平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
家へ帰るため夜道を歩いていると、街灯の下、バニースーツの少女が光に照らされていた。
「こんばんは~、哀れなうさぎちゃんでーす♪」
セリフとは裏腹に、満面の笑みで話しかけてくる。
「お月様から落っこちてきちゃったの! 帰るには結っっっ構~な交通費が必要なんだ~」
そういってこちらに手を差し出す。
こんな夜中に少女が一人きりで家に帰れないとは由々しき事態。
どれくらい必要なんだろう? 尋ねてみると・・・
「う~ん、栄一さん5人くらい?」
笑顔でさらりとすごい額を提示してきた。
普段なら持ち合わせていない金額だが・・・
今日は同人イベントの帰り道。幸い実弾の用意があった。
「お金はこちらにお願いしまーす♡」
おしりのしっぽをふりふりと揺らす。ファスナーが開いていて、すでにかなりの栄一が入っているようだが・・・
残念ながら自分には栄一が一枚もない。
しかしイベントで使わなかった500円玉が100枚あるのだった。
とりあえずコインケースに入っている50枚を一気に入れてみた。
ずしっ!!!
「きゃあ!?!? えっ、ちょっ・・・な、何入れてんのよ!?」
何ってそれはもちろん、頼まれた交通費を・・・
残りの50枚はばらばらで財布に入っていたので、少しずつ入れていく。
ちゃりん、ちゃりん・・・
ずしっ、ずしっ・・・
500円玉を入れるごとに重みで揺れるしっぽ。
自重でずいぶん垂れ下がってきたようだ。
少女は何やら顔を真っ赤にしながら体を震わせている。
こころなしか汗ばんでもいるようだ。
・・・なんだろう、理由は不明だが怒らせてしまった?
とにかく急いで残りの500円玉を入れてしまおう。
・・・ちゃりん!
最後の一枚を入れた瞬間――
どごぉ!!!
顔面にグーパンが飛んできた。
そして文字通り脱兎のごとく走り去る少女。
「チッ、これだから硬貨は!!!」
そんな叫び声が聞こえた気がした。
うさぎの脚力はかなりのものだ。
そのうえ少女はハイヒールまで履いている。
しかし少女から飛んできたのは蹴りではなくパンチだった。
それは少女なりのやさしさだったのかもしれない。
こぶしのやわらかさとぬくもりを思い出しながら、再び家へ向かって歩き始めるのだった。
それではまたお会いできる日までごきげんよう。
高機動型まりもん
2025-10-02 03:13:56 +0000 UTCせはや
2025-10-01 14:48:07 +0000 UTC天魔銀
2025-10-01 10:34:27 +0000 UTCはぐ
2025-10-01 00:26:32 +0000 UTC虹斯林
2025-09-30 20:33:50 +0000 UTCゼンマイうるふ
2025-09-30 17:03:07 +0000 UTC