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【冒頭無料部分約10,000字】びゅるびゅる!鷺♡文香のおっぱい日記@個人撮影

「あなた」視点で描かれる、イケメン彼氏とカップルチャンネルで配信をする謎の爆乳マスク美女・鷺♡文香さんのお話です。作品全体には、BSS、面食いバレ、乳首カリカリ責め、鬱勃起、掲示板表現、有料プラン貢ぎマゾ堕ち、タトゥー、好き好き連呼、抱きしめパイズリ、乳イキ等の内容が含まれます。 ―――― 【1】  季節は春だというのに、夜の空気はまだ寒々しい。ましてや、深夜近くともなればなおさらだ。  あなたは背中を丸め、会社から自宅へと帰ろうとしている。疲労のため、顔は暗く陰り、足取りは重々しい。  あなたは会社員――大企業ではないが、さりとてそう小さくもない、中途半端な規模の会社の平社員だ。大学卒業後から勤めはじめて、もう十年になる。仕事は日々増えていくのに、昇進の気配は微塵もない。   過剰なノルマ、長時間労働、ハラスメント行為の横行……文句なしに真っ黒な企業体質に耐えかね、入社したばかりの新人は次々と職を辞している。その皺寄せを喰らい、このところは連日夜遅くまでサービス残業だ。  すでに体も精神も限界に近いが、同僚たちが耐えている手前、自分ひとりだけ逃げ出すわけにもいかない。  とぼとぼと夜道を歩いて到着したのは築三十年を超える古ぼけたマンションだ。  あなたは、神経質な隣人を起こさないよう、慎重に自室の玄関の扉を開け閉めする。自分の部屋に帰っただけだというのに、これではまるで不法侵入する泥棒ではないか、と沈んだ気分がさらに暗くなる。  溜息をつきながら、手探りで部屋の電灯を点ける。  照らし出される室内は散らかり放題だが、どうせ他人を招く機会などありはしないのだから問題はない。数年前までは休日や勤務後に遊ぶ学生時代からの友人たちがいた。しかし、彼らは、ひとり、またひとりと家庭を持ち、疎遠になっていった。  今ではもう、誰とも年賀のやりとりすらない。  結婚したいという気持ちはあなたにもある。しかし、この年齡になるまで異性と交際した経験すらない男に幸せな機会など訪れはしないことも十分に理解している。  服を脱いで浴室に入ったあなたは、シャワーを浴びながら、鏡に映る己の姿を見た。惨めに生え散らかした胸毛、だらしなく弛んだ腹回り、頭頂部から薄くなりはじめた髪、生気に欠けた顔つき……自分がこうまでものの見事な弱者男性になるとは思ってもみなかった。  へへ、と漏れる弱々しい自嘲が何よりも情けない。  浴室を出たあなたは、部屋着に着替える。明日――いや、日付が変わって今日の出勤に備えて一刻も早く眠るべきだったが、空腹で寝付けそうにない。  仕方なく、あなたは夜食を作りはじめる。といっても、電気ケトルでわかした湯をカップ麺に注ぐだけの料理ともいえないものだ。  容器の蓋にプリントされた表記によれば、できあがるまで五分。それまでの暇潰しに、とあなたはスマートフォンでTwitterをのぞく。 『ようやく帰った』『今日も疲れた』と呟いてみるが、数少ないフォロワーの誰からも反応はない。それを残念に思うこともなく、あなたは何の気なしにトレンド――現在数多く呟かれている単語をチェックする。  そこで挙げられている人名が、あなたに眉を顰めさせた。 『鷺沢文香』  漆黒の艶髪と澄んだ目がひときわ印象に残る女性アイドル――性格は内向的で、人と話したり、目を合わせたり、人前に出たりすることが苦手。趣味は読書で、その本好きの度合いは、同じ346プロダクション所属のアイドルたちにもよくからかいのネタにされるほどだった。  プロフィールに記載されているスリーサイズは上から84-54-81――Eカップという公称ではあったものの、その胸の豊かさは到底Eにおさまるものではない、というのがネットユーザーの大方の見方だった。  画像をコンピューターで分析したネット上の識者によれば、文香の乳房はどれだけ小さく見積もっても92センチのHカップ――おそらくは、楚々とした文学少女というイメージで売り出したかった事務所の意向で、逆にサバを読んだ数値が設定されたのだろう、ということだった。  グラビア、写真集、イメージビデオ、ライブ映像、デレポに投稿される画像……文香をオカズにして、あなたは合計で何度自慰に耽ったのだろう。  どれだけ笑顔を振りまかれても、性格が明るく、人づきあいが得意で活発なアイドルに対しては、気後れを覚えてしまう。彼女たちはあくまでもエンターテイメントを提供してくれるタレントであって、恋愛感情の対象にはなりえない。  しかし、内気な文香に対しては、あるいはもしかすると、という気持ちになれてしまう。年甲斐もなく、甘酸っぱい気分にさせられてしまう。  もちろん、自分のような男では、万にひとつも可能性がないことは理解している。しかし、それでも億にひとつの望みを捨てさせない――それは、鷺沢文香というアイドルが有する魔力のなせるわざなのだろう。  しかし、そんな文香はもういない。  先月の初旬、所属事務所である346プロダクションがホームページで文香の芸能界引退を発表した。 『このたび、弊事務所所属の鷺沢文香について、本日付でタレント契約を解除いたしましたことをご報告申し上げます。ファンや関係者の皆様におかれましては、一年にも満たない短い間ではありましたが、鷺沢文香の活動に対して多大なご支援を賜りましたこと、深くお礼申し上げます。なお、本件につきましての弊事務所及び所属タレントへのお問い合わせはご遠慮ください。』  すでに収録されていた番組は順次放映されたものの、別れの言葉ひとつなく、文香は芸能界から消えた。あまりにも突然すぎる引退の経緯について様々な憶測が囁かれたが、普段は事情通を誇る芸能記者すらも今回に限ってはまったく情報を掴めていないと困惑していた。  ましてや、一般人に過ぎないあなたには真相は知りようもない。  興味のない人間からすれば、たかがアイドルがひとりいなくなったに過ぎないだろうが、あなたにとっては砂漠のオアシスが奪われたに等しい。けれども、怒りの矛先をどこにむければいいのかはわからず、苛立ちは募るばかり――。  その文香の名前が、今、トレンド入りしている。  まさか早くも芸能界復帰だろうか、とあなたはスマートフォンの画面をタップする。しかし、次いで表示されたユーザーたちの反応は、答えを与えるのではなく、あなたをますます困惑させるものだった。 『あれ、まじで鷺沢文香? さすがに別人じゃね? 本人だったら常識を疑う。』「鷺沢文香、好きだったんだけどなー。』『鷺沢文香の契約解除の理由わかっちゃったね。』『あれが本当に鷺沢文香だったらコーフンする。ぶっちゃけ嬉しい(笑)』『346プロ箱推しとしては鷺沢文香絶対許せん』  一体何が起きているのか。  何にしろ、よくないことであるのは確かだ。 『これ、間違いなく鷺沢文香だよな。ファンじゃなくてよかった。もしファンだったら死んでると思う。』    という呟きに連ねられているURL――知りたくはないという気持ちを好奇心が上回り、あなたの親指がそれをタップする。  その頭からはもう、もうすぐ出来上がるカップ麺のことは完全に抜け落ちていた。 【2】 『ここから先は成人向けサイトです。  あなたは18歳以上ですか?』  入室の資格を尋ねる問いかけに、あなたはYESと答える。  そのサイトを利用した経験はなかったが、存在自体は知っていた。成人向けの動画を個人でも簡単に投稿あるいは販売できる動画共有サイトだ。  質問に答えて通されたのは、とある投稿者のチャンネルページ――チャンネル名を見て、あなたは鉄塊で胸を押し潰されるような呼吸の困難を覚える。肋骨の内側を心臓が跳ね回り、脈動がうるさい。体中を、血液ではない強酸性の液体が流れはじめたようだった。 『びゅるびゅる!鷺♡文香のおっぱい日記@個人撮影』  チャンネル名にある「鷺♡文香」の文字列――それを目にして、あなたの脳は、当然、♡を伏せ字として判断し、「鷺沢文香」と補完している。  なぜ、こんなサイトで文香の名前が使われているのか。悪戯だ。そうに違いない、とあなたは自分で自分を納得させようとする。  チャンネル開設日は、日付が変わってつい昨日――アイコンの画像や、チャンネルのカバー画像すらもまだ設定されてはいない。投稿されている動画は今のところひとつだけ――『チャンネル開設しました♡』というタイトルのその動画にもサムネイルはなかった。  表示によれば、動画の再生時間はおよそ十分で、チャンネルの有料プランに加入せずとも、無料で視聴できるようになっている。  見る必要などないのに、悪戯に決まっているのに――あなたの指はその動画を再生するために動いてしまう。悪戯であることを確認するだけだ、という言い訳はあなた自身にすらひどく虚しく聞こえる。  震える指が、画面をタップする。  ひどくもどかしい読み込み時間の後、動画の再生が開始された。  場所は、マンションの一室だろうか。  白い壁と灰色のソファを後ろに、一組の若い男女が床に座っている。 「はい、どーも(笑)」  と、にこやかな笑顔を浮かべつつ片腕をあげて挨拶をする男。それにやや遅れて、慌てて頭を下げる女。――興味本位でいくつかのぞいてみたことのあるYou Tubeのカップルチャンネルでよく見た構図と始まり方だ。  映っている男女の距離は近い。物理的に近いだけではなく、親密さが画面ごしにもはっきりと感じられる。 「えー。どーも。初めまして」  と、男が言う。 「俺のことは『彼くん』って呼んでください。彼氏の『彼くん』です(笑) 都内で大学生やってます。二十歳です」  彼くんを名乗るその男は、非常に繊細な顔立ちをしている。  ストレートパーマをあてているのであろう、さらさらとした質感の髪を鮮やかな金色に染め、ぶかぶかのパーカーを着ている彼は、ともすれば女性なのではないかと錯覚してしまいそうだ。まさか化粧はしていないだろうが、スキンケアには気を配っているに違いない。  彼がまとう雰囲気には覚えがあった。それは、学生時代、サッカー部やバスケ部やテニス部に所属していた男子生徒たちのそれ――明朗で、快活で、物怖じしない、今風の表現をするのならば、それは陽キャのオーラだった。  そして、それは反射的に、いつも教室の隅にひっそりと棲息していたあなたの劣等感を刺激せずにはおかない。 「そして、これが――俺の彼女の文香でーす♡」  男が肩に腕を回して抱き寄せた女――漆黒の髪を飾る二重螺旋紋様のヘアバンド、非常にゆったりとしたトップス、濃紺のストール、そうした格好をしてなお隠しきれていない肉体の豊満さ……。不織布の黒いマスクで顔を隠していても、恥ずかしそうに俯いて目を前髪のむこうにしまいこんでも、見間違えるわけがない。  彼女は――鷺沢文香だった。  それを認識した瞬間、衝撃があなたを殴りつける。呼吸はおろか、心臓の鼓動までもが停止してしまいそうだった。  は?  は?  は?  と現実を受け入れられない脳がいくつも疑問符を並べ立てる。鏡を見るまでもなく、顔面が蒼白になっているのがわかった。  ああ、そうだ、と男が言う。 「この子は、あくまでも俺の彼女の『鷺♡文香』なんで、そのへん誤解しないでくださいね。最近引退した某アイドルとはすごくすごーく似てるだけで一切関係ありません。あの子のファンだった人たちは安心してください(笑)」  あえて文香を想起させる服装をさせ、文香と誤読してしまうような名前を名乗らせつつも、彼女は鷺沢文香などではないのだ、と男は主張する。それは、ファンを安心させようとする嘘であろうわけもはく、別人であってほしい、という説なる願いをも面白半分に踏みにじる意図しか感じはしない。 「ほら、文香も自己紹介しよ? ――スリーサイズと、カップ数、あとは俺とどうやって付き合いはじめたのかの説明も忘れないでね」 「は、はい。わかりました……」  こくりと頷いた文香は、カメラに向かって、「さぎざ――ではなくて、『鷺♡文香』です……」と自己紹介をはじめる。その声音も、訥々とした口調も、当然、鷺沢文香のそれだ。けれども、その内容は、ファンとしては、文香が口にしているとは、到底認められないようなものだった。 「私は、学部は違うのですが、彼くんと同じ大学に通う学生で……年齡は彼くんと同じ二十歳です。す、スリーサイズは……一番最近計測した時の数値になりますが、上から96、54、89、でした。ブラジャーは……Iカップのものを使用していますが……窮屈さを感じるので、Jカップ、と言ったほうがいいかもしれません」  言い切った文香は、マスクの内側に、はあっ、と焦げた息を吐く。 「Jカップって(笑) この顔でその大きさは犯罪でしょ」  回した手でたわわな乳房を、むにゅ♡ むにゅ♡ と揉みしだきながら男が言う。薄い布地越しにこねられる乳肉――握りしめられる指の間に盛り上がる様子がたまらなく淫らだ。女は「んんっ♡」と眉を寄せて、身を悶えさせこそすれ、その手を振りほどく素振りもない。むしろ、その美貌は、喜悦に歪んでいるようにも見えた。  しかし、彼女にはまだ言わなければいけないことが残っている。そして、それこそはファンが絶対に聞きたくはない話題だった。耳を塞いでしまいたいはずなのに、あなたは身動きもできず、ただ息を詰めて画面に視線を釘付けにしている。 「彼くんとは……大学の構内ですれ違って……その時に声をかけられたのがきっかけで交際をはじめました」  つまりナンパですね、と男が笑う。 「駄目もとで『これから一緒に食事どう?』って言ったら、文香、即OKしてくれて。そりゃビビりましたよ。え? まじ? いいの? みたいな。食事の後は、ここ――俺の家に連れ込んで朝までエッチしました(笑)」  へらへらという態度を崩さない彼の手は、休むことなく文香の乳房を揉みしだいている。ファンたちが狂おしく焦がれる柔らかな器官へのフリーパスを、恋人である彼は与えられているのだ。  それを眺めるだけのあなたは、屈辱を噛みしめる。彼女は、どうしてよりにもよって、こんな軽薄を絵に描いたような男と――と思わずにはいられないが、その答えはすでに提示されている。  顔――顔面偏差値の高さ。  内面を知りようもない初対面の男に女がついていく理由はそれしかない。  確かに、男の顔貌は、同性であるあなたが驚嘆してしまうほどに美しく整っている。一目惚れしてしまう女がいることは十分に理解できた。しかし、それはあくまでも、ごくごく普通の――どこにでもいるようなつまらない女ならば、の話だ。  文香は絶対にそんな女ではないと思っていたのに――。  男の同類に加えられた不愉快な行為が、あなたの胸に蘇る。真摯さ、実直さ、誠実さ――あなたがこれまで大切にしてきたものは、文香にとっては何の価値もなかった、という残酷な現実が、あなたに突きつけられる。  絶望と呼ぶことすら生ぬるい感情が、脳を蝕み、破壊していく。もう視聴をやめたいのに、どうしても、あなたの身体は動いてはくれない。  交際をはじめたふたり――けれど、すぐに横槍が入った、と男は言った。 「実は文香、学生のかたわら、とある仕事(笑)やってて、その職場、恋愛禁止だったんです。今の時代にありえないと思いません? ぶっちゃけ人権侵害ですよね。――その職場の人間が、文香と俺がつきあってるのをどうやってか知ったらしくて、文香が呼び出し食らったんですよ」  そうだよね、と尋ねられた文香は「はい」と頷く。 「プロデュ――上司に呼び出され……恋人と別れるか、仕事をやめるか選ぶように……と、迫られました。向こうは仕事を続けてくれる、と信じていたようで、私が彼くんを選ぶと答えると……ひどく驚いた様子で……軟禁状態のような形で、長時間に渡って慰留されましたが、それでも私の心は変わりませんでした……」  ファンよりもイケメンの恋人が大切なんです♡  文香は、言外にはっきりとそう言っていた。 「文香みたいな美人にそんだけ好きになってもらえるとか、俺、幸せすぎません? やばいですよねー」  文香を抱き寄せた男は、彼女の頬にキスをする。ちゅっ、という音がひどく軽々しく聞こえた。あなたの目は、口吻の瞬間、文香の瞳の奥に弾けた喜びを見逃さない。 「その幸せをみんなにお裾分けしたくて、今回、チャンネルを開設しました。これから俺たちのイチャラブシーンを撮影した有料動画ばんばん投稿してくつもりなんで、興味のあるひとは有料プラン登録よろしくでーす。結構高額に設定させてもらいますけど……そこは頑張って稼いでもろて(笑)」  ほら、文香からもお願いして、と優しい声で促され、文香は「よ、よろしくお願いします」とぎこちない動きで頭を下げた。漆黒の艶髪が動きに合わせて揺れ、ありもしない薫香をあなたに感じさせる。その幻の匂いすらも、文香に対して感じていたものと瓜二つであることが、胸を掻きむしる。 「パイズリの動画は絶対投稿するんで、期待しといてください。超気持ちいいんですよ、文香のパイズリ――って、俺が仕込んだんですけど(笑)」  男の掌が、それまで以上の大胆さで、文香の乳房を弄びはじめた。Jカップの柔らかさと弾力と体温を、五指と掌で――というよりは、その細胞ひとつひとつで味わい、しゃぶりつくすように、むにっ♡ たぷんっ♡ もにゅん♡ と揉みしだく。 「Twitterのアカウントも開設するつもりなんで、見たいプレイがあるひとはそこにリプください。使用済みブラのプレゼント企画とかもありかなー。やば。倍率えぐそう(笑)」  男の人差し指が、文香の膨らみの頂上を爪で引っ掻く。  ぴくっ、ぴくっ、と上半身を痙攣させる文香――そのたび、彼女の喉奥から「あっ♡ あっ♡」という押し殺した声が漏れた。瞼はうっとりと降ろされ、顔は耳まで真っ赤だ。 「文香、本当におっぱい敏感だよなー」  カリカリカリカリ……と、休むことなく爪で乳首を刺激されながらの問いかけに、文香は腰を悶えさせつつ、焦げた息を連続して吐く。彼女の白い肌にじっとりと滲む汗の香織が、画面ごしに見るあなたにも感じられる。汗だけではなく、押し寄せる牝臭が、あなたの脳髄を完全に痺れさせた。 「す、すみません……」 「別に責めてるわけじゃないから、謝らなくてもいいけど。――文香、俺におっぱい触られるの、好き?」  それは、と文香は苦しげに息を喘ぐ。どこまでも澄んだ瞳をおさめた目は情欲のあまりにうるうると切なく潤み、見るものすべてを吸い込んでしまいそうだ。しかし、彼女が見ているのはただひとり――恋人だけだ。それ以外の人間は、彼女の意識から完全に消え去っている。  文香には、『彼くん』しか見えてはいない。 「――好き、です♡」  男への圧倒的な好意に、鷺沢文香という書物は塗り潰されている。そこに一切の余白はない。今、男への恋愛感情と文香の存在は、完全なる等号で結ばれていた。 「へー。そうなんだ。胸触られたら、誰相手でも感じちゃう?」 「……っ♡ ……ぁう♡ あなただけ、です。あなただからこそ、こんなにも……感じてしまうのだと……思っています……っ♡」  ねちゃあッ、と粘りつくような口調で文香が訴える。  その言葉の内容だけではなく、牡に媚びへつらうその蕩けた顔が、あなたの心をざっくりと傷つける。きっと――初めて『彼くん』に声をかけた時も同じような表情をしていたのだろう。それは、アイドルのファンになるような――文香に心の底から焦がれるような人間には絶対に向けられることのない、真に優れた男に対する女の表情だ。  男の顔が、文香の顔に近づく。  彼の唇を、文香はマスクごしに受け入れた。 「……ふぅっ♡ んっ♡ んふっ♡」  文香の鼻息が、男のそれと混ざりあう。文香の全身が弛緩して見えるのは、錯覚ではない。逞しい牡を、これ以上はなく身近にして、牝の本能がその身を彼に委ねているのだ。  男の指の動きが、激しさと執拗さを増した。 「ふぁ……ああぁ……♡ ……ふぅ、ぅぅぅっ♡」   マスクの内側から、彼の舌使いにあわせて己の舌をまつろわせる。鼻息の荒さが、彼女の興奮を端的に示していた。体から立ち上る牝の匂いが、むんむん、とむせ返りそうなほどに濃くなる。  鷺沢文香が、キスをしている。  しかし、その相手はあなたではない。あなたのような人間が、劣等感を抱かずにいられない『陽キャ』の『イケメン』だ。 「す……き……♡ す、き……♡ すきぃ……♡」  文香の肢体が、不規則に痙攣を見せる。汗を糊にして、額や頬に漆黒の艶髪がへばりついている様子は凄惨な美しさを描いている。 「もしかして、文香、もうイキそう?」 「は、い……」  文香は、小刻みに何度も何度も頷いた。 「イッ……♡ イッてしまいそう、です……♡」  そっか、と男は言う。 「今回は挨拶だけでおわりのつもりだったんだけど、まあ、一番最初だし、視聴者サービスしちゃおっか♪」  肉食獣のような、凶悪な笑みを浮かべた男は、今度は両手の指先を使って文香の乳首をカリカリと責めはじめた。 「ふぅ……あああああっ♡」  単に二倍になったわけではなく、左右それぞれが相互に高めあい、三倍にも四倍にもなった快感が文香を襲う。彼女の喉がそらされ、哀切な声音が絞り出された。  そんな文香の耳に「我慢しなくていからね」「思う存分声出してね」「可愛いよ」「大好きだよ」「愛してるよ」と男が爛れた囁きを流し入れる。  その囁きに促されて徐々に外れていく文香の理性の箍――それにあわせて、彼女の声は、いっそう、大きさと、そこに含まれる切なさを増した。激しい息遣いをするたび、マスクが膨らんでへこんでを繰り返した。 「あっ♡ あっ♡ あああああああっ……♡」  背筋をぐっとそらした文香の体が、今度は激しく痙攣する。彼女が乳首責めの果てに絶頂に達してしまったのは、誰の目にも明らかだ。  ぞんぶんに牝の高みを味わった文香は、ふあ……と全身を脱力させ、男にもたれかかった。  乱した髪を額や頬に貼り付けたその姿の艶めかしさは壮絶のさらに上をいく。あなたは、呼吸をすることも忘れ、それに見惚れていた。 「文香の乳首イキ顔エッロ(笑) 可愛すぎ♡」  男が前髪をかきあげて露出させた額にキスをする。  ちゅ、というその音は男の雰囲気そのままに、どこまでも軽薄だ。  文香は荒い呼吸を喘ぎながら、「あ、ありがとうございます……♡」と微笑みを浮かべ、はうぅ、とひときわ熱い息を漏らした。 「それじゃ、今回はこのへんで。次からは有料プラン向けで投稿していくんで、加入よろしくでーす♪」  カメラに向き直った男の手がこちらに伸び――そこで、動画は終了した。  それでも、なお、あなたは画面に視線を注いだままでいる。  ――何だ、これ。  あらためて、あなたは呆然と呟く。  ――何なんだよ、これ。  その声は、情けなく裏返り、輪郭を震わせている。  眠っているわけでもないのに、悪夢をみている気分だった。  震える指を動かし、確認したこのチャンネルの有料プランの金額は、月額一万五千円――安月給のあなたにしてみれば、結構どころではない高額だ。それだけ払っても、得られるのは、今のような最低最悪の気分でしかない。  だから、絶対に課金はしない。  あなたは、自分自身にそう言い聞かせる。  けれども、同時に、どうしても我慢しきれず、生活費すらも削り、金を作ってしまう未来も見えている。先取り襲ってくる自己嫌悪も自嘲も、あなたにとっては馴染みのものだ。  食べようとしていたはずのカップ麺は、伸び切った上に冷めはじめており、もはや食べ物とは呼べなくなっていた。 ―――――― 続きはBOOTHにて頒布中です。 https://ringokidjp.booth.pm/items/3792097

【冒頭無料部分約10,000字】びゅるびゅる!鷺♡文香のおっぱい日記@個人撮影

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