スペースモンスター略してスペモン。
この広い宇宙の頂点に君臨する上位種族である彼らは、その圧倒的な力ですべての銀河を支配していた。
そんな彼らの中には、星の破壊や住人の虐殺を生業とする“破壊神族”や逆に新たな命を育む“創造神族”など様々な種族に分かれており、彼らの生殺与奪によって宇宙の生命バランスは保たれている。
彼らにとって命を奪ったり命を創ったりは日常茶飯事。ルーチンワークの範疇だ。
しかし生殺与奪には絶妙なバランス感覚も必要で、殺し過ぎれば絶滅してしまうし、逆に創り殖やし過ぎると後に無駄に虐殺する命が増えてしまう。
宇宙を健全に保つために日々彼らは命の取り扱いに神経をとがらせているのだ。
そんな彼らの憩いの場となっているのが、“虐殺フリー惑星”だ。宇宙の中でも特に価値の低い有生物惑星がこれに指定されており、自分の欲望のままに星を犯し、殺し、破壊することが許されている。破壊神族達の中で“バカンスに行く”と言えば、則ち虐殺フリー惑星で性欲を発散することを意味している。
勿論、すべての破壊神族が虐殺を好むわけではないが、そもそも猟奇的な種族が破壊神族に抜擢され易い傾向にあり、また、はじめこそ命を奪うことに抵抗があっても“仕事”を熟すうちに徐々に虐殺馴れし、気付けば加虐性癖に陥っている者が大半である。
基本的にバカンス指定地は直ぐに星が汚染され、全生物が死滅し、“破棄”となることが多いのだが、中には、星の価値が低いにもかかわらずなぜか存続し続けている星もある。
その最たる例といえば“惑星カビゴーン”だろう。
この惑星はその温暖な気候とどこまでも広がる平らな地形から、もともとはスペモンたちが睡眠浴を楽しむ目的で訪れる観光惑星だった。
しかし、ある時、“人間”や“亜人”といったスペモン達の目では見えないくらい小さな知的生命体がこの惑星に7000億人近く生息していることがわかってからというもの、瞬く間に猟奇的スペモン達の標的となった。
結果、“破棄”を望まない睡眠勢と、どんどん蹂躙したい虐殺勢との衝突が相次ぎ、その対策として、カビゴーン専任の惑星管理者が置かれることになった。
派遣されたのは、サーナイト種の“秩序神族”。
秩序神族は、破壊神族のように有を無に変えたり、創造神族のように無から有を生み出すのとは違い、宇宙全体に存在する全生命、全物質に干渉し、バランスを保つ役割を担っている一族だ。
基本的には破壊神族が過剰に星を壊してしまったり、創造神族が星を粗製乱造しないよう監視する仕事がメインだが、場合によってはテラフォーミングや文明修復、命の蘇生などかなり細かい作業を行う場合もある。
中でもサーナイト種は特に慈愛に満ち溢れた種族と言われており、文明修復、蘇生の術に長けていた。数世紀前に勃発した宇宙大戦の折、“いやしのねがい”や“いやしのはどう”を駆使した強力な衛生兵として戦線を支えた彼らは、今でもその癒しの力を仕事に役立てているのである。
医療現場での活躍は勿論のこと、その癒しの力を軽く振り撒くだけでも、周囲のスペモン達に疲労回復の効果があり、これを俗に“元気オール”と呼んだりもする。
今回、惑星カビゴーンに派遣されたオスのサーナイトの仕事もまさにこの“元気オール”を使って、傷付いた星の住人を癒すことが目的だった。
神族達にとって惑星カビゴーンの住人は微生物のような存在で、それこそ自身の細胞一つ一つと同等クラスのちっぽけな生命である。そんな小さな身体に“元気オール”などという強力な癒しの力が作用したらいったいどうなるのか。
—死者蘇生。
死細胞すら瞬時に蘇り、一時的に両生類並の治癒能力、再生能力が備わった細胞が瞬く間に肉体を復元し、死体すら息を吹き返す。
スペモン達にとっては疲労回復程度の癒し効果でも、小さな小さな人間や亜人たちにとっては死者蘇生級の治癒効果があるのだ。
例えスペモン達の性欲発散の為に一億の命が消費されようとも、しっかり遺体さえ残っていれば、“元気オール”でその一億の死者を簡単に蘇らせることができる。
過剰に殺された分だけ、生き返らせることで命のバランスを保ち、種の絶滅を防ぐというわけである。
(また、2億人減った・・・流石に派手に殺し過ぎだろ・・・)
今日もスペモン達の性欲発散の為に億単位の命が消費された。そのまま放置して日数が経過すると死体が腐敗し、蘇生成功率が著しく低下する為、基本的には大虐殺発生後すぐに出動する必要がある。
本日の襲撃地点は4つ。たった四人の神が戯れに“命遊び”をしただけで2億以上の死者が出ているのだから本当に贅沢な性欲発散である。
サーナイトはその一つ一つを巡り、順番に“元気オール”を使って、人々を救っていった。
うち二つの襲撃地点は地震や衝撃波による死者が大半だった為、8000万人の死者のうち9割弱の7000万人の蘇生に成功したが、残り二つはかなり激しくヤったようで1億2000万人強のうち6000万人程度しか復活させることができなかった。
彼の人知を超えた治癒能力でも蘇生できないということは、則ち、形も残らない程にバラバラになった人間が多かったということだ。
実際、背丈100㎞を超えるような彼らが町を踏み潰せば、その足裏にいたすべての命は蘇生不可能な程ミンチ状態になる。そういう意味では同じ死者数の大量虐殺でも都市全域を踏みつぶして回るような蹂躙方法を取られると非常に都合が悪い。
(…ッ!流石にここまで広域の癒しの波導を4連続は身体に負担が…)
サーナイトが4つ目のエリアで元気オールを使った瞬間、俄かに彼はよろめいた。本来元気オールは短時間で連発するようなものではない。体内に溜めたエネルギーを癒しの波導に換えて周囲に拡散するのがこの技だ。当然何度も使えばエネルギー切れになる。
町の中心で元気オールを使ったので、足元には今生き返らせたばかりの人間達が大勢いたのだが、とても立っていられなかったサーナイトは悪いとは思いつつもそこで腰を降ろした。
100㎞以上はある巨神がその爆尻を地面に降ろした衝撃は凄まじく、彼を中心に大きな断層が起き、周囲約200㎞が地割れで滅茶苦茶になった。
当然生き返らせたばかりの約5000万人の人間達も何が起きたかも分からないまま再び命を散らしてしまう。この後また生き返らせる予定とは言え、殺されて生き返らされてまた殺されるというのはあまりに惨いことだ。
残念ながら、巨尻メテオの死者の3割は復活不可能なほどに肉体を損傷しただろうし、その雄大な巨尻に直接スクラップにされた憐れな人々も当然挽肉になっている。
命を甦らせる為に遣わされた神の筈だが、このように彼自身が命を奪ってしまうことも往々にしてあるのだ。
この凄惨な尻もちもそうだが、4つの廃墟を回る為に星を歩き回ることになるので、その道中で踏み殺してしまう命も決して少なくはない。
実際今回の蘇生廻りで彼に踏みつぶされた町や村は100を数え、死者数で言えば3000万人を超える。彼らはバカンスによって奪われた2億人の命とは全くの無関係の人々だが、その蘇生の為のコストとして問答無用で犠牲になったことになる。
(お尻を降ろしただけなのに滅茶苦茶生命反応が減ったな…まったくなんて脆い命なんだ)
所作一つ一つで一々大量死が起きることにサーナイトは少々イラついたが、しかし、だからと言ってそのまま殺したままにしておくのは職務怠慢になる。
彼は疲労困憊しながらも、座ったまま再度元気オールを使用した。彼のケツでミンチになった者や地割れや衝撃派で粉々になった者は復活できなかったが、しかし、今しがた彼自身が殺害した5000万人のうち3000万弱は息を吹き返した。
人間達からしても本当にいい迷惑である。いきなり惑星外からバカンスに来た超巨大生物に滅茶苦茶に蹂躙されたかと思いきや、元気オールで甦らされ、自分の身に何が起きたかもわからず混乱する最中、再度の尻もち大虐殺。しかしそれもたった数秒で再度甦らされる。
短い間に生と死を何度も繰り替えし、ただ恐怖と痛みの記憶だけが蓄積されていく。命の冒涜とはまさにこういうことを言うのだろうか。
そんな冒涜者の彼はというと、流石に体力の限界のようで、そのまま気絶したかのように町のど真ん中で眠りについてしまった。
—それから丸一日は経過したことだろうか。漸くサーナイトは目を覚ました。
彼としては少し仮眠を取っただけのつもりだったが、やはり相当身体を消耗していたようだ。
しばらくそのままボーっとしていたが、しかし、何やら異様な雰囲気に包まれていることに気付き我に返る。
周囲を見渡すと、辺りには再三の大蹂躙によって廃墟と化した町が広がっていた。しかし、町のその損傷具合にそぐわない程の途轍もない数の生命反応を感じる!
ふと足元を見下ろすとそこには地面を埋め尽くすほどの人間達。実際にはサーナイトの目では彼らを肉眼で視認すること自体は不可能なのだが、まるで菌床のように何十万、何百万の人間の塊として、確かにそこに沢山の命があることだけは認識できる。
(キモッ!・・・なんだこいつら・・・)
サーナイトからしたら虫けらが蠢いているような気持ちの悪い光景である。地面をびっしり埋め尽くす人間達もそうだが、良く見ると羽虫の群れようにヘリコプターや飛行機の類が自分の身体の周りを飛び交っていることにも気付いて彼はゾッとした。
元気オールによって生き返らせた命が数十万程度足元を蠢いているくらいならまだ分かるのだが、そんなレベルではない。この地域にいた住人達が皆彼の足元に集合しているのではないかという程の物凄い数である。
実際数で言うと彼のスカートの中には2000万人弱の人間達が集まっていた。
“女神信仰”
サーナイトがこの星で命の管理を始めてからそこそこの年月が経つ。その間、彼は何度もこの星の住人に目撃されていた。
そして、彼が神の奇跡によって今まで何億、何十億という命を救ってきたのも周知の事実だった。
それは彼自身も別に隠していなかったし、そもそも彼らにとってあまりに巨大なこの身体を隠すこともできない。
悪魔に侵略される度に、毎回女神のように美しい姿を持つ彼が助けにきてくれる。その慈悲深い行いに人々は心を打たれ、やがて女神信仰として根付いていった。
彼の足元に集まっている者達は皆“女神様”を崇拝する敬虔な信徒たちだったのだ。
そう、“女神様”。人々は彼がオスだと気付いていない。
彼のオスのシンボルは丈長のスカートで完全に覆い隠されていたし、容姿も色白の美しい淑女のような見た目をしていたからだ。
サーナイトも時折惑星調査の為に星の住人のSNSに潜り込んでいたので、女神信仰があることは知っていた。
そしてメスと勘違いされていること自体は彼にとっても都合が良かった。というのも、彼はスペモン達の輪の中でもメスと偽って生活していたからだ。
偽るくらいなら、そもそもなぜオスなのにエルレイドではなくサーナイトに進化したのか、と誰もが思うだろうが、これにはある深いワケがあった。
—まだ彼がキルリアだった頃の話。
彼にはあるコンプレックスがあった。それはラルトス系統の種族に似つかわしくない大振りの男根をぶらさげていることだった。
ラルトス時代はともかく既にキルリアの時点でだいぶ女性的な身体をしているので、そもそもちんちんをぶら下げていること自体が好奇の目で見られるくらいなのだが、よりにもよって彼のちんこは棍棒のように太く長かった。
大抵のキルリアは凛々しさの象徴であるエルレイドに進化し、堂々とちんこを晒すのが通例であり、彼もいち早く男性的な身体を手に入れて、爆根エルレイドとして存分に肉棒を振るおうとしていた。
しかし、彼は巨根コンプレックスに悩むあまりだいぶ焦っていたこともあり、大人にも相談せずにリサイクルショップに売っていためざめいしのレプリカを本物と勘違いして進化に挑んでしまう。
当然、レプリカなど石ころ同然。めざめいしの効果を得られなかった彼はサーナイトに進化してしまった。
世にも珍しい爆根サーナイトの誕生である。
メスはサーナイト、オスはエルレイドに進化するのが一般常識の中、そもそもメスはエルレイドに進化することはできないし、オスも例えば性自認がメスの場合を除き99%以上がエルレイドに進化する。
サーナイトが爆根をぶら下げているだけでも悪い意味で注目の的になりそうなのに加え、めざめいしのレプリカを掴まされただなんてあまりにも恥ずかしすぎて誰にも言えなかった。
結局彼は人前に姿を晒せなくなり、数年間引きこもった挙句、メスとして生きていく選択をした。幸いなことに彼の声は中性的だったし、身体付きも多少筋肉質なところはあったが十分女性として通用した。目鼻立ちも女性顔負けの美しい容姿をしていたし、一番の懸念点である爆根もサーナイト特有の長いスカートで完全に多い隠すことができた。
色々あって内向的にはなってしまったが、その分、沢山物事を考え、他者の感情や考え方に敏感な彼は“癒しの波導”の才覚にも恵まれ、またメスのサーナイトより体力があったことから、“元気オール”を連発することもできた。
その長所が評価され、秩序神族の一員として認められ、ここカビゴーンに派遣されるようになったのがもう数年前のことだ。
しかし、ここにきて彼の最大の受難が訪れた。
(やべ・・・勃ってる・・・)
朝勃ち。
あろうことか彼は2000万人の信徒の目の前でパンパンにフル勃起してしまったのだ。
他人にちんこを見られたのは十数年振りだろうか。彼は恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になるほど頬を紅潮させたが、それと同時に事の重大さに気付き冷や汗をかいていた。
彼からしたら微生物のような人間達に何を見られようが関係ないようにも思えるし、女神様に実はオスのシンボルが生えていたということが世界中に周知されても、それはそれで超常の奇跡として畏敬の念を以て信仰されることには変わらない。
しかし、それはあくまで惑星内での話。
スペモン達の間でもカビゴーンに秩序神が常駐していることは知られており、“カビゴーンの女神”の通り名でも親しまれていた。
そう、彼が一番恐れているのは人間づてに他のスペモンに身の神秘が暴かれることだった。
そして、それはサーナイト自身が日頃カビゴーンの住人のSNSにアクセスしているように確実に起こり得る。
“バカンス”にくるスペモン達もしばしば自身が蹂躙した町の様子や被害者達の嘆きをSNSで見て楽しんだりする。それこそ他人の蹂躙写真をオカズにする為に、人間達の撮影した写真や動画を集めるコレクターも存在するくらいだ。
一度でも拡散すれば、一巻の終わり。すぐにでも彼の爆根は惑星中を駆け巡り、宇宙まで波及する。
口封じのチャンスは今だけ。2000万人も人間がいれば既に相当数彼の爆根はカメラに収められているだろうが、幸いにも再三の大破壊でこの地域の電波は止まっており、今であればまだSNS上に流出する可能性は限りなく低い。
「おぉ・・・なんという雄々しきイチモツ・・・これが生命の神の象徴だと言うのか・・・」
「女神様・・・いや男神様・・・我らを御救いいただきありがとうございます!」
「おい!撮影してるやつ!神の御前で・・・不敬だぞ!」
「凄い匂い・・・雄臭い・・・」
「ママー、この雲よりおっきいヒトが女神様なの・・?」
「ありがたや・・・ありがたや・・・」
人々が何を言っているのかはサーナイトにはわからない。2000万人の声が集まって漸く小さな高周波音となって耳に届くくらいである。
そして、疑心暗鬼になっている彼はその声すべてが自分のちんこを嘲笑っているもののように感じてしまっていた。
(可哀想だが・・・仕方ない。)
今ここで箝口令を敷こうとしても言葉が伝わるどころか、圧倒的音圧で人間達の鼓膜を破くだけだ。このスケール差では口封じの手段はたった一つしかない。
—則ち皆殺しだ。
それも目撃者全員をバラバラの肉塊にする徹底的な惨殺が求められる。何か間違いがあって元気オールで生き返らされてしまう可能性も完全に絶っておく必要があるのだ。
サーナイトはそのままゆっくりと立ち上がった。そして徐に片足を上げ、“命の塊”に狙いを定めた。
足裏からパラパラと瓦礫が落ちる・・・
彼の巨大な足裏はその2000万人の集合体を丸々納めてしまうほどに大きかった。
(…すまない。)
殺意を以て一段と力の入った踏みつけ。飛行機やヘリコプターなどのちんこに無数に集っていた羽虫の群れを巻き込みながら地を衝き、地盤が砕ける程のその人知を超えた一撃は大陸全土を揺るがし、大陸に住む6億人の住人のうち1割を殺傷するほどの途轍もない大地震を引き起こした。
2000万の命は一瞬で彼の圧倒的な足裏を前にバラバラになり地盤とぐちゃぐちゃに混ざり合い、仄かに赤みを帯びる土塊となって彼の足の皴にこべり付いた。
しかしこれだけ沢山の命を消費しても彼の純白の足裏を少し汚すことくらいしかできないのだから本当にちっぽけなものである。
とはいえ2000万人を完膚なきまでに粉々にする為だけに、無駄に周囲の6000万人が犠牲になったことを考えると、なんとも横暴な話である。しかも、その2000万人というのも彼を崇拝する敬虔な信徒なのだから猶更酷い話だ。
彼らからしたらなぜ慈愛の女神がこんな凶行に踏み切ったのか、殺されるその瞬間まで何も意味も分からず命を散らしたことだろう。
この凄惨な口封じがまさか彼の他愛もない私情によって実行されたのだと知った時、いったいどんな気持ちになるのだろうか。
サーナイトも別に罪悪感を感じていないわけではなかった。どうしても実感は湧かないが、でも微生物のような彼ら一人一人が自分と同じように思考し、喜怒哀楽を持ち、家族や友人を持っている。
そんな尊い命を一人二人どころか当たり前のように数千万単位で殺している。頭ではその恐ろしさは分かるのだが、しかし、やっぱり目に見えない程小さいというだけで罪悪感はだいぶ軽減されてしまう。
秩序神としてできる限り命を大切に扱いたいという気持ちはありつつも、しかし「身の神秘」と「2000万人の命」を秤にかけると、当然のように前者に傾く。
それは結局のところ自身の体裁より2000万の尊い命のほうが軽いと認識している証左でもある。どれだけ取り繕っても結局のところ無意識に自分が圧倒的な存在であり、人間達などゴミ以下の存在と認識しているのだろう。
ただ今回の一見に関してはあまりにも酷いことをしたと反省もしていた。
それこそ今虐殺した2000万人のほとんどが合計三回も死んでいるのだ。“バカンス”などというふざけた名目でたかが性欲の為に搾取され、奇跡的に神の手によって生き返ったと思えば、その神のうっかり尻もちでまた殺され…ただそれも悪い夢だったかのようにすぐに生き返らされ、目の前に顕現した偉大なる神へ感謝する為に祈りを捧げていたら、急にその神が豹変し、滅茶苦茶に踏み殺される。
もはや生命の冒涜以外のなにものでもない。
弱肉強食とはいえあまりに酷い仕打ちである。
結局、当初の目的だった2億人の復活のうち、甦らせることができたのは1億3000万人だったが、その道中でサーナイトが踏み殺して肉片に変えた命が3000万人、尻もちで消滅させた命が2000万人、そして口封じの為にミンチにした2000万人とそのおまけの死者6000万人と全部合わせると二次災害の被害者も合計1億3000万人で命の数はトントンだ。
むしろ殺戮数で言えば、先の虐殺目的でバカンスにきた4人の誰よりも多く殺している。
彼の殺傷した人間達は別に彼に戦争を挑んだ兵士というわけでもなく、完全に無実の人達だ。老若男女関係なく幼い子供や赤子だって含まれる。しかもうち半数は彼のたかが巨根コンプレックスの為だけに犠牲になっている。
彼のチンコがデカいというただそれだけのせいで、そして彼がたまたま朝勃ちしてしまったが為に余計に沢山の人が死んだのだ。
(う・・・駄目だ我慢できない・・・)
しかし、悲劇はこれだけでは済まなかった。
そもそもの根本原因。
“なぜ彼は朝勃ちしたのか”
その理由が今明らかになる。
サーナイトは再びふらふらと歩き始めた。
本来だったらこれだけの大虐殺を繰り広げたら良心の呵責に苛まれ罪悪感で勃起どころではない。しかし、彼のちんぽは萎えるどころか、血管が大きく浮き出て海綿体に尿道が押し出され、くっきりと裏筋が迫り出すほどにパンパンに張っていた。
ビクンビクンと脈動する度にその鈴口からは濃厚な我慢汁が垂れ、変わり果てた不毛の大地を潤わせるかの如く点々とカウパ―湖を形成していく。
彼にとって罪悪感というのは性の勢いを堰き止める特効薬にはならないようだった。いやむしろ得も言わぬ背徳感こそが彼のオカズになっているとさえ言える。
そう、結局は彼もバカンスに来ていた他の神と同じように猟奇的に命を搾取する愉悦を知る側の存在だったのだ。
というのも命を管理するという仕事と彼の特性“シンクロ”が良い意味でも悪い意味でも噛み合いすぎているのだ。
彼は万単位の命から発せられる恐怖、畏怖、崇拝という心の動きを敏感に察することができる。彼が何か一つ行動を起こすたびに世界全体に凄まじい影響を及ぼす気持ち良さはまさに支配者の特権だろう。
それこそ戯れに足を一歩前に出し町を踏みつぶすだけで、例え目では見えなくても、文明や命、何もかもが台無しになった事実をまるで手に取る様にシンクロで感じ取ることができる。その破壊の爽快感は他のスペモンのそれとは比にならない。
人間も毎日数えきれないほどのダニを殺しているように、彼も仕事の上でどうしても万単位の人間の命を奪ってしまう。もしダニが知的生命体だった場合は人間はどう行動するのだろうか。そしてサーナイトのようにシンクロ特性を持ちダニの心を感じ取ることができたとしたら人間は何を思うのだろうか。
それはそうなってみないと決して分からないことだろうが、少なくとも彼は殺戮性癖という異常な性的倒錯を患った。
大量の尊い命を簡単に生殺与奪できてしまう超越存在である自分。惑星中の生命を搔き集めても自分の愛棒の質量にすら及ばないというふざけたスケールギャップ。たくさんの命を救ってやっている、生かしてやっているという優越感。そして実際は彼自身もかなりの人間を虐殺しているにも関わらず、あまりにもスケールが大きすぎて人間達はそれを認知できず、逆に“女神信仰”などという宗教で担ぎ上げられ感謝される始末。その圧倒的支配感と弱小種族達のあまりのいじらしさに一層自己肯定感が高まる。
彼にとって命の管理というのは背徳感を覚えるのと同時にすべての煩悩が吹き飛ぶほどに気持ちの良いことでもあり、それがこのフル勃起に繋がっているのだ。
勿論、所構わず勃起していたら、目撃者を常に皆殺しにしないと身の神秘が暴かれるので、“仕事モード”の時は自律し、平常を装っているのだが、あくまで彼の優れた“おちんちんアンガーマネジメント”によって我慢しているだけで、少しでも気が緩めば、先ほどの朝勃ちのように陰茎に血流が流れ出してしまう。
そして、流石の彼も一度ここまでバキバキに勃起してしまったら、そう簡単には収まらない。しかも可愛い可愛い信徒達を私情で惨殺するというあまりに甘美でシコリティ―の高い猟奇的殺人を行ったばかりだ。彼のちんちんはもはや完全に壊れていた。
瞳孔の開いた狂気の表情で、ただ生命数の集中する場所を探して徘徊する殺戮マシーンと化したサーナイト。その足は海を渡り、別の大陸を目指していた。
先ほどの踏みつけで半壊した“中古”の大陸では、神のオナニーには見合わないと無意識で判断しているのであろう。より新鮮で手付かずの町を贅沢に消費する。それだけの価値が自分のチンコにはある。そんなに自分は安くないぞ、という圧倒的自信を示しているのだ。
歩幅だけでも10㎞を超えるような彼の前では大陸間移動など一瞬だ。先ほどの踏みつけによって発生した巨大津波が他の大陸に到達するより、むしろ彼のほうが先に上陸してしまったほどだ。
彼の目の前には人口200万人程度の湾岸都市が広がっていたが、上陸に伴う異次元の高波がすべてを粉々に破壊し尽くしてしまう。
200万人程度の命ではもはや彼は目にも止めないようだ。
彼は一直線にこの大陸の最大都市に向かっていた。
ブオンブオンと左右にペニスを揺らし、雲を薙ぎ払いながら、そして、足元にある無数の町を次々と踏みつぶし、歩行に伴う大地震と風圧で周囲を滅茶苦茶に蹂躙しながら、ただ「抜きたい」という性的欲求の為だけに被害を広げていく。
大都市に着いた頃には死者は3000万人を数えた。ただ大陸間を移動しただけでこの被害である。
目の前には地面を埋め尽くすほどの高層ビルと1000万の命。その3倍の命を犠牲に漸く命の塊をフル勃起ペニスの前に献上する事ができたわけだ。
(まるで野獣だな・・・何も我慢できない・・・)
彼は誰も自分を止められる者がいないことの恐ろしさを実感していた。この利かん棒を慰める為なら、この星の全住人を皆殺しにしても良いと本気で思えてしまう。
バキバキにフル勃起し、尿道がくっきりと迫り出した爆根を1000万の命の前に晒しながら、改めて自身の存在の大きさに酔いしれる。
大粒の我慢汁がボタボタと町に垂れ、既に町は阿鼻叫喚の地獄と化していた。
サーナイトの男根から発せられる爆音の鼓動がビル群の窓ガラスを粉々に割り、古い家屋の中には倒壊するものもあった。
人間達の絶望を“シンクロ”でしっかり感じ取り、たかがチンコを晒しただけで彼らの心が折れていく様を垣間見ると満足感が半端ではない。
自分たちの守護神であると信じ敬い、日々神に祈りを捧げてきたであろう彼らの前には、凄まじい殺意を発する“女神様の雄のシンボル”が鎮座している。そのあまりの雄臭さにある者は嘔吐し、ある者は失神した。なんなら、このまま目の前にチンコを晒しているだけでも、1000万人全員が死亡するのではないか、というほどの影響力が彼の爆根にはあった。
しかし、そんな勿体ないことはしない。しっかりとすべての命を男根で直接刈り取る。そうでなければこの愛棒は満足してくれない。
サーナイトは徐に地面に手を付くとそのまま尻を突き出すように四つん這いになった。そして、丁度町の中心部に亀頭がくるように位置を調整する。
「め、女神様は・・・いったい何を・・・?」
「し、死にたくない・・・女神様・・・どうかご慈悲を・・・」
「き、亀頭が・・・女神さまの亀頭が町に迫ってくる!!」
「我らはいったいどんな罪を・・・これは何の裁きですか・・・?」
男根をぶら下げる女神の問答無用の粛正を前に人々は何も理解できず戸惑っていた。
(すまない・・・可哀想だが神根の供物となってくれ!)
ズボボボボボボボ!!!
そんな憐れな子羊たちに容赦なく振り下ろされた鉄槌。あろうことか彼は大都市のど真ん中にペニスを突き刺した。
町の一角がカチカチの亀頭に一瞬でスクラップにされ地下深くまでめり込む。地盤と亀頭に磨り潰され一瞬で血肉ローションになった命は100万を超えたことであろう。
突如町のど真ん中に出来上がった深さ数十㎞の縦穴。どうやら彼はこの大穴を疑似ヴァギナに見立て町とSEXするようだ。所謂“町姦”である。
続けてサーナイトは片手で体勢を維持しながら、もう片方の手で、突き立てた性剣の周囲に広がる町を器用に “土寄せ”していった。
地盤ごと抉り取られるようにペニスの方へと引き寄せられ、ドミノ倒しのようにぐちゃぐちゃになったコンクリートジャングル。
こんもりと折り重なったビル群の山の中にはまだ数えきれないほどの人間達が辛うじてその命の灯火を燃やしている。
しかし、そんな彼らの命は彼の容赦のない腰降りによってすべて消滅する運命にあった!
この惑星のどんな山よりも質量のある彼が力いっぱい腰を振る衝撃は、この世界のどんな自然災害も比較にならないほどの威力があった。
腰が振り下ろされる度に直径7,8㎞はあろうかという彼の睾丸が地面に叩きつけられ、大陸全土を巻き込む大地震が発生する。
腰を上げる度に周囲に配置したビルの山が雪崩のように大穴のほうへ吸い込まれていき、供給されたビルや人々は瞬く間にサーナイトの爆根と膣壁に見立てた地盤との間でバラバラになり、粒々触感付きの血肉ローションへと変わっていく。
そう、先ほどの“土寄せ”は自動で血肉ローションが穴に供給されるこのギミックの為のものだったのだ。
とはいえ数十㎞はある巨根の前では1000万人の命などちょっとしたおやつのようなもので、ピストンを開始してから1分もしないうちにペニスの周囲にあったビルの山はすべて大穴に吸い込まれてしまい、大都市一つが丸々ただのSEXの滑りを良くする為だけのローションとなった。その様はまさに“命のブラックホール”とでも謂えようか。
度重なる睾丸メテオラッシュ。大陸全土を震わせるほどの大地震が何十回と発生し、もはやどれだけの数の町が壊滅したか分からない程だ。
ただ、サーナイトにとってそれは別に悪いことばかりではない。大都市まで移動してくる道中、かなりの数の人間に雄のシンボルを見られており、その大半は移動に伴う衝撃で死亡していると考えられるが、しかし多少は生き残りがいることも考えて“後始末”する必要があった。
しかし、この大陸規模の連続した大地震の前では、その生き残り達も流石に全滅したことだろう。
犠牲者はとんでもないことになっているが、思う存分腰を振ってついでに口封じもできるなら一石二鳥というものだ。
(最近我慢し過ぎていた・・・腰が止まらない・・・!)
核爆発並のエネルギーを孕む睾丸メテオを何度も何度も惑星に打ち付け、気付けば周囲の山は崩れて平らになり、彼を中心に幾重の波紋のように周囲に波及する大津波が世界中の湾岸都市を壊滅させようとしていた。
サーナイトは血塗られた縦穴で扱く快感に打ち震えながらも、しかし、シンクロで周囲の状況を把握することは怠らない。
(・・・死者3億人・・・3億!?)
シンクロを応用して生命感知をした結果示された被害者の数。そのあまりの多さに彼は衝撃を受けた。そして同時に自身のあまりの上位存在振りに脳汁がドバドバ湧出し、体中が幸せホルモンに満たされる。
「これが超巨根の“女神様”のオナニーだぞッ!!人間共・・・!我が性欲の贄となれること・・・光栄に思うが良い!!」
柄にもなく大声をあげるサーナイト。そして、それは絶頂の合図でもあった。
一切の遠慮のない本気の射精。凄まじい精子生産工場を持つ彼がこの数日間で溜め込んだ精液量はこの大陸に存在する池や川、湖すべての質量を合計した数値すら軽く上回る。
星に中出しされたザーメンは大陸中に蟻の巣のように張り巡らされていた地下水脈を瞬く間に白濁液に変えた。押し出された地下水は間欠泉のように大陸各地で吹き出したが、それも見る見るうちに白濁し、やがて精液の噴水となった。
池も川も湖も徐々に濁りはじめ、底が見えないくらい透明度が失われた頃には魚の死体が続々と浮かび上がる。
恐ろしいことにサーナイトはたった一回の射精で大陸全土のすべての水を精液で汚染してしまったのである。これではもはや“元気オール”でこの大陸の人間を生き返らせたとしても、もう人が住めるような土地ではない。
しかし、それについても彼はそこまで気にしていなかった。
というのもド派手にちんこを晒し、人間達をオカズに使ってしまった以上、身の神秘を守る為にも、もうこの大陸の住人を生き返らせることなどできないからだ。
(この大陸の住人には本当に悪いことをしてしまった…。こうならない為にも仕事の前にしっかり抜いておかないとな。)
性欲が抑えられず途轍もない犠牲者を生み、大陸丸々一つを死の大地に変えてしまったこと自体は彼も反省していた。仕事前に軽くオナニーしてスッキリしておけば、ティッシュ数枚の消費で済んだものを、3億人もの命で代替してしまったのだから当然である。
結局彼はこの日、命を救う目的でこの星を訪れたにもかかわらず、その目的とは裏腹に合計死者5億人という途轍もない大量虐殺をしただけで終わった。
その死者のほとんどが偶々彼が最近抜いていなかったという個人的な性事情や、男根が生えていることを知られたくないという個人の都合によって生み出されたのだから、不憫な話である。
彼はその後もこの惑星カビゴーンにて命の管理業務を遂行し続けたが、流石は腐っても秩序神。真面目な彼はしっかりと今日の反省を活かし、改善を重ね、惑星の住人を絶滅させることなく100年の任期を完遂させた。
勿論、時には今日以上の大失敗を犯し、一瞬で惑星の住人の半数を死に至らしめたこともあったし、今日と同じようにムラムラが抑えられなくなり億単位の命をティッシュ代わりに殺戮したこともあったが、それでもちゃんと仕事を全うすることができたのである。
100年間で“バカンス”によって死亡した総被害者数は約4兆人。サーナイトの元気オールで生き返らされた命は死者の75%にあたる3兆人だ。しかし、サーナイト自身がその3兆人を復活させる過程で1兆人殺戮しているので、全体で見れば5兆の死者に対し、生き返りは6割となる。
年間500億人が死んで、300億人が生き返らされるという壮大かつ大味な命の管理。単純計算でいえば死亡者数のほうが多いので本来であれば数十年で絶滅してもおかしくない数字だ。
報告書によれば、サーナイトが任期を終えた時点での惑星カビゴーンの住人の数は8500億人となっていた。減るどころか、むしろ若干増えている。
いったい何が起こったというのか。
—その答えこそ、“女神信仰”にあった。
彼が傍若無人に口封じしてまで守り抜いた女神像。結果、星の住人達にとって彼は優しい女神様であり続けた。本当は彼自身も1兆人もの命を虐殺した悪魔なのだが、徹底的な口封じが功を奏し、人間達の歴史では「3兆人を蘇生した慈悲深い神様」という実績のみが残った。
長い生殺与奪の中で、やがて星の住人のほぼすべてが一度は死を経験し、そして女神様によって生き返らされた者達ばかりになった。彼らは“女神信仰”ありきの死生観を持つようになり、女神様に感謝し、祈りを捧げれば、例え恐ろしい死が待っていても、必ず女神様がお救い下さると信じ、希望に満ち溢れて人生を歩むようになっていた。
また、日々神々の愛液に汚染されていく大地も、数年すればその膨大なエネルギーが根付き、独自の生態系を形成していく。それこそサーナイトが丸ごと犯したあの大陸も数年間は雄臭い死の大地として生命の住めない土地になっていたが、遺伝子汚染は著しいものの神の遺伝子を持つ植物や生命体が繁殖する肥沃な大陸に変わっていった。
本来、星の資源は有限なのだが、宇宙外から常に膨大なエネルギーが持ち込まれるので、星の資源は逆に年々潤っていたのだ。
“女神信仰”によって人々が希望を持ち、大量の愛液が星の未来を約束している。幸福感に満ち溢れ、将来に憂いのない彼らの出生率は毎年過去最高を記録し続け、年間200億人の命のギャップを埋めた。
サーナイトの行いはその中身を見れば決して正しいものではないが、でも結果的に命の天秤は保たれた。
この成果は神々の中でも大いに評価され、“慈悲深い女神様”の定評を固いものにした。
その実績のもと、彼は今日も宇宙のどこかで、その1兆人の血で汚れた足裏とペニスを存分に揮っていることだろう。
おわり
Shaykey
2024-06-17 03:10:14 +0000 UTC