XaiJu
toriaezu
toriaezu

fanbox


【全体公開版】スケベスキルで世界最強~やっぱ最強はちんぽっしょ!!~8

「リカヤ派を落とす?」


 娼館でごろごろしていた昼下がり。

 おれは自分が放った言葉を咀嚼するのに少し時間がかかってしまった。


「まさかとは思うが、お前、この街の五大派閥をまだ覚えてねえとか言わんよな?」


 フォグの鋭い目が光る。そして、それは正鵠を得ていたので素直に謝罪するおれ。

 熊は叱咤しようと口を開いたが、すんでのところで飲み込んだようだ。これ見よがしの特大ため息と共に、優しい熊さんはおれにまた教えてくれる。

 何度目だろうね、ごめんね。


「知恵と魔の派閥であるリカヤ派はゴライザ派と同じくジェル様の国に近づきたがっている、親コートリル派だ」


 あ、そういえばうちの国ってそういう名前だったね。これ言うとさすがにフォグもぶちぎれるので黙ります。


「……まあ、あそこだけは少し特殊で、派閥の中でも権力争いが横行している。リカヤという名前も、リンドン、カルハバ、ヤカブ、の主要メンバー三人の名前の頭文字からとっている」

「うわ、もうめんどくさい」

「いいからとにかく最後まで聞け。リカヤ派は知恵と魔の派閥とうたわれている通り、この街の魔術師ギルドを母体としている。緩衝地帯の傭兵街にある魔術師ギルドということで、結構実戦派の魔法使いが多い」

「魔法ねぇ」


 この世界において、魔法も結局はスキルレベルで表される簡素なものだ。それでも剣技と同じく、研鑽を積めばある程度は使いこなせる。RPGの経験値方式と言えばいいのか、努力値振りと言えばいいのか。


「っていうか他の派閥には権力争いないの?」

「そんなことはないが、リカヤ派ほど表立ってないだけだな。特に、商人ギルドを母体とする金と絆の派閥ナハトラ派は、ナハトラの圧倒的財力に物を言わせてるだけで実際はタヌキの集まりだからな」

「ふーん、ちなみに、うちの娼館も結構儲けてるけど商人ギルドから横やりとかはない?」

「ある。うちは娼館というには稼ぎが異常なので、商人たちからの融資や提携の話が後を断たん。が、そういうのはリブラが上手い事処理している」

「万能すぎかよ……」


 そしてその一言で大体何とかなってるんだなってわかるほどの能力。さすがのリブラである。


 おれらは街を掌握するという目的があり、暗躍しているから不定期にしか開けない娼館にもかかわらず、人気は順調。うわさがうわさを呼び、今や他の町からも客が訪れるようになっている。


「これだけで食っていけるな」とはリブラ談だが、それは本当にそうだと思う。

 なにせ、貢物が多いのだ。娼夫に入れ込む大人の財力を甘く見ていた。推しに財布のひもが緩むのはどこの世界も一緒だったのだと、無駄に理解を深めてしまった。

 特に、花形であるリブラやヤードには騎士団の給金以上のお金が舞い込んできており、王族のリブラや貴族のフォグはともかくとして、平民出身であるヤードはその使い道にとても困っていた。

 結果としてギルドで毎回奢ってくれる気前のいいお兄さんになっているのだが、それでいいのかと問いたい。

 

 手紙も増えれば返信する手間も増えるので、ゴライザから人手を借りてゴーストライターも要り様になってきている。正直、リブラはどこまで規模を広げるつもりなのか。絶対育成ゲームの感覚で楽しんでるよなこいつ。


「だからまあ」フォグが続ける。「ナハトラ派に関してはアプローチをかけやすいところにいると思ってくれていい。ついでに言っておくと、冒険者ギルドを母体とするトリドス派は大体忠犬汚染済みだ」

「うわ、いつのまに……」


 やはりこの街の掌握ってもうだいぶ進んでるんじゃないかな。


「あと接点がないのは、職人ギルドを母体とするオーソルネファ派だが。あそこはそもそも職人気質で政治に口出ししないので気にしなくていいだろう。戦闘が多いこの街で武具などを作っていければいいと思っているだけの、そうだな、労働者組合としての側面が強い」

「労働者組合」


 異世界にそんなのあったの?!

 衝撃のあまり思わずツッコミを忘れてオウム返しをするだけになってしまった。


「君主を仰ぐ我が国と違って、スニーグスは議会制だからな。なおさらそういうのも必要なんだろう。あとはこの街を自衛するための軍部を掌握するゴライザ派を含めて五大派閥だ。思い出したか。初めて聞いたとか言ったらさすがのおれも拳を出すが」

「思い、出しました!」


 フォグの拳は真面目に痛いので、全力で応えた。手加減してくれているんだろうけど、罰としてきちんと作用する痛みがある。


「よし。それで話は最初に戻るが。リカヤ派を抱き込めば、この街の掌握はもうほぼ終わったと言っていいだろう。ナハトラ派はタヌキの集まりだから勝ち馬に乗るだけだろうし、トリドス派はヤードがすでに王手をかけている」

「あー、だから冒険者ギルドを重点的に汚染したのか」


 発展場を作るためだけじゃなかった。


「ちなみにそれも最初に説明したはずだが?」

「ごめんなさい」

「……もういい。ヤードはギルド内で確実に発言力を身に着けている。トリドスの側近に性癖を盛っているうえに、最近有望な冒険者バーティを引き込んだらしい」

「そういえば、前に言ってたな。ゴライザの性癖を大量に渡したわ」

「おかげで、ギルド内でヤードに触れられない情報はない。トリドス派のだいたいの思惑も筒抜けだ」


 現状はおれが思っているよりも順調だったのね。でも、これでもうすぐジェルの下に帰れる! 早くあの毛皮に顔をうずめたい! 一回もうずめたことないけど!


「それじゃあここで問題だが。どの派閥がどういう立ち位置にいるか、覚えているか?」

「…………」

「よし、この作業が終わったら授業にはいる。今度はスパルタでいくから、その顔面を腫れあがらせてやる」

「ごめんって!」

「ジェル様のお役に立ちたいのなら、エロスキル以外もしっかり磨け。あの方は立場も少し特殊だからな」


 口ではぶっきらぼうだが、根は優しいのだ。甘やかしてはくれないが、しっかりと教えてくれる。


「ゴライザ派、リカヤ派は親コートリル王国。冒険者ギルドを母体とする力と勇気の派閥トリドス派は向かい合うホスタット帝国に組み入ろうとしている」


 あーー、そういえばおれらが情報を抜きたかった国ってそういう名前だったね。口には出さない以下略。


「ナハトラ派とオーソルネファ派は利益や興味中心に動く派閥ゆえに、今のところ中立。これで全部だ。……このくらいは最低限覚えててくれ頼むから。核となるお前に何も知識がないんじゃ、利用してるみたいで後ろめたいし、ぼんくらをぼんくらのまま帰還させたとあっては、ジェル様に対しても副隊長として死にたくなる」


 とうとう懇願の域に入ってきたな……。いや、おれだって覚えようとは思ってるんですけどね。いかんせん、現代と知識傾向が違いすぎてややこしいんだ。許して。


「それはまあ、異世界人にとってはそうだろう。酷なことかもしれんが、すんでいる世界の最低限くらいは覚えたほうがいい。自分のためにも。……脱線した、ともかくリカヤ派筆頭の一人、リンドンは我が娼館の常連だからな。まずはそこから落とそう」

「え、それってすでに終わってるのでは」

「そうともいう。筆頭を一人堕とせばあとは芋ずる式に終わるだろう。本当は方針を同じくしたゴライザが近寄ってくれると楽だったんだが、あいつはリカヤ派をかなり嫌ってるからな。すり寄っても疑われるだけだ」


 それでエロ方面から攻めることにしたと。ところで、そのリンドンがうちに来る目当てって誰なんだ。この娼館にはリブラをはじめとして、おれが手塩にかけて鍛えたエロスキル満載のオスケモがたくさんいるが。


 熊の目線が泳ぎ、言いよどんだ言葉が口腔内で咀嚼される。

 何を言おうとしているのか大体理解できてしまった。フォグは賢いし頭も回るけど、いかんせんだまし合いに向いていない。


「……おれだ」


 まあそうだろうと思った。


「しかも、予約が近日中に入っている」

「そうか、じゃあリカヤ派を落とせるかどうかフォグにかかっているわけだ」

「まあ、そうだな……」


 不安そうだなぁ。確かに、天性のどSであるリブラと違って、雄をたぶらかすことなんてできなさそうだし。

 筋肉と脂肪を蓄えたむっちむちとした見た目とおっぱいに加え、不慣れでぎこちない可愛さで人気を集めている熊だ。雄を落とせと言われても困るのは当然か。


「なら、おれが手伝おうか」

「正直そうしてくれると助かる。おれだけではやはり不安だからな」

「じゃあセックスするか」


 後ろから抱き着いて、豊満な体に顔をうずめる。手入れの行き届いた体は雄の臭いを芳香で隠しており、理性の壁を思わせた。娼夫だから、というより貴族として身だしなみを整える癖がついているフォグだ。漂う香りも品がある。


 服の隙間に手を入れて、さあ肉を堪能しようと思った矢先。

 そっと、熊が離れた。


「やるならヤードを呼んで来い」

「別にセックスくらい二人っきりでもいいじゃないかな」

「駄目だ。何度も言うが、おれはあのくそ親父に何を仕込まれてるのかわからないんだ。どうせこの機会にジェル様の寵愛を受けるお前に何かしようとしているなんて、わかりきってるんだからな」

「今のところ何もないけどなぁ」

「それでも、警戒は必要だ。別におれはお前が死のうがどうしようが知った事じゃないが、ジェル様が悲しむことだけは避けなければならないんだ。おれのせいでジェル様が涙することがあれば、おれは謝罪のために腹を切るぞ」


 多分これ本気で言ってる。ジェルが絡んだ時のフォグは狂信者さながらだから。


 普段は凛々しい熊は目をこんなにも熱っぽくさせているというのに、まだ理性で制御できているようだ。相変わらずの真面目堅物委員長だことで。


 それならヤードでも呼んで盛ろう。今日は特に依頼もないからギルドで酒盛りしていると言っていたし、ノリで乱交くらいならできるだろう。

 完全に発展場になってしまったギルドはほぼヤードが管理していると言っていい。一応『竜の爪』は変人こそ多いが立派な国王直属の親衛隊だ、実力は疑う余地もなく、さらに淫乱さでも群を抜いているとなれば、一目置かれるのは当然。


 ヤードは筋肉で構成された肉体は起伏が目立ち、遠めでもすぐにわかるほどの巨体だ。そうそう、こんなふうな……って。


「おい、速報だ!」


 ドアが大きくあけ放たれたら、ヤードが飛び込んできた。うわさをすればなんとやらだが、何か様子がおかしい。

 勢いよく入ってきた件(くだん)のサメは立派な筋肉に焦りを浮かべた顔をしている。確実に、何か予想外の出来事が起こったときの表情だった。


 実際にその予想は正しかったようで、続いた言葉にフォグが表情筋を引き締めた。


「トリドス派、ナハトラ派とオーソルネファ派が手を組みやがったぞ!」


****


 力と勇気の派閥を名乗るトリドス派は、ゴライザ派と双璧を為す武闘派集団として名高い。そもそもが腕っぷしを自慢とする冒険者の集まりでもあり、トリドスはそこの頂点に位置する雄だ。


 トリドス派が親ホスタット帝国なのは、冒険者ギルド自体がそこに与しているからという、ここまでくると世界情勢の話になるので放置するとして。トリドス自身の思惑と関係なく、冒険者ギルドとしての意向でもあるらしい。

 普通世界規模な組織って中立であってほしいものだけど、悲しいかな、実際はそうじゃないらしい。


 とまあ、リンドンをどう落とそうかと話していたおれたちだったけど、方向を急転換させて、トリドスを巻き込むことにした。さすがに五大勢力の内三つが結託するのは分が悪い。


 冒険者ギルドスニーグス支部長にして、名の知れた傭兵。昔からここら一体での功績は目覚ましく、トリドスのついた国が戦に勝利すると言われるほどの逸材。

 ついた二つ名が『戦勝鬼』、この街に古くからいる元最強の雄。現最強は言うまでもなくゴライザみたいだけど。


 正面切っての戦闘はさすがに分が悪いので、いつもの通りエロスキルで崩していこうか。

 すでにトリドスの側近は性癖に汚染されているみたいだし、迅速に進ませよう。


 ヤードを先行させて、トリドスに会いたい旨を伝えるとすんなり通った。さすがに注目株だけあって、トリドスからの覚えもいいみたいだ。まあ、人柄も実力も申し分ないしな。


「君には期待している」


 声に重さがあるとすれば、それは鉄よりも重いだろう。

 肩にのしかかる重圧は人生の重さそのものであり、彼がどれほどの戦いを潜り抜けてきたかを示しているようだ。


 鬼の二つ名を持つのは天まで伸びる角のせいか。牛という種族が持つにしては規格外なほど大きな角が、左右に伸びて湾曲して天を目指す、勇ましさの塊。

 一説には振り下ろされた刀さえ受け止める、と言われるほどの硬度をもつらしい。骨から直接伸びる部位であるというのにそれは弱点にはなりえないようだ。

 

「あの『鉄塊拳』を超える逸材だと、目をかけているくらいだ」


 ギルドの奥、支部長のトリドスがデスクに座りながらヤードに声をかけた。

 巨大な角を支えるに必要な肩幅はおれの倍以上はあるだろう。巨躯を見慣れたおれでもでかいとわかるほどの見た目と、威圧感と相まって、直接対峙したら吐くと思う。


 ちなみに、おれは普通に支部長室にいる。対人相手なら認識をゆがめるのも朝飯前なので、おれの存在を認知できなくした。これらの洗脳も暗示も全部エロ関係から派生していると考えると、なかなか侮れないなと痛感する。


 ヤードとトリドスの会話を聞きながら、おれと、ついでにフォグも護衛のためについてきているので四人。なんともむさくるしい会合が始まった。


「恐縮です」ヤードの目上に対する言葉遣いは騎士団で慣れたもの。「そこまで目にかけていただけるとは、身に余る光栄」

「やはり、どこかの騎士団に属していたのか。礼節もあって大変結構。あの犬にも見習ってほしいくらいだ」

「……昔の話です」

「おっと、冒険者として活動している者に過去を聞くのは野暮だったな。忘れてくれ」


 おれが近寄ってもトリドスは何の反応も示さない。

 まじまじ見ると、毛皮の艶などから年を経ているのがわかる。肉体はいつまでも全盛期なのだろうが、こういうところに年齢が出てしまうのだろう。


「最強の座をゴライザに譲ったくらいだ。戦闘面でも衰えはあると思うが、おそらくおれとヤードでも勝てるかどうか微妙だな」

「そこまで強いのか」

「我が国にも伝わっているほどだからな。鬼のいる軍勢を見たら逃げるべし。軍に入って真っ先に聞いたおとぎ話さ」

「その出元がこの人ってわけか」


 そう考えると『戦勝鬼』というのもあながち間違いでもないんだな。


 黒い毛皮をつまんでねじっていると、フォグが心配そうに見てくる。大丈夫、トリドスは絶対に俺らに気づかないから。

 元最強を手玉に取っているという興奮が、おれの股間に集まってきた。逞しい黒牛は真面目な顔で話しているようだが、そのギャップがまたそそるというもの。


 トリドスは何も気づかず、話を続ける。


「して、話というのは何か聞かせてもらおうか。なにやら重要なもののようだが」


 重苦しい流れが続きそうだったので、牛の両頬をつぶして面白顔を作ってみた。

 立っていたなら絶対に届かないだろうけど、座っているのなら何とか届く。


「はい。実を言いますと……ぶっふぅ!」

「どうした」

「い、いえ何も……」


 サメのツボに入ったらしく、噴き出してしまった。ヤードのことはしっかり認識できているから、違和感を与えてしまう。


 しかしそこで調子に乗るがおれという男。そそくさとトリドスの服を脱がしていき、逞しい上半身をさらけ出していく。腕を通してもらうためにもち上げてみても、もちろん、本人は何も気づかない。


 前線を引いたせいか、筋肉にうっすらと脂肪を纏っている。ゴライザほどのボリュームはないが、そのぶんしなだれた豊満おっぱいはこれはこれで味があると思う。

 服の下にはいくつもの傷跡があり、戦いの痕が見て取れる。皮膚が薄くなった部分を『愛撫』スキル持ちの指先でなぞると、いかつい肩がびくりと震えた。


「どうされました?」すかさずヤードが問う。

「いや、寒気がしてな。いかんな、いくら昔は腕に物を言わせたとしても、寄る年波には勝てん」

「何をいいます。『戦勝鬼』の話は国境をまたいでも知らぬ人はおりません」

「昔の話よ。今はあの犬こそが最強の名をほしいままにしておる。矜持も誇りもないただの暴力が頂点に君臨するのはいかがなものか」

 憂うように、牛はため息をこぼす。

 どうやらトリドスはゴライザのことをあまりよく思っていないらしい。

 そりゃ、見るからに真面目そうなトリドスと、狂犬と呼ばれる暴力の嵐でもあるゴライザじゃ合うわけがないか。

 

 でも、今から二人は同じ淫乱に落ちるのだ。


 この認識されない存在から、様々ないたずらをさあ。

 開始しようじゃないか。


【続きは来月の支援者限定公開となります】


More Creators