【Skeb進捗】蒐集される女たち~最強のロリババアたちが手足をもがれた性処理オナホに堕ちるまで~
Added 2023-10-12 06:53:29 +0000 UTC空に浮かぶ黒い巨城――俗に魔王城と呼ばれるそこには常に暗雲がかかっており、過去数千年に渡って人間たちの恐怖の象徴として君臨してきた。城の主たる魔王は人間などまるで相手にならぬほどの実力を持ち、またそこに住まう魔物も一騎当千の猛者とされる。 普段は気ままに回遊を続ける魔王城であるが、今日に限ってはとある山岳地帯でピタリと動きを止めていた。いつも以上の厳戒態勢が敷かれており、周囲五キロにわたって魔物たちが警備を行っている。 彼らがそんな動きを見せるのには理由がある。今日は年に一度の会合の日なのだ。 「――相変わらず集まりが悪いのぅ」 広々としたホールの中、円卓に腰かけながらポツリと呟く。 端から見れば少女にしか見えないがその正体は数千年に渡って人間たちを恐怖のどん底に陥れてきた魔王だ。円卓に腰かける面々も彼女に負けず劣らずあどけない少女たちであるが魔王に匹敵するほどの猛者である。 「もうええんちゃいます? いくら待っても来ぃひんやろ」 進言するのは花魁のような姿をした少女だ。特徴的な狐耳と九本の尻尾を宿す九尾の妖狐であり、残忍にして冷酷な性格だと知られている。 彼女の背後に控える無数のキョンシーたちは衣服を剥ぎ取られ、揃いの貞操帯をつけられている。彼女にとっては人間の男など愛玩動物に過ぎない。かつて彼女に挑んだ猛者たちは人としての尊厳を奪われ、今や足で踏まれるだけでも悦びの声を上げてしまう。 「同意。残り二十秒で定刻に達します。当機は乾杯の準備を提唱します」 機械的な物言いをするのは銀髪のメイドだ。一見すると人間にしか見えないがその正体は太古の昔に製造された機械仕掛けの自動人形であり、いわゆるオーパーツである。感情の起伏に乏しい彼女であるが他の面々同様に人間たちを殺すことに何の躊躇いも持っていない。 メイドの姿をしているのはかつて彼女を製造した男の趣味だということだが、別にこの城に仕えているというわけでもない少し変わった存在だった。 魔王は少しばかり渋った様子を見せたものの小さく頷き、酒杯に手を向けたところで――ニッと口角を吊り上げ大扉へと視線を向けた。 「おう! 待たせたな!」 数秒後、ドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきたのはこれまた小柄な褐色肌の鬼人だ。 虎柄のマイクロビキニを身に着けた少女はカラカラと愉快そうに笑いながら大股でのしのしと円卓まで歩き、手に抱えていたモノをぽいっと円卓の中央へと放る。包みが解け、苦悶の表情を浮かべた男女の首がさいころのように転がった。 「道中見つけてな! 勇者だなんだと言ってたがまぁ弱い弱い! 死にたくなかったら俺の前で交尾しろって言ったらすぐヤりだしてよぉ! まぁ殺したんだけどな! わはは!」 「相も変わらず下品やなぁ。いっそやられとったらよかったのに」 「あぁ!? てめぇ今なんつった!?」 「死人に口なし、言うやろ? あぁ、でもあんさんは首取られても動きそうやなぁ。ゴキブリみたいにしぶといし」 「上等だ……てめぇから殺してやるよ」 バチバチと火花を散らす鬼人と妖狐。二人は犬猿の仲であり、顔を見合わせる度いつも喧嘩をしている。取り巻きの部下や奴隷たちは割って入ることさえ許されず、ガタガタと震えるのみだ。 「……どうせなら生きたまま連れてきてほしかった。そしたら遊べたのに」 我関せずとばかりに呟くのは黒い毛並みの猫又だ。露出過多な面々の中でも特にきわどい恰好をしており、ニプレスと前貼りのみの扇情的な姿をしている。十本ある尻尾はまるで手足のように蠢き、円卓上にあった男女の首をかっさらってお手玉をしていた。当人はぼんやりしているがその性質は例に漏れず苛烈である。 「彼女の仰る通りですわ。血は鮮度が大切だというのに……」 呆れたように呟く金髪赤目の美少女がトントンと円卓を叩くとテーブルのシミとなっていた血液が意志を持っているかのように彼女の指先へと集まり、小型の球体へと形を変える。彼女は人差し指ごとゆっくりと口に含み、たっぷりと味わってからじゅるりと舌なめずりをした。 吸血鬼の祖である彼女にとって血は何よりのご馳走である。仮にも勇者――人間という種族においてのレア個体の血は格別の味わいだ。現にこれまで討伐した勇者たちはいずれも彼女の自室において新鮮な血液を窮するためだけのサーバーと成り果てている。 「まったく皆さんは野蛮ですね。ひ弱で情けない人間たちには愛と情けを持って接しないといけませんよ?」 修道服に身を包んだ糸目の女がめっと𠮟りつけるような口調で言う。ただしその反応はいずれも冷ややかだ。 彼女の背後に控える侍女たちの目には揃いの十字架が浮かんでおり、貼り付けたような笑みのまま直立不動で立っている。侍女たちはいずれもとある王国の騎士団員だったのだが彼女によるありがたい“説法”によって真実へと目覚め、つい先日祖国を滅ぼしたばかりであった。それでもなお幸せそうに笑う彼女たちを前に糸目の女は両手を組んで祈りを捧げる。 あまりにも悪趣味な姿を前に火花を散らしていた鬼人と妖狐も毒気を抜かれ、バツが悪そうに椅子へと腰掛けた。 それと同時、魔王がわざとらしい咳払いを寄越した。一同の視線が一斉にそちらへ向く。 「まったく、貴様らはいつもながら騒がしいのぅ。――じゃが、退屈せんわい」 ここに集う者たちはそれぞれが一騎当千の猛者たちばかりであり、その気になれば単独で世界を滅ぼせる。しかしそんなことをすれば誰かが不利益を被ることになり、最悪の場合衝突が起きて共倒れになるかもしれない。 つまるところ彼女たちが属する神魔連合とはある種の不可侵条約であり、互いが互いを牽制し合う関係でもあるのだ。とはいえ絶対的な強者である彼女たちにとって自分に等しい力を持つ者たちは唯一心が許せる間柄でもあり、たまの小競り合いこそあれど結成以来数千年近く衝突は起きていない。 が、 「毎度のことですが集まりが悪いですねぇ……」 円卓にはいくつもの空席が存在している。 一年に一度近況報告を行うようにはしているのだが出席率にはバラつきがあり、毎回顔を見せに来るのは魔王を除けば糸目の女とメイドのみである。それにしても今回は空席が六と、例年以上であった。 「まぁたまにはこんなこともあるじゃろう。あ奴らも気まぐれじゃからな」 「ンなこといいからさっさと飯食おうぜ? 長旅で腹減ってんだよこっちは」 待ちきれないとばかりに急かす鬼人に微笑み返しつつ、背後に控える従者たちに合図を送ろうとした――まさにその時。 巨大な大扉が開かれ、誰かが足を踏み入れてきた。突然の乱入者に一同は警戒心をあらわにして視線を尖らせるが、その正体を前に誰からともなく笑いが起きた。 「おやまぁ。随分変わったお客さんやねぇ」 大扉を背にして立つのは二メートル近いスキンヘッドの巨漢。人間基準であれば十分に強者と断定できるほど筋骨隆々の見た目をしており、事実顔つきは精悍で鍛え上げられた戦士の様相さえ醸している。 だがなぜか武器や防具の類を身に着けておらず、ブーメランパンツ一丁という珍妙な姿であった。彼は円卓に座る者たちを見つめ、指先で数える。 「ひぃ、ふぅ、みぃ……全部で七人か」 「……何、アイツ?」 「解析《アナライズ》――終了。カテゴリー、勇者と断定します」 「アレが!? おいおい、冗談キツイぜ!」 勇者とは決して一個人を指す言葉ではない。 彼らは概して強力な力を持つ、人間とは別の領域を生きる存在だ。その力は時として神にも及ぶと言うがいまだかつてその領域に達したものは誰もおらず、事実ここにいる者たちは数多の勇者たちを葬ってきた。 しかしその中でもこの男は特に奇怪であった。服装もそうだが、こんな状況においてまるで危機感というものを持ち合わせていないのである。普通ならばここらで自分に酔った演説でもかまして頭でも吹き飛ばされているのだが。 思わぬサプライズに一同の反応は意外にも温かである。余興とでも考えているのだろう。鬼人がチラッと部下たちに視線を送ると赤褐色の肌をした豊満な胸を持つ鬼人がズイッと歩み出た。 身長は男の胸元までしかないがその実力は折り紙つきであり、彼女ひとりで国ひとつ滅ぼせるほどだ。強者の自信を滲ませる笑みを浮かべながら男の懐まで潜り込み、人差し指を胸板へ押しつけ睨みつける。 「おい、アンタ。何のつもりか知らないけどここは――ぷぎゅっ!?」 一瞬の出来事だった。男が無造作に振り下ろした拳によって鬼人は地面へと叩き伏せられ、陥没した床の中央でぴくぴくと痙攣しながら小便を漏らしている。 予想外の展開に一同は言葉を失い、動きを止めてしまう。いくら油断していたとはいえタフネスならば随一とされる鬼人をただのパンチで沈めてしまったのだ。それも全然腰の入っていない、例えるなら羽虫を払うような仕草で。 「身の程を弁えろ、コバエが」 「な、な――何してくれてんだてめぇえええええええええええッ!」 怒声と共に鬼人の身体から膨大な電気が迸り、黒かった髪が白く染まっていく。その余波で周囲にいた取り巻きたちは全員吹き飛ばされたが円卓に座る者たちは微動だにしない。どころか面白い見世物が始まったと口元を緩め、何秒で殺せるか賭けを始める始末だ。 「がぁッ!」 鬼人が犬歯を剥き出しにして男へと襲い掛かる。比喩表現などではない文字通りの雷速。 人間では反応することなどできないはずなのに男はあろうことか身を屈めて回避し、蹴りを放ってきた。直撃する前に宙を蹴って躱したものの直撃していれば確実にダメージを負っていた。 「……いいねぇ。強い男は好きだ。ボコボコに嬲って、犯して、喰ってやるよ!」 鬼人は怯えを見せるどころか好戦的な笑みを見せ、再び跳躍した。 速度は先ほどの比ではない。宙を蹴る度雷鳴が轟き、四方八方から雷の槍が降り注ぐ。さしもの男もすべてを躱しきることはできず、何発か直撃を喰らった。 「……嘘。生きてる」 最強クラスの勇者であっても消し炭になるほどの猛攻を受けてなお、彼はそこに立っていた。どころか退屈そうに欠伸をし、挑発するようにくいくいっと手首を曲げる。 ただでさえ沸点の低い鬼人にとって、それはかつてないほどに効果的であった。城の壁に四肢を食い込ませ、電圧を極限まで高めていく。その技を喰らったことのある妖狐はチッと忌々しげに舌打ちをし、未だに疼く左肩をグッと抑える。 「――死ね」 鼓膜が破けるほどの轟音。目が潰れるほどの閃光。 ただの突進。しかしそれは万物を破壊せしめる決別の一撃である。 魔王を含め、その場にいた皆が彼女の勝利を信じて疑わなかった。あの技の直撃を受けて無事でいられる者など誰もいない。久方ぶりに見せたにもかかわらずまるで衰えていない威力に安堵さえ覚えていた。 やがて雷鳴が遠ざかっていき、視界を覆っていた閃光と砂ぼこりが晴れていく。 そこで彼女たちが目にしたものは―― 「……が、ぉっ」 頭を鷲掴みにされ、腹部に拳を深々と叩き込まれている鬼人の姿であった。完全に白目を剥いてぶくぶくと泡を吹いており、手足はだらりと力なく垂れている。どれだけの衝撃を受けたのであろうか腹部には色の濃いあざが浮かび、ぴくぴくと小刻みに痙攣していた。 「ふんっ!」 男は彼女の角を掴み、壁めがけて全力で投げつける。その衝撃で彼女の自慢であった二本角のひとつは根元から完璧に折れ、華奢な身体が外壁へとめり込んだ。尻だけを露出させた壁尻の姿になった彼女はビクビクと危険な痙攣をきたし、そのまま動かなくなる。じょろじょろと音を立てて小便が垂れ、ツンとしたアンモニア臭が一同の鼻を突いた。 あまりにも無様で惨めな醜態。しかしそれを笑う者は誰もいない。 一斉に臨戦態勢へと移行し、すぐさま男へと襲い掛かる。 「……少しは、楽しめそう」 先陣を切ったのは猫又だ。機敏な動きで男を翻弄し、自慢の爪で引っ掻く。金剛石さえ容易く切り裂くそれでもまるでダメージを与えられない。 返しの一撃は影に潜って回避。そこから別の影へと移動し、次に飛び出してきた時にはその身体は完全な異形と化していた。 闇を纏った巨大な猫又が唸りを上げて男に喰らいつき、剣山じみた牙が肌に突き刺さる。男はわずかに顔をしかめたもののすぐさま両手足に力を込めて無理矢理脱出――そこめがけて、白い煙が彼の足首へと巻きついた。 「よくもまぁウチの獲物を横取りしてくれはったなぁ。……お代はあんさんの命でええよ」 踏ん張る間もなく煙によって全身を包まれ、じわじわと圧力を強められていく。実体を伴った鎖は鋼鉄以上の強度を誇り、かつ煙としての機能も宿している。勇者といえど所詮は人間。酸素を奪われれば容易く死に至る。 妖狐はキセルを吹かしながら新たな手を作り出し、男の身体をさらに締め上げた。だがそれでも血飛沫は上がらない。 「おぉッ!」 筋肉の膨張のみで煙を吹き飛ばした男はすぐさま妖狐へと殴り掛かる――が、当たる直前で彼女の身体は煙となって掻き消えた。彼の周囲を取り囲むように無数の妖狐が現れ、クスクスと不気味な笑いを漏らす。 その隙間を縫うように飛んできたのは一筋の光線。見れば右手をビームガンに換装したメイドがこちらに狙いを定めている。 「照準よし――攻撃《ファイア 》」 秒間三百発のビームが男の身体を滅多打ちにする。威力を殺しきれず後方に吹き飛んだ時、すでにメイドはそこへ回り込んでいた。優雅にスカートの端を摘まんで身を翻すと同時、スカートの中から無数のミサイルやら機関砲が男の身体めがけて放たれた。 殲滅力だけならば随一とされる猛攻を前に勇者は手も足も出ない。それでも決定打にはなり得ないため戦法を切り替えることにしたのか右手のビームガンがドリルへと換装される。 「機構《コマンド》――掘削者《トレマーズ》」 彼女の身体には不釣り合いなほどに巨大なドリルが唸りを上げて男へと襲い掛かる。かつて幾千の山々をくり抜き砕いた無敵の一撃。いくら勇者でもこれは耐えられまい。 誰もがそう予感し、しかしそれが裏切られてきたことをすぐさま思い出す。 目の前にいるのは勇者の中でもイレギュラーな存在だ。常識で考えてはいけない相手である。 「――エラー」 メイドも直前でそれに気づいたモノの加速がつきすぎた身体は制御がつかず、狙いすました男の拳がドリルもろとも彼女の顔面へと突き刺さった。錐もみしながら吹き飛んだ彼女は壁に磔にされ、そのまま力なく倒れ伏す。 ピピ、ガ、ガ……という呟きと共に身体から力が抜け、関節部からぷしゅ~っと音を立てて煙が噴き上がった。 「……よくも!」 さらに影を取り込み巨大になった猫又が襲い掛かる。十本の尻尾はそれ自体が鋭利な刃も同然だ。回避しようとした男の身体に白煙が纏わりつき、動きを止める。 直撃。されど貫通はせず、それどころか傷ひとつ負わせられない。 愕然とする猫又をよそにまたしても煙の拘束を解いた男は強引なラリアットで猫又の首を刈り取り、巨体を地面へと転倒させた。起き上がろうとするまもなく跳躍した男による飛び蹴りが腹部に命中し、猫又の身体がくの字に曲がる。 一瞬の静寂の後、身体を覆っていた影が剥がれていき残されたのは腹部を踏みつけにされている猫又の情けない姿であった。意図せず手足を丸めた屈服のポーズを取る彼女を一瞥し、男は再び妖狐へと狙いを定める。 (なんやの、こいつは――!) 戸惑いながらも五体を煙へと変えようとしたが、わずかな逡巡が命取りであった。 「ふぎゃっ!?」 自慢の尻尾の根元を鷲掴みにされ、口から潰れた悲鳴が上がる。 完全に煙と化した彼女はあらゆる攻撃を無効にする能力を持つが、唯一の欠点として煙に変化するにはわずかなラグが生じる。それを見極めた男によって急所とも言える尻尾を捉えられ、逆さづりにされながらもがく。 彼の目は冷ややかであり、またどこか値踏みしているようであった。単に冷酷な殺人鬼というわけではない。何かしらの目的があってここへやってきている。 「あ、あはは……あんさん、つよいなぁ……ウチ、強い男好きやで? も、もしよかったらウチと閨を――へ?」 言い切るよりも先に襲ってきた浮遊感。気づいた時には地面が目の前へと迫っており、 「ぎゃぴっ!?」 顔から地面へと叩き込まれた妖狐は尻を高く突き上げたまま失神した。男は彼女の頭を踏みにじりながらペッと尻尾に向かって唾を吐く。 「オナホ風情が俺様と対等になれるわけないだろうが。身の程を知れ、女狐」 「……ずいぶん暴れてくださいましたわね」 と、ここまで沈黙を保っていた三人がゆらりと殺気を滲ませる。 彼女たちが静観していたのは余裕ぶっていたからではない。およそ連携に不向きな能力ばかりであり、下手をすれば味方ごと致命傷を負わせる可能性もあったからだ。 「まずはわたくしから。異論はありませんわね」 「えぇ。どうぞお好きに」 「なら遠慮なく」 漆黒のドレスを纏った吸血鬼は自らの指を噛み、そこから垂れた血液を地面へと垂らす。すると周囲の空間があっという間に塗り潰され、気づけばそこは漆黒の闇が支配する領域へと変化していた。 「ようこそ、わたくしの“鮮血魔城”へ。歓迎いたしますわ」 その声に呼応するがごとく無数の使い魔たちが姿を現していく。彼女もまた血の大鎌を携え、男を睨みつけた。カンッとヒールの音を響かせると同時無数の使い魔たちが男へと殺到し血染めの刃が至る所から放たれていく。 この空間において彼女は無敵の力を持つ。仮に円卓に座っていた者たちが全員ここに呼び寄せられたとしても彼女に勝利を収めるのは容易いことではない。自身の能力は限界まで強化され、相手には弱体化を付与する。それがこの領域の効果である。 「――ッ!」 ここに至ってようやく男の身体から傷が流れた。鬱陶しそうに使い魔たちを振り払うも次から次へと無尽蔵に湧き出てくるため倒してもまるでキリがない。かといって吸血鬼を直接倒せるかといえばそうではなく、鬼人以上のスピードとパワーを持って圧倒された。すれ違いざま男の首筋にじんわり滲んだ血を舐めとり、吸血鬼は至福のため息を零す。 「嗚呼、美味しい……もっと味わわせてくださいましッ!」 血を啜ったことで更なる強化が付与される。血染めの杭が地面から突き出し、男の身体へ深々と突き刺さった。直前で掴んだため貫通こそしていないものの徐々に血が滲んできている。 血を流せば流すほど彼女を強化する羽目になり、ドンドン不利に陥っていく。彼女の能力は長期戦でこそ力を発揮する代物だ。 ――ならば。短期決戦で仕留めればいい。 「ふぅ」 杭を強引にへし折り、着地と同時に深く息を吐く。吸血鬼が迫ってきているが関係ない。 右足を高々と振り上げ――首に血の大鎌がめり込むと同時、振り下ろした。 刹那響き渡る轟音と衝撃。規格外の震脚により空間全体が鳴動し、軋む。 「なっ!? こんな力技で、わたくしの力を!?」 驚愕する間もなく二度目の震脚。もはや猶予はない。 衝撃の余波で吹き飛ばされる使い魔たちはもはや当てにならない。自分しか止められない。そう判断したが故の突貫。 当然、それも男の予想範囲内だった。ニィッと口角を歪め、マサカリ投法を思わせるフォームでの打撃を放つ。 間違いなく直撃コースであったが、フッと吸血鬼の姿が眼前から消えた。全身を蝙蝠に変えて緊急回避を試みたのだ。 ならばとすべてを叩き落とそうとする男に対し、蝙蝠を終結させ再び姿を形作る。 「ハァァッ!」 血染めの大鎌を振るおうとしたまさにその時、天井にピシッとひびが入り何者かが乱入してきた。そちらに意識が向いた男は横からの一撃を喰らって吹っ飛び、使い魔たちの餌食となる。 「すみません。てっきりピンチかと思って来ちゃいました」 ふわりと着地した修道女はいつもながらのおっとりした調子でそう言った。吸血鬼は呆れたようにため息をつきながらも隣に並び、 「一応、礼は言っておきますわ。この男、やはり只物ではなさそうですわね」 「仮にも真祖である貴女でさえ手に余るお方ですか……ならば私も本気でかからねばなりませんね」 その言葉を聞いた吸血鬼は露骨に顔を歪め、少しばかり距離を取った。 彼女は神魔連合のメンバーにしては珍しく温厚である……が、それはあくまでも“擬態”だ。本性はこの場にいる誰よりも醜悪である。 「お、おぉ……オォォォォォッ!」 閉ざされた両目から血の涙が溢れ、身体が青く染まっていく。全身から吐き気を催すような瘴気が噴き上がり、彼女の周囲を守るようにタコのような触手が生えてきた。頭上に輝く光の輪は黒く濁り、ギラギラと妖しく輝きだす。 彼女は古き邪神の血を引く半神だ。仮に人間がこの姿を目にしたら即発狂してしまうだろう。実際、吸血鬼の眷属たる使い魔たちにも異常が見え始めている。手数が減るのは惜しいが正直彼らが束になるよりも半神がいた方が心強い。 「サぁ……おロかなジんるイにキュうさいをあタえま死ょゥ」 彼女の紡ぐ言の葉はすべて呪いに等しい。人間が耐えられる代物ではない。 巨大なタコ足が頭上から男を潰しにかかり、回避した先では吸血鬼が大鎌の一撃を見舞う。連戦に次ぐ連戦で男の顔にも疲労感が見え始めた。そうでなくとも修道女の言葉は人間の魂を直接汚染していく。 「アぁ、カわいソぅに……いマラくに死てアげますね」 頭上のわっかが一際悍ましい輝きを放ちだす。アレが来る、と判断した吸血鬼はすぐさま距離を取って能力を全開にして防御態勢を取った。 その直後、男の頭上から巨大な光の柱が降り注ぐ。 それはすなわち神罰。全てを許し、消し去り、死という名の救いを与える邪神の慈悲。 防御力や耐久力など関係ない。これは概念自体を消し去る力なのだ。直撃を免れたとはいえその効力は絶大であり、吸血鬼が構築していた領域もそれに呑み込まれ消えていく。 空間がギュッと凝縮され解放された瞬間、すさまじい爆発が巻き起こった。元の場所に戻されるなり吸血鬼は大きく吹き飛ばされ、修道女もタコ足にしがみついて耐えている。 そして光の柱が消え去った時、そこに男の姿はなくなっていた。存在ごと消し飛ばされたのである。もはや輪廻転生の輪にさえ戻ることはできないだろう。 「アぁ……死ゅよ、オゆる死くダさィ……」 「……そなたの姿はいつ見ても気分が悪くなるのぅ」 魔王は心底嫌そうな顔をしていた。吸血鬼だって正直嫌である。 しかもこの状態になった彼女はほとんど話が通じない。やれやれと嘆息し、周囲を見渡した。 「しかしまあ、派手に暴れてくれたモノですね」 「まったくじゃ。……まさかここまで手ひどくやられるとはのぅ」 現在残っている三名には及ばないにしても他の面々も最強の名を冠するにふさわしい存在である。そんな彼女たちがほとんど一方的にやられてしまった。間違いなく規格外の勇者だったと言えるだろう。 幸い全員息はある。まぁ当然だ。伊達に不老不死ではない。修道女の神罰でも喰らわない限り、死ぬことはないだろう。 「……っと、おい。やけに静かじゃな」 やっと思い出したというように背後を振り返る魔王と吸血鬼。 二人の目に映りこんだのは修道女の首をギリギリと絞めつける男の姿であった。もはや意識はほとんど消えかけているのか頭上のわっかも明滅を繰り返しており、タコ足も消滅している。 「な、どうして生きているんですの!?」 「えぇい、知るか! それよりもまずはあ奴を!」 助けに入ろうとする吸血鬼めがけて修道女を投げつける。咄嗟に受け止めてしまった吸血鬼が判断を誤ったことに気づいた時には男の足裏が眼前まで迫っており、痛烈なドロップキックによって背後の壁もろとも吹き飛ばされた。 意識を失った二人は天空高くそびえる城から墜落し、近くの森に消えていく。 その安否を確かめるよりもやるべきことが魔王にはあった。 「貴様……よくもやってくれたのぅ。人間風情が!」 「お前らも無駄な抵抗をするなよ。オナホ風情が」 「誰がッ! 舐めるでないぞ、小童がァッ!」 魔王が能力を全開にする。男の身体が弾き飛ばされ、城から墜落した。 くるりと宙で身を翻し華麗に着地を決める男であるが、次の瞬間言葉を失った。 巨大な城が形を変え、人型へと変貌を遂げていたのである。ズゥンッと大きな音を立てて森に落ちると先ほど墜落した二名を地面ごと掬い上げ、城の中へと仕舞い込む。そこからさらに拳を地面に突き立てた時、大地が揺れた。 地形が徐々に変わっていく。否、あの城に取り込まれていく。 手に届くほど高くそびえる漆黒の魔城――否、漆黒の巨人。男が立ち向かうにはあまりにも強大な相手である。 「見たか! これがわしの力じゃ! 歯向かったこと、後悔するがいい!」 地面が隆起し無数のタコ足が男へと降り注ぎ、天を切り裂く雷が意志を持って暴れまわる。闇が形を成して巨大な獣たちの姿となり、空を埋め尽くすほどの蝙蝠の群れが魔城を取り囲む。惑星軌道上に放たれた観測ユニットから転送されてくる巨大な武器群が白煙を纏って更なる進化を遂げた。 魔王の能力は全てを統べる力。万物の操作を可能とし、かつ自身の領域である城の中にいる者たちの力さえも自由自在に行使できる。仮に円卓の面々が全員そろっていたならば世界はわずか一日で滅ぼされていただろう。 ――それでもなお、男は笑う。 それでこそだ、と。それでこそ倒した時の達成感は大きくなるのだ、と。 彼の中でむくむくとある気持ちが高まっていく。あの場にいる女たち全員を自分のモノにしたいという征服欲と蒐集欲。 その昂りはそのまま力へと変換され、迫るタコ足を躱してそれに乗り、魔城めがけて駆け抜ける。 「おぉおおおおおおおッ!」 立ちふさがる生涯すべてが拳によって粉砕されていく。無論ダメージがないわけではない。 魔王の能力によって強化された力は本人たちが振るう何百倍もの出力と化しており、男の全身はすでに血まみれになっていた。それでも彼は死なず、嗤い続ける。 「舐めるなぁッ!」 巨大な拳が男の身体を押し潰し、地面へとめり込ませる。すかさず拳の雨が降り注ぎ、目も眩むような雷と光の柱が降り注いだ。 それでもなお押しきれない。次第に魔王の頭に困惑が浮かび始める。 こいつは何だ? 勇者だとメイドは言っていたがだとしてはおかしすぎる。これはイレギュラーだとか世界のバグだとかそんな常識では収まらない。なにせこれだけの攻撃を受けてなお死んでいないのだ。 死という概念が存在しないのか? 否、あるいは別の要因か? 考えても答えは出ない。ならば殺せる時まで戦い続けるのみ! 「認めよう。貴様は紛れもない強者である。なればこそわしの全力を持って葬るとしよう」 「言ってろ。お前は俺には勝てねぇよ。絶対」 「ぬかせ!」 トントンとその場でステップを踏み、加速によって拳を躱す。 相手は巨大。だが、弱点はある。それは操縦者である魔王自身だ。彼女の制御が乱れれば当然これは崩壊する。もちろん並の人間ではできるはずもない。けれども男には自分にはできるという確信があった。 ダメージは少なくない。これまでも彼女たちと同等の存在と戦ってきたがやはり規格外の相手だと言えよう。それでも滾ってしまうのは彼が生粋の“蒐集家”であるからだ。 自分の強さの証明たる強い女――それらを手元に置いておきたい。彼女らを眺める度に激闘を思い出し、浸り、耽る。その上性処理までできるともなれば最高だ。 「おぉおおおおおおおおおおおおッ!」 雄たけびを上げて猛進する。防御を一切捨てた全力疾走。如何なる障害が立ちふさがろうとも拳によって粉砕し、歩みは止めない。 魔王も彼の狙いに気づいたのか全力で阻止に来た。けれども懐まで潜り込まれてしまっては逆にその強大な力がリスクを伴う。下手に攻撃を仕掛ければ自滅に追い込まれてしまう――最悪のジレンマだ。 男が振るう全力の拳打の雨によって、右足が粉砕される。バランスを崩した隙を見逃さずその身体を駆け上がり、一気に本体めがけて向かった。 「ちぃッ!」 すぐさま体勢を立て直し迎撃に移る魔王――だが、もう遅い。 彼はコックピットとも言える魔城本体へと達しており、今まさに必殺の一撃を放とうとするところであった。 「くそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」 魔王の悲鳴をかき消すほどの衝撃と轟音。巨大な人型がぼろぼろと崩れていき、残る権能たちも形を失っていく。 ――後に、これを目撃した人々は口々にこう述べた。 『間違いなく世界の終わりだと思った。でも、実は逆だった』 たったひとりの男によって数千年の間君臨してきた神魔連合は壊滅へと追いやられた。 しかし彼の名を知る者も、魔王たちの行方を知る者もいない。 曰く、魔王と相討ちになって死んだ。 曰く、人目を嫌い世俗から離れた。 曰く、戦いの衝撃によって別世界へと転移した。 人々は口々に好き勝手なことを言うが、真実は違う。 彼は生きており、魔王たちもまた生きていた。ただ一つ付け加えるべきなのは男の手によって彼女たちは全員拉致され、その生涯を彼と共に過ごすことになったということである――。