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【FANBOX限定】母になる冬

あの事件からどれだけ経ったか。 時間がようやく心を癒してくれ始めたときにそれは訪れた。 あの現地スタッフから携帯にメールが届いたのだ。 「冬優子サン」と題されたメールを見るなり手が震え始める。 そして傷口の瘡蓋を剝がされるが如く、 忌まわしい記憶が鮮明になる。 震え焦る思いでメールを開くと、 ありきたりな挨拶と簡潔な文章と共に一枚の画像が添付されていた。 「部族と取引している商人の話だと、冬優子サンは無事男の子を出産したラシイデス。母子ともに健康デス。族長の孫なので、次期族長と成るべく大切に育てられるそうデス。冬優子サンはとても幸せそうラシイデス。」 携帯を凝視したまま鼓動と息が早くなる。 震えが加速する。冷や汗が噴き出る。 自分勝手と思いながらも、忘れかけていた今になってメールを送ってきた相手への怒りと冬優子への想いが入り混じり、己の表情が分からなくなる。 なぜあのとき、どうしていれば、すまない、どうして、だれの ダレに何を言おうとしているのか分からない、 発する言葉が頭の中でつむじ風に舞う木の葉のように廻り続ける。 「・・ん・・めん、ごめん」 携帯を凝視したまま大粒の涙が零れ落ち、 携帯画面に写る冬優子に謝罪の言葉を発し続ける。 ひとしきり咽び泣き謝り続けた後、 ぽつりと呟くように言葉を発する。 「・・誕生日、おめでとう・・冬優子・・。」

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