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躾の家シリーズ ある家具屋にて -鳴島堂、かく語りき- 第1話


閑静な住宅街の中。


そこにひっそりと佇む、年季の入った、

しかしよく手入れされているのが分かる洋風の小さな店。


看板もなく、一見して何の店なのかも分からない怪しげな木製の扉をゆっくりと開ける。



カランコロンカラン…



古い鈴の音が鳴る。


店の中は暗く、暖色の小さな照明で照らされている。

小さな扉に反して、想像よりも中は広く、そして所狭しと大小さまざまな家具が並んでいた。




「・・・いらっしゃいませ。」




奥から涼やかな声が聞こえる。


暗がりから静かに、黒を基調とした衣服を身に纏った女性が姿を表した。




「ああ、お待ちしておりました。」


「ようこそ、鳴島堂へ・・・それでは、奥へとどうぞ。」




外観よりも広い店内の奥、応接室へと通される。


ギシ、と重厚な革張りのソファに腰掛け、暫く待つと女性が入ってくる。



「どうぞ、寒かったでしょう。」


温かい紅茶を差し出しながら、女性が口を開いた。


「改めまして、”鳴島堂”の店主をしております、ミヤビ、と申します。」


「こんな古めかしい家具屋に取材とは、と、最初は訝しく思ってしまったこと、お詫び申し上げます。」


そう言って主人は深々と頭を下げた。


「それで、菅原様の紹介とのことでしたが・・・当店のことはどこまでご存知ですか?」


顔を上げた主人の問いに、ゆっくりと答える。


「・・・なるほど、なるほど。」


「ええ、仰るとおり当店は家具の取り扱いの他に、”特別な商材”を取り扱っております。」


「これは昔から限られた一部の会員様にのみ、ご提供させていただいているのですが・・・そうですね。」


「菅原様のご紹介、また、お客様の個人的な取材という形でしたら、お話させていただきましょう。」


「・・・当店は ”ご家庭でのお子様を躾ける為の道具の製作”や”躾に対する思想や心構え”をお教えすることがございます。」


「昨今の時流からすれば時代錯誤、また行き過ぎた体罰など言語道断・・・とされております故、限られた方にのみ秘匿させていただいている次第です。」


「・・・ここまでで今一度、確認させていただきますが。」


「ここから先のお話やお見せする物に関して、一切の伝聞はお断りさせていただいています。」


「お守りいただけますか?・・・分かりました、それでは・・・。」


コホン、と咳払いをして主人は語り始める。


「先に申し上げました”ご家庭での躾に対する躾や心構え”についてですが、具体的に何を定義しているのか。」


「これは単純明快で、私はお子様の躾には体罰を用いることを是と考えております。」


淡々と言葉を続ける主人。


「とはいえ、闇雲に手を上げたところでそれは躾ではありません。単なる暴力です。」


「体罰による躾は、あくまでお子様に対しての後悔と反省・・・贖罪のために用いられるものです。」


「頭で、心で、理性をもって理解する。それが出来るのならば当然、鞭は必要ありません。」


「しかして。」


主人は言葉を区切り、小さく息を吸う。


「お子様はまだ、それだけで物事を理解するほどに分別はついていない、と考えています。」


「故に、親御様による愛の鞭が必要不可欠・・・という考えを示しております。」


「では、それがどういった体罰なのか?ですが、これも既に聞き及んでいらっしゃるかと思いますが。」


「罰を与える箇所は、下半身・・・主に臀部、お尻へ振るいます。」


「お尻ペンペン、お尻叩き、言い方はご家庭によって様々ありますが、お尻を叩いて躾けることが最も安全で、最も効果的です。」


「脂肪の厚いお尻は人体の中で耐久に適しており、強く強く罰を与えても命に関わることはまずありません。」


「回数や道具によって程度はありますが、かなりの数を叩いても出血の恐れもなく、見た目よりも回復も早いです。」


「先達が言う”教育の丘”という言葉に違わぬ、反省のための部位です。」


主人の言葉を黙って聞き込みながら、恍惚とした表情を浮かべる眼前の女性を観察する。


「しかして。」


再び主人は言葉を区切る。


「昨今のお子様たちは、嘆かわしいことですがお尻を叩くだけでは反省しきったとは言えない現状がございます。」


「故に、罰を与えるのは下半身、と定義しております。お尻の他に、罰を与えるに相応しい箇所が2つあります。」


「ひとつは、肛門・・・お尻の穴です。」


「主立ってはこの、お尻とお尻の穴への罰による躾が肝要かと存じます。」


「どちらも不浄とされる場所ではありますが、愛しい我が子への愛の鞭を振るう親御様へ、感謝の念も忘れずに罰をいただく。」


「それこそが、お子様方にとって必要なことだと、確信しています。」


ふふ、と笑いながら事も無げに主人は言い切った。


「そこで。」


「当店はそんな親御様のために、躾に用いるお道具を拵えさせていただいているんです。」


「例えば、お尻を叩く為のお道具であったり、暴れないようにお子様を拘束する台座であったり。」


「大小様々ではありますが、それぞれのお子様の特性に沿う、完全オーダーメイドでの制作です。」


「お客様方には、決して少なくない額を納めていただいていますから、ご希望に添えるように誠心誠意、徹頭徹尾こだわらせていただいています。」


「・・・あら?」


主人はそこで、ふとこちらの表情を伺う。


どうやら疑問に思っていたことが顔に出ていたようで、主人はそれを察して微笑んだ。


「ああ、もうひとつの躾のための場所、ですか?ふふ、お察しのとおりかとは思いますが・・・。」


「そうですね、ここからは当店のお客様のお話をさせていただきましょうか。」


「・・・ええ、お名前は伏せさせていただきますし、取材に応えることはそのお客様にもお伝えしておりますので。」


「ちょうど、今話していたようなことを等々とお教えしたこともありました。」


「そのご家族は、お母様とお嬢様、そしてお坊ちゃまの3人。」


「定期的にお嬢様とお坊ちゃまの躾のお道具を新調されるために、ご家族揃ってご来店いただくんです。」



主人は笑みを浮かべたまま、その”とある家族”についての話を始めた―――。



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「躾の家」番外編 新シリーズです。全4話程を予定しております。

躾の家シリーズ  ある家具屋にて -鳴島堂、かく語りき- 第1話

Comments

これは楽しみ(´ω`*)

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