フィリア・クルスで飼育される人類男性の成れの果て。 「人類愛護淫魔団体の船に行けば、死ぬまで幸せな日々を送ることができる」という甘い言葉に引き寄せられた男性が、ほとんど形だけの同意書にサインをすると、その瞬間に人間としての権利と尊厳を捨てることとなる。 「鉢」と呼ばれる窓のない小さな個室に閉じ込められ、投薬による「適応化処置」で、ほんの少しの食料と光だけで効率よく蜜を生成できる体に改造される。 彼らは個人名を失い、サキュバス達から「オバナ」と呼ばれるようになる。 オバナはネットで情報を得たり自由で文化的な生活を送る権利を与えられず、代わりにフィリア・クルスが制作した番組を数本繰り返すだけの擬似的なテレビと、衣服を模した布を与えられ、あくまでも動物として健康的で快適と決めつけられた環境の中で、対価として乗組員のサキュバスに蜜を吸われ続けて一生を終える家畜と化す。 なお、健康状態に著しい問題を抱えていたり、この体や環境に適応できないオバナは"人道的に"安楽死させられる。 これがサキュバス達の価値観で見た「正しさ」の形のひとつであった。