■ トリニティ総合学園の敷地を、カンナは歩いている。 ここに向けて出発したのは昼前――しかし、今はもう夕刻だ。というよりは夜に近い。おかげで誰にも見咎められる心配はない。 (こんなに遅くなるとは。さすがに遊びすぎたな) ユウカと別れ、トリニティに向かう途中で一体何人の生徒を感染させたのだったか。ひとりひとり、カンナは彼女たちの顔を思い浮かべていく。一人目が一之瀬アスナ、二人目が角楯カリン、三人目が京極サツキで、四人目が鰐淵アカリ、いや四人目は天雨アコだで、アカリは五人目だったか……と思い出していったが、十人を超えたところで面倒になってやめてしまった。わずかな接触、体液の飛沫、匂いによって、ポップコーンを煎るように次々と感染させていったため、各人の印象が薄いというのも理由だ。 ただし、印象に残っている者たちもいる。 昼食はビルの屋上にあるレストランで、景色を楽しみながら食べた。その帰りに乗ったエレベーターに、途中から、便利屋68の連中が乗り込んできた。会話を聞くと、こなした仕事の報酬を受け取るため、そこを訪れていたらしい。あれこれと理由をつけて報酬を減額されたことに憤る陸八魔アル。アルの言葉にうんうんうんと頷く伊草ハルカ。くふふ、と楽しげに笑っている浅黄ムツキ。我関せずという顔でスマートフォンを弄っている鬼方カヨコ。どいつから、どんなふうに襲おうか――と考えていたところでくしゃみが出た。 その数秒後、彼女たちは次々と発症し、重量オーバーでエレベーターの運行が停止したのには、さすがに吹き出してしまった。助け出されるまでの一時間、極狭の空間でアルたちと盛りあったのは言うまでもない。扉が開いて漏れ出した濃厚な汗臭体臭乳臭尻臭を吸い込み、救出に来た生徒も感染していた。 そこで掻いた汗を流すべく、カンナは近くの銭湯に向かった。ひとり湯船を占有していると、街に何の用があったのか、アビドスの一行五人が現れた。もしかするとこいつらも、と薄笑いするカンナへの警戒もあらわにして、彼女たちは湯船の離れた場所に浸かった。しばらく談笑していたが、やがて、「ん゛♡」「あ゛っ♡」「お゛っ♡」「やべっ♡」と濁った呻き声を同時多発的にあげながら、その肉体を変貌させていった。小鳥遊ホシノ――『キヴォトス最高の神秘の持ち主』と称される彼女だけは、最後まで持ちこたえて仲間を気遣っていたが、ほどなく好色な笑みを浮かべた仲間たちの乳房に押し潰されてその心身を淫らに咲かせた。 超乳をスポンジ代わりにした体の洗いあいに励み始めた彼女たちに、自分も入れてくれと申し出ると喜んで受け入れてくれた。さらにそこへ便利屋の四人が現れ、そこに混ざった。最後は九人が総掛かりでカンナの体を洗ってくれた。肌という肌がすべて乳に包まれているあの感覚は忘れられない。 ウィルスの存在を伝えた時もあるし、伝えなかった時もある。自分の体に何が起きたか教えずとも、彼女たちはすぐに己の変化を受け入れて、貪欲に性的接触を求め始める。すみやかに感染を拡大するため、脳構造がそのように改変されているのだろう。 日が傾いてきたあたりからだろうか。街中でちらほらと感染者の姿を見かけるようになった。ウィルスは確実に広がっている。その過程でヴァルキューレへ通報が行われることもあるだろう。だが、電話対応はしても、ヴァルキューレが動くことはない。そもそも、その騒動の根本にいるのがヴァルキューレなのだ。 感染した者の中には、他者への衝動がさほど強くない生徒もおり、そうした生徒たちが各部局に居残って最低限の対応をしてくれている。異常の発覚を遅らせるための偽装工作だ。 公安局では、副局長のコノカが、他数人の局員たちと留守番をつとめている。「ここに残ってこの子らとエッチしながら、姉御の帰りをゆっくり待ってるっす♡」とのことだ。凶悪なウィルスでさえ、コノカの飄々とした性格を変えられなかったのだと思うと面白い。 そんなことを考えているあいだに、カンナは大聖堂に辿り着く。 歴史あるトリニティ総合学園でも最大規模の建築は、薄闇に陰影を強調されて、神々しいというよりは禍々しく見える――というのは、カンナが胸によこしまな狙いを抱いているせいかもしれない。 サクラコがここにいることはわかっている。日中堕とした女のひとり――浦和ハナコが超乳ぱふぱふ三分と引き換えに教えてくれたのだ。昼の喧騒が失せ、夜の静寂が訪れようとする時間、サクラコはひとり静かに主に祈りを捧げているのだという。 カンナは入口の扉に掌を押し当てる。蝶番を軋らせることもなく、それは静かに開いていった。天井吊りの照明が静かな光を降らせる聖堂内――目的の女は祭壇の前に跪いていた。 ■ カンナはサクラコに歩み寄る。 瞑目し、両手指を組み合わせて祈りに集中しているため、彼女はカンナの接近に気づかない。おかげで、間近からその美貌をじっくりと堪能することが――それどころか、その清廉な匂いまでも楽しむことができた。 歌住サクラコ。シスターフッドの現部長。多くの生徒が彼女をかなりの堅物と考えており、実際にその通りだ。だが、その頑迷は、世俗の事情に疎いがゆえの無垢さと、己の殉ずる信念への徹底的なひたむきさに起因している。――というのが、ヴァルキューレ内で共有されているサクラコについての認識だ。 透き通るような銀髪。白く滑らかな肌。禁欲的な修道服を裏切りかねない悩ましいボディライン。それら外見的なものだけではなく、その表情や佇まいに透けて見える内面が、彼女に凛然とした美しさを与えている。 「主よ、私の心を静め、雑念を遠ざけ、あなたの御声だけを聴くことができますように。主よ、戦争や災害に苦しむ人々に、あなたの慰めがありますように。主よ、すべての人々が、互いに愛を持って仕え合うことができますように」―― 静かに祈りを捧げるサクラコは美しいを通り越してもはや神々しい――と考えるのはこの場にあっては不敬だろうか。しかし、構わないだろう。これからカンナがしようとしていることは不敬程度では絶対に済まないのだ。 「おい」 声をかけると、サクラコは飛び上がるように立ち上がった。 まずはいきなり声をかけられたことに驚き、次いでカンナの外見に驚く。紫水晶を連想させる瞳が揺れた。 「な、何ですか、あなたはっ」 「私はヴァルキューレ公安局局長、尾刃カンナだ。歌住サクラコ、ここへはお前に用があって来た」 「私に用……?」 「そうだ。心配しなくていい。すぐに済む。拍子抜けするくらいにあっという間だ」 カンナは右手の人差し指の先をぺろりと舐めた。そして、腕を伸ばし、怯えるサクラコの唇に濡れた指先で触れる。慌てて後ずさったサクラコは、手の甲で口元を拭うが、もう遅い。唾液に含まれていたウィルスはすでに彼女の体に侵入を果たしている。 「な、何をっ」 するのですか――と問いかけを完了させることはできない。突如として体に生まれた灼熱が、サクラコをへたり込ませる。カンナが与えたウィルスは、怒涛の勢いで、シスター服に封じられた女体を淫ら極まるものに改変していった。 胸部の布地を張り詰めさせ、ぎちぎちと悲鳴をあげさせるほどに膨満していく乳房。下半身も、乳房に負けず劣らずに熟れ実り、太腿の極太ぶりに耐えるストッキングは、わずかに身動きしただけで続々と伝線している。 ほんの数秒――それだけで、サクラコの変貌は完了した。約束通り、拍子抜けするほどのあっという間だ。 「わ、私の体……これは……どうなっているのですか……っ」 「それはな――」 淫らに熟れた己の体を驚愕の眼差しで見下ろし、サクラコは当然の疑問を発する。適当に済ませず、最初の最初から詳らかに語り起こしてやったのは、間近で美しさを眺めさせてもらった謝礼のつもりだった。 「心と体を淫らに改変するウィルス……それを何も知らない生徒たちに……」 呆然と説明を聞いた後、サクラコはふたたび己の体を見下ろして呻いた。 最初は衝撃に打ちひしがれていても、すぐに己の変貌を喜び、それをもたらしたカンナに感謝するようになる。もはやお馴染みの反応だ。今回もそうに違いない――という思い込みは、しかし、顔をあげたサクラコによって心地よく裏切られることになった。 「そのような自分勝手な振る舞いが許されると思っているのですかっ!」 カンナを睨みつけて、サクラコは言った。 どうにか立ち上がり、さらに鋭くした視線をカンナに刺す。 「あなたも犠牲者のひとりだということは理解できます。ですが、警察学校の生徒、それも公安局の局長という大任にありながら、下卑た我欲に負けて一般生徒を襲うなど――恥ずかしいとは思わないのですかっ!」 (これは……) 何か事情があって、ウィルスによる改変が脳にだけは及ばなかったのだろうか。いや、そうではない。厚い涙膜に潤む目。紅潮した肌。熱い息遣い。わななく両足。……それらは欲情の証拠に他ならない。しかし、サクラコは精神力で改変の影響を必死に抑え込み、以前のサクラコであり続けている。さすが、シスターフッドの長をつとめている人物だけのことはある。驚くべき克己心だと素直に感心した。 面白い、とカンナは思う。 「恥ずべき行いをしている自覚はある」 サクラコの問いかけに、カンナは答えた。 「だったらなぜっ」 「恥ずべき行い――悪いことをするのが、あまりにも楽しすぎるからだよ。その楽しみを今からお前にも教えてやろうじゃないか」 鬼気迫る笑顔で迫られ、サクラコはよろよろと後ずさる。しかし、それ以上の歩幅と歩調で、カンナはサクラコに歩み寄った。カンナの超乳がサクラコの超乳に押しつけられ、それぞれがむにゅん♡ と歪みあった。そのままの勢いでカンナはサクラコを床に押し倒し、さらにはその唇を奪った。 「んんっ♡ や、やめっ……んっ……やめなさいっ。主の館でこんなこと……ぜ、絶対に許されな……っ!」 「許されないからこそ楽しい。それをお前に教えてやると言っただろう」 サクラコの唇を貪り、舌を押し入らせて口腔をねぶり回す。そうしながら、カンナはサクラコの衣服を引き裂き、己の服を脱ぎ捨てていった。ふたりの裸身が主の御前に晒される。紫のガラスを抜けてくる陽光の最後の輝きが、それをあまりにも妖しく照らし出した。 サクラコは激しく首を左右に振り、どうにかカンナの唇から逃れる。 「た、たとえどんなことをされたとしても……私は絶対にあなたに屈したりはしません……っ」 呼吸を乱してサクラコは言う。しかし、溢れた涎で口元をべっとりと濡らしたその顔は、以前に比べれば確実に蕩けている。 「こうしても、そんな立派な台詞を口にしていられるか?」 仰向けになっているため、重力に甘美な敗北を喫して潰れ気味になっているサクラコの乳房。それにカンナの乳房が軽く重なった。サクラコの右乳房とカンナの左乳房、サクラコの左乳房とカンナ右乳房が融合するかのように甘く蕩け合う。それを臨み、「ああッ……♡」とサクラコの喉から感嘆の息が漏れた。 「もう降参――なんて言わないでくれよ?」 「誰が降参なんてっ! わ、私は負けません!」 「そうこなくてはな」 カンナは乳肉で乳肉を揉みしだくように、上体を悩ましくうねら始める。 にゅる♡ にゅむ♡ むにむにっ♡ むにゅむにゅむにゅ~~~♡ 女同士、それも巨大な乳房を持つ者同士でしか味わえない感触。それだけではなく、滲んだ汗を天然の潤滑油にして四つの肉鞠が描く夢幻境のような光景が、サクラコの脳髄を直撃している。 「だ、駄目です。こんなこと……い、いけません……っ♡」 駄目、いけない、と言いながらも、その耳目は乳房に釘付けだ。 「ほら♡ ほら♡ ほら♡ よく見ろ♡ しっかり感じろ♡」 ぶっにゅううう~~~♡ と、カンナはさらに強く乳房に乳房を押しつける。 それぞれの超乳がさらに扁平に近く潰れた。サクラコの雪白の肌、カンナの健康的な色合いの肌――それぞれに違う形で透け浮かぶ静脈があまりにも生々しい。そうしていると、互いの肉質の違いが際立った。カンナの乳房は柔らかさよりもやや弾力が勝るもので、サクラコのそれは弾力よりも柔らかさが克っている。そのどちらもが絶対的に最高の肉質だと思えるから不思議だった。 その状態で、カンナは乳芯を抉るように動く。さらに高まる乳悦がサクラコの息遣いを焦がし、その意識を乳交に集中させた。 「~~~っ」 「デカパイセックスの味はどうだ? たまらないだろう♡ お前が望めば、毎日これを楽しめるんだぞ?」 「ま、毎日これを……っ♡ それやば……っ♡」 性感に潤む目が輝き、口が物欲しげに単語を紡ぐ。自分の示した反応に気がついたサクラコは慌てて表情を引き締め、からみつく邪念を振り払うように首を振った。 「こんなこと、忌まわしいだけです……っ!」 「そうか。胸だけでは物足りないか。さすがのスケベぶりだな♡」 「ち、違っ、そんなこと言ってな――んんんっ♡」 カンナは胸での愛撫を続けつつ、己の局部をサクラコの局部に擦りつけ始める。忌まわしいだけ、と口にしながらも、サクラコのそこは溢れた愛液に濡れている。ふたりの愛液が粘りつく音――それを陰毛同士が擦れ合う音が淫靡に飾った。 「修道女様が大した濡れっぷりだな」 「こ、これは、あくまでも生理的な反応であって、別に興奮したわけでは……。こんなこと、もうやめて……やめてください……っ!」 制止を訴えるサクラコの声は、しかし、糖蜜のように甘く蕩けている。 「本当にやめて欲しがっているようには聞こえないな。いいのか、主の御前で嘘をついても」 「わ、私は、嘘なんてついていませ――んんっ♡」 「そうなのか? 『や~ん♡ キスも、おっぱいセックスも、おっぱい押しつけながらのセックスも最高しゅぎ~♡ もっともっとしたいよ~♡』――そう言っているように私には聞こえるぞ」 ふざけた声真似で行われる心情代弁がすでに赤いサクラコの顔面をますます赤くする。 「私はそんなことを思ってはいません!」 「思っているのに認められないだけじゃないのか? 『やっべ♡ 主の前での超乳いちゃいちゃたまんね~♡ えっぐい興奮する♡ ていうか、主(笑)とかいうやつ、こうやってセックスを盛り上げるためにいるんじゃねーの? 絶対そう♡』」 「ぼ、冒涜はやめなさいっ!」 「大聖堂で股ぐらをびしょびしょに濡らしているお前がそれを言うと滑稽だな。『カンナ様に心の中見抜かれるの好き♡ 図星突かれるの好き♡ 好き♡ ていうか、カンナ様好き♡ デカパイ好き♡ ムチケツ好き♡ ぶっとい太腿好き♡ 主とか信仰とか燃えるゴミの日に棄てて、カンナ様に全力でお仕えしたいよ~♡』――嘘を重ねたくないなら、そう思っていることを認めたほうがいいぞ」 「嘘をついているのは、あ、あなたのほうですっ!」 そう訴えるサクラコの声はいよいよ甘く、陰裂は後から後から劣情の証を溢れさせる。乳首は小石のように硬くしこり、乳悦に極上のアクセントを加える。吐かれる息は、内面の興奮を示して燃え上がりそうに熱い。 「私はそんな淫らなことを考えてなんて、欲してなんていませんっ。こんなことはやめてほしい――本当にそう思っていますっ!」 「そうか。それなら、やめるか」 やめろとしつこく求めておきながら、いざその宣告を聞くと、サクラコの表情がこわばった。 「いいんだな、やめても。いいんだよな。やめろと言っているものな。じゃあ、もうやめる。やめてやる。やめるぞ? やめてしまうぞ?」 「そ、それはっ」 急速に衰えていくカンナの動き。快感のためではなく、快感の減少のためにサクラコはぎゅっと目を閉じた。ああッ、と悲嘆が喉にねじくれる。膣壁が切なく蠢動しているのが確かに感じられた。サクラコが今何をどのように考えているのか、わざわざ代弁する必要もない。 「や、やめて……やめて――」 声を消え入らせたサクラコは、閉じていた目を開いた。 「やめていいわけないでしょうっっっ♡♡♡」 吊り上がった眉。血走った目。瞳に炸裂する凶暴な輝き。狂乱のあまりに極太の血管がいくつも千切れるぶちぶちという音を、カンナは幻聴した。沸騰する血液の音も、もしかしたら聞こえたかも知れない。 サクラコの体が荒々しく動き、のしかかっていたカンナに今度は自分がのしかかる。姿勢を逆にしたサクラコは、そして、それまでカンナが動いていたように動き始める。ふたたび押しつけ合う超乳と超乳。股間では淫靡な粘音が再開する。 「何をやめようとしてるんですかっ♡ こんなに気持ちいいことをやめるなんて、ありえませんっ♡ しますっ♡ する♡ ヤるっ♡ ヤッてヤッてヤりまくるに決まってんだろっ♡」 敬虔な修道女らしからぬ言葉を吐いて、サクラコは自分の体のすべてを用いてカンナの体を貪る。その貪欲な動きは、乱れた言葉遣いよりもなお修道女らしくない。それも当然だろう。サクラコはもはや修道女ではない。それどころか、彼女はもう本来の意味でのサクラコではなくなっている。 「うお゛っ……やっべ……♡ 神前デカ乳押しつけックスまじすっげ♡ ここが大聖堂とか嘘だろっ♡ 完全に冒涜ファック専用のヤリ部屋だろっ♡」 (変われば変わるものだな) 自分が笑えた義理ではないが、とカンナは思い添える。 「ようやく素直になれたようだな」 返事をする代わりに、サクラコは猛烈なキスでそれに答えた。めくれあがるほど強烈に唇と唇が吸い付きあい、舌と舌とが激しく絡み合う。荒い鼻息が至近距離で混ざりあった。カンナも仰向けのままサクラコにあわせて体を蠢かせた。爆裂的なふたつの豊満体が、その無上の柔らかさでもって互いを甘美に蕩かし合う。 やがて、「ああッ♡」とサクラコがひときわ艷やかな声をあげ、背骨も折れよとばかりに背筋を反らす。その勢いで超乳が、ばるるるんっ♡ と跳ね躍った。乳肌の表面に珠を成していた汗が飛び散った。 「イくっ♡ もう、イくっ♡ 主よ、ご覧ください――ていうか、目ん玉ひん剥いて見ろ♡ 見ろ見ろ見ろ♡ 元!信者の歌住サクラコがデカパイセックスで全力爆イキするところ、ガン見しろこらぁ~~~~~っ♡」 可愛らしすぎる巻き舌の罵声。背徳を極めた絶頂がサクラコの裸身を震え悶えさせる。同時に、カンナもまた快美を味わっていた。体を反らしたまま痙攣を続けていたサクラコは、やがて、「ふぁ♡」と息を漏らして体を崩した。 カンナは汗でぐっしょりと湿った銀髪を指で梳く。 「これでお前も本当に私たちの仲間入りだ。これから、よろしくな、サクラコ。――そうだ。随分と楽しい思いをさせてやったから、お前のことはずっとそばにおいて特別可愛がってやる♡」 低音の効いた声で耳を撫でられ、サクラコは「ひゃ、ひゃいっ♡」と声を裏返して答えつつ牝潮を吹いた。「もう一発ヤるぞ♡」と追加で囁こうとしたその時、聖堂内に悲鳴が響いた。 伊落マリー、という名前は後になって聞いた。 シスターフッドに所属する一年生。その敬虔さと慈愛ぶりは、二年生を差し置いて次の部長候補に挙げられているほどらしい。彼女は、所用で学園外に出たシスターフッドの部員がいまだに帰ってきていないこと、そして、街では奇妙な病気が流行しているという噂があることを報告するため、大聖堂へとやってきたのだという。しかし、そこで出くわしたのは、いつものように祈りを捧げるサクラコの姿ではなかった、というわけだ。 「これは……」 衝撃のあまりに腰を抜かし、床にへたりこんでしまうマリー。 どうしたものか、とカンナは一瞬だけ考え、サクラコの耳に囁きを流し入れた。それを聞いて、サクラコは立ち上がった。彼女は乳と尻とを揺らしながら、マリーに接近していく。 「あ、あなたは……サクラコさま……なのですか……?」 眼前に立った女に、マリーが震え声で疑問符を捧げる。 はい、とサクラコは朗らかに頷いた。 「私は歌住サクラコです♡」 「でも、そのお姿は……それに、そちらの方は……」 「そんなことよりも、あなたには知らなければいけないことがあります」 「知らなければいけないこと……?」 はい、とサクラコは頷いた。 カンナからは見えないが、その顔に浮かぶ禍々しい表情は、「ひッ」と震え上がり、涙を溢れさせるマリーの反応でわかる。あ、あ、あ、と意味をなさない音がわななく唇から漏れ出ていた。失禁して興を削ぐことがなかったのはここが聖域だという意識があったからだろう。信仰もこれくらいの役には立つ。 いいですか、とサクラコは言う。 「悪いことがどれだけ楽しいのか、私が教えてあげます♡」 そう言うなり、サクラコはその超絶的な豊満体で、あげられる悲鳴ごとマリーを押し潰した。鼻息も荒くシスター服を毟り取り、華奢な体にむしゃぶりつくそのさまを、カンナは眺めていた。 黙って見ているだけで、手出しはしない。己の部下を手にかける背徳の喜び――カンナもたっぷりと味わったそれをサクラコから奪いたくはなかった。 繰り広げられる痴態を眺めながら、カンナはそうだと思いつく。つい先ほど、サクラコをそばにはべらせる、と決めた。しかし、何もサクラコに限る必要はない。これまで感染させた女も、これから感染させる女も、すでに誰かに感染させられた女、感染させられる女も――とにかく気に入った女はひとり残らず自分のものにして、いつでも楽しめるよう、手元に置いておけばいい。この自分と一緒にいる権利をやる。そう誘われて断る者は誰もいない、という自信がカンナにはある。もしも万が一断られたとしても、この体を使えば、ノーをイエスに変えることくらいは造作もない。 そうした女たちを加えた新生の公安局――カンナはその頂点に君臨するのだ。つまりはハーレム。自分がそんなものを作ろうと目論むようになるとは思ってもいなかった。 (私も随分とわがままになったものだな) いや、もしかすると、とカンナは思い直した。 (私こそ、ようやく素直になれたのかもしれない) 苦笑いを浮かべるカンナは、マリーの感染によって、ウィルスの感染者数がエピデミック・スレッシュホールド――感染症が爆発するかどうかを決める境界値をとうとう超えたことを知らない。 ■ そして、その翌日。 陽が落ちていく――という表現が当てはまるのは、西の空だけではない。 これまでのキヴォトスが急速に終焉へと向かっていく。今、そこで繰り広げられていくのは感染爆発というよりは暴動に近い。 加速度的に数を増やした感染者たちは、もはや人目も憚らず、非感染者たちを襲い始めていた。彼女たちを守る者は誰もいない。秩序の守護者たるヴァルキューレ公安局はすでになく、その上部組織である連邦生徒会もとうにウィルスに汚染されて、あえて非感染者をおびき出すような誤情報を流しているような有り様だ。各学園の生徒会や自治組織が必死に非感染者を保護しているが、それにも限界はある。やがては非感染者の中から、感染者たちの享楽的な様子に憧れて自ら望んで感染するものが続々と現れて――というのは、しばらく先の話だ。 襲われた生徒がやがては襲う側へと身を転じて、また新しい獲物にむしゃぶりついていく。――たったひとり、尾刃カンナという駒から始まったドミノ倒しは、今やキヴォトス全土へと広がっていた。もはや、そこは生徒たちが青春の物語を紡げるような場所ではない。非感染者にとっては地獄だが、しかし、感染者にとっては天国だ。 そのカンナは、天国と地獄のせめぎあいの中を悠々と歩き、公安局に帰着した。彼女が後ろに率いるのは、昨夜から今日にかけて集め回った選りすぐりの美女たち。その総計は三十名をゆうに超えている。最初のハーレムにスカウトされたサクラコは、後ろに付き従うのではなく、不遜にもカンナと腕を組んで歩き、他の女たちから強烈な嫉妬を買っていた。 豊満体の女たちが牝肉という牝肉を揺らしつつ移動するそのさまは、大津波が押し寄せていくような凄まじい迫力だ。感染者だろうが非感染者だろうがお構いなしに襲っていた飢えた不良たちでさえ、カンナたちに出くわすなり顔色を変えて逃げていった。 「姉御~、お疲れ様っす♡」 そんな魔群を公安局で出迎えたのは、居残っていたコノカたちだった。 かつて堅苦しい空気が張り詰めていた公安局内は、カンナのいない間にコノカたち留守番組の手ですっかり模様替えをされ、ピンク色を基調としたラブホテル様の内装へと変わっている。 「姉御が頼んだアレ、出来てるっすよ」 「そうか。では、こいつらに配ってくれ」 了解っす、と答えたコノカが女たちに配っていくのは新しい公安局の制服――カンナにはべるハーレムの構成員にふさわしい衣装だ。現在カンナが着用しているものと同じ、エナメル製のポリスコスチューム。昨夜、コノカにメッセージで調達を頼んだところ、すぐさま縫製工場に圧力をかけて超のつく大急ぎで量産してもらったらしい。かなりの数を作らせたようで、連れてきた全員に配って、まだ戻ってきていない公安局員たちのぶんを差し引いてもなお、たっぷりと余っている。 それを着込んだ女たちは、コノカに「次はお化粧っすよ~」と促され、それぞれ、毒々しいコスチュームに似つかわしい派手なメイクを己に施していった。飾り立てられる目元。綺羅びやかに華やぐ唇。……文句なしのbimboポリスが次々と誕生していく。 カンナはマグカップを手にその様子を眺めていた。 キヴォトスじゅうを巡り、目についた女たちを次々と公安局にスカウトしてきた。これで十分だ――そう判断して、ここに戻ってきた。しかし、今になって見ると、あの女がいない、あの女もいない、あの女は絶対に欲しいのに――と次々に生徒の顔が浮かんでしまう。 ふ、と笑いが生温くなった焦茶色の水面に落ちる。 「どうしたんすか、姉御?」 自身もコスチュームを身に着け、メイクを施したコノカが首を傾げる。 なんでもない、とカンナは答えた。 「今から名簿を作る。そこに載っている生徒を、ここにいる公安局――新生公安局の全員で手分けして連れてきてくれ。班分けはお前に任せる」 「新しくなっても相変わらず公安局は忙しいっすね~」 やれやれ、とコノカは肩をすくめた。もしかすると、こうなることを見越して大量の制服を作らせたのかもしれない。他の生徒ならばともかく、コノカならばあり得ないことではない。だとしたら、どんな状況であっても、自分の右腕はコノカ以外にはありえないのだろう。そう思うと、たまらない愛おしさがこみあげた。 カンナは一気にコーヒーを干した。カップを置くと、こちらに背を向けて、一団に班割りの指示を出そうとしていたコノカを抱きしめる。 「ちょ、姉御……みんなが見てるっすよ~?」 「知っている。だからこそ、ここでお前を抱きたいんだ」 コノカの首筋にキスを降らせるカンナの脳裏に、つい今しがた笑い飛ばした考えがもう一度舞い戻ってくる。 (やはり私はずいぶんと欲望に正直になってしまったようだ) しかし、神をも恐れぬ欲望こそが新しいキヴォトスを形作っていくことになるのだ。 (了) ―――――― ※本作はリクエストを受けて制作させていただきました。 ※BOOTHにてバックナンバー頒布中です。 https://ringokidjp.booth.pm/