あれからいくつ町を壊滅させたことだろうか。
心に迷いがあるのは否定しない。しかし、ここまで一切立ち止まることなく、人を、ポケモンを、俺は殺し続けた。
あの♀・・必死に俺を止めようとしていた。
なぜ彼女に助言してしまったのかは俺自身もよくわからない。人間達を・・ポケモン達を想う彼女の強い気持ちに心動かされたのだろうか。
しかし、“まねっこ”なんて覚えているルカリオなど、自分以外には一度も見たことがない。
このまま俺はすべてを終わらせるだろう。ただただ一方的に。逃げ惑う人間達に足を振り下ろし続けて。
最終地点はすでに決めている。
ポケモン達を奴隷のように働かせ、エネルギーを搾取し、発展した大都市だ。
もともとこの大都市の人口は5000万人ほどだが、全世界から避難民が集中したことによって、現在、都市の生命反応は1億をゆうに超えている。
相変わらずペニスはパンパンに天を衝き、ボタボタと我慢汁が垂れ続けている。あと一億人。それをすべて殺し尽くしたら、最後に思いっきし抜こう。それですべて終わりだ。
・・・大都市が見えてきた。
せめて、最大限感じてやろう。足裏に全波導を集中させて彼らの命の感触を存分に味わってやる。
大都市へはまだ距離があるが、避難民の長い列は自分の足元までずっと長く続いていた。
その列に沿って、滅茶苦茶に踏み殺しながら進んでいく。刻一刻とフィニッシュの時は近づいていた。
大都市の外郭に地面を埋め尽くすくらいの物凄い数の人間たちがいる。
あまりの避難民の数に受け入れを拒否されて、立ち往生しているのだろうか。
いままでとは比べ物にならないほどの人口密度・・。
思わずゴクリと唾を呑んだ。
世界を変える為だとか、彼女には散々嘯いたが、今となってはこの肉棒を満足させることのほうがウエイトが大きくなっている気もする。
終わる・・・
世界がまさに今変わろうとしている。
人間が死滅し、ポケモンが自由に暮らせる世界。たとえ弱肉強食の厳しい世界だとしても、自然の摂理に則ったあるべき姿を・・・!
2㎞を超える巨体が作る大きな影が、ついに大都市を覆い隠す。すべての人々が絶望に震え、逃れようのない死の恐怖に苛まれた。
俺は彼らの心が発する微弱な波導ををあえてキャッチした。
「死にたくない」、「助けて」、「神様」、「どうか許して」
どれも同じような心情ばかりだ。しかし、そんな中、一つだけ全く別の強い強い想いをキャッチした。
「絶対にみんなを守る!!」
勇気と希望に満ち溢れた熱情。
そして次の瞬間、確かに聞こえた。
“おおきくなる”
その技名を叫ぶ声が。
避難民の塊の中、そこで一瞬何かが光る。
思わず俺は足を止めた。
その光は見る見るうちに大きくなり、やがて青い人型の生き物だと視認できるサイズにまで巨大化した。
彼女だ。
彼女は俺の進撃を前に逃げ惑う避難民たちを巨大化に巻き込んで肉塊に変えながらも、どんどん身体を膨らませていく。
ついにはまともに俺と目を合わせられる背丈くらいにまで大きくなった。
巨大化した♀のルカリオは血だらけになった足元を見て、ぎょっとする。そして目を瞑ってこういった。
「ごめんなさい・・。こうするしかなかったの」
泣きそうな顔で大混乱に陥っている足元の様子をしばらく眺めていたが、次の瞬間には、俺の方をキリっと睨みつけた。
「なぜだ・・なぜお前まで、“まねっこ”を覚えている!」
「・・なんででしょうね。でもそれを言ったら、なぜそもそも私に“おおきくなる”の方法を教えたの?人間の殲滅だけが目的なら私にこんなこと教える必要なんてなかったはず・・」
「それは・・」
「もしかしたら、あなたは誰かに止めて欲しかったんじゃないの?だって、あなたは、ずっとどこか悲しい眼をしている・・。この殺戮が完遂したら、きっとあなたは・・・」
「ふん。世紀の大量殺人者に同情か?優しさを向ける相手が間違っている。・・・そこをどけ、俺の憎しみの対象は人間だけだ。お前まで殺すつもりはない。」
「・・・どかない。だって、私こそがあなたにここまでさせてしまった張本人なのだから。」
「な!?何を言っている・・?」
「波導で心を交えた瞬間から薄々気付いていたの。あなたの波導の匂いがお母さんとそっくりだって。それに・・“まねっこ”も同じお父さんから引き継いだ技なんだ・・・って。」
「どういうことだ・・?」
「まだわからないの?“お兄ちゃん”。私はあなたを捨てたトレーナーの手持ちの一匹。そしておそらくだけど、6Vである私が生まれたことによってあなたは・・・いやあなた達は捨てられたの。」
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