輪っかは、今見せられているのとは逆の手だ。 「つけてもらえます?」  白くて美しい女の指が生まれて初めて恐ろしい。完全に気圧されてしまった青年は、彼女に促されるまま、中指と薬指――いちばん奥まで届く二本――にまたがるよう避妊具を装着する。 「自分でシたことってあります? お尻の穴……❤」  首を振る。経験がないことを知らせるのではなく、『そんなの無理だからやめてほしい』を示す拒絶の意。チンポを生やして生まれてきた以上、“穴をほじくるのは男の役割だ”と当然のように考えて、自分が犯す側であることを一度たりとも疑ったことはなかった。そんな思い込みを根底から破壊する“男女逆転”をほのめかされ、呼吸が浅くなっていく。  この時彼女はもう何を言われてもやめる気はなかった。最後まで性行為――はづきを“犯す”こと――に固執して、自分の弱さを一向に認めようとはしない思い上がりがいかに重篤な勘違いであったか。そのツケを払わせるのが楽しみで、丹念に準備を整えてきたのだから。 『私ずぅっと、おかしいな~って思ってたんです。くすっ……❤ だって“犯す”って、強いほうが弱いほうに使う言葉じゃないですか❤』  でっぷり肥えた金玉の裏側にゴム付きの指先を潜り込ませ、尻穴の緊張を解きほぐすようにあてがった。すぼまった穴から割って入ろうとしてくる、異物の感触に青年の全身をぞくぞくと鳥肌が覆う。 「……ついでに、“弱い穴”のほじくり方のお手本です❤ もしかしてKくんもあとでする側にまわるかもなので、よ~く見ておいてくださいね~❤」    尻穴を耕す面目を語るはづき。しかしその発言はあきらかに明言を避けており、“女こそが弱い穴”であるとも、“あとでする側に回ることが、はづきの穴に同じことができる”なんてことも言っていない。  視聴者だけがその符丁の意味を知っている。 『ふふっ、全然分かってないみたい❤ も~❤ そうやって疎いからいつまでもただの童貞さんなんですよ~❤ イジめたそうな女の子の気持ちも汲めるようにならないと、立派なマゾ童貞さんにはなれないんですから~❤ 今のは“ほじられてお射精しちゃう弱い穴に耕して差し上げるので、おうちでオナニーするときのお手本にしてくださいね~❤” …って意味です❤ お利巧さんのマゾのみんなはもちろんわかりましたよね~❤』  後挿しのコメントとまるで示し合わせたかのように、肩ごしのにんまりとした視線がカメラ越しの視聴者たちを射抜く。“お手本”は彼らに、手ずからご主人様に穴を辱められていると錯覚させるためのものでもある。  いよいよご褒美の時間というわけだ。無慈悲に取り上げた感情移入の没入オナニーに再び引きずり込むべく、副音声は淡々とシチュエーションを囁く。それまでの警戒心のガードを下げさせる話しぶりとはちがう、オスマゾを飼いならす強い女としての凛々しさを伴った声色で。 『いいですか、目の前の画面は鏡だと思ってください。映っているのは貴方で、貴方のお尻の穴をほじくりまわすのは、私。なぜ女の私が、男の貴方の穴をほじくりまわして遊ぶのか、なんてそんな理由ひとつしかありません。貴方のほうが弱くて、穴に向いてるからです。貴方が、弱っちいくせに間違えておちんちん生やして生まれてきちゃったマゾだから』  恥部を曝け出し屈服のポーズを取っている最中に流し込まれる、ご主人様からのお言葉。それはもはや“そう思い込みなさい”という命令ではなく、絶対的な真理として彼らの中へと溶け込んでいく。 『今日はもうおちんちん触っちゃダメ。……いい?』  いいはずがない。けれど受け入れて頷くより他に選択肢はない。画面向こうの女の言いなりになって恥を植え付けられる仄暗い快楽の味を知ったせいで、羞恥の伴わない射精なんて物足りないと感じるようになってしまったのだ。初体験への憧れでさえ、はづきに弄んでもらうための弱みのひとつ。 「じゃ、入れちゃいますねー❤」 『あー、入っちゃう、入っちゃう~』 「はい、あーん❤」 『ローターのスイッチ入れてくださーい。ほら、“マゾ穴あーん”しろ~❤』  ぬぷっ❤ ぬぷぷぷっ❤  切羽詰まった制止の声は聞き入れられず、指先が割って入っていく。チンポが弱すぎる責任を肩代わりさせられてほじくられることになったくせに、きゅうきゅうと締まって侵入者を拒もうとしている。自分が犯される側の立場に回ったことをまだ理解していない、物分かりの悪い尻穴だ。  男子の本能に根付く男尊女卑の意識を手っ取り早くひっくり返すには、“女なんてどうせマンコをほじくられればよがり狂ってしまうのだろう”という認識を利用してやればいい。もし穴をほじくられてよがってしまったら、その穴は感じるための“まんこ”に違いないし、穴で喘ぐような雑魚は“メス”に違いない。  己の内側を、犯す意思をもった何がしかに掘り進められる感覚。これまで感じたことのない生物的な危機感に、青年はひどく狼狽する。彼にとって他人に尻穴をゆだねるだなんて記憶は、幼いころ身内に座薬を入れられた経験がせいぜいだ。つまりは自身の体調を回復させることもままならなかった未熟な自分は、羞恥心を犠牲にするしかなかった苦々しい思い出として残り続けている。  体はいっぱしに成熟した今、ろくに射精が我慢できないからという幼少期よりもなお恥ずかしい理由で尻穴を差し出している。それも、おそらく今青年が最も見栄を張りたいであろう人物相手に、だ。  ――あっ、やめっ❤ やめっ❤ ぬいてっ、ぬいてくださいっ❤  はづきを犯す妄想を膨らませていたときの威勢の良さは何処へやら。ガチガチに固めた体裁は、秘めておきたいやわらかな自我を守るためのものだ。“内側”を暴かれればあっけなく瓦解していく。 「え~❤ だって仕方がないじゃないですか~❤ お射精がまんできないんですから❤」  懸命に制止を求める彼を、まるで聞き分けのない子を相手にするみたいに扱って、はづきは真面目に取り合ってくれない。  内側から揉みしだけば、すぼまった括約筋があっけなく開かれ指を飲みこんでいく。射精我慢のために腿の付け根を締め上げてばかりいたツケが回ってきたせいなのだが、映像で伝わるのは『口ではは嫌がっているものの、開発済みであるかのように尻穴を開いてしまう哀れな姿』だけ。それが分かっているくせに、はづきははづきに都合のいい事実だけを拾う。 『はい、ずっぷり奥まで差し込めちゃいました~❤ イヤイヤ言ってたくせに、ほらやっぱりモノを咥えるのがお上手な、犯され専の穴ぽこくんですね~❤』  しかし無理やり犯されていると言い張るのが難しいほどの説得力が、その画にはあった。ぽっかりと口を広げてはづきの指中二本を咥えこんでいる上でペニスが未だしっかりとした硬さを帯びている。今更それを生理現象と呼んで片付けるには難しい。よく躾けられた開発済みの尻穴ジャンキーならともかく、手つかずの尻穴は未だただの排泄孔に過ぎない。しかしそれでチンポをおっ勃たせているのであれば、彼の中にも辱められて興奮するマゾの素質があることへの、言い逃れようもない裏付けだ。 「わぁ、鳥肌すご~い……❤ そんなに圧迫感つらいです? それとも、興奮しちゃってます?❤」  そのどちらとも正しいのだが、正しいゆえに認められない。なにせ尻穴へと伸びるはづきの腕をまるで不安がる女の子のように掴まえてしまっているぐらいなのだから。今すぐにでも正直に打ち明けて許しを乞いたいのに、この期に及んでチンケな見栄がその足を引っ張る。“手加減の手加減”すら耐えられないと、素直に言い出すことができない。  だってこの期に及んで無理なんて言い出そうものなら、はづきの気が変わってしまうかもしれない。射精が我慢できずに性行為の機会を喪失するのはもちろん避けたいのだが、それ以上に『やっぱりこの人とセックスしたくな~い……❤』だなんて思われて、はづきの意志でセックスお断りを突き付けられてしまったら一生癒えない傷跡が残る。 「まぁ、お射精しちゃうよりマシですから、ね?❤」 『……ぷっ、ふ、ふふっ❤』  だからこそ、そうして生じる歪みに何度でも付け込まれてしまう。本当ははじめからその可能性なんて欠片もなく、どんなに惨めに射精させるかに思い悩まれているとも知らず。 『あ、今ちらっと時間確認したのでここからノンストップでトドメさしに行くと思います~❤ 本当はもうちょっとゆっくりじっくりこね回して本気で泣かせたかったんですけど、さすがに数分でアナル開発はむずかしくって~❤ 残念です~❤』  ところで、はづきが毒牙にかける童貞には様々なタイプがいるのだが、その中でもどんな不本意な射精を迎えさせるかについて、彼女なりのこだわりがある。例えばやんちゃそうな青年はその強気で勝気な態度を引っぺがすべく、メンズオイルマッサージごっこで時間をかけてとろっとろにしていくし、長い間童貞を拗らせてそうな年上の非モテ男性には嘘喘ぎつきオナホコキなんかで直接おちんちんに触ってあげないこともある。そして彼のような、ネット上では声がでかそうなオタクにはこうして尻穴ほじりでイかせてあげることがまま多い。  それは彼らが、はづきにとって看過しがたい思いちがいをしているからだ。例えばインターネット上に氾濫するネットミームの中のひとつに『この女アナル弱そうw』などと低俗下品な物言いで女性に属性付けする風潮が存在する。ああいうものを嬉々として持て囃し、己が身を省みずに生意気な口をイキりオタク君には、二度とそんな言葉が出てこなくなるようにしっかりと学ぶべきなのだ。彼らの言葉を借りるとすれば、“わからせ”というやつだ。  さすが、何十匹何百匹のオスの尻穴を蹂躙してきただけはある。少しかき回したその指先の感覚だけで、はづきはあっという間に“泣き所”をとらえてしまった。女が尻穴で感じるには子宮を裏側からもみほぐすのが最も手っ取り早いものの、それでも腸壁や内臓の分厚い壁越しに入念な慣らしと、そもそも子宮自体の開発があってこそだ。  しかし、その点、オスのケツ穴はちがう。肛門から指一本ぶんの上側の腸壁に、その弱点は触ればわかるほどの、これ見よがしに植わっている。 『みなさ~ん、尾てい骨がつくようにお尻をずらして、中でローターを立てる感じ、ですよ~❤ しっかり姿勢を整えて体重をかければ、ちゃんと当たるようにできてるので大丈夫です~❤』  一説によると男性器の射精に快楽を発生させている元凶であり、また子宮の名残。生殖機能を持つ関係上、身体の外部に曝け出してしまうことになった金玉に対し、こちらは外敵に狙われてしまわぬよう、大事に大事に体内へ埋めて秘匿した、オスの本当の弱点である――前立腺。  奥まで差し込んだ二本の指が、ぐいっ❤っと鋭角に折れ曲がる。すると第二関節がフックのように引っかかって、腸壁の向こう側の前立腺を間にとらえた。何か悪い予感を感じ取ったのだろう、青年ははづきの袖を握ったまま、首をしきりに横に振っている。  しかし残念ながらその抵抗は事の顛末に何の影響も与えない。  前立腺はたっぷりこねまわして、男が今まで経験したことのないような深くて長いオーガズムに沈めてやるか。それが不可能なのであるならば、わけがわからないままにあっけなく精液だけを吐き出させて心をへし折るかのどちらかだ。彼の場合は言うまでもない。 『は~い❤ 前立腺こねこねRTAはじめますよ~❤ よーい……スタート❤』  指の腹に芯をとらえられ、前立腺がつまんだ指先に負けるマシュマロのようにその形を変える。前立腺はペニスや乳首といった明確な性感帯とは一線を画す、気持ちよくなるためにある部位ではない。かつてはそうだったのかもしれないが、放棄された機能の一端であり、ともかく滅多に直接触れられない分、使われていない回路は鈍麻するものだ。  だからいきなりもみほぐされたとしても、すぐに感じるようになるわけではない。だが快感が蓄積しないわけでもない。疲労を溜め込んだ筋肉が何の前触れもなく痙攣をおこしたり、痛みがないのにいきなりスジがダメになったりするのと同じ。 「え~❤ “なんかヤダ”って一体何がヤダなんです~❤」  彼だけが感じる、何か得体のしれないものが奥底からせりあがってくる感覚があるのだろう。一度も使われたことのない回路が突然開通させられ、その刺激を正しく知覚できず、正しく処理がなされないでいるあいだも、指使いは止まらない。  まるで自分の気持ちを言語化できず泣くことでしか意思表示できない子供のようになってしまった様子をおちょくりながら、はづきは前立腺を容赦なく揉みしだく。  青年はまさしくパニックに陥っていた。陰茎の根元がじんじんと熱くなっていき、足元がおぼつかないような妙な浮遊感が身体を包んでいる。原因はもちろん、はづきが自分の尻穴を迷いない指使いでほじくりまわしているせいだ。そのせいで自分の身体に得体のしれない異常事態が発生している。視界が徐々に潤っていくことから、なぜだか目尻にだんだん涙まで浮かんでいるらしい。 『ここ聞こえます? Kくんちっちゃい声で、やめてっやめてぇ~っ❤っておねだりしてるんですよ❤ ふふっ❤ かわい~~❤ お尻ほじられてなにがなんだかわからなくなっちゃってる~~……❤❤ くすっ❤ どんなマゾにもこういう初々しい頃があったんですよ~❤ ……今はどうなんでしょうね~……❤ みなさんしっかりマゾ穴開発してます~?』  収録は一方的なのだから、マゾたちの開発事情を聞く気もないし、それを知る方法もない。けれど、『自分を歪めた女の子がそんなことつゆほどの興味もなさそうにしている』ことをほのめかすと、悦ぶ視聴者もいるのでリップサービスだ。  今、PCの画面に向かって必死に尻穴ほじりのローターオナニーに耽りながら、マゾ穴具合を告白するオスどもの叫びが、はづきの耳に届くことはない。 『あー、でもそろそろ限界みたいですね~❤ もうちょっとぎりぎりで失敗を演出したかったな~❤』  カメラにまっすぐ目線を向けながら、はづきは尻穴をほじっていないほうの指を彼の肩の上でたてた。時間制限ぎりぎりまで保たせることは難しくとも、せめて射精の瞬間はしっかりとその支配下におくつもりらしい。  万が一、画面に映っている青年がこの動画を視聴することがあれば、初めから手玉に取られていたことが良くわかるように。 「あと5分きりましたよ~❤ がんばれ~❤ がんばってくださ~い❤」  5分ではない。あと5秒の意。男が射精するタイミングなんて、本人よりも彼女のほうがよっぽど深く理解している。自分の意志にそぐわない、不本意な射精。それはマゾの開通式でもある。精通を迎えた男の子がちんぽ弄りの虜になってしまうように、ひとたびその扉を開いてあげれば、青年もまた画面の前の男たちの仲間入りだ。  はづきに声をかけられた際に何か前のめりな期待を抱いてしまったこと。詳しく話を聞いた後、はづきの端正な顔からたゆんたゆんと揺れる胸、腰の括れ、ふくよかな尻とむっちりした足を見て、彼女を『捕食対象』だと思い上がりをしてしまったこと。ずっと手加減されていたにも気づかないで虚勢を張り続けた結果、こうして一生もののマゾの傷跡をつけられ、その恥態をオスマゾのオナニー用動画兼デジタルタトゥーとしてネットの海に放流されてしまうこと。 『さーん……❤ にーぃ……❤ いーち……❤』  全て、童貞の浅ましい身の程知らずが招いた結果だ。  カウントのタイミングに合わせ、ひときわエグい深さまで指が沈みこむ。 『ぜろっ❤』  ぴゅっ、ぴゅるっ……❤ ぴゅっぶ……❤  ぴゅっ、ぴゅぅぅ……❤ ぴゅぷぅ……❤  陰茎から精液が漏れ出した瞬間、青年はそれが射精であり、自分の身に射精が起こったと瞬時に理解することができなかった。だってそれは射精と呼ぶにはあまりにも勢いがない、中の液体が仕方なくのろのろと漏れ出るようなものだったから。加えて射精に必ず伴うはずの、あのゾクゾクするような快楽を感じない。  え、あ? うそ、え? 何かの間違い――そう思った瞬間、腰が跳ね上げられたかのようにベッドから浮いた。じんわりと頭の中に快楽物質が染み渡る、そんな射精のような生温い快感ではない。というか、それが快感であるかどうかすら、青年には判別がつかなかった。ともかく何かが、チンポの根元を起点にはじけて、身体中の筋肉がその衝撃のあまり急な引き攣りを起こしたのだ。 「あっあっ❤ おもらししちゃってますよ~❤ 止めなきゃ止めなきゃ~❤」  制止をかける声とは裏腹に、はづきは胡桃大の弱点を押しこみ続ける。そこには精液を吐き出させるには十分どころか、彼の意識をも身体から追い出すに足る衝撃が込められている。  物理的な刷り込み教育、とでも言えばいいだろうか。今感じているそれが、正しくマゾの快楽だと学習させるために。セックスなんかよりもよっぽどこの身体に馴染む、お似合いの快感だと教え込むために。 『ぴゅっ❤ ぴゅ~~❤ はーい、おめでとうございま~す❤ 今日からずっとマゾですよ~❤ 大変だと思いますけど、がんばってくださいね〜❤️ ……“お前たち”もぴゅっぴゅ〜❤️ マゾ悪化の言いなりオナニー、今日もご苦労様で〜す❤️』  堕としておきながらいきなりその手を離す言葉からははづきにとってのこの活動が道楽の類であり、彼らの性癖が今後どのように捻じ曲がっていくかについては左程興味がないことがうかがえる。  尻穴から指を抜いても、青年の身体はアクメの余韻でピクピク弾けたまま、すっかりのけぞって気をやってしまっている。 「ふふっ、おーい……❤️ Kく〜ん? おねんねです〜? ふふっ、じゃあ約束どおり、処理はさせてもらいますから動かないでくださいね~❤」  今日の動画内では未だ語られていないが、チャレンジ失敗になった時のペナルティが実はもうひとつある。成功すれば童貞卒業、失敗したら動画公開の二択に意識を奪われ、そのふたつと比べたら印象が薄いので、彼の記憶からあっという間に抜け落ちてしまった条件。  あらかじめ用意していた熱々の蒸しタオルを、ひっくりかえった虫みたく痙攣している意識のない男の股間にかけてあっためる。その間、はづきはごそごそと鞄の中を漁って、剃刀とシェービングクリームを取り出した。 『みなさんも万が一、裸が女の子の目に触れる機会があるかもなので、ひと目見てマゾだってわかるようにつるつるにしておいてくださいね~❤ そうすればちゃ〜んと恋愛対象から外してもらえますからね〜❤️ じゃ、また次の動画で〜❤️』  手慣れた手つきではづきは剃刀を滑らせ、生い茂る成熟したオスの証を見るも無惨な負け犬ちんぽへと加工する。そしてつるつるになったキャンパスを前に、肌書き用のインクペンをキュポンっと鳴らす。  359本目❤   アナルほじりでノータッチ射精❤️  はづき@prideplayed  敗因とSNSのアドレスを書き込んだチンポと並んで自撮り写真を撮るはづき。  動画はそこで終わり、暗転した画面に切り替わる。副音声も挨拶をしたので、ここで終わりのはずだが、しかし、はづきの動画にはよくこういうことが起こる。  後撮り音声の付け足しの、付け足し。つまりはアップロード前にもう一言添えたい何かが起こった場合だ。 『あ、そういえば……Kくん、メンバーシップのご登録ありがとうございま~す❤ もう女の子とセックスしたいなんて思っちゃダメですよ~❤ ……あ、それと、“アナル弱そう”って言葉も一生使っちゃダメですよ❤ 身の程弁えて、マゾオナニーしてくださいね❤』  はづきは興味がなくなった玩具でも捨てるような真似はしない。一度拾った玩具はよく磨いて自分好みに補修したあと、目の届く場所に飾っておくタイプだ。  はづきの支援者たちが加入しているファンクラブの名前は『棚』。彼女のコレクションが今日もまた一つ増えた。 《終》

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おはこ先生の文章をこの量でぶつけられるの最高です。 童貞くんと視聴者への攻めを一気に受けるので一度で二度美味しいというか破壊力が凄まじくて驚きました。 2023年のおはこ先生も本当楽しみです。今年もよろしくお願いします

ららら


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