1時間後。未だに麻紀は、呼吸制御という拷問に耐えていた。
「・・並外れた精神力だなぁ、お前は」男がマスクの下から恨めしそうな声を出した。
(ざまぁみろ)
息も絶え絶えな中、麻紀は男に胸の内でそう毒づいた。
「ならば、お前じゃなく、お前の会社に尋ねるだけだ」男はそういうと、乱暴にドアを開け、部屋の外へ出ていった。
ー数十分後。
男が持ってきたダクトテープ数束にとって、麻紀は完全に全身を覆われていた。ホグタイの姿勢はさらに強められ、力を籠めるたびに痛むほどであった。
さらに、麻紀の前にはビデオカメラが設置され、目の前にしゃがみ込む男は何故かガスマスクを装着している。男が部屋の隅を指差した。見れば、古びたホースが一本、壁から垂れ下がっている。
「ククク、あんたを殺しかねない最終手段だがな・・」そのくぐもった声は、今まで以上に不気味に聞こえた。
「この部屋に有毒なガスを流し込む。すぐすぐに死にはしないが、あまり長い時間耐えられもしない。その様子はお前の会社の重役にライブ配信して送りつける。やつらがお前の命を大事に思えばすぐにデータは来るだろう。だが、警察への通報などがあれば、それを待つつもりはない。覚悟を決めておけ。もちろんお前から折れてくれてもいいんだぞ?」
ー疲労困憊する麻紀には、もうにらみつける余力すら残っていなかった。男は続けた。
「方々への手配を済ませたら、直に他の奴らもここに来る。面白い見世物があるとわかれば、誰だって観に来たいモノだからな」といって男は嗤いながら吐き捨てた。
(くそ・・く・・そ・・)
麻紀は痛みと疲労で、意識すら朦朧としていた。そして男はゆっくりと立ち上がり、壁にあったホースを手に取ると、麻紀の近くに置いた。
「さーて、ショーを始めるか」そういうと、男は壁にあるバルブの方へ歩いていく。
ーガチャン。
金属の扉が開く音がして、男は立ち止まり、そちらを向いた。
「ーふふ、準備はもう済んだのか?丁度いいじゃないか。お楽しみは今から始まるところさ。」
(これ以上・・もう・・)
麻紀の絶望は、更に深まっていくー
続く
※次回で終わりのため、アンケートは作ってないです!
別企画は近い内に始めますので、よろしくお願いします!