諜報員の男は絶望と共に立ち尽くしている。
逃げ出したいが、妙な映像を見せられて以来身体は一切動かない。
それは現状を理解するにも、覚悟を決めるにも十分すぎた。
だが、その覚悟は所詮表側の世界のそれだ。ここは裏側。軽率な行動の代償は、より重い。
P1
「さて、映像は見終わっただろうか」
「身体の操作権限を失った気分はどうだね?」
「敵の諜報員である諸君らは別の場所で働いてもらう事になった」
P2
「このスーツを着せられれば気づくだろう?」
「諸君らはここであの存在に生まれ変わる」
「どんな役割かは……知っているだろう? なにせ、必死に調べていたのだから」
P3
「愚か者が個性を失う。この瞬間はやはり素晴らしいものだ」
「諸君らには管理タグは装着しない」
「ここから出れば他の男たちと同じく、『群れ』単位での管理が始まる」
「素晴らしい経歴や技能を持つ諸君らだが、それを認識できる者は居なくなるというわけだ」
P4
「「「…………」」」
「これで諸君ら二十人は表の世界から消えた」
「これからはその拘束スーツを着て組織に尽くす第二の人生が始まる」
「ディルドを咥え続け、歩くだけで前立腺が刺激される人生だ」
「では、第二百三十三期のロットは外へ。群れの先輩たちが待っているぞ」