フィリア・クルスに収容された人類の女性のうち、サキュバス化して労働する道を選ばなかった者や、人間としての能力の基準値を下回っていると診断された者は「動物」として飼育される。 ヒトという動物に成り下がった者は、「有限天国」と呼ばれる、天使の格好をしたホールロイドのツツイ・クララが管理する擬似的な文化の中で、観察されながら人間生活の真似事を死ぬまで続けることになる。 有限天国の動物は、「野生」の環境を模し、限りなくストレスになる要因を排除された空間の中で生活するため、「幸せ」ということになっている。 定期的に物資搬入係のクルービーやパシココが視察に訪れる経路があるが、動物が施設の外へ出ようとすると「天国の外には何もないよ」とクララに止められる。 「クルービーはどこから来るの?」と聞けば「あのドアから来るよ」と返されるが、「あのドアはどこへ繋がってるの?」と聞くと「あのドアの先は何もないよ」と答えられる。 人間として死に、有限天国に閉じ込められた動物は、二度と外の光を見ることはなく、人工太陽の夕陽を浴びながら、温かな絶望の中でただゆっくりと生物としての死を待つことしかできない。