「なんか最近、お風呂の排水溝の汚れが酷いのよね……」
ボソッと小声で呟く母親。
「……」
夕飯後の一家団欒のひととき。その言葉を父親も妹も特に気にも掛けていないようで、テレビに夢中になっている。
しかし、その中で一人だけ反射的に身体を強張らせた者がいた。
彼はこの一家の長男。丁度昨日、お風呂でオナニーして盛大に精液をぶちまけていた。まだ精通してから日も浅く、未知の快感に夢中になっている思春期の青年だ。
流石にシャワーで精液を洗い流してはいたが、そのままお湯で流してしまっていたこともあり、精液が凝固し排水溝が詰まったのだろう。
母親もそれが分かってる上で敢えて言っているのかどうかは不明だが、結果的には風呂場でのオナニーに釘を刺された形だ。
彼にとってこの状況は芳しくない。思春期を迎えたばかりで毎日でもシコリたいくらいなのに、お風呂場オナニーを禁止されると他にシコれる場所がない。
4人家族にトイレ一つ。長時間トイレを占有すれば家族から文句が出るし、そもそもトイレの壁も薄いので、オナニーのピストンの音や喘ぎ声ですぐにバレてしまう。特に彼の場合、そもそも巨根種族と名高い狼獣人の雄であり、まだ成獣していないとはいえ、大人顔負けの爆根持ちである。
オナニーの際に発せられる包皮のズレる音や尿道内を我慢汁が往来するいやらしい音も爆音なのだ。
住んでいるアパートは部屋数も少なく自分の部屋もまだ妹との共同部屋。シャワーの音でオナニー音を掻き消せるお風呂場だけが彼にとっての唯一の射精場なのである。
(明日からどこでオナニーしよう……)
狼の青年は悶々と頭を抱えながら、結局答えの見つけられないまま就寝した。
翌日、学校帰りのこと。ふと缶ジュースでも買おうと立ち寄ったコンビニにて、ある商品が偶然目に留まった。
“「エチケットホール」携帯ワームホール型のトイレ~新時代のエチケットアイテム!どこでも周りを気にせず排泄し放題!~”
近年、急激に流行りつつあるヒット商品だ。
一見ただの輪っかのように見えるが、電源ボタンを押すと輪の中にワームホールが生成される。
ワームホールの中にチンコを突っ込めばどこでも放尿し放題だし、ケツに挟んでおけば会議中におならをしまくってもバレない。勿論、船酔い時の吐瀉物対策やうんこの際にも使える万能エチケットアイテムだ。
この商品の画期的な点は、ワームホールの先が全く別の星に繋がっているという点だ。ワームホールをいとも簡単に生成できる時点で分かるように、青年の住むこの獣人の星は極めて科学力が高く、既に宇宙のほぼすべてを掌握している。
広い宇宙の中には他にも知的生命体が住む有生物惑星がいくつも存在するが、それらもすべて獣人の隷属惑星である。
そして、このエチケットホールは、そんな属星にワームホールを繋げて直接、糞尿を送り届け処理させる商品なのである。
当然ながら母星で食って飲んで、その排泄物を他星に送り続けていたら、母星の資源量がどんどん減ってしまう。そうならない為に他星で排泄物(資源)を処理させ、生命体達が肉として実ったら搾取するのである。
排泄物の送り先の惑星は悲惨なことに一時的には糞尿塗れの汚い惑星になってしまうが、それらはすべて資源でもあるので、まるで畑に施肥するように、長い年月を掛けてやがて星は肥沃な大地として生まれ変わり、沢山の命で溢れかえる。
そして、その命を搾取し、また糞尿に変えていく。
勿論、美しい惑星にはワームホールは繋がらないようになっていて、基本的には排泄物の送り先は、「寿命の近い星」である。惑星の人口が飽和して今にも核戦争が起きそうな星など、惑星が“死ぬ”可能性のある場所に問答無用で“資源”を送り付け戦争を回避させるのだ。
獣人達はこの宇宙の中では特に巨大な種族であり、排泄先の惑星のスケールによっては、一回の放尿で湖ができたり、一つのウンコで町が消滅する。会議中のOLのたった一回のおならでテラフォーミングが起きることだってある。たかが生理現象一つで沢山の命が失われることも往々にしてある。
当然、巨大な排泄物で蹂躙される側は戦争どころではなくなる。一回の獣人の排泄で世界から戦争はなくなり、以降、長い時間を掛けてその星の全生命は排泄物の処理に余生を使うことになる。
中には、この“ワームホール排泄”の仕組みが残酷過ぎると批判する意見も存在するが、しかし、長期でみれば結果的には星を救うことになるとも言える。排泄するだけで星を救えるというのは何とも気分が良く、またその行為自体が同時に沢山の命と尊厳を奪うという背徳感が堪らないという声もあり、近年、若い層を中心に急激に“エチケットホール”が広がりつつある。
性事情に悩む件の彼もエチケットホールの存在は知っていたが、今までトイレ事情にそこまで困っていなかったこともあり、あまり関心はなかった。
しかし、昨日の今日で精液処理問題が急浮上したと合って、思わず彼は「これだ!」と人目も憚らず声を上げてしまう。
財布からなけなしのお小遣いを取り出し即購入。試しに電源を起動してみると「地球」の文字が表示された。生成されたワームホールを目に当てるとその先には地平線まで続く灰色の大地が見える。
よく見るとその灰色は無数の小さな直方体の箱のようなもので構成されていることが分かり、青年も合点がいった。
(うわぁ……ちっちゃい町だ。本当に他の惑星に繋がってるんだ……)
ゴクリ。思わず唾を飲む。この穴に自分が“何か”を出せば、それによってこの小さくちっぽけな町は蹂躙されてしまう。ゲームやアニメではなく現実にあるどこかの星の本当に生きている生き物たちが…。
申し訳ない気持ちと同時に、何か得も言えぬ興奮が沸き立ってくる。
(よし……試しに使ってみよう)
青年は横道に逸れると人目のない空き地の茂みのほうへ向かった。
そして、ズボンを降ろしボロンと白昼堂々チンコを外気に晒す。
どうやら立ちションするようだ。
「お、すげえ……!」
エチケットホールの穴にちんこを通すと通過した部分が消えた。地球側では空にちんぽの先っちょだけが浮いているように見えていることだろう。
そして…
極太の尿道が尿で満たされ……一気に放出される!!
地球のスケールに換算して約20㎞はあろうかという彼の爆根から繰り出される膨大な量の尿!
巨大な川ぐらいの水量が高圧水銃並みの水圧で繰り出されるそれは、もはやただの大量殺戮兵器でしかなかった。
尿の通過した場所は大地が数㎞抉り取られて谷ができ、周囲を尿の津波が襲い、建物も車も人間も動物も何もかもが呑み込まれ、砕け散り、粉々になって泥と同化していった。
「はぁ~~気持ち良かったぁ……」
ぶるぶると排尿後の身体の震えに身を委ね、恍惚とした表情を見せる青年。
そして、ふと再びワームホールを覗いてみて絶句した。
先ほどまで存在していた筈の町が忽然と姿を消している!
地平線の先まで泥と尿が混ざり合った湖で埋め尽くされており、もわぁ…と湯気が上がっている。
青年は自分のおしっこで万単位、いや数百万単位の尊い命が奪われたことを理解した。
(こんなに酷いことになるなんて……)
そうなることは自分でも多少は分かっていた筈だが、いざ本当に蹂躙された凄惨な光景を見ると罪悪感が凄まじい。
しかし、そんな罪悪感を打ち消す言い訳はいくらでもあった。「この尿が…“資源”が将来的にこの星を救う」その正義がある限り、彼が罪悪感に押し潰されることはなかった。
それどころか青年は勃起しかけていた。たかが尿で何百万という喜怒哀楽のある知的生命体を虐殺してしまうという神のような所業に、とてつもない優越感と支配感を覚えていたのだ。
流石に勃起チンコを屋外で晒したままでは通報されてしまうので、明日の宿題や授業のことを考えてなんとか興奮を抑え込む。
そのまま大量虐殺者は何事もなかったかのように帰路につくのだった。
—そして、その日の夜。家に帰ってからずっと待ち遠しかったお風呂の時間がやってきた。
服を脱ぎ、風呂場に足を踏み入れた時点で既に彼はフル勃起状態。
自分の尿に蹂躙され尽くした町のあの光景が頭に焼き付いて離れないのだ。
(これからまた地球のみんなにチンコ晒すんだから念入りにちんこ洗っとこ)
亀頭から根元、カリの溝に至るまでゴシゴシと石鹸で扱いて綺麗にしていく。興奮のあまり我慢汁がどぷっと鈍い音を立てて溢れ出す。
青年はこの我慢汁だけでも滅茶苦茶人が死ぬんだろうな、と想像しながら興奮を高めていく。
「さ、ヤるか。」
さりげなくバスタオルの隙間に忍ばせてきたエチケットホールを手に取るとさっそく電源を起動する。
中を覗くと、この星にしてはそこそこ大きな山と、その麓に広がる大都市が目に映る。
この商品、なかなかの高性能品のようで、常に最適な“処理場”にワームホールを繋げてくれるようである。
(この町を今から蹂躙するのか…。みんな、ごめんね。)
内心謝りながらも無意識に舌なめずりし、ニヤリと顔を歪ませる。
シャワーの水量をMAXにしてわざとらしく水音を立てると準備万端だ。
亀頭を穴に突っ込み、思いっきりペニスを扱き始める!!
「あぁ…ッ!!」
そのあまりの快感に思わず大きな声が出て、慌てて口を塞いだ。あまり大きな声を上げると家族にバレてしまう。
青年は必死に歯を食いしばる様に声を抑えながら、ゴシゴシと片手で陰茎を扱き、絶頂へ向けて駆けあがっていく。
—その頃、地球では、やはりと言うべきか人々は大パニックに陥っていた。
「“神性器(しんせいき)”だ…!!もうこの町は終わりだ…!!!」
「デカすぎる…本当にあんなデカいのがチンコなのか…?」
「早く逃げろ!!少しでも遠くに……尿に呑み込まれるぞ!!」
「た、助けて……死にたくない……!」
数刻前に起きた大最厄、もとい青年のおしっこ災害は既に世界中に拡散され、世界を恐怖に陥れていた。神のものとしか思えないそのあまりに巨大なちんこを人々は“神性器”と呼び、対策しようのない無慈悲な神の怒りに恐怖した。そんな大混乱の最中に再び、空にちんこが出現したのだから、阿鼻叫喚に陥るのも無理はないだろう。
しかし、彼らは勘違いしていた。これからその巨大な鈴口から繰り出されるのは尿ではない。もっと濃くて重量感があり、粘度のある凶悪な遺伝子汚染物質。そう、精液だ。
それは…迫撃砲のようだった。
太陽の光が反射して眩く光るその白銀の液体が尿道からドロリと顔を出したと思った刹那。濁流の如き爆音と共に大質量の精液が一斉に町に襲い掛かった。
水圧によって一瞬で町が圧縮され、消滅。爆弾のように大きなミルククラウンを描くと同時、地表という地表がすべて真っ白に塗りつぶされる。まるで地球というキャンパスに描かれた絵を白い絵の具で塗りつぶすかのように、“命のリセット”は無情にも執り行われた。
それは尿とは比べものにならないほどの肥沃な資源であり、地球の全生命の遺伝子をすべて組み替えてしまうほどの“雄”―強烈な遺伝子汚染物質でもあった。
その被害は死者数にして853万4321。
子供のお小遣いで買えるほどの商品一つでこんなバカみたいな被害がいとも簡単に起こるのだから恐ろしい。
しかし、残念ながら隷属惑星の命の扱いなどこんなものなのである。排水溝の詰まりと天秤にかけられるほどに人の命は軽いのだ。
それに地球はまだマシなほうとすら言える。これからこの星は何度も彼のオナホールとして使われイカ臭い星になることだろう。しかし、星によってはOLの連続大放屁で大気の比率が大きく崩れ、全滅するパターンや、大地の総質量より糞のほうが多くなるくらい排便される星だってある。
それと比べれば、健康的な青年の栄養に富んだ精液が注がれ続ける地球はだいぶ恵まれているほうなのだ。
彼の子供達が星に溢れかえるその時が今から楽しみである。
おわり
Glacario
2025-12-02 21:01:42 +0000 UTC