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『仲良し』になっていく空手道場  異能によって変えられる師範代と私




報告書

観察対象名 ―長谷部明―

能力名 ―仲良しつなぎ(仮称)―

被害規模 ―道場および周辺の街3エリア―

対応  ―捕縛および能力の抹消―




長谷部 明は物心ついた頃から今日に至るまで心から不幸だと感じたことはないのだという。

家では優しい両親に囲まれ、学校では楽しい友人、習い事の空手教室の師匠は憧れの対象。何一つ不自由しないとまではいかないが、毎日笑って過ごしていた。


彼の世界は常に穏やかで、争いや諍いなど遠い創作の世界の話だと思っていた。

彼は周囲の優しさに甘えすぎることなく、人に親切にすること、仲良くすること、機嫌よく接すること。それを常に行い、徹底していた。


彼はどこにでもいる善良な市民であった。

過去のどの情報を照らし合わせても、これは間違いのない事実だ。



しかし事態はそれから数年。彼が引っ越しと転校、そして新たな空手道場を経験したことより急変する。




「気合が足りん! 打ち込みのときには、腕ではなく下半身にも意識を向けろ!」


引越し先で新たに通い始めた剛真流空手の師範代は、そのような熱気溢れる指導を繰り返していたのだという。

当時まだ30代の師範代は威厳を出すために髭を蓄え、短く刈った頭髪に太い眉毛の威圧的な風貌をしていた。


彼には教え子立ちをより強くしなければという使命感、言い換えれば焦りのようなものがあった。

そんな中で、恵まれた体躯を持ちながら闘争心に欠け、実力を発揮できていない明のことが惜しくなったのだ。


「いいか、俺はお前のことを憎く思っているんじゃない、むしろ逆だ。俺はお前の可能性はこんなものだとは思ってないんだ」


そんなことを言われても、当時の明にとって居残りの特訓や、マンツーマンでの組手は、苦痛でしかなかった。

そもそも両親の勧めがあったから通い始めた空手教室だ。これほど本格的な道場に通いたいとは思っていなかった。


不満はそれだけではなかった。同時期に転校した学校では親しい友人が消え、いじめとまでは言わないがグループからあぶれることが増えた。

教師も前ほどは気にかけてくれることはなく、特に担任である体育教師は自分と性格があうリーダー格ばかり贔屓するような男だった。


彼の完璧な世界は脆く崩れ始めた。

そこで明が抱いた感情は、怒りや不満ではなく疑問だった。

どうして彼らは人を愛し、親切にし、仲良くしないのだろう。

それは非効率に思えたし、不可解に感じた。


「お前が俺にいい感情を抱いていないのはわかる。ああ、憎んだっていい。だがな、目に見えてお前の体や技術は変わってきている。今この瞬間が一番伸びる時期なんだ、男が強くなるには、こういうときも必要なんだ!」


ある日、居残りで特訓を受けながら彼は師範代にそんなことを言われたらしい。

それは明にとって見当違いも甚だしいと感じた。


この厳しい鍛錬や居残りは嫌いだったが、師範代のことを苦手だとか憎いなどと思ったことはなかった。

ただ不思議だった。どうしてもっと親切にしてくれないのか、言葉を柔らかくしてくれないのか、相手の気持にたって考えてくれないのか。そればかり考えていた。


「見てみろ、この手を。俺はお前くらいの年齢の頃から――」


そういって師範代は掌を広げ、明に見せつけてきた。

空手によって鍛え抜かれた男の手は分厚く、汗ばんでいて、そして力強かった。

明らは師範代が苦手ではなかった。おそらくこのタイミングで、彼は自分の性の対象を自覚したと思われる。


「わかるか、お前も鍛えればきっとこうなれる。いや、俺を超えて強くなれるんだ」


そんな言葉を聞きながら明は師範代の手に自分の手を重ねた。

自分よりずっと力強いその指を味わうようにして絡めた。師範代はその動きに対しておそらく疑問を持ったことだろうが、自ら差し出した手を引っ込めることもせずに受け入れた。


そうするうち、二人の指と指は絡み合い、いわゆる恋人繋ぎと呼ばれる形になった。


変化は急速に訪れたという。


「あ」

明の目の前で師範代の顔つき、表情が和らいだ。

「なっ、え…………」

髭に覆われた口から驚いたような声が上がり、分厚い胸板が膨らみ、萎みを繰り返した。その中にある心臓が強く激しく脈打っているのがわかった。


「でも、俺こんなふうな手になる自信ないよ……」

明は本心から弱気の言葉を伝えた。

そういうことを言うと決まって「お前は自分のポテンシャルがわかってねえんだ」などといった事を言われてきた。

だがその日は違った。その日からは違った。


「あ……いやまあ、そんな無理にすることはないな」

それまでの剛直で、一本筋の通った主張をまるでなかったかのように変えて、師範代は穏やかに続けた。

「人には向き不向きがあるもんな、いや、俺も焦りすぎた。お前には、お前のやり方があるよな」

それは明が望んでいた言葉であり態度だった。

気がつけば彼は明のよく知る「やさしい笑顔」を顔に浮かべていた。


その時初めて明は己が『異能』を持っていることに気がついた。

コレまで家族も医師も気が付かなかった異能、その発動条件とパワー。今まで彼が親しくしてきた人々は、こうやって手を繋いできたことを思い出した。


『異能』のことはテレビや学校で習っていが、彼はその力を恐ろしいものだとはおもわなかった。抑えるものだとも思わなかった。

人を傷つけたり、誰かを怯えさせたりする力はない。ただ人を親切にするものだと考えたのだ。


「師範代?」

「ああ、どうした」

「これからは俺達、もっと仲良くなれますよね」

「ああもちろんだ」


手を握りしめ、互いの肌から分泌された汗と汗が交わる。


二人の人生はこの瞬間から永遠に変化した。

能力の影響を受けた師範代だけではなく、行使した明自身の思考や欲望も変わった。

自らの能力の自覚による変化。覚醒してしまったものに起こる

自覚は彼の人生と思考を永遠に変えた。


「師範代は、俺にもっとこうしてほしいことってありますか? 修行以外で」

彼は自らの欲求を伝えるために、師範代の欲を尋ねた。


「それは……特に思いつかねえな。お前はどうなんだ?」

「俺は…………」


そうして絡めていた手を解き、師範代の逞しい胸板へと伸ばした。


「こことか触ってみてもいいですか」

「なんだ、勿論いいぞ」


彼は大人の、それも男性の肉体に興味があった。それは単なる関心を超えた、強い欲望であった。今まで無意識的に封じていたものが、叶えられるとわかり我慢できずに溢れ出したのだ。


「触るって、やはり筋肉を確かめたいのか。そうかそうか、まずは知ることが大事…………だ、からなっ、ああ……」

師範代は何も迷うことなく自らの道着の胸元を開いた。その『親切』に遠慮なく明は飛び込んだ。

「わあ……」

初めて触る鍛え抜かれた肉は、その分厚い先にある心臓の脈動までも伝わってきた。


興奮している。

そうでなければありえない感触だ。


「もっと……触っていい?」

明は尋ねた。なにかしたいときがあるときには、きちんと合意をとるというのが彼の中のルールだ。

「ああ、どんどんいいぞ」

そして当然のように師範代は受け入れた。


「まあ減るもんじゃないしな」

そこにはなんの抵抗もない。より仲良くなるには、そのほうが良いと頭が判断していた。居残りの特訓のことはその後だ。優先順位が違う。目の前の明が願いを叶えて、仲良くなってからすればいい。

師範代は心からそう思っていた。


「よかった、じゃあ…………。うわ、すごい……師範代のここって、すっごい分厚いね」

「んぐ……ふぅ……そうか、そうだろ……」

明は手で、そして口で男の逞しい胸板を味わった。汗臭い男の体が、明の中に眠っていた欲望を叩き起こす。


「ああ……そ、そうだな、俺のここはデカいぞ」

師範代のその言葉は胸板の厚みのことをいっていたのだが、明は別のものと誤解した。

「え、じゃあ触ってもいい?」

明は師範代の下半身を見つめて、道着に隠れたそこを指さした。


「あ…………ああ」

師範代の性的指向は女性にのみ向けられていたものだったが、明の願いや提案は別だった。


なぜなら彼らは――

「俺達は、もっと仲良くならなきゃいけないんだもんな」

「そうだね、うん」

師範代は厳しい顔で力なく笑うと、自ら腰を突き出した。

「お前も勃起しているな、どうだ、俺のと比べてみるか、ほれ……!」

より仲良く、親しく、そして互いを思いやりたい欲求に突き動かされていた。



「じゃあ師範代、下だけ脱いでもらうのって、いいかな?」

「少し恥ずかしいが、他に人もいないからな、いいぞ」

「じゃあじゃあ、師範代の口とキスもしていい?」

「キスか、男同士なんてやったことないが、それでもいいなら構わねえぞ」

「師範代のおしりも触りたいんだけど」

「あーよしよし、そんなことガンガンやっていいぞ。代わりに俺もやらせてもらうからな」


誰もいない道場の中で、二人の男が互いに手を伸ばす。

硬派な道場の中、いかにも自分を律してきた姿をした師範代が教え子と甘やかなキスを繰り返す姿は見る人が見れば異常な姿だ。

「んん…………ふぅう…………ッ♥」

だがそこにいる二人にとっては、それは初めてのキスのロマンティックで心穏やかな時間であった。

「ああ、男となんて初めてだけど、別に……お、お前なら、いいな」

男相手にキスをするのは初めて同士であり、ぎこちなさと照れもあってか随分長く掛かった。


「師範代、すっごいエロいね……どうしよう俺、なんかすごい、もっと、もっとしたくなってきた」

「あ、ああ俺もだ……こんなに胸が熱くなるのは最後の女以来の……いやもっと、こんな……こんなの……」

「こんなの?」

「こんなの初めてだ……」

「じゃあ俺とおんなじだ」


そういって二人は顔を見合わせて笑いあった。まるで長年愛し合った恋人同士のように、それはそれは仲睦まじい美しい姿だっただろう。彼らの関係が変質して、数分しか経っていないことを考えなければ。


「すっげえ、師範代のチンポ、ガッチガチだッ、道着がベチョベチョになってる」

「おぉぉ♥ お、お前こそ、さすが若えだけあるな……♥ み、見事なその……チンポじゃねえか♥ おぉぉ♥」


師範代はいやらしく笑いながら、明の上にまたがった。

童貞である明を「指導」するように、「こうすると気持ちいいぞ」だとか「男同士はわからねえが、セックスってのはこうやるんだ」と見せつけた。


そのまま挿入には至らなかったが、二人は夜通したっぷりと時間を掛けて愛し合った。

師範代は明とチンポを重ね合わせて、派手に喘ぎながら腰を振った。


「ああ……♥ やっべ、こんなに気持ちいいのは初めてだ♥ すげ、すげえ俺がイくとこ見とけよ、見ててくれよ♥ あー…………すげえ、出る、出る、お前と一緒に出るッ♥」

と語りながら、大きくのけぞって射精した。

勿論道場内で射精するのは初めてだったが、それはもうたまらなく興奮したのだという。

この言葉も、一語一句間違いなく記憶しているそうだ。脳が特別な思い出として、どんなものより優先して残したのだと彼は言っていた。





それから二人は、表向き彼らの関係に変化はさせないままその交流を深めていった。

最初は居残りの訓練の時だけにとどめていたが、すぐにお互いに我慢ができなくなって夕方の時間にも交わりたいと思うようになった。


「師範代、俺ね、指をこうやって絡めたら、その人と仲良くできるんだけどさ、ほら、師範代にしたみたいに」

ある日、明は師範代に対して自分の能力を伝えた。

「ああ、そいつはすげえな♥ それで俺はこんなに、いい気分なのか…………♥」

師範代は自らがその能力の影響下にいることを理解し、そして感嘆した。

不快ではなかった。この力のお陰で、自分は素晴らしい恋人とセックスに出会えたのだ。


「つまりそれを、俺以外の道場の門下生にも使いたいってことか?」

そして、次の要求を先回りするように理解した。

この道場にいる人間が次々彼と仲良くなれば、二人の付き合いは公然のものにできる。この道場でいつでも二人、好きなときにまぐわう事ができるというならば、それは是非とも推し進めるべきだと本心で思った。


「うん、やってもいいかな?」

「ああ俺も協力しよう」


父から受け継いだ大切な道場、そして預かっている門下生。その長く守ってきた伝統と責任と、できたばかりの恋人の要求。

師範代は二つを天秤にかけて、一秒たりとも悩まず恋人を取った。

それは別に悪いことではない。

皆もっともっと明と仲良くなれればいい。そうして自分との関係も深まればいい。


「繋げばいいってことだな。まあ俺が指示する形のほうが自然だろうから、今日から早速始めるぞ」

「ありがとう! 師範代大好き!」

「よ、よせよ、当たり前のことをしただけだろ♥ 大げさなヤツだな……♥」




そうして道場はその日から、事実上明の支配下に置かれた。


彼はそれから数日で、道場に通う門下生、果てはその家族。

そして師範代の父……つまり師範までもその『手』に収めた。


一気に増えた親しい人を把握するため、明はそこで初めて彼の中の仲良しグレードを設定した。


『恋人』3

『親友』4

『特別な友人』11


彼はその道場内の人間をそう定めた。

勿論全員合意のうえだ。

特に恋人となった師範代、師範、そして父兄の一人はお互いに顔を合わせて明の前で絡み合うことで、彼ら同士も恋人となることした。


明にとって愛も恋も独占するものではなく、より広く楽しくシェアすることこそが美徳であった。

明はなにも奪ったりはしないと決めていた。

ただ、自分や他人が不快に思うことを禁じて、より広く深く交流を深めて、お互いに笑い合うことを願った。

それは順調に叶っていった。



「それじゃあ始めるとするぞ」

「押忍!」

「はい!」

「ああ!」

恋人が四人集まったら、それは昼であれ夜であれ、より仲良くなる時間だと決めていた。

道場内でこの4人が恋人であることを知らないものはいない。

そして、それを揶揄したり、批判する人間もいない。堂々と道場の隅で、時には中央で、四人は裸になったり道着を上だけ着た状態で絡み合った。


空手で鍛え抜かれた肉体を持った男二人と、息子の付き合いでやってきただけの少し腹の出た父。そして明。

年齢も体格もバラバラの四人で、道場の中で『仲良く』口づけしあい、尻を揉み、チンポを舐め、いやらしい喘ぎ声をきかせあった。


「孥押ぉぉおッ、たまらん、ケツが、ケツが感じる、お前の舌でほぐされて、ケツがふやけちまう♥」

「きょ、今日は俺からヤってくれ、お前に掘られるの、俺もう大っ好きになっちまったんだよぉ♥」

「わ、私のチンポを味わってくれぇえ、もう3日もイかずに我慢した、イカ臭チンポと愛しあってくれええ」


三人は他の三人と絡み合いながら、それでも最愛の明に対してアピールにも余念がない。

ケツを見せつける60代の師範。

明の最初の恋人にして、すっかり開発されきった師範代。

道場内で最も巨根の性豪であり、今は完全に明専用のオナホでありディルドになった男。



師範の性格は随分気難しい男だったが、あまりにも見た目が明の好みであったために恋人になった。もう二度と怒鳴らないと約束し、それは今日に至るまで破られていない。

そのおかげで道場はより人が増え、豊かになっているのだという。

もう一人、唯一父兄から恋人に選ばれた男は子供を三人持っていたが、彼もまた明にかまけて家庭をないがしろにするようなことはなく、むしろ今まで以上に大切にするようになった。道場に通うようになり、より健康的になり明や師範達とセックスをするようになった。それはなにも減らさず、ただ歓びが足されただけの素晴らしい日々だったという。


こうして人々は決定的に変質していながらも、生活や性格事態が変貌することはなく、ひたすらに穏やかに日々は過ぎていった。

長谷部 明が異能保持者であることの発見が遅れたのは、こうした事情によるものである。


あるいは、捜査員が過去にこの道場を調査した際、その影響を受けている可能性はある。

明は必要以上に能力を広めようとしていない。ただ黙っていることを仲良しの条件に加えられていたということはあるだろう。私のように。



「仲良くすることに、なんの問題がある」

「ああそうだ、俺達だって、この道場の人間が仲良くなって毎日幸せだぞ」


師範と師範代は二人肩を並べ、よく似た二つの顔でこちらを見つめながらそういった。

この話の大半は彼らの証言によるものだ。彼らはそれを当然のような口ぶりで語っていた。


しかし、異能によって思考や性指向を変えられているのは問題ではないだろうか?

私がそう尋ねても、どうにも理解できない様子で太く雄々しい眉を歪めた。

「確かに儂ら親子は変えられたが、人間生きていれば変化などするものだろう」

「別に強引にヤられたわけでもねえし、嫌だと思ったこともないからな」



しかし今私が受けているのは拉致監禁に類するもので、私の自由を侵害するものではないか。

私がそう伝えると、彼らはやはり悩ましげに顔を歪めた。

「しかしお前はこそこそとうちの道場に侵入して、あまつさえ個人情報を調べたのだろう?」

「それにただ捕まえたんじゃなく、お前の知りたい情報を儂らはちゃんと教えてやったであろう」

「ああそうだ。俺なんか結構恥ずかしいことまで……ああ、ここでいう恥ずかしいっていうのは、感情の話であって俺がやってきた行為が恥ずかしいってことじゃねえぞ、全部大切な思い出だからな」

「ハハハ、そんなことは言わなくても、こちらさんでもさすがにわかっているだろう!」


彼らは私を見下ろしながら、彼らなりには筋の通っているのであろうことを言っていた。

その顔はまったく怒りなどはなく穏やかそのものだ。

言葉も理論もわかる、だが決定的に話が通じない。

私は徐々に恐怖を覚え始めていると、彼がやってきた。きてしまった。


「それにな、素性もわからない人間を捕まえておくのは当然――ああ、着たか。おかえり、どうだった学校は」


長谷部 明。

道場に通い続けて、話に聞いていた時よりも随分と体格も年齢も成長している。


「この人が?」

「ああ、久しぶりだなこういった手合は」


私の疑惑は確信に変わった。

今日に至るまで、おそらく一人や二人ではない人間がここに違和感を覚え、そして『仲良く』なって帰っていったのだ。


私は慌てて口を開いた。

ここで見聞きしたものはどこにも口外しない。

今日集めた情報は勿論、それまでに至った情報もすべて破棄する。

私は情けなくも保身に走ったのだ。

だが自らの人格が永久に変化するのを目前にして、まともでいられる人間がいるだろうか。

彼の異能は本物だ。そして強力だ。

完全な隷属ではないからこそ、自分の脳がどう変わるかが想像できなく怖ろしかった。


「大丈夫」


私の目の前で明が笑った。

その笑顔は目の前にいる師範と師範代ととても良く似ていた。

いや、彼らが明に似たのだろう。

穏やかで、柔和で、人を安心させるような笑み。

誰かを傷つけるつもりなどほんの一欠片もないとても魅力的な笑顔だ。


あ。

気がつけば私の手に、明の手が絡められていた。

身構えていたはずなのに、全く気が付かなかった。

やはり空手を習っていた男というのは、それだけ動作に無駄がないのだろう。これは彼の努力の賜物であり、褒めるべき長所だろう。


ああ、なるほど…………。


私は理解した。

痛みは勿論なく、不快でもなんでもなかった。


「できれば黙っていてもらいたいんだ、騒がれたりして……ほらテレビとかに特集されたりとか嫌だし」

「ああ、それは勿論かまわないよ」


私は当然のように彼に頷いた。


「そのかわり私がコソコソと探っていたことを見逃してはくれないか?」

「もちろん、全然構わないよ。ねえ?」

「うむ」

「人は寛容たれと儂もいつも伝えておるからな」

「ありがとうふたりとも、大好きだよ」


そうして目の前で三人は愛を確かめ合うようにキスを始めた。

今日はもうひとりの恋人はいないようだが……。


「せっかく来たんだし、ほら……今って一人いないから……おじさんも俺達と一緒に気持ちよくなってく?」

まるで私の熱視線を叶えるように、明はそう言ってくれた。


「もちろんおじさんが良ければだけど」

あ……ああ、実は話を聞いている最中もずっと興奮していたんだ。キミ達の素晴らしいまぐわいを一緒に体験できるならば、こんなに光栄なことはないよ。


私は心からそういった。


師範と師範代が私の拘束を解く。私は立ち上がり、まず目の前の師範代の顔にゆっくりと口づけをした。

男の分厚い舌。髭に覆われたいかつい顔面。私を許し私を受け入れてくれた男らしい包容力。

そういったものを口から直に味わうと、なんとも言えない多幸感に包まれた。


「よしじゃあ今日は誰からウケをやってもらおうか。このおじさんは……初めてだから入れる側のほうがいいかな? ねえ、どっちがいい?」

明は自分の父より年上であろう師範と、自分よりはるかに体格も経験も優れた師範代の肩を抱き、私にそう尋ねた。


「もちろんどっちでも構わんぞ」

「だがチンポはひとり一本だからな、順番ってもんがあるもんなあ」

二人の屈強な空手家は笑いながら、私に勃起した肉棒と、そして鍛え抜かれた尻を見せつけてきた。

それは尻と言うより、岩肌のような屈強な筋肉だった。


過去の私にとっては男の尻など愛する対象ではなかったが、今は違う。

彼らと仲良くなるために、肉体で愛し合うのはとても合理的で素晴らしい。そして気持ちがいいことだとわかった。



それではまず先に師範代さんのほうに挿入させていただいてよろしいでしょうか。初体験のときの話をたくさん聞いたので、ぜひ味わってみたくなっているんです。


私は明にそう伝えると、彼は「OK、それじゃあ俺はその間師範のほうと気持ちよくなっているね」といった。

選ばれなかった師範の腰に手を回し、彼が一人になる時間などつくらないようにいきなりその乳首を弄りだした。


「あ、ああ……♥ 息子の後は、儂も犯してくれ……きっと、明に犯された後で、極上のケツになっているぞ……♥」

「おいおいオヤジぃ、先にハードルあげるなって、まずツッこまれるのは俺なんだぞ、まずは俺をたっぷり愛しておけよ♥」

「ああスマンスマン、つい先走っちまったわい」


親子のすこし抜けた会話に私はつい吹き出してしまった。

明もまたそれを見て笑っていた。


私は勿論、まずはたっぷり師範代を愛すると誓った。


「それじゃあ早速始めようか」

「押忍♥」

「オォォッッス♥」

二人はそういった仰向けになると、ローションでさっそく尻をほぐしはじめた。

二人の屈強な空手家が自らの尻を弄くる姿はなんとも圧巻だ。



「とっても気持ちいいからね、これ味わって帰っていってよ」


ああ、ありがとう。

私は明に心から礼を言うと、準備ができた師範代に自らのチンポをあてがった。



「ああ、スッゲぇ…………♥ 男のケツ掘るのは初めてだろう? 俺が色々と、やりかたとかを伝授してや――♥ ぬふぅう♥ おぉおこ、こりゃあすごい、才能あるんじゃないかあ♥」


まるで空手教室の体験入学のように、師範代は私のチンポの褒めてくれた。


おそらく開発されきって感じまくりなのだろう、私が勃起するようのリップサービスだろう。

そう頭ではわかっているが、だからこそ興奮した。

彼は優しく私を受け入れてくれている。なんて素晴らしい人格なのだろう。私もそれを理解しているからこそ、遠慮なくこの空手家のケツを犯せる。


いやらしい尻をしていますね。鍛え抜かれた尻穴だ。こんなに引き締まっていて、入れるだけでチンポ搾り取られちまいそうです。

私はそう伝えた。


「あ、そうかぁ♥ 明がいっぱいいっぱい掘ってくれてるからだろうなあ♥ ああーーすっげ♥ オヤジ譲りのデカケツすげええ感じる♥ チンポグイグイ飲み込んじまうよっぉおお♥♥」


師範代はここにいる全員を興奮させるいやらしい言葉を吐きながら尻を振った。

本当に飲み込まれてしまいそうなほど気持ちよかった。


「うわすっげええなあ、師範代もうトロットロだよ」

「ぬはは♥ さすが儂の息子だ♥ もうっ、あれだけの短い慣らし時間で、ケツの奥まで開いとるなあ♥」

「師範のここだって負けてないよ、ほら、ほらほら」

「んおぉぉお♥ 明のチンポたまらんんん♥ 何度味わっても、さ、さ、最高じゃやああ♥♥」


ああなんてセックスがうまいんだ、このひとは。

なんていい人なんだ、この人たちは。



私は夢中になって腰を振った。犯される空手家二人の喘ぎ声が重なって、まるで二人を同時に犯しているような気分だった。



いや、二人を同時に犯しているようなものだ。

仰向けになった師範と師範代は手と手を繋ぎ、足を絡めて犯されている。

私が師範代を突けば師範も。

師範が明に犯されれば師範代も。

二人の筋骨隆々の男が代わる代わるに跳ねるのだ。


「あーーースッゲぇチンポもケツもニ倍になったみたいだ、これたまらねえーー♥」

「わ、儂もこの犯され方は大のおおおおおおおおっ、お気に入りなんだああ♥ あああ親子でそっくりだなあ♥」

「はぁあーーはぁあーーーすげえ、一発犯されながらイッちまいそう、このチンポでトコロテンしちまいそ♥ ケツだけでイきそぅう♥」

「儂もまたケツイキしそうだッ♥ あっあっ、はぁぁあチンポで愛されてたまらん幸せじゃああ♥♥」


二人は犯されながらもキスをした。

私達も犯しながらキスをした。


こんな素晴らしい道場と、こんな素晴らしい力と、こんな素晴らしい明という男を貶めるなど、私はなんて愚かだったのだろうか。


許してくれてありがとう。

仲良くしてくれてありがとう。

私は涙さえ浮かべて彼らにそういった。



三人は笑いながら言った。そんなこともう気にしなくっていい。


そして師範代が腹筋を収縮させ、私の耳元まで口を近づけていった。


「わ、悪いと思ってるなら、俺と親父殿をたっぷりじっくりイかせまくれよぉ♥♥」


そうして、私になんとも都合の良い贖罪方法を提示してくれた。


ああ勿論。それは勿論。精根尽き果てるまで犯しまくります!


私は大声でそう伝えると、師範代の尻の奥深くまで肉棒を突き入れた。


「おぉぉおそそのおそそのそおぉお意気だぁああ♥♥ あやべえええやべえやべえ行くイク逝くイクッぅぅうう押忍、まずは俺先に失礼してチンポイクイクイク押忍ッ押忍ッ♥ ケツでイクゥゥウウウウ♥♥♥」


師範代の豪快な射精を見ながら、私もまた師範代の奥底に種付けをした。


ああ、なんて気持ちいいんだ。

なんて素晴らしいんだ。



欲望で潤んだ師範代の瞳にうつる私の顔は、とても穏やかそうに笑っていた。







『仲良し』になっていく空手道場  異能によって変えられる師範代と私

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