俺の仕事は、表ざたに出来ない汚れ物だ。 殺しこそやらないが、依頼さえあれば、どんなものでも『入手』する。 今日のターゲットは、某事務所の顧客情報リストだという。 何が書いてあるのか?何に使うのか?俺の知った話ではない。 俺はしばらくその事務所の調査をし、秘書が一人きりになる時間があることを知った。 そこを見計らい、俺は侵入した。銃を突きつけソイツを脅し、自分で自分をある程度拘束させた。 その後俺はソイツを正座させ、太ももから先をテープで床に固定した。 身動きできない状態にし、必要な情報の在処を問うた。 だが、ここからは俺の想定外だった。相当に鼻っ柱の強い女だったのだ。 何を訊いても、フンと鼻を鳴らして睨むだけ。ここからは根競べだ。 少しずつ、少しずつ、俺はソイツの拘束を強めた。 最終的にソイツの姿は、さながら正座するミイラのようになった。 少しずつ焦りの色が濃くなるのが分かる。 『強情だな。そろそろ吐いた方が身のためだろう?』 俺は目の前のソイツに再度問いかけた。 ソイツはフンと鼻を鳴らし、抗議の眼差しを俺に向けた。 ―その瞬間、ソイツの視線があるところに向いたのを見逃さなかった。 銃を突きつけたままそこを確認すると、お目当ての物がそこにあった。 他のファイル類と同様に、本棚へ無造作に置かれている。 『無防備な事務所だな』と俺は嗤った。 『もうお前に用はない。』 最後にソイツの口をしっかりと塞ぎ、カーテンをおろし、電話線を切った。 これだけやれば時間稼ぎは十分だろう。 『―そういえば明日はこの事務所、休みだったな。 死にはしないだろうが、早く脱出しないと大変だろうな。じゃあな!』 俺はそう語り掛け、その事務所を後にした。 最後にソイツが俺に何かを叫んだ気がするが、呻き声だったので何を言ったのかサッパリだ。 後は独りで楽しんでくれたまえ。 ―完