カメラを背中で隠さないよう、男は慎重に『作業』を行った。 暴れる彼女を時折ナイフで制しつつ、全身を蛹のように覆っていく。 「・・まず、これで一つ目のオプション、『マミー』が完了、っと。」 男は独り言を呟き、カメラの画角から出た。 芋虫のようにうごめく彼女だけが移されている。 今このライブは、高額課金者のみに向けた『限定配信』です―。 男は画面に向かってそう言った。 「じゃあ、次のオプションに参ります。」 男はカメラに映らない位置からそう呟き、テープをもって彼女に近付く。 不自由な身体をくねらせ、男から逃げる。 しかしすぐに、壁へと追いやられてしまった。 男は彼女の頭を掴み、その顔へ何枚ものテープを押し当てた。 苦しさから頭を振って逃れようとする。 「いかがですか?これが2つ目のオプション、『呼吸制限』ですよ」 男はここに居ない誰かに向かって、冷静にそういった。 数十秒経つと、鼻のテープを剥がす。そしてまたすぐ、それを塞ぐ。 それを何度か繰り返した辺りで、男のスマホが鳴った。 「お、おめでとう。いっちばん高い第3のオプションが、たった今購入されたよ」 覆面の下で、男は軽く笑った。 疲労困憊した彼女は、肩で息をしながら、その顔を睨むことしかできない。 「じゃ、俺はその最後の支度に入ろう。もう少しここで大人しくしてろ」 男はそういうと、彼女の顔に埃まみれのマスクを再び嵌めた。 呼吸が上手くできないのと、そこから漂ってくる臭いに、彼女は顔をしかめた。 それを見届けると、男は一度も彼女を振り返ることなく、倉庫から出ていった。 ―独り残された彼女。 第3のオプションとは一体何なのか? しかしそれを思案する気力は残っていない。 彼女はごろんと仰向けになり、死んだ目で天井を眺め続けた。 ―続く。