水無瀬キョウが変身したセラフアズールは、一人戦いに赴いていた。
一般人から、サイボーグ化された犬が多数出現し、周囲の人間を襲っているとの通報があったのだ。
しかし相手は今までの怪人たちとは違う周到さを兼ね備えていた。サイボーグ犬を従えていたのは同じく犬型の怪人だったのだが、それはここら一体に電波障壁のフィールドを張り巡らせてアズールを孤立させた。
そのうえでサイボーグ犬を従え、一糸乱れぬ連携で攻撃を仕掛けてくる。
それでも、最後はアズールの力が上回った。
「はぁ、はぁ……」
ボロボロになった犬型怪人は壁際で倒れ込み、その背をかろうじて壁の垂直に預けている。その鼻先にはアズールの切っ先が突きつけられ、先頭部をちりちりと焦がしていた。
「とどめを刺す……!」
「くくくっ……!」
「!?」
「ギャハハハっ!!」
「何を笑っているの……?」
突然の哄笑に面食らい、アズールの動きが止まる。
「間に合ったなあ……ほれ、後ろを見てみな」
犬怪人への注意は向けたまま、半身で後ろを振り向く。
「……!」
そこには十人ほどの一般人がサイボーグ犬に取り囲まれている光景があった。
「戦いの最中、数が減ってたのに気づかなかったか?」
確かに、何体かサイボーグ犬を仕留めてから急に攻撃の手が緩まったように感じていた。
「お前が予想以上に強かったもんでな……それで何よりも大事な民衆の皆様をここにまで追い立てさせていたのよ」
「卑怯な……!」
「その手の罵倒には慣れっこなもんでねえ、さあ、剣を引きな!」
「くっ……」
アズールは光剣を引っ込めて、犬怪人を悔しげに睨む。
「さあて、随分と痛めつけてくれたじゃあねえか」
ボロボロの割には犬怪人はすっくと立ち上がる。そしてー
ズンッ!
「あぐっ……」
腹部に痛烈な一撃を受け、アズールは昏倒したのだった。
戦闘が終わり、人々はある程度の平穏を取り戻していた。
姿が見えない者もいたが、戦闘の後はだいたいいつもそうだ。
大体はどこかへ避難していて戻ってくるのが遅れていたり、あるいは戦いの犠牲になっていたりで、今更そんな事を気にするものはいない。
しかし今はそれより、街中に突然現れた異様な光景が、彼らの中に緊張を走らせていた。
「う、ぅ……」
首輪をつけられた女性が、犬怪人にその手綱を握られ、四つん這いで歩かされていた。
それはセラフアズール……水無瀬キョウその人であった。
キョウの変身は解け、今はもはや力なき一般人に過ぎない。
彼女は人質を取られ、この首輪をつけられていた、人質はとある倉庫に閉じ込められ、犬怪人の命令一つで始末される定めにある。
「あの制服は……」
民衆の誰かがそう呟く。
引き裂かれ陰部と胸部を露出した状態だが、キョウの着用している制服はかつてこの付近にあった学校のものだ。
(知っている人がいるかも知れない――)
キョウは人々に見られまいと必死に目を背ける。
「み、見ないで……」
民衆の蔑み、憐れみ、そして情欲が入り混じった視線が刺さる。
「へへっ……どうだ? 人間様が犬扱いされる気分は」
犬怪人の嘲る声が頭上から響く。キョウは唇を噛み締め、涙が零れ落ちそうになるのを必死に堪える。
周囲の人々の視線が痛い。守るべきものから向けられる冷たい冷え切った目が、今日の心を虐げる。
犬怪人はキョウの首輪の鎖を乱暴に引き上げた。
「あぐっ……」
「見ろよ、あいつを」
その視線の先には一匹のサイボーグ犬がいた。他のサイボーグ犬とは明らかに違う。その下半身からは通常の犬とは思えない異様な形状のペニスが生えている。
「お前の"パートナー"だ」
キョウの心が一瞬で凍りつく。その言葉の意味を理解したくなかった。
「やめて……そんなこと……」
犬怪人は下卑た笑い声を上げる。
「ヒヒ……あいつはいいぞぉ、すぐに良くなってきてアンアンって喘ぐことになるさ♥」
首輪の鎖が引かれ、キョウはサイボーグ犬の方へと引きずられていく。
「お願い……やめて……」
サイボーグ犬も近づいてくる。その目には知性の欠片もなく、ただメスを見つけた情欲の炎だけが燃えていた。
そしてサイボーグ犬はキョウの上にまたがると、その猛々しい肉竿で彼女の秘所を一気に貫いた。
ずぶ、ううううっ!!!
「あぐっ!? う、あああっ!?」
キョウの身体は痛みでひどくこわばった。
「グハハっ! どうだ、獣にヤラれた気分は……ん? どうやら処女じゃなかったみたいだな……あどけない顔してやることはやってるなぁ?」
そう言って犬怪人が嘲る。確かに処女ではないが、それは望んだものではない。それを淫売かのように言われるのは屈辱でしかなかった。
そんなキョウの思いとは別に、サイボーグ犬が荒々しく腰を動かし始める。
ずぼっ、ぐちゅっ!!
「ひっ! ああっ! やめてぇ!」
しかしサイボーグ犬の動きは止まらない。それどころかどんどん加速していく。キョウは激しく揺さぶられながら涙を流した。
「んっ! くうっ……んっ……! いやっ……抜いて……! くぅっ! ああっ! あああっ!」
涙混じりの声で訴えかける。しかし犬怪人は楽しそうに笑うだけだ。
サイボーグ犬のピストンは荒々しい。腟内を蹂躙され、最奥をゴツゴツと叩かれる。
「あひ、あ、ああっ!」
全くの未経験ではないゆえ、快楽の兆しを感じないわけではない。しかしこの異常な状況と、相手のことを考えない獣の性交に、キョウにあるのはただ苦痛のみだった。
「んぐっ、あ、ああグっ!!」
「んー、どうも反応が悪いなあ、オイッ!」
犬怪人が一つ呼びかけると、サイボーグ犬の動きが変化した。
ゆったりと、じっくり膣をねぶるような動きに変化したのだ。
「あ、ああっ!?」
キョウはゾッとした。苦痛が弱まり、快楽信号がぐっと高まってきたからだ。
(こ、怖いっ……いやぁ……)
凌辱されても、快楽に敗北したのでなければまだ人として最低限の尊厳は保たれよう。
しかし、そうでなければ……しかも相手が獣であれば、それは人間として決して受け入れがたいことであった。
「いやいやいやっ! やだっ! あ、ああっ♥」
キョウの声に甘い響きが交じる。それはまさに嬌声であった。周囲の人間もそれを感じ取り、各々顔を歪ませ、あるいは顔を背けた。
そしてついにその時が来た。サイボーグ犬の動きが激しさを増し限界に達しようとしているのだ。
「いやっ! 駄目っ! それだけはっ!? 抜いてっ! だめぇえええええっ!! あ、あああああああ♥」
どぷどぷどぷっ……! びゅるっ!!!
「あっ!? ひっ……熱っ……! んっ……あああああああっ!!♥」
熱い精液が膣内に放出されていく感覚。それがキョウの思考を真っ白に染め上げていく。そして同時にキョウ自身も絶頂を迎えてしまっていた。
「おお~出た出た……! これで立派なメス犬の仲間入りだな! どうだ? 気持ちよかっただろ?」
犬怪人の声が聞こえるが今のキョウにはもう何も考えられなかった。ただ呆然と虚空を見つめ続けるしかできない。
そしてサイボーグ犬はくるりと身体を反転させた。
そう、犬の交尾は射精のあと、男根の根本を膨らませて蓋をする。しっかりと自分の精子が相手を孕ませるために……。
「んっ……くぅぅ……んん……あ…♥」
どくんどくんと、膣壁越しにペニスの脈打つ鼓動が伝わってくる。その度に熱い精液が注入され、キョウは鼻を鳴らした。
その表情には僅かに恍惚としたものが浮かんでいる。
そんな様子を見て犬怪人は満足げに笑みを浮かべる。そしておもむろにキョウの髪を引っ掴むと、ぐいと持ち上げて周囲を見渡させる。
「へへ、すっかりメス犬だなぁ……見てみろ、お前が守ろうとした人間が、どんな目でお前を見ているか」
周囲の人間の目は、もはや憐憫を宿していない。獣と化して性交に興じるメスへの、侮蔑の色だけだ。
「ああ……あ……」
「これからが楽しみだ……お前を完全に屈服させてやるぜ」
犬怪人はそう言うとキョウの髪を手放し、鎖を再び引いた。
キョウはもはや抵抗することなく、ただ引きずられるがままに歩みを進めるのだった。しかしそれでも、これがヒーローとして取れる最善の選択だったと信じて……。