蘇芳色の月が輝く静かな夜。 月の光が仄かに歪な石造りの巨城を照らしていた。 城内の営みは一日を終え、城の警護を務める兵たちと雑務を熟す一部の使いたちを残して皆束の間の休息を享受していた。 「ア゛ッ♡ア゛ッ♡”イ゛イ゛♡」 そんな中、城の最奥部にある王の寝室では盛りを帯びた淫靡な声が響いていた。 「ンギギィ♡イ゛イ゛ッ♡ア゛ナダ♡」 獣のそれと差異無い喘ぎ声を上げ、円香は岩のような体躯の夫に跨りその石柱のような一物を自身の陰部でがっちりと咥え込んでいた。 「グオオ・・マドガ・・」 屈強なトロルの一族を統べる存在であり円香の夫でもある王は、円香の締め付けに溜まらないと言わんばかりの呻き声を上げた。 この世界に人間という種族は存在しないが、円香が昔のような普通の人間であったならばとうの昔に王の一物で力任せに貫かれて絶命していたであろう。 だが円香は最早人間ではない。 異世界より召喚した円香を王の愛玩動物とするべく命ぜられた教育係の一人である調教師トロルとの度重なる性行為により、円香の身体はトロルの遺伝子に汚染浸蝕されきっていた。 トロル遺伝子は時と共に円香の身体に適応していき、今ではすっかりトロルの一族となっていた。 角は生え、人間だった頃の歯は全て抜け落ち、代わりに強固な牙が生え揃っていた。人間の爪も全て姿を消し、今では長く鋭い爪が紫色の毒液を滴らせながら怪しく光っていた。体躯こそ変化は無いものの、その肌は他のトロル達と同じく緑色に染まっていた。 柔らかく靭やかに見える肌であるが、其の実人間とは比べ物にならない程の強靭さと筋力を誇っていた。 この世界に来てから幾年。 長きに渡る王との婚姻生活で、今では円香にとって王の相手など手馴れたものとなっていた。 「ブフフ・・♡ナザゲナイ゛ゴエ・・マダマダデズヨ、ミズダーギング♡」 円香は喘ぎながらも不敵な笑みを夫に向けながら、牙のせいで独特の発音になる濁音だらけのトロル言葉で夫を煽った。 「マドガ・・アイ゛ズルワガヅマヨ・・ヨハ・・ゴンナ゛モノデハナイゾ!」 王はそう言い放つと円香の太腿を両手でがしりと摑み、力任せに握り込んだ。 ボキリ。 乾いた音が円香の脚から響いた。 「ンギィ!!♡」 王は円香の両脚を折りながら、今以上の力で円香を自身の陰茎で貫かんばかりに突き上げた。 王の反撃に円香は一層の喘ぎ声を上げた。 陰部からだけでなく、折れた両脚からも快感が齎される。 それと同時に、王の力を押し返すかのように円香の折れた両脚がメキメキと再生していく。 トロルの異常再生力は凄まじく、与えられる大半の痛みはこそばゆい程度のものでしかない。それどころか、再生する折の治癒快感は只ならぬものがあった。 「ンギ♡ブギ♡ア゛、ア゛、ア゛ナダ♡」 破壊と再生を伴う性交。 遠慮など要らぬ愛と暴力。 トロルとして完全体となった円香との性交を、王は心底酔いしれながら楽しんでいた。 そしてそれは円香も同じだった。 「グオ・・オ・・マドガ・・」 円香は快楽に仰け反りながら自身の爪を夫に深く食い込ませ、無意識にその爪から滴る毒液を夫に注入していた。 注入された毒液により、王は一層恍惚とした表情を浮かべて身を震わせた。 トロルの、ましてやその王たる夫にとっては毒液など蚊ほどの効果も無い。しかしそれもトロルの再生治癒課程を経ることによって、それは快楽への絶妙なスパイスとなっていた。 共に快楽の海に溺れながら、円香は夫のそんな表情を見下ろし暫しの物思いに耽っていた。 大柄な男に跨る度思い出す過去。 この世界に来て奴隷として調教されていたあの頃。 まだ人間だった頃、調教師により日々男女の営みを教育されていたあの日。 騎乗位は、緑肌の人型生物という異形の化け物を間近で觀察できる稀有な機会だった。 触れる事すら嫌悪感が凄まじかったあの頃。 それでも次第に肌を重ねるごとにいつしかすっかり慣れていった。 そして今では分かるが、あの調教師は自身の力で円香が毀れてしまわない樣に細心の注意を払ってくれていた。 今同じように扱われていれば円香は即座に肉塊と化し、この場にはいなかったであろう。 調教師の扱いは優しさとは違うと解ってはいるが、円香がその事を思い出す度に不思議と下腹部が熱くなった。 そしてその想いは円香がトロルとなってから、一層強くなった気がした。 今ではもう会う事が無くなってしまったあの調教師。 今では夫のみとなってしまったが、大柄な肉体に跨る度にいつも思い出した。 不意に円香の腕が摑まれ、ぐいと乱暴に引き寄せられた。 そして厚い夫の胸板へと押し付けられる。 円香は不意の出来事に驚くも、行動を起こす前に夫が耳元で囁いた。 「イラヌゴトヲカンガエテイタナマドガ・・イマハヨノコトダケヲカンガエテイロ」 その言葉に円香は心を透かされた様でびくりと反応した。 「ア、アナダ・・グヒィ!!」 円香が弁明の言葉を発しようとすると、その身体は夫の両腕により強烈な力で締め付けられた。そしてそのまま結合部分を激しく上下に突き動かされる。 「ン゛ヒィ゛!!♡ア゛アナ゛ダァ♡」 突然の出来事に、円香は成す術なく再び快感を注がれ始めた。 夫の行為は更に激しさを増し、先刻以上の力で円香を愛し続ける。 円香の身体が夫の熱い抱擁により、バキバキと乾いた音を立てた。 「アギギ♡イ・・イ゛イ゛イ゛!!♡」 円香は一層の快感に身と声を激しく捩らせた。 身体の快感に加え、共に夫から注がれる嫉妬に満ちた愛情。 円香はそれを敏感に感じ取り、心の底も熱くなるのを感じた。 そして身体が熱く張り詰めるのを感じると、円香の両乳房から激しく母乳が噴き出した。 「マドガ!マドガ!オマ゛エ゛バ!!ヨノ゛モノ゛ダ!! 身を突き上げられ、夫の声を聞くたび、それは激しく噴き出しながら共に愛し合う夫婦を淫靡な匂いと共に濡らした。 それらは激しさを増し、頂点へと近づいていく。 「マドガ!!マドガ!!」 「アギギ♡ア゛ナダァ!! 二人は共に絡み合い、両者とも相手を締め潰さんとする一層の強さで抱き締め合った。 「グォォォォォ!!」 「ピギィィィィィ!!」 二匹の獣の激しい咆哮が部屋を満たした。 円香はその声を聞き届けると、意識が薄れていくのを感じた。 静けさを取り戻した寝室には、お互いの荒れた息遣いとパキパキという再生の音だけだった。 遅れて来たその快感に浸りつつ、円香は夫の胸板に抱かれたまま意識の淵を満足そうに滑り降りていった。