撮影の始まりはいつも通りであった。 今日はボンデージ系のビデオと聞いた。 特に警戒することもなく受け入れたのが、今思えばマズかったか…。 そう悔やむ彼女の体は、鎖骨から下を完全にテープで拘束されている。 男優が鼻息荒く、その眼前に立っている。その手には何かの切れ端を持って。 『これはマイクロフォームってやつでさ。俺はこの質感がたまらなく好きでねぇ。』 彼はそれを彼女の顔に押し当てた。 仕事柄、変な癖を持つ人とは大勢出会ってきた。 だが、危機感を覚えるのは今回が初めてだ。額を汗が伝う。 『良いねその表情!いい作品が取れそうだよ!じゃあ、次は布を追加しよう!』 私の抗議の眼差しを無視し、撮影は進む。 視界の片隅に、数多の拘束具が見える。 この仕事、当分終わりそうにない・・・。 彼女は諦めのため息を、鼻から漏らした。 ―完