みなさんこんにちは、あけおです。
本日は、ゲーム中の「背景」についてのおまけ話です。
PC版の時点で美麗といっていただけていた背景美術でしたが、PS4版に合わせてさらなるクオリティアップを目指しました!
背景という言葉の通り、主役になることはありませんが、画面上に長く表示されていることも多く、時には天気や時間帯で感情を伝える役目もある、まさに縁の下の力持ちです。
今日はその中でも、「FATAL TWELVE」の中で運命の大広間に次いで象徴的な、ライオン館の背景制作の過程についてご紹介いたします。
①PC版背景制作
まずは、PC版の背景制作です。
作中の雰囲気や必要な要素などを相談しながら、以下の画像のように塩こうじ先生が間取りや家具の位置などの細かい設定資料を作ってくれます。

この指定と、家具などのイメージ画像を元に、背景を描いてもらいました。
②変更イメージ制作
PS4版での背景リニューアルが決定後、塩こうじ先生とゲームをプレイしながら、もう一度既存の背景をどうするかを見直していきます。
キャラクターとの位置関係や画面との距離感など、細部までじっくり再検討をします。そこでイメージが固まってきたら、塩こうじ先生が簡易的な3Dのソフト(ipad版「ホームデザイン」など)を使って、「新・ライオン館」のイメージ画像を作っていきます。
ここが、これまでとの大きな違いでもあります。
あくまで広さやサイズ、家具の配置を伝えるためのイメージなので、 ソフトに入っている素材など、似たものを使ってがしがしと作っていきます。



ここで作った間取りを元に、以下の画像のように、外観のサイズ感が分かる画像も作ります。

これらのイメージ画像をVISMODELさん(背景制作チーム)に渡して、次のステップです。
③3D制作
塩こうじ先生の作ったイメージを元に、VISMODELさんが3Dを組んでくれます。
VISMODELさんはまずはラフ(大雑把な確認用)で、以下のような3Dをスクリーンショットなどで画像にして送ってくれます。

ここでおまけ話。
「FATAL TWELVE」の背景は主に以下の三種類に分けられます。
上記の通り、ライオン館は3Dがベースになっています。
3Dを使う時は、この世界に存在しないものを背景で作る時や、イベントCGでよく出てくる背景を作る時などに使います。
3Dモデルを作ると、通常の背景とアングルが違う時も、3Dをぐるぐる回して、イベントCGの背景制作がスムーズになることもありますので。
④3D調整
方向性が固まったら、3Dをもう少しクリンナップしてもらい、角度や距離感を変えた何パターンかを画像にして送ってもらいます。
この時点で、キャラクターのイラストを載せての検討も行います。
A

B

C

数種類の中からどれがいいかを検討し、この場合は、Cに決定。
その後、気になる点などを相談します。
黄色のところは、床面積が広くて物足りなくならないか、青部分は、背もたれがこちらを向いていて画面に嫌な圧迫感がないか、などを相談したところです。
この後の作業で、各所に模様を入れるなどで情報量を増やすなどしてもらうことで懸念点を潰していきます。
ご存知の方は、この時点でかなり完成形に近いというのはお分かりかと思います。なので、取り返しがつかなくならないように、細部まで見ていきます。
たとえば以下のように、微妙に家具の位置をずらすこともあります。


左のテーブルの位置だけではなくて、実は画面右奥のテーブル席の位置も、上と下では変わっています(下の画像の方が窓際に寄っています)。
このように、微妙な違いも、ゲーム画面で長く見ていると違和感を覚えて進行の邪魔をしてしまうことなどありますので、シンデレラの継母のような気分で調整していきます。
ちなみに、ライオン館の外観も同じように、3Dで作っていきます。

間取りが決まっているのと、家具などの情報量が少ない分、こちらは必然性に導かれて作っていきます。
見栄えとリアリティを意識しながら、手前のポールは削るなどの調整をしていきます。
⑤家具の指定
ここまで来たら、次は以下のようにディティールを決めていきます。


実際に撮影してきた写真や家具カタログなどから資料を引用しているため、一部ぼかしが入っていますが、このように一つ一つ丁寧にイメージを作っていきます。
凛火のおばあちゃんの好みや作られた時代、経てきた歴史などを考えながらの作業は大変ですが、楽しい作業でもあります。
こうして、ライオン館のイメージができあがっていきます。
⑥彩色⇒完成
こうして3Dを元に線画をおこし、彩色をしていきます。
下塗りの段階で、気になるところを指定していきます。
ここまできてもまだ、塩こうじ先生とあけおの頭の中にあるイメージが伝わるように、そして凛火たちの息遣いが聞こえるように、調整していきます。
この1枚目と2枚目(完成形)とで、指示のある場所がどう変わったか見比べてみてくださいね。


完成形の光の表現が、かなりこだわっているところです。
うまく言語化できませんが空気感が表現されることで、ライオン館の存在感を際立たせてくれています。
⑦差分


あけおが気に入っているのは、夕方のライオン館です。
夕方の色合いはそれだけで叙情的ですよね。何かを感じさせてくれます。
そして、ライオン館には雨の表現も描かれています。

本編でも、凛火が塞ぎ込んでいるシーンで使用しています。
雨というのは、小説やドラマでも感情表現として使われることも多いです。
凛火の心情表現を大切にしている「FATAL TWELVE」ではこの雨の一枚も、そのシーンの雰囲気を伝えられるように、暗さを重視して描いてもらっています。
以上、おまけ話つきの背景制作過程でした!
想定していたよりも骨太な記事になってしまいましたが、「FATAL TWELVE」の背景制作のこだわりを感じていただければ幸いです。
そして本作の背景美術は、VISMODELさんというパートナーのおかげで、我々のこだわりを実現してもらうことができたので、あらためて感謝です!
ではでは、あけおでしたー。