惑星カビゴーン。
太陽系、天の川銀河から遠く離れた別の銀河系に属する有生物惑星である。
四季がなく年中温暖で過ごしやすい自然豊かなこの星では、数多くの生物が息衝いていた。
しかし、その快適な環境故に近年、他銀河系から“バカンス”にくる銀河外生物の存在に悩まされていた。
彼らは惑星カビゴーンのある銀河を含む24の銀河を統べる上位種族であり、広い宇宙の中でも特に大きな権力を持つ宇宙生物だった。
種族名称はスペースモンスター。縮めてスペモン。
ポケットどころか、惑星にすら収まらないことからそう呼ばれる彼らは、その圧倒的な力で宇宙全土を支配していた。
カビゴーンには人間や亜人を含む多種多様な生物が生息しているが、それらすべての戦力を結集しても、スペモン一体の足元にも及ばない。それもあってスペモン側もカビゴーンに住む生物など眼中にないし、バカンスといっても、ただ温暖な気候で過ごしやすいから、睡眠浴を楽しむ為にきているだけに過ぎない。
ただ寝に来ているだけなら別に放っておけばいいじゃないか、と思うかもしれないが、どうしても放っておけない理由があった。
それは、彼らがこの惑星のスケールでは許容できないくらい巨大な生物であり、彼らが訪問し寝るだけで万単位、下手したら億単位の知的生命体が消滅する可能性があるからだ。
スペモンからしたら眼中にないどころか、そもそも物理的に視認できないくらいカビゴーンの住人達は小さく、大都市一つ形成して漸く認識してもらえるかどうかである。
そういうこともあり、星の住人達は常にスペモンの襲来を恐れていたが、だからといって何か対抗策があるわけでもなく、せめて訪問者の身体的特徴、性格を調査し、分析し、次襲来された時に備えて、防災に注力するしかなかった。
スペモンは一体一体の個体差が大きく異なる為、銀河外生物対策本部では、以下のように個体ごとのプロフィールシートを作成している。
まずスペモンは大まかに以下の3種類のタイプで分けることができる。
蹂躙タイプ:蹂躙に特化した極めて凶悪な個体
贖罪タイプ:蹂躙する代わりに人類に何かしらの恩恵をもたらす個体
特殊タイプ:蹂躙タイプや贖罪タイプにはない特色を持つ個体
また、スペモンにはその脅威の度合いによってレベルを設けており、襲来一回あたりの死者数や経済損失をSP(Star destruction Points)として、惑星全体への影響度の目安としている。
個体によって蹂躙能力は様々で、まず「破壊単位」はスペモンの一回の蹂躙で破壊される町の規模をアイコンで示している。1000万人級大都市クラスから~1000人程度の村クラスのいずれかが設定されている。
「贖罪」は襲来時にスペモンが残していく“何か”の種類を示す。主に精液、愛液、尿、便などだが、いずれも人類にとって大きな資源になるものである。
「行為頻度」は蹂躙もしくは贖罪の発生頻度である。例えば行為頻度20分で破壊単位が100万人級都市なら1時間でだいたい300万人の死者が出る、もしくは20分ごとに一定確率で贖罪が発生する。
「総死者」はこの個体が今までに虐殺してきた人類の総数を示している。
似た外見をしていても固有能力や個体差は大きく異なる為、それぞれメインスキル、サブスキルという項目を設けて端的に個体の特徴を表示している。
例えばメインスキルの例を挙げると、「ハイドロミルクカノンXL♂:レベル10」はおちんぽミルク100億トンの贖罪と4000万人の死者を出す、といった感じだ。
メインスキルには他にも、愛液大瀑布XL、メテオッパイXL、おっぱいドーザーXL、ペニッシャーXL、睾丸メテオXL、アンバースXL、コックボアXL、愛液ゲットXLなどがある。
また、サブスキルは個体ごとの個性をより細かく示しており、スキル確率アップXL、贖罪確率アップXL、被害者の数XL、蹂躙ボーナス、蹂躙スピードXLなどがある。
更に細かいデータや襲来履歴は詳細ステータスに記載されている。
性格:(※一例)慈悲深い(贖罪確率↑、被害者数↓)、無慈悲(被害者数↑、贖罪確率↓)
初襲来日:初めて惑星に襲来した日付
初襲来場所:初襲来時降臨した場所
襲来回数:今までに襲来した数の合計
以上のように惑星カビゴーンには日々、眩暈のするような人知を超えたスケールの巨大生物が襲来し、好き勝手町を蹂躙し、愛液をぶちまけ去っていく。
例えば、プロフィールシートの例として挙げた“シャワーズ”はスペモンの中でも10本指に入る程のかなり凶暴な個体であり、明らかに人口密度の高い都市ばかりを狙って、大量虐殺を繰り広げており、今までの彼の襲来による総死者は10億人を超える。
鰭のような部位を持ちつつも肉食の哺乳類のような顔立ちをしており、しかし骨格だけでいえば人間にも似ている。“半魚獣人”とも言うべき彼の全長は実に50㎞を超える。
その太く逞しい巨大な尻尾が一度町を薙げば、それだけで広大な更地と何十万、何百万という死体が積み上がるだろう。
性のシンボルも人間のものと酷似しており、ゆうに数kmはあろうかという巨大な陰茎に、平野一つを丸ごと呑み込んでしまうほどの巨大なケツとその股間に堂々と座すクソデカゴールデンボール。その凶悪な利かん棒のご機嫌次第では、いとも簡単に億単位の尊い命が失われる。
メインスキルはその鈴口から湖一つ分に匹敵するおちんぽミルクをぶちまける“ハイドロミルクカノン”だ。
このスキルがたった一発発動するだけで約4000万人が濃厚な白濁液に呑み込まれ死亡する。
そして、その圧倒的な水圧で繰り出される高圧精液銃が町を穿ち滅茶苦茶に蹂躙する様を見ながら、彼はニヤリと悪い笑みを浮かべる。
結局のところ彼にとっては我々の命など猟奇的な性欲求を満たすだけの玩具でしかない。
しかし、彼の精液は極めて栄養価が高く、全世界の貧困問題をむこう10年分は解消できる程の生産量がある為、4000万の命に十分に見合う“贖罪”があるとして、贖罪タイプに分類されていたりする。
これだけ好き勝手虐殺する彼に“贖罪”なんて似合わない言葉かもしれないが、正直彼以外にも、もっと手が付けられないような蹂躙タイプ個体や、一撃で億単位の死傷者を出す特殊タイプもいる。それらと比較すると例え1000万単位の犠牲があろうとも代わりに大量の資源を残していく彼はまだマシなほうなのである。
このように我が惑星は日々、異次元の激甚災害の脅威に怯えている。
カビゴーンは有生物惑星の中でも特に大きな惑星で、人間、亜人合わせて7000億人が暮らしており、生物量は極めて多いのだが、しかし、近年のスペモンのバカンスによる死者は年間500億を超えてきており、このままでは絶滅する危険も高くなってきた。
今後は標的にされ易い人口密集地の地方への分散、彼らの“贖罪”によって得られる肥沃な資源をいかに有効活用していくかが、種存続の鍵となるだろう。
おわり