8月22日
周囲が明るくなってきたので、育人はゆっくりと体を起こした。周りを見ると、自らが踏み潰したり押し潰したりして灰色や土色になった街、そのいたるところが射精しまくった精液で白く覆われている。出したもんだなあ、と育人は軽く笑う。昨日はタガが外れたようにやりまくった。身長8000mを超え、人間の4000倍以上の巨躯を持つ育人、世界で一番高い山よりでかいが、それでも、大陸というものは大きい。山脈のこちら側の面積だけにしても、今の育人換算で野球場よりもずっと広い。――逆に言えば大陸といえど、その程度の大きさだった。各地に点在する大きな都市を渡り歩くのに、一時間とかからない。カジノの街のど真ん中に座り込みビルごとチンコの握りながらオナり、西海岸最大の都市では有名な映画撮影の街のサインに亀頭をぶち込み、高級住宅街を身体の下敷きにしてまたぶっ放した。移動途中には小さな町々にちょっかいを出す。足先で町の周りにぐるりと堀を作ったり、地面ごと家々を持ち上げたりして夜まで遊んだ。暗くなっても育人は眠くならないが、急ぐ理由もないので、ごろりと横になり明るくなるのを待っていたのだ。寝転がっても目の下にある家々を戯れに指で潰しながら。
「さてと……」
立ち上がって身体についた瓦礫を手で払う。流石に周囲に動ける人間はいない。逃げられるものは逃げ出した後だ。だがそんなことも気にせず、育人は大陸を縦断する山脈を見下ろす。4000m級の山を擁する巨大山脈だが、それでも育人にとっては腰ほどの高さの起伏にしか見えなかった。
「おっ?」
ずぐっ、と血流が増えた感覚に、育人は足を止めた。もう何度も味わっている、巨大化、成長の感覚だ。ずずっ、と、育人の足元の地面が震えだす。大きくなる足指が奇跡的に無事だった家々をひき潰し、増える質量が地面を沈ませ周囲の大地を飲み込んでいく。上へ上へと上昇していく育人の視界、反対に大地の模様はどんどん小さく細かくなっていく。頭で雲を吹き散らし、脱出用旅客機からそれを見てしまった避難民はか細く悲鳴を上げ神に祈る。もはや飛行機の高度でさえ育人から逃れることができないのだ。
「ふう……」
巨大化がおさまり、育人はゆっくりと周囲を見渡す。といっても、目線の高さにあるのは雲ぐらいで、あとは薄い青の空が広がっているだけだ。下を見れば先ほど乗り越えようとしていた山脈のてっぺんは、膝頭ほどの高さになっている。もうちょっとしたスロープのようなものだ。高さはともかくとして幅はそれなりにあり、向こうに行くには育人でも何十歩かは必要そうだが。それでも数分程度だろう。育人は地面から引き抜くように右足を上げる。それだけで体重のかかった左足が沈みはじめ、足裏の土砂が数百メートルの高度から大地に落ちていく。そうして育人は山脈という名の起伏に足をかける。ただその体重をかけ切ったとき、不意に育人の足が沈む。
「うぉおっ?!」
身長17000m。この星のどんな山よりも巨大な育人の質量が、育人の足裏という小さな飛行場程度の面積にかかるのだ。その圧力は計り知れない。積もった雪かのように育人の足が岩盤を砕きながら深く沈み、バランスを崩した育人が前のめりになる。足を取られて踏ん張ることもできず、育人は、山ほどの質量をもつ育人は、盛大にこけた。
昨日まででも育人の質量は相当だったが、それでも、育人は”静か”だった。ゆっくりと歩き、跪き、まあ地面に対して腰を打ち付けはしたものの、自身が飛んだり跳ねたりはしなかった。破壊力というのは質量と速さから生まれるもので、育人にはこの速さたる勢いがなかった。まあそれでも十分に破壊していたというのもあるが。
その勢いが、今ここに転倒という形で生まれた。人類が経験したことのないような破壊力、地球上の核をすべて使っても足りないエネルギーが爆発するように周囲を蹂躙していく。振動で山々が砕け、衝撃波でえぐられながら直径数キロもありそうな岩が吹き飛んでいく。転倒の原因だったとしても、目の前にあったのが山脈という壁だったのが幸運だった。何せこけた育人の背後、先ほどまで蹂躙していた地域は、転倒の衝撃で大地を大きくえぐり、土砂の津波のようなものを引き起こしていた。それによって生まれたクレーターは、なんと半径200km。州の半分ほどの面積が、本当に跡形もなく消し飛んだのだ。もちろん衝撃波はそれ以上に広がったので、昨日奇跡的に育人から生き残った人や助かった街も、衝撃波に巻き込まれて跡形を保ちながら滅んでいく。州二つほどから生き残りが消えた。
それに比べれば山脈が盾となった前方は幸運だった。といっても、震度7をはるかに超える揺れや山脈を超えて降ってきた巨大な岩による被害は甚大だったが、それでも、衝撃波はほとんど山を崩すのに使われたからだ。
「ってて……」
土砂の中から育人がむくりと起き上がり、身体についた岩や山の残骸を払い落とす。転倒したものの、もうずいぶん前から戦車の砲弾ですら効かない育人だ。汚れてはいるが傷一つない。そうしてゆっくり立ち上がり、自分のやらかした惨状を見下ろす。
「うわ……」
いまだ舞い上がっている土埃のせいで見にくいが、育人が倒れた所を中心に大きな――育人からしても大きなクレーターが生まれていた。これから進もうとしていた山脈の幅の、半分ほどがごっそりとえぐられている。育人はガリガリと頭を掻いた。
「ちょっと躓いただけなのにな……」
世界地図が書き換わるような惨状を起こしたとは思えないほど、育人はあっという間に気を取り直して自らがえぐったクレーターを歩き出した。残った山脈は、流石に今度は倒れないよう、注意深く足を踏みしめ、岩盤を踏み砕くことを前提にして進んでいく。あっという間に山脈を踏み越えて、育人は残り半分となる大陸を、じっくり楽しむことにした。
――とはいっても、山脈を越えた大陸中心部は農地ばかりだった。緑の地面が一歩踏み出すと土埃とともに円形のクレーターを作り、足を離せばその中心にくっきりと足型が残るのは面白いが、それも数歩で飽きてしまう。だがそのお農地ばかりの地面の中にも点々と町は存在しているようで、育人は少し先にある灰色の地面に注意深く近づいていく。この大きさだと、直接踏み潰さなくてもその余波で町の方が崩壊してしまうのだ。近くまで来て、ゆっくりとしゃがみ込む。川に挟まれたその町は今の育人の背中で押しつぶせそうな大きさで、今は育人の影にすっぽりとおさまってしまっていた。
(もうちょい近くで……)
しゃがみ込んでも育人の視線の高さは世界最高峰と同程度。より近くで見るため、育人はその街の両端に手をついた。川ごと、町にかかる橋が手の下に消える。町の空が育人の身体にさえぎられ、逃げる途中だった人々は上を見て絶叫する。育人は膝をつき、脚を伸ばし、できるだけ静かに身体をうつぶせに寝かせる。町の半分が、育人の身体の下に消える。ギリギリ押しつぶされずにいた地区の人々は幸運ではあったが、目の前は大地にうずまる育人の胸と肩が山のように壁となっており、真上には2kmにわたる育人の顔が覆って区画がすっぽり入りそうなほど巨大な目がぎょろぎょろと自分たちを見下ろしているという、地獄のような状態であった。
(……ほんと、ちっちぇえな……)
つぶやいただけでも吹き飛んでしまうとわかっていたので、育人は心の中でつぶやく。呼吸もゆっくり、最低限にしていたが、それでも鼻の下あたりでは豪風が吹き荒れていた。まるでベッドにうつぶせになり、シーツの模様を見るように街を見る。1万分の1縮尺の地図のような町は本当に小さい。100m四方の町の区画も、育人からすれば1cm四方のミニチュアだ。そこに家が5つ6つ入ってるのだってもうピントが合わず見づらいのに、それより小さい車や人など判別できるわけがない。育人はゆっくりと指をその区画の一つに近づけてみた。指の太さと区画が同じくらいだ。爪先が屋根を割り、指が家を押し潰してずぶずぶと地面にもぐりこんでいく。指を引き抜けばそこにはもう直径100mの穴しかない。家を摘まんでみようとしたが、蟻を摘まむよりはるかに難しく、指で挟んだ瞬間、潰してしまった。
(とっくにだけど、人間って感じしないな……)
見えないほど小さい。声も聞こえない。それなのに、この町には多分、まだ何万人もの人間がいるのだ。指を地面に立てて動かせば、幅100mの深い線が家も車も道路も全部ひき潰しながら出来上がっていく。
(俺が指一本で引いた線でも、人間にとっては堀みたいなもんなんだろうな……それだけでどこにも行けなくなるんだろうな)
むぐっ、とうつぶせになっている育人の股間が膨らむ。もはや目に見えなくとも、それだけ小さくて儚い人間が、今上空にある自分の顔を見上げて叫び、逃げ惑っているんだろうな、というその事実だけでチンコに血が集まっていく。もう無理、と、育人が息を吐く。真下で人や車や木や家が根こそぎ吹き飛んでいく。育人はゆっくり体を起こすと、股を開いた正座の状態になる。ずろんと立ち上がり始めている巨根は既に全長1.5kmを超え、そのものが町に大きく影を落とす。先端からぼたん、と溢れた先走りは、町の3、4区画をまとめて押しつぶした。
「……」
育人は、おもむろにまだ無事な町――それゆえ人がいそうな場所に向かって両手を伸ばす。そうして、まるで砂場の砂を掬うかのように、えぐった地面ごと、町の一部を掬い取った。育人の手のひらに掬い上げられた、約一キロ四方の町。家も車も道路も、すべてが育人の手のひらの中にある。
「いけるか……?」
育人としては細心の注意を払って掬い上げたつもりだったが、家も家の下の基礎もそもそもの町も、地面が動かないことを前提に作られている。いわばケーキのデコレーションのようなもの。育人が掬い上げた町はいたるところで道路が割れ、土が露出し、建物のほとんどが倒壊していた。車の中でもみくちゃになった人間も多かったが、家や大地に巻き込まれて潰されていなければ一応、生き残っている者もいた。育人からはその姿は見えなかったが、そうだろうなという予想はしていた。育人は掬い上げたその町を、ゆっくりと股間の方へ持っていく。
「もうビルも地面も、柔すぎるからなあ……」
巨大な肉棒が手のひらの町に濃い影を作る。裏スジが町に触れると、倒壊した建物も奇跡的に無事だった車も容赦なく地面の土ごと押しつぶしていく。育人はその微細な感触を漏らさないようチンコに神経を集中させる。
「ふっ……ふふ、やべえな……」
ボロボロと瓦礫をこぼしながら、育人は町をチンコに擦りつけていく。ビクビクと溢れる先走りが手のひらの瓦礫をぐちょぐちょにしていく。次第に育人の握力も強まり、あっという間に町はただの土くれになる。
「ちっ」
育人は町の残骸を投げ捨てると、まだ無事――少なくとも無事に見える地域に手を伸ばす。今度は地面ごとではなく、町の表面をこそげ取るようにして。そうして集めた町の残骸を育人は荒々しくチンコごと握る。ダイヤモンドすら作れそうな握力で町の残骸は瞬く間に何だったかわからないほどにすり潰される。物足りなくなればまた新しく町を――と繰り返すと、町の半分ほどが更地となる。育人がうつぶせになったとき押しつぶした分も含めれば完全に壊滅だ。育人ももう町には頼らず、あふれ出る先走りを潤滑油に肉棒を握り、長大なグラインドで扱き続ける。
「はっ、こんな、町じゃ、たんな、かったなっ……ぃくっ!!」
ぶくっと育人の亀頭が膨れ上がると、ドゴンッ!と白い砲弾が空に向かって放たれる。初弾は百キロ以上先に隕石のように着弾、二発目、三発目もまだ無事だった農地や町をその圧倒的質量で家も車も関係なく押しつぶしていく。どぴゅ、どぷ、と、滴る精液が育人の股の間に落ちる勢いになるころには、更地になった町は精液で真っ白にコーティングされ、町の周囲もまだらのように精液の池ができていた。最後にぎゅっとチンコから精液を絞り出すと、育人はその場に手足を投げ出す。
「まだたんねえな……」
育人のチンコは一度ぶっ放したものの、まだまだ固さを保っており、今にも臨戦状態に戻りそうなほどだ。幸い、こんな町はいくらでもありそうだ。
「今日はそういうのでもいいか」
昨日は、ちょっと雑すぎた気がしなくもない。しらみつぶしに、丁寧に町を見つけて、じっくりとすり潰していく。二、三日後にはできなくなりそうなことを今存分にやっておきたかった。
ichiya / ichiarrow
2025-08-30 12:28:27 +0000 UTC曹達(ソーダ)
2025-08-17 09:36:06 +0000 UTC