“パンケーキの不味い店がある町は消滅する”
その都市伝説が一般に認知されるようになってから10年の月日が経った。世界中の菓子職人たちが世界一のパンケーキの味を目指し鎬を削ってきたが、しかしこの頃から“ある異変”が起き始めていた。
“処分”、“処分”、“処分”・・・
ある一人の女性の『パンケーキ日記』に連続する“処分”の文字。
処分とは則ち町を消滅させるということ。
そう、この日記の持ち主こそ、多種族が共生するこの惑星“ライラック”を統べる女神ライラその人である。
女神ライラは神のお仕事として、人間を間引いて人口を調整し、星を保全する役割を担っている。彼女はパンケーキが大好物ということもあって、“間引き”を実施する場所をパンケーキの味で選んでいた。
何年、何十年という月日の中、彼女は世界中のパンケーキ屋さんを巡り、そして多くの町と多くの人々を消してきた。
それがやがて例の都市伝説を生み、パンケーキの発展を促したのだ。
この流れは彼女にとっては理想的な好循環となるはずだったが、しかし、ここ最近になって彼女のパンケーキ日記の都市存続判定欄は大半が“処分”となっていた。
これは決して彼女が“女の子の日”でイライラして、ストレス解消の為に町を消滅しさせているのではない。それこそ“ある異変”が原因だった。
その異変とは、世界中の人々がパンケーキに飽きてしまったことにより、急速にパンケーキの味が落ちたこと。
それもその筈、都市伝説から始まった空前のパンケーキブームは今年で10年を数え、人々はその間毎日パンケーキを食べ続けてきた。
菓子職人たちがいくら創意工夫を図ったとしてもパンケーキはパンケーキだ。余程のパンケーキマニアでもない限りは流石に飽きてしまうのだろう。
都市伝説に対して人々は半信半疑ではあったとはいえ、都市の消滅という超常現象は未だ解明されておらず、少しでも可能性があるのなら…という淡い希望がここまでパンケーキブームを支えてきたが、しかし近年はパンケーキの食べ過ぎによる肥満問題なども社会現状になっている。
売り上げの低迷に伴い、次々とパンケーキ屋は倒産。残った店も惰性でパンケーキを作っている始末で、著しく味が落ちていた。
ライラは大好きなパンケーキを侮辱されているような気分になったことや、実際に味が落ちていることもあって“処分”を連発しているのだった。
最近はあまりに過剰な間引きで、必要以上に命を奪ってしまっていることには気付いていたが、同時に人間達に『パンケーキの侮辱は許さない』と暗に伝えたい気持ちもあって過度な蹂躙を繰り返している。
「はぁ~・・・本当にどこも駄目ね。これはもう星から作り直さないとダメかしら・・・」
大きく溜息をつくライラ。今日も今日とてパンケーキ巡りをしていた彼女だったが、やはり今日巡った店もただの一つとして彼女の舌を満足させるものはなかった。
仕方なく町を消滅させようと服を脱ごうとしたが、ふと、すぐ隣に座っていた一人の青年が目に入った。
ライラと同じように大きく溜息をつきながら、何かノートのようなものに文章を綴っている。
どうやら彼もライラと一緒でパンケーキ巡りをして感想を認めるパンケーキ愛好家の一人のようだ。
長くパンケーキ巡りをやってきたライラだったが、同じようにパンケーキ日記をつけている同志と出会ったのは初めての経験だった。
ライラは思わずその青年に声をかけた。
「あの・・・もしかして、それってパンケーキ日記ですか?」
急に声を掛けられてビックリした様子だったが、その青年はすぐに笑顔で応えた。
一見彼もライラと同じような猫科の獣人のようにも見えるが、しかし、背中には蝙蝠のような翼が4枚生えており、尻尾も猫のそれとは違い、太く逞しい爬虫類のものをぶら下げている。どうやら複数の動物の遺伝子を持つキメラ獣人のようだ。
ケイキトと名乗る彼はライラと同じくパンケーキに目がないようで、日頃からパンケーキ屋を回っては感想を綴り、ブログやSNSで発信しているようなかなりパンケーキに熱意のある人物だった。
「ライラさんもやっぱり今の現状を憂いています?・・・まさかパンケーキフィーバーの反動がこんな形で跳ね返ってくるなんて思ってもみなかったですよね」
「ほんとそうです!3年前に肥満問題が大々的に取り上げられてから、なんかまるでパンケーキが悪者みたいにどんどんみんな冷めてっちゃって・・・」
彼もやはり昨今のパンケーキ事情には納得いってない様子で、気付けば二人は互いにパンケーキ巡りの愚痴を語り合っていた。ライラはこの町を処分する予定だったことも忘れパンケーキ談議に夢中になる。
その中で彼女は自分が女神であり、今のこの思わしくない状況を招くきっかけを作ってしまった張本人でもあることは口が裂けても言えなかったが、同じパンケーキ愛好家がここまで不満を洩らしていることに何か申し訳なさを感じていた。
しかしそれはケイキトも同じだった。
「・・・ライラさんになら話してもいいかな。・・・“都市伝説”ってあるじゃないですか。あれ実は最初に僕が言い出したんです。ずっとパンケーキ巡りをしてきてブログとかでもおすすめの店を沢山紹介してきて・・・でもなぜか僕がおすすめしてきた店がある町だけは今まで一度たりとも“神隠し”に遭ってなかったのでなんか不思議だなって。」
「SNSでなにげなくそう呟いたら、それがなんか滅茶苦茶バズってしまって…まさかあの一言から世界がこんなにも変わって、しかもその末路がこんなことになってしまうなんて。同じパンケーキ愛好家として本当に申し訳ないです。ごめんなさい。」
ケイキトはそう謝ったが、彼が謝れば謝るほどライラも申し訳ない気持ちになり、しかし、それを口に出せない葛藤に心を痛めた。
ケイキトはこの町に住みこの町の大学に通う大学生。流石にここまで話の合う人がいるこの町を彼諸共処分するなんてできないと思ったライラは“処分”を保留することにした。今まで数多の命を間引いてきた彼女がたった一個人の為に判断を変えるのは女神としてあるまじき行為であることは分かっていたが、それでも彼を殺したり、彼の住む町を破壊することなんてどうしてもできなかったのだ。
「あ、そうだ。僕、自分でもパンケーキを作ったりして味の研究をしているんですけど、もし良かったらお詫びじゃないですけど、お口直しに食べてみませんか?同じパンケーキ愛好家のライラさんに色々アドバイスいただけたらなって」
ライラはこれ以上神が一星の住人と親交を深めるのは良くないとは思いつつも、これだけパンケーキに熱意のある彼がどんな味を作り上げるのかが気になって涎が止まらなくなった。
「ぜ、是非・・・!」
結局ライラは彼の提案を受けてしまった。
「あ、流石にどこの馬の骨かもわからない僕の家にいきなりあがるのは敷居が高いですよね。どうしよう、ちょっと近くの本屋で時間を潰してもらってもいいですか?」
彼は昨日の今日でいきなり自分の家に女性を呼ぶのは、流石に不信感を感じさせてしまうと思ったのだろう。しかし、第一印象で既にケイキトを信用していたライラは、彼が手を出すような男ではないと思い、いきなりでも家にあげてもらうことにした。
仮に手を出してこようが、神である自分を力でねじ伏せられるものなんてこの世には存在しないし、なにより彼がパンケーキを作る工程を見てみたかったこともある。
結局その日は一緒にパンケーキを作り、食べ、そして夜まで語り合った。流石にパンケーキ愛好家なだけあって、彼の作るパンケーキは一切妥協がなく、名店と比べても遜色のないクオリティだった。久々に美味しいパンケーキを食べたライラはお腹だけでなく心まで満たされた気分になる。
(この街も悪くないかも・・・)
ケイキトと別れたライラは徐にパンケーキ日記を取り出すと、“処分”の文字の上に二本横線を引いたのだった。
その後も二人は定期的に会い、気付けばパンケーキ巡りをデート代わりに一緒に食べて回るほどの仲になっていた。
優しくて熱意があって配慮もできるケイキトにライラは少しずつ惹かれているのを感じていた。神として孤独を感じていた彼女にとって、同じ価値観を持つ彼の存在は暖かく心を癒してくれる存在だったのだ。
しかし、その傍らでは神の仕事も遂行していかなくてはならず、彼の住む町からできる限り遠く離れた町のパンケーキ屋をデート場所に指定しては、彼と別れた後に蹂躙するという回りくどいやり方を取らざるを得なかった。
そんな日々を繰り返すうち、彼女は少しづつ罪悪感に押し潰されていくことになる。神という存在にも関わらず人を愛してしまった代償…本当の自分を隠し、偽り続けなければならない虚しさ。もしかしたら今までに彼の家族や友人を自分の下の口で惨たらしく喰い殺してしまった可能性も否定できない。
そんな頃だった。ケイキトから夜のデートのお誘いがあった。
ライラの一方的な恋では決してなく、ケイキトからも好意を感じていた彼女は、そのお誘いが大きな意味を持つことは察していた。
ライラはケジメをつけないといけないと思った。
(きっと次のデートが彼との最後の楽しい思い出になるだろう)
神と人の禁断の愛。全く違う立場、スケールの二人では真実の愛は成立しないのだと、ライラは初めから分かっていた筈だったが、でもそれでも彼女はケイキトを求めてしまった。愛してしまった。
相手を想う程、その反動は大きい。
しかし、個ではなく、あくまで星を愛することが神の役割なのである。個に同情していては今後の間引きの仕事が辛くなる。判断を間違える。だからこそ神は常に孤独であるべき存在なのだ。
パンケーキの味で命を左右するというライラの我儘だけでもグレーなのに、更に生殺与奪の判断に愛なんていうエゴまで介入させてしまうのは明らかに黒だ。
今までだって、沢山の人に出会って、良くしてくれた人もいれば、可愛い子供もいた。
それでも自分が定めたただ一つの判断基準によって、命を選択してきたのだ。
愛が芽生えたからといって、じゃあそこの町だけは都合よく生かして、代わりに他の町の何百何千万という命を刈り取るなんて、それはあまりにも不平等だろう。
・・・そして、その日はきた。
いつものパンケーキデートではなく、高階層テラスのちょっとお高い雰囲気のレストラン。
心が裂けそうなくらい辛かったライラだが、しかしケイキトとの最後の思い出を悪い形で終わらせたくなくて、精一杯の笑顔を作った。
そして、ディナーを食べ終わった後、「ちょっとトイレ行ってきますね」と席を外していたケイキトは花束を持って戻ってきた。
そして戻るなり開口一番こういった。
「ライラさん・・・愛してます!付き合ってもらえませんか?」
膝を着き、花束を差し出すケイキト。
ライラは一瞬こそ喜びで目を輝かせたが、しかしすぐにその表情を曇らせてしまう。
「ケイキト君・・・私凄く嬉しい。でも・・・でも、ごめんなさい!私にはずっと隠していた秘密があるの。あの日、あの時、私はあなたと出会って世界の歴史が大きく変わってしまった。私は歴史を修正しなくてはならない・・・」
きょとんとしているケイキト君に対し問答無用でライラは続けた。
「明日の朝10:00、もしよければあなたの町のすぐ近郊にある山の頂上にきてくれませんか?そして、その山から町のほうを見ておいてもらえませんか?」
「私が何を言っているのか意味が分からないと思う。でも、そのすべての答えは明日わかります。ここまで私情に巻き込んでしまったあなただけは・・・私が愛したあなただけは“運命”から逸脱して、せめて本当の真実を知る権利があると思うから…」
ケイキトにとってはライラの答えはあまりに晴天の霹靂だったであろうが、しかし、彼女が急に頭がおかしくなったとかではなく、何か大きな事情があるのだろうということだけは察した。
「・・・わかりました。明日の午前10:00ですね。必ず行きます。」
こうして何とも言えない雰囲気のまま二人はそれぞれ帰路に着いた。
ライラの瞳から大粒の涙が流れる。神として生きることの辛さ。その役割の為に女を捨てる苦しさ。そして、なにより明日彼の町を消滅させなければならない悲しさ。
それを見せつけるのが本当に必要なことなのかはわからない。途轍もなく残酷なことをしているのはわかっている。しかし、いち早く“神隠し”の法則に気付き、その謎を追っていたであろう彼にはその真実を見せてやりたかった。
その上で彼が失意と絶望に苦しむようなら、しっかり謝った上でもうそれ以上苦しまないように彼を暖かく星に還してあげようと誓った。
翌朝、ケイキトはライラに言われた通り、山の山頂の展望台からボーっと自分の住む町を眺めていた。
そして、定刻になったその時・・・!
爆発音にも似た鈍い音と共に目の前に突如現れたソレにケイキトは思わず腰を抜かした。
“ソレ”とは確かに昨日まで何度も見てきた一人の女性。彼が愛したライラその人で間違いないが、しかし途轍もなく大きかった。というのも今ケイキトは標高1500mほどはある山の頂上にいるにもかかわらず、目の前にいるライラの顔を見る為には首が痛くなる程見上げる必要があったのだ。
既に彼女の巨大なおみあしはケイキトの住む町を飲み込んでおり、被害は目も当てられない凄惨なものとなっているだろう。
当のライラはというと負の感情を押し込め、オナニーに集中しようとしていた。間引くのは仕方ないにしろ、せめて命を無駄にしなくないというのが彼女の信条だ。
気を病んでイけないなんてことになれば、これから命を散らす何百万という命が無駄になってしまう。それだけは避けたかったのだ。
ライラはいっそもう愛するケイキトに自らの裸体を、巨大なマンコを見せつけるくらいの勢いで股を大きく広げ、そしてくぱぁ、と開いたクソデカアワビにいつも通り“餌”をやり始めた。
地盤ごと町の一角を掬い上げビジュ!ビジュ!と物凄い音を立てながらビル群を膣に巻き込んで粉砕していく。
町の残骸がクリトリスを刺激し、ビクンと身体を震わせるたび、その振動が大地に伝播し、そこそこのクラスの地震を引き起こす。
ケイキトはその地面の揺れで立っていられず地面に腰をついてしまったが、それでも目の前で起こっている消滅現象の真実を目に焼き付けていた。
(ケイキト君・・・!これが私の本当の姿!私こそが、この星の守護神であり、惑星史上最悪の大量虐殺者・・・女神ライラなの!!)
ケイキトが本当に山に来てくれているかどうか彼女の肉眼ではもう視認できなかったが、彼なら自分のことを見ていてくれていると信じて、細心の注意を払いながら“処分”を進めていく。というのも数年前にうっかり尻もちをついて、非処分対象地域まで破壊し尽くし、3400万人もの死者を出してしまったように、ほんのちょっとしたドジでも一瞬で目の前の山など崩壊してしまうからだ。
ケイキトは目の前で起こっているを理解しようとするだけで精一杯だった。映画やCGでも見たことのないような壮絶な光景を目の当たりにして、もはや悲しいとか怖いとかそういう次元ですらなかった。
通っていた大学と何百何千という生徒たちも、自分の住んでいた家も近所の住人も何もかもが、自分が愛した女性の性器に消えていくのを、ただ口を開けて見守ることしかできなかった。
そして彼女はイった。喘ぎ声を上げれば、ケイキトが音圧で破裂してしまうと思い、必死に声を抑えながら…
数分前まで確かにケイキトの視界に広がっていた筈の町は忽然と姿を消し、代わりにライラの愛液の湖が広がっている。
そして次の瞬間、ライラの身体が光り輝いたと思った時には、もう彼女の姿はどこにもなかった。
すべてが夢か幻だったのか。否、周囲にはまだ強烈な雌の匂いが残っている。何度下を見ても町はなく、巨大な愛液の湖だけがどこまでも広がっている。
ケイキトはそのまましばらく茫然としていたが、ふと視界の先に小さな光の玉のようなものがあることに気付く。
光はこちらに向かってきた。
少しずつ少しずつその輪郭が明らかになる。・・・光は人の形をしていた。
そう、その光はライラだった。今まで何度も見てきた、いつものサイズの彼女。
ライラはそっとケイキトの目の前に降り立った。その顔は酷く悲しげで、瞳には涙が溜まっているように見えた。
「君は・・・」
ケイキトはなんとなく自分の運命に気付いていた。そして、彼女の正体にも。
ライラがあえてデート先に遠くの町を選ぶ不自然さと、そして自分たちのデート地ばかりが次々と消えていく謎に。
「・・・ごめんなさい。」
ライラはただただ頭を下げた。運命とはいえ愛する彼のすべてを今彼女は奪ってしまったのだ。
「私はこの星を統べる神、女神ライラ。・・本当はあなたと出会ったあの日にこの町は処分する予定だった・・・でも、神なのにもかかわらず私は・・・あなたを愛し、私情で命を左右してしまった。こうやって、あなたを余計に傷付ける選択をしてしまった。本当に・・・本当にごめんなさい。」
「・・・やはり、そうだったか・・・」
ケイキトは下を向いた。そして改めてライラのほうを向くと真剣な眼差しで彼は言った。
「実はなんとなくそうなんじゃないかってわかっていました。・・・まぁ流石にまさかライラさんが神だったとまでは思いませんでしたが・・・」
「でも、ライラさんがなにか裏の世界組織と繋がっていて、消滅させる町を決める役目を担っているのかな、とかそんな感じのことは考えていました」
ケイキトは何とも言えない表情で俯いたまま続けた。
「実は僕の両親は“神隠し”によって命を落としたんです」
「…ッ!」
ケイキトから語られる真実の刃にライラは心が引き裂かれそうになっていた。そんな彼女を見たケイキトは慌てて手を振る。
「あ、すみません。攻めてるわけじゃないんです。まだ物心も付いてなかったし、恨んだりとかそういうのじゃなくて、単純に両親が消えた真実を知りたくて今まで僕はずっと研究してきたんです。」
「ライラさん・・・一つだけ教えてください。君は・・・なぜ私達星の住人を殺すのでしょうか。」
ケイキトは真剣な眼差しでライラを見つめながらそう聞いた。
「・・・星の為。星を延命させる為には星の負荷的にも今の70億人がギリギリなの。・・・私が今までに消してきた命は100億弱。私が手を付けなければ人口は200億に迫る勢いだった。当然、限りある資源でそれだけの人口を支えるのは無理。私が殺らなくても枯渇した資源を取り合う為に戦争が繰り返され、勝手に人口は調整されたと思うけど、でもそれだと星は急速に汚染され、沢山の生き物が絶滅し、やがて星の死を迎える。そうならない為に手を加えるのが私の仕事・・・」
ライラはケイキトに目を合わせられず下を向いたまま淡々と自身の役割を話す。
「でも正直なところ、今のこのやり方も私の都合・・・。どれだけ私が命を調整しても、もう星の死が免れないところまできてしまっている。もっと早くに、もっと多くの命を奪わなくてはならなかった。科学技術の発展を止めるくらい文明を破壊し尽くさなければいけなかった。今更、人口を70億に抑えたところで種は絶滅する一方で地球温暖化も砂漠化も森林の減少も止まらない。今となってはこの星は私のパンケーキ欲と性欲の捌け口にする為に延命しているだけの状態になってしまっている・・・。本当は今すぐにでもこの星を“リセット”して、新しい星を作らなければならないのに・・・私に勇気が足りないが為に、あなたのように沢山の人の運命を狂わせてしまった・・・本当にごめんなさい。」
話している途中からライラは涙声になっていた。神として役割を遂行しきれていない不甲斐なさと、自分の弱さに彼女は打ちひしがれていたのだ。
「・・・ライラさん。私はあなたが都市の消滅に関わっていると気付いていながらも、あなたと一緒の時を過ごしました。それは、別にあなたを見張っていたかったからではなく、本当にあなたといて楽しかったからです。幼いころに両親をなくし、育ての祖母も病気で亡くなり、親族と呼べるような存在はもう誰もいません。ずっと孤独を感じていたからこそ、ライラさんの存在は心の癒しだったんです。沢山話して、あなたを見てきて、素敵な女性だと感じたからこそ、例えあなたが両親の仇のような存在だとしても恨むべきでない何か深い事情があるのだと思って近くに居続けました。笑顔の中でも、どこか悲しげで寂しげな表情を見せるあなたが心底笑顔になれるようなら、すべてを受け入れてあなたの重荷を一緒に背負う覚悟でいたんです。」
「ライラさん、いや女神ライラ様。神様に対して今までの度重なる無礼お許しください。でも、改めて言わせてもらえませんか?」
ケイキトはライラの肩を掴み、自分のほうに顔を向かせてこう言った。
「・・・愛しています。この世界すべてがもうどうでも良くなるくらい。もし・・・もし叶うのなら、あなたの傍でこの世界がどうなっていくのか見守っていきたい。これからも一緒にパンケーキを食べながら笑いたい。」
ケイキトの言葉にライラは泣き崩れた。ずっと考えないようにしてきた自らの罪をすべて吐き出した上で、それすらも受け入れてもらえたケイキトの心の暖かさを前に、孤独や寂しさといった負の感情すべてが浄化されていくような感覚を覚えた。
そんな彼女をケイキトは優しく抱きしめ、そして深く接吻した。1000万の死の跡を背景に二人の愛は今、眩く輝いている。
ケイキトは人差し指でライラの涙を拭ってやると、優しい笑顔で彼女を見つめる。それを見て泣き顔でくしゃくしゃになっていたライラも漸く笑顔を見せる。
「あれ・・・?ケイキト君・・・?」
ライラは下半身あたりを何かぐいぐいと押されているように感じ下を見ると、ズボンの上からでも分かるぐらいケイキトの股間がもっこりしているのに気付いた。
「あ・・・す、すみません。恥ずかしい・・・」
しかし、考えてもみればケイキトが勃起するのも当たり前だった。目の前には愛する女性が裸でいて、しかも彼女は規格外のプロポーションを誇っている。
つい先ほどまでオナニーを見せつけられていたし、さらに言えば、依然周囲は彼女の雌の匂いが充満している。
この状況で勃起しないほうがおかしいだろう。
「おっき・・・。」
ライラは赤面するケイキトに畳みかけるように、股間に触れそしてさすった。
「ら、ライラ様・・・そんな、神様にこんな・・・」
「様なんて恥ずかしいよ。・・・ケイキト君とは神と人じゃなくて、一人のメスとして接したいの。ライラって呼び捨てにしてくれると嬉しいな。」
ライラはメスの顔でケイキトの股間を摩り続ける。
「・・・ふふ、そういえばケイキト君のおちんちんまだ見せてもらったことなかったね。」
ライラはそのままケイキトのズボンのベルトを外すと、ジジジとチャックを降ろした。
「え・・・ライラ・・・さん?」
「ライラ。」
「ら、ライラ。恥ずかしいよ。」
「いいじゃない。私だって裸なんだし。」
ズボンを降ろすと、なぜか中のパンツはビリビリに破けていた。
というのもケイキトのペニスは猫科動物等によく見られる複数の突起がある性器だった。
そして勃起と共にその突起も硬くなり棘のようになってパンツを引き裂いていたのだ。
「す、凄いね。」
流石にこれにはライラもびっくりして言葉に詰まった。
パンケーキ男子の印象とはあまりにかけ離れた悪魔的性器。
少なくともベッド上では絶対にケイキトには敵わないだろうことを彼女は瞬時に理解した。おそらく挿れられた瞬間から一切抵抗できずに彼の“怪物”に完全に支配される。
しかしライラはそれでもいいとも思った。
幼少期から辛い思いをさせ、つい先ほども彼の友人も知り合いもすべて消してしまった。せめてもの償いで滅茶苦茶にぶち犯してもらいたいとさえ思った。
凶悪な性器を見られてライラにひかれてるのではないかと気にするケイキトだったが、彼が憎しみや恨みといった負の感情を超越し、ライラという存在を受け入れたように、彼女も例え彼がどんな体質を持ってようと受け入れる覚悟でいた。
ライラは彼の性器に顔を近づけ、そして鈴口をそっと舐める。そのまま舌を離すと、どろぉと粘性のある液体が糸を引く。
「ほら、もうこんなに汁が出ちゃってるよ?・・・ケイキト君。もうあなたには何も我慢なんてして欲しくないの。・・・お願い・・・私を・・・私を抱いて・・・!!」
・・・こうして二人は身体を重ねた。
神と人とのSEX。本来であれば決して交わらない筈の二人がパンケーキをきっかけにこうして結ばれるとは、宇宙広しとはいえ稀有なことである。
伸縮性抜群の健康的なマンコを限界まで押し広げて奥深くまで突き上げる凶悪なケイキトのチンコにライラは悶絶しながら、しかしそれでも強く彼を抱きしめ身体を一つにする。
猫科のオスのペニスには繊維質のたんぱく質でできたトゲトゲが100個以上ついており、このトゲがメスの生殖器を傷付けることでホルモンを発生させ排卵を促すと言われている。
ケイキトの場合、あくまでこのトゲは先祖の名残であり、女性器を傷つけるために存在しているものではなかったが、それでも一般的な性器と比べれば、かなり刺激的なものには間違いなく、しかも彼はかなりの巨根である。そんなものに犯されて狂わない女などいないだろう。
ライラの膣にはまだ先ほどのオナニーで蹂躙したビル群の残骸や命の痕跡が残っていたが、とげ棍棒のようなケイキトの性器を前に粉々に粉砕されてしまう。
「世界なんてどうでもいいくらい好きだ」とケイキトが言ったように、彼女もまた、もう彼以外何もいらないくらいケイキトに夢中になっていた。
何か“許された”ような解放感と、すべてを理解してくれた喜びで箍が外れ、ただ純粋に彼を愛する気持ちで溢れている。
しかし、その精神状態はライラにとっては大きな弊害にもなりうる。彼女が人間大のサイズを留め続けるには、しっかりとした理性で神の力を抑え込んでおく必要があるからだ。
しかし、ズン!とケイキトが彼女のナカを突くたび、その気持ち良さのあまり一瞬意識が飛びそうになり、抑えていた筈の神の力が少しずつ漏れ出していた。それによってライラは少しづつ“元の姿”に戻りつつあった。
そして、その漏出した神の力は性器で繋がっているケイキトの身体にも流入していた。
それに気付いたのは行為を始めてから数分経った頃だった。
「・・・んッ!・・・フ・・・ッ!・・・あれ?・・僕たち大きくなってる?」
すぐ目の前に立っていた木が気付けば雑草のように小さくなっていることにケイキトが気付いた。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・ごめんなさい。ケイキト君の攻めがあまりに気持ち良すぎて・・・力が制御できないの。・・・でも、この地域はもう“誰もいない”から大丈夫だと思う。ケイキト君にも私の力が流れちゃって迷惑かもしれないけど、でもこれであなたも神になれるわ。神と人じゃなくて、対等な神と神との関係に・・・」
ケイキトが一突きするたびにライラは喘ぎ、抑えきれない神の力で二人は巨大化していく。
彼は自身のトゲトゲチンポでライラを傷付けないようにゆっくりと腰を振るように心掛けていたし、そもそもチンコ自体がかなりの長さを誇るので一回のピストンに6,7秒も要するスローセックスになっていたが、それでも彼らの背丈は50m、100m、200m…と急速に巨大化していた。
そして・・・
山が崩れた。二人の体重の総量が山の質量を大きく上回ったのだ。
ケイキトはいつも自分の部屋から眺めていたランドマーク的な山が自分の性交によって崩壊した事実に唾を呑んだが、しかし、少なくとも足元に広がっている町は既にライラによって廃墟と化していることもあり、これ以上の死者を生むわけでもなかったので、腰を振ることにそこまで背徳感は覚えなかった。
ただ可能性としてはゼロではなく、山の上にいた自分が目の前でライラのオナニーに晒されても助かったように、他にも登山客がいた可能性とか山の向かい側に集落があった可能性だってある。それこそ山の動物達だって沢山犠牲になったハズだ。
ケイキトもそれは頭の片隅では分かっていたのだが、しかし、それ以上にライラのナカが気持ち良すぎて、腰降りを止めることができなかった。
「ライラ・・・大丈夫?痛くない?」
「うん。大丈夫よ。・・・凄く気持ちいい。」
「あぁ、僕もだよ、ライラ。僕のちんちんがこんなんだから受け入れてくれる女性がこの世にいるだなんて思ってもみなかった。大好きなライラとこうしてSEXできて本当に嬉しいし、こんな気持ち良いコトがこれから毎日できるなんて夢みたいだ!」
二神(ふたり)の激しいSEXは続く。突く度に地面に大きな地割れが発生し、衝撃で雲が波紋のように押し退けられる圧倒的な迫力にケイキトは途轍もない爽快感を感じていた。
零れ落ちそうなくらい豊満なライラの乳を弄り、耳を甘噛みし、接吻し・・・
彼女という存在すべてを五感で感じ、溢れる愛を股間に乗せる。
既に彼らの身長は100Kmを超えており、“処分”指定外の町にも甚大な被害が出始めていた。
ズドーン!!!・・・ズドーン!!!と腰と腰が衝突するたびに巻き起こる“神撃”。
その衝撃は惑星の裏側にまで波及し、地を揺らし、世界中の海を荒れ狂わす程のエネルギーを孕んでいた。
あまりの快感に周りが見えていない二神だったが、急速な生命量の減少を感知して漸くライラがことの重大さに気付いた。
「あ・・・ッ!・・・これ以上激しくヤったら、流石に・・・せ、世界が全部壊れちゃう!!」
しかし、ケイキトはSEXを止めなかった。そして彼はこう言った。
「それでもいい!!僕のこの全力の愛を君にぶつける気持ちを我慢するくらいなら・・・もう今ここで星を“リセット”したい!!・・・ライラ!!すべてを終わらせよう!僕たちの新しい星を作るんだ!!」
性交の主導権は既にケイキトにあった。凶悪なちんぽに犯され、もはやライラに抵抗する力はない。そして、そもそも彼の意向を止める気も彼女にはなかった。ケイキトがそれでいいなら彼女もそれを受け入れようとそう思ったのだ。
モーニングスターのような睾丸がバルンバルンと荒ぶり、彼の激しい攻めにライラの身体が半分地面にめり込んだ。
深く深く、まるで星の傷のように割れた地面からは星の血、マントルが噴き出し、世界中が夕焼けのように赤く染まっていった。
その光景は神の怒りのようだった。すべてを焼き尽くす地獄の業火を前に、人類は、全生命はあっけなく呑み込まれて消え、そして絶滅していく。
そして…
「ライラ・・・イキそう・・・ッ!!・・・グッ・・・」
「ケイキト君・・・ッ!・・・あぁッ!♡・・・き、きて・・・・ッ!」
「あッ!!・・・イく・・・・ッ!出る・・・・・・ッ!!!!」
二人はイった。そしてそのあまりにスケールの大きな愛の営みに巻き込まれ、惑星ライラックのすべての生命も逝った。
しかし、ライラにとってももうそんなことどうでも良かった。いつかはリセットしなくてはならなかったこの星を、むしろ最適なタイミングで最愛のパートナーとリセットできたのだから。
そして、勢いよく飛び出したケイキトの精子はいうと、さっそくライラのナカで新たな世界を創造しようとしていた。
神にとっての受精とは同時に“受星”でもあった。そう、神は星を生むのである。
「ケイキト君・・・私、おっきな星を生むね。あなたに毎晩激しく抱かれても壊れない大きな星を・・・」
・・・二人の神が管理する新世界が今誕生しようとしている。
きっと彼らはそこで恒久の愛を育むのだろう。
—世界は愛で回っているのだ。
おわり