―7月某日、とあるスポーツジムのバックヤードにて。
「パーソナルをぎちぎちに詰め込んでも、旅費には足りないな・・円安だし、仕方ないよねー」
ポニーテールが特徴の椿(つばき)は、キーボードを叩きながら、隣に座る羚(りょう)にそうぼやいた。
「計画も立てたし、バイトも休めそうではあるけれどねー。こうなったら、日雇い的な仕事入れて、埋め合わせないと無理っぽいね」
羚もまた、雑多なバイトのリストを眺めつつ、ため息をついた。
そんなとき、椿が少し興奮しながら、羚に向かって声を上げた。
「これ、どう!?イメージビデオのモデル、ヌードなし!日給もすごく高いよ?掲載元の会社も・・うん、なんか変なことやってる感じ、無い!」
興味ありげに、羚もその求人を読み込む。
「モデルねぇ・・確かに私たちもたまに大会でポージングとかするから、意外と平気かもね!一緒に申し込んじゃおっか!」
二人の間で、話はとんとん拍子にまとまり、その場で応募フォームからメッセージを送った。
返事はすぐに届き、手続きもサクサクと進む。撮影の日取りも、集合場所も、すぐに決まった。
夏休みに計画していた海外旅行の旅費が貯まる!二人はそう確信し、喜びに小躍りするのであった。
・・ここでの出会いが、予想外の出来事をもたらすことを、この時点の二人はまだ、知らない。
続く。