崩れたビルの影、瓦礫に覆われた大通り。
昼の陽光が瓦礫の隙間から差し込み、舞い上がった土埃を黄金色に照らしていた。
その中を駆け抜ける二つの影。
黒い人型魔獣と、革ジャケットに身を包んだ少女──ナツキ。
「はああっ!」
鋭い蹴りが土煙を裂き、魔獣の腹部に突き刺さる。
衝撃で黒い巨体がわずかに揺らぐも、鉄壁のような皮膚が衝撃を吸収する。
「硬いっ……!」
ナツキは歯を食いしばり、次の瞬間には拳を振るう。
だが黒き巨腕が迎撃に迫り、拳と拳がぶつかった瞬間、爆音のような衝撃が廃墟を震わせた。
瓦礫が崩れ落ちる。
舞い上がる粉塵に包まれ、視界は霞む。
「まだまだっ!」
ナツキは迷いなく踏み込み、狭い路地を跳び越えながら回し蹴りを繰り出す。
黒い獣もまた咆哮を上げ、全身をしならせて応じる。
昼の空の下、崩壊した街の残骸で、
人と魔の肉体がぶつかり合う音が木霊していた。