XaiJu
prisoner-no6
prisoner-no6

fanbox


繁栄の蛙妃

「ふひゅるるるる・・ふひゅるるる・・」 樹里は沼地から半ば身を起こし、臀部を突き上げたまま喘いでいた。 もう幾度か繰り返されたその行為に備え、呼吸と体勢を整える。 喉の渇きを覚えた樹里は、すっかり長くなってしまった舌をだらしなく伸ばして沼地に浸し、ぴちゃぴちゃと沼の水を摂取した。 長く伸びた舌はすっかり今の樹里に馴染んでいた。 初めは困惑したものの、今の新しい身体と共に生活をしていくにつれ、それは無くてなならない器官の一つとなっていたのだ。 「はひゅぅ・・」 樹里が飲水と安堵に身を浸したのも束の間、妊婦の如く大きく膨らんだ樹里の腹部が、ボコボコとゆっくり音を立て脈打ち始めた。 「ふひゅ!!」 樹里の身体がびくんと仰け反った。 樹里は自身が待ちわびていたその時が来たのだと悟った。 「ふ・・ふ・・ふひゅ!」 樹里は息を止めて気合いを入れ、腹部と脚部に力を込めた。 すると樹里の太腿が筋力を帯び、太さを増した。 それと同時に脚先のヒレが、力んだ拍子にプルプルと震える。 嘗てアイドルとして生きていた頃に比べ、 樹里の身体は大きく変貌を遂げていた。 力み続ける樹里の脳内を、過去の出来事がぐるぐるとめぐり始める。 或る日、路傍で蹲る蛙を助けてしまったこと。 蛙は実は永い時を生きる土着の神であったこと。 その神に見初められてしまったということ。 その神に伴侶として迎え入れられてしまったこと。 もう戻れない身体に作り替えられてしまったということ。 今の自分は蛙神の伴侶として生き、 眷属の蛙達から蛙神と共に崇め奉られる蛙妃樹里であるということ。 もうあの頃には戻れない。 放クラの皆とは二度と会えない。 あの忙しくも楽しかった日常はもう戻らない。 ぷりゅ! 樹里の思考を遮り陰部から押し出てくる感覚に、 樹里は再度身を仰け反らせた。 「ぶひゅ!」 樹里は全身を満たす快感に、先刻の思考なぞまるで無かったが如く顔を綻ばせた。 排泄の感覚に似て非なるそれに、樹里は只管身を委ねた。 陰部をこじ開け競り上がる快感に、樹里は全身を震わせた。 柔らかな感覚がゆっくりと樹里の陰部から顔を覗かせた。 白濁した半透明なゼリーに包まれた黒い球が、 樹里の陰部よりぬるりとはみ出できた。 「ぶびぃ!」 樹里が気合いの声と共に一層の力を込めると、 黒い球は数珠繋ぎのように次々と樹里の胎内から競り出てきた。 それは紛れもなく蛙の卵だった。 元人間の樹里から産み出されるそれは、 明らかに異常な大きさをしていた。 ゴルフボール大の黒い卵が、ぷりゅぷりゅと音を立てながら次々と陰部より排出されていく。 卵が樹里の陰部を通る度、 樹里は性交とは違った快感に身を震わせていた。 新しい命を産み落とす快感。 それは樹里の心身を優しく満たした。 どれくらいの卵を産み落としただろうか。 最後の一つを産み落とした後、 樹里は達成感と共にその場にべちゃりと崩れ落ちた。 そして息を整えた後、 満たされた疲労感を味わいながらのそりと仰向けになった。 樹里の腹部は若干小さくなったものの、未だに大きく膨らんでいた。 樹里は自分の身体を見下ろし、腹部を撫でながら物思いに耽った。 大きく膨らんだ乳房と腹部。 分泌される粘液に塗れた身体。 緑と白に変色した身体。 四本指と化した水かき付きの両手。 М字に開かれた脚部はどう見ても両生類。 何と美しい身体だろうか。 樹里は粘液で艶やかに光る己の肢体を見つめた。 何故自分は今まで頑なに拒否反応を示していたのか。 樹里は産卵を繰り返す度に、 自身の見解に変化が訪れている事に気が付いた。 (アタシ・・なんであんなに嫌がってたんだろ・・) 樹里は自身の変化に戸惑いながらも、 思考をすぐに切り替え今ある幸せに身を委ねた。 そして自分の身体越しに沼の方を見やる。 そこには産み落とした卵は数珠状となり、沼の中に沈んでいた。 (アタシの・・卵・・へへ・・♡) 樹里がうっとりとした表情でそれを見つめていると、 彼方此方からひたひたと忍びよる音が聞こえてきた。 それは眷属の蛙達が無数に近寄ってきた音だった。 卵を丁寧に運び去る者、 樹里の身体を労るよう丁寧に舐め始める者、 樹里の元に食糧を運びよる者、 各々が割り当てられた役目を整然と熟していく。 樹里は眷属たちの動きを慣れた目でぼんやりと眺めていた。 ぐるるる すると今度は違う音が樹里の腹部から聞こえてきた。 樹里は一仕事終えた疲労感が落ち着くと、 自身が空腹であることに気が付いた。 先刻の疲労より空腹が勝り、樹里はのそりと身を起こした。 するとそれを察知したのか、 食料を運んできた蛙たちが樹里の元に葉の皿を引き寄せた。 その皿にはネズミが数匹そのままの姿で盛り付けられていた。 以前の樹里ならば決して見向きもしなかった。 だが今は違う。 樹里は自身の舌をゴム紐のように素早く伸ばし、 盛られたネズミを一匹舌で摑み口に運んだ。 そして徐にごくりと飲み込む。 食糧が喉を通り腹部に落ちる快感に、 樹里はふるふると小刻みに身を震わせた。 そして立て続けに盛られたネズミを捉え、 腹部へと運び続ける。 樹里はあっという間に盛られた食事を平らげてしまった。 「ひゅるるる・・」 樹里は粗方欲求が満たされたのか、安堵の溜息を吐いた。 そして自身の身を繕い続ける蛙たちを退かせた後、 次の欲求に頭を巡らせた。 (またたくさん産んだし・・褒めてくれるかな・・) 樹里は夫である蛙神へと想いを馳せた。 愛する夫は樹里を溺愛していた。 その愛は樹里が子を成す時、一際大きく発揮されたのだ。 蛙神は樹里の産卵という大きな努めが終わった後、 いつもの威厳を放り出し樹里を抱き締め強く愛した。 その時夫のごつごつとした肌と柔らかな舌が触れる度、 樹里は自身へと向けられた夫の愛が 最大限に身体を満たすのを感じ取れたのだ。 「ふひゅひゅひゅ・・・♡」 想像を重ねて、樹里は居ても立っても居られなくなった。 眷属たちに後を頼むと、樹里は四つん這いの四肢に力を込めた。 「ひゅ!」 そして大きく跳躍すると、勢いよく水しぶきを上げ沼に飛び込んだ。 そして慣れた動作で沼の奧深くに有る宮へと水を掻いた。 (喜んでくれるかな・・楽しみだな・・アタシの身体が癒えたら・・またすぐ孕ませてもらおっと♡) 泳ぐ樹里の顔が自然とにやけてくる。 しかし宮の入口には門番が居る。 神の妻として、下々にだらしない顔を見せるワケにはいかない。 樹里は必死に平静を装った。 しかし宮が近付いてくるたびに夫の事が思い起こされる。 (早く逢いたい・・愛しい・・アナタ・・♡) 樹里は逸る気持ちで水を掻き、宮の門を潜っていった。

繁栄の蛙妃 繁栄の蛙妃

More Creators