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軍に属してそうな人 -ショート・ストーリー-

『(不覚・・・!!)』 厳重に施された猿轡の下、彼女は強くそれを噛み締めた。 過酷な訓練と実戦を経て鍛え上げた肉体。 しかしそれも、自らの身体に巻き付けられた拘束を考えると、全く通用しそうにない。 遠くで金属音が響く。そして、革靴がタイルを叩く音が、少しずつ自分に近付いてくる。 自らを捕らえた憎き人物が―眼前に立った。 『悪いわね、あなたの情報を売ったりして。』 その人物とは、同じ軍に属する、彼女が信頼を置いていた同志であった。 『私たちの国は、このままだとジリ貧。見てたら分かるでしょ?  でも国に忠誠を誓う任務に就く私が他国に行くとなると・・。  それ相応の【手土産】が必要なの。それが私の場合・・アナタなのよ。』 彼女は強くその女性を睨んだ。怒りのあまり手が出そうになるが、 拘束が少し音を立てただけで、当然そんなことはできない。 その抵抗を見届けたあと―裏切者は呆れたように、ふんと鼻を鳴らして口角を上げた。 そしてその左手を上げる。 同時に、その背後から多くの足音が響き始めた。 『せっかくなら、あなただけじゃなく、あなたが持つ情報も欲しくてね。』 その顔が不敵に笑った。 猿轡の下、彼女は再び強くそれを噛み締めた。 それが現状、彼女にできる精一杯の抵抗だった。 ―終

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