【全体公開版】スケベスキルで世界最強~やっぱ最強はちんぽっしょ!!~ 4
Added 2019-09-29 09:12:28 +0000 UTC「かの訪問者の成長具合はどうかね?」
斜光が照らす廊下で、荘厳な声がする。広い間隔で並べられた王宮の柱から太く光が漏れ、ジェルの鎧姿をきらめかせていた。
国一番の武勇を持つとされるジェイルラルが異世界人を保護してから数か月。その真価はいかばかりかと、今や国中が注目する関心事になっている。
問いを投げかけるのは年季の入った熊の雄であり、片目につけられた一筋の傷が歴戦の強者としての風格を醸し出していた。
その恰幅はもはや圧倒的で、屈強なジェルをも上回る。山のような体躯でウォーアクスを振り回す姿に『墜落する三日月』との字を冠するほどだ。
足を止めたジェルは笑顔を浮かべて、家で待っている我が子を思い起こして返答する。
「ええ、順調です。あの子はきっと優しくたくましい、いい子に育ちます」
「……そんなことを聞いているのではない」
純度百パーセントの天然で返されて、熊は嘆息する。
こうして話せばほんわかで天然。人のよさそうな笑顔にはパン屋の方が向いている気さえする。
そのくせ戦場に立てば誰よりも聡明で、誰よりも強い男なのだ。
熊は若干いら立ちを孕んだ声を放ち、質問の訂正をする。ジェルと話すには三歩進んで二歩下がるくらいでいいのだとわかってはいても、いまだに彼は慣れていなかった。
「あいつが陛下の役に立つのかと聞いているんだ」
「……それはもちろん。私の仕事は、彼を国のために育て上げることですから」
幾分か硬い声音は罪悪感の表れか。ジェルにとってそれは避けては通れないはずなのに、忌避している自分がいるのを認めている。
しかし、熊はそれを異世界人の成長が遅れているためのごまかしだと判断した。ジェルの良心などはなから眼中にない。そんな態度だ。
「ほう、それはそれは。では、次に頂く任務を与えても問題はあるまい?」
「まだ早すぎるかと。価値観の相違を埋めていくことから始めなければ、心が折れてしまいます」
「それはいつのことになる。お前が異世界人(ギフト)を受け取って早数か月。そろそろ陛下に成果を示す時ではないのかね?」
狼の顔が曇ったことを熊は見逃さない。武勇だけで名を上げてきたジェルにとって、腹の探り合いは不得手だ。
老獪な武人は鼻息を荒くして、ここぞとばかりに切り込んでいく。彼は年を経て培った交渉術と、武人としての大胆さを併せ持つ。さらにはジェルの師範に等しい存在となれば、その発言力は無視できるものではない。
「任務なら私が出ます。ですのでどうか、あの子には今しばらく学ぶ時間を与えてはもらえないでしょうか」
「ならん。そろそろ我が息子にも戦果を上げさせねばならん。いつまでもお前の背中ばかり追わせていてはためにならんからな」
つまりはそれが目的かと、ジェルは歯噛みする。
おのが息子、フォッグライ=エギザクタに手柄を与えるために、部隊として任務を与えたい。そのために異世界人をだしにしているのだ。
だが、それがわかったところでどうしようもない。
熊の言う通り、異世界人の育成にかまけているのは事実であり、遅々として進めている自覚もあるのだ。陛下に進言されれば、かなりの確率で熊の意見が通るだろう。
前『竜の爪』隊長、グリッジ=エギザクタ。フォグの父であり、エギザクタ家の当主。
ジェルのアーミライト家の分家とはいえ、その名声からかなりの発言力を持つ家である。
そもそも、成り立ちこそアーミライト家の分家ではあるが、最近までエギザクタ家の名声の方が上だったのだ。
グリッジをはじめとする力自慢の名将を生み出したエギザクタ家に比べ、心技体ともに高尚であれとするアーミライト家はいかんせん政治に弱すぎた。
ジェルという神童が現れたおかげでわずかに立ち直った、歴史だけは古い家。それがアーミライト家とエギザクタ家の関係性だった。
それでも、ジェルは信念を曲げる事はしなかった。果敢に牙をむいて反論するのは、ひとえに家で待つ息子のため。
「それは陛下がご判断されることですので。いかに元老院の一員であるグリッジ様とはいえ、独断での拝命は受け付けかねます」
「ふん、弱小な家名でよくもまあほざく。貴様が我が家を従えていたのは昔の話だ、俺の代で貴様の家は完全に我が家門の下に敷いてくれる」
「……それでは、軍議があるので失礼させていただきます」
一礼してジェルは去る。反論するのも悪手なのはわかりきっていたから。
分家という立場などあの男のプライドが許さないのだろう。どうでもいいことなのにと、ジェルはその価値観が心底理解できない。
アーミライト家は騎士の家だ。武勲を誇り、自分を偽らず、他者に施しを与える事こそ美徳とする。
しかし、それでは政を勝ち抜けない。頭の痛い問題だと、ジェルは途方に暮れるしかできなかった。
元老院の派閥で考えれば、グリッジの意見が通る確率は半々といったところか。
冷静に判断を下した狼はため息を一つ。少し力を失くした尻尾を振って、廊下を歩いていく。
「……困ったことにならなければいいのだが」
****
結論から言うと、とても困ったことになった。
「本当にすまない。すべて私の力不足が招いたことだ」
ジェルがめちゃくちゃ凹んでいる。まあ、気持ちはわからなくもない。
『敵国の情報を持ってこい』なんていう単純明快にして意味不明な指令を受けたのがたった今。正直何をしていいのかすらわからない。
「私も同行できればいいのだが……」
「さすがに偵察なんて任務に最強のジェルを向かわせられないでしょ」
それがただの言い訳だったとしても、元老院の意見はわからなくもない。
問題は急にこんなくそな任務を送り付けてきたってことのみだがな!
できるわけねえだろ! こちとら常識皆無の異世界人だぞ!
なにを急に、不穏な動きを見せ始めた敵領土内の情報を探れ、とか言い出すわけ!
できるか、ばーーーーかっ! こっちに来てからセックスしかしてねえわ!
……自業自得感も強い気がするけど、知るかばーーーーかっ!
「一応、我が隊からフォグ、ヤード、リブラが同行することになっている。少数精鋭で臨むことが目的らしい」
それはフォグの手柄にしたいがためだってこと、本人から聞いてる。
フォグの父親が持つアーミライト家への敵がい心とかなんとか。よくそれで今のジェル大好きなフォグが出来上がったものだと感心するが、現状は何も改善しない。
っていうか王家直属とか言うからもっとこう、親衛隊みたいな存在を想像してたけど、実際は何でも屋みたいなものなんだな。王様の命を受けて動く秘密警察みたいな側面もあるらしい。
「方法は任せるとのことだが……ああ、心配だ。敵の砦の一つくらい今すぐ落としてこようか。夜間に襲撃をかければ痕跡残さず駆逐することくらいはできると思うのだが……」
「物騒極まりないなぁ!」
さすが国一番とも称される天然狼。発言のレベルが違う。
でもそんなことをしたらフォグの父親に何を言われることやら。きっと育成が不十分だから失敗したとかなんとかいちゃもんをつけられるんだろうなぁ。
「治癒師の一人ぐらいは同行を許可されないだろうか……それがだめなら治癒魔法を得意とするモウダンをねじ込んで……」
初めてのお使いを心配するお父さんかな?
ってかあの牛、治癒魔法が得意分野なのかよ!
「困ったことがあればすぐに連絡をするんだ。私なら本気を出せば目的地くらい一日もあれば到着する」
……確か馬車で五日とかじゃなかったっけ? 馬車より早いの、ジェル?
「馬車どころか飛竜より早いぞこの人」
冷静なツッコミはおれの頭上から。隣に座る筋骨隆々とした体躯を持つ鮫のヤードだ。
ちなみに部隊はすでに目的地に向かう馬車の中。なんでジェルがこんなところまでついてきてるのかわからなかったけど、飛竜より早く走れるなら帰るのなんて簡単だろうとも。
「いや、そろそろ戻らねばまずいのだが……。あと少しくらいなら大丈夫だ」
「心配しすぎでしょ隊長。適当に情報を拾って帰ってくるだけの、それこそまさにお使いみたいな任務じゃないですか」
ヤードはやれやれといわんばかりの顔で尻尾と頭を振る。
「目的地だって敵地ってわけじゃなくて、おれらとの緩衝地帯だ。中立を建前としている場所なんだから、そこまでひどいことにはならないって」
「だが……」
「ええ、ええ、そうですとも! ……あだっ」
勢いよく立ち上がったフォグが天井に頭をぶつけた。何してるんだこいつ。
「ジェル様の代わりに、このくそば……ご子息を完璧に守ってみせましょう! ええ、私はジェル様のかけがえのない副隊長、ジェル様が全幅の信頼を寄せる期待の星、そして未来の夫……おっと……ぐへへ……」
こいつ本当に陥没乳首とジェルのことになると気持ち悪いよな。あとくそばかって言いかけたな。ジェルが帰ったら乳首オナホいじってやるぞ。
「そうか、頼りになる」
こんな気持ちの悪い顔に平然と笑顔を向けられるのは懐の大きさなのか天然だからなのか。……どっちもかな。
「リブラも、頼りにしている。どうか最善を尽くしてほしい」
「……ふん」
目上の人に話しかけられてこの態度。相変わらずの獅子だ。
「言われなくても、おれ様は完璧にこなすとも。それがどんなにくそくだらなくて、くそつまらないものだとしても、完璧にな」
立派な鬣に凛々しいまなざし。王族に名前を連ねるこの獅子は基本的に傲岸不遜だ。
プライドの高さが完璧主義に働いているのはまだ扱いやすいのだが、それでも数多くのいざこざを耳にしている。
ジェルに匹敵するとも賞賛されたこともあるこの獅子は、基本的に万能だ。幼いころからの英才教育もあったのか、たいていのことは人よりうまくこなせる。
将来を有望されていたはずなのだがどこかでねじまがってしまい、達観した性格が災いして対人関係が壊滅的だ。
正直、ジェルじゃなかったら扱いきれないと思う。ジェルはこんなやつでも平等に優しいからな。
なるほど。つまり今回の任務は敬愛に盲目のフォグと生まれにコンプレックスのあるヤードと人の話を聞かなさそうなリブラで行くわけだ。
……これでチームワークを発揮する? あーもう幸先が不安すぎる。
冷静に考えて、だ。
王家直属とか言われてるけど、問題児たちの集まりじゃね?
などとコメントを入れると、待ってましたとばかりにヤードが頷いてくれる。
「お、今気づいたか。基本的にここは地位も高くて実力も兼ね備えたやつが多く集まるが、その実性格に難ありしかいないぞ。体のいい厄介払いの側面も、もちろんある」
知ってた。薄々とは感じていたさ。
「おれもなぁ、最初配属が決まったころはめちゃくちゃ喜んだんだよなぁ……はあ、田舎に帰りてぇ……」
馬車の窓から外を見てたそがれ始めてしまった。これから任務なのに、なんだこのやる気のなさは。
「ヤード」
と、そこに隊長から声がかけられる。
「急に決まった任務に乗り気がしないのはわかるが、どうか我が息子の助けになってほしい」
「……別にやらないなんて一言も言ってないですよおれは。その、やる気がないわけじゃないですし」
反抗期の息子かお前は。
ジェルさん持ち前の天然と包容力がなかったこの部隊成り立たないんじゃねえかな。
皆のやる気があるんだかわからない顔を眺めて、ジェルは薄く口角を上げた。
え、今のどこにそんな表情ができる要素がある?
「みな、やる気があるようで嬉しいよ。慣れない任務に苦戦するだろうが、全員無事に帰ってきてほしい」
ジェルの目にはどう映っているのか心底気になる。誰の目にもやる気なんてないだろ。フォグのやる気は完全に間違ったほうに向かってるだけで。
最後に狼の目はおれを見る。不安を浮かべて、でもおれを信じる真っすぐなまなざしで。
「不安はあるだろう。だが、お前ならやれると信じている」
「……ありがとう」
真摯に言われるとテレが勝る。前の世界でこんなに素直な信頼をもらったことなんてついぞなかったから。
そしてジェルの大きな手がおれの頭に置かれる。撫でるでもなく、ぽんぽんと優しく勇気を注ぐような手つきだった。
「困ったら隊のみんなを頼るといい。きっと力になってくれるはずだ。楽しい土産話を期待しているよ」
「頑張る。でも……あの、できなかったら、ごめん」
「大丈夫。その時は私がなんとかするさ。お前はそんな心配しないで、全力を出すことを考えてくれ」
あーーーーもう好き。ジェル大好き。
明らかにおれに向ける笑顔だけ温かさが違う。フォグが血涙を流さんばかりの目でこっちを見ているのがいい証拠だ。……いやめっちゃ怖いな?!
「それじゃあ、私はそろそろ戻らねばならない……」
馬車のドアを思いっきり開け放ち、ジェルは残念そうな声音を出した。
いや、あの、外の景色がかなりの速度で流れてますけど。思ったより早くない? これ馬だよね?
なんて言ったらリブラから冷たい目をもらった。無知を糾弾するのに容赦ねえなこいつ。
「何を言っている。我が国自慢の高速地竜車だぞ」
馬車ですらねえのかよ!
ここから降りてジェルは大丈夫なの?!
「もちろん、私の方が早いから。遅くなってしまったが、いってらっしゃい!」
にこやかに手を振って外に飛び出したジェルの姿が一瞬で消えた。馬車が早すぎる。
不安に思って外のジェルを探すと、馬車より早い背中が速攻で豆粒みたいな大きさになっていくのが見えた。
ジェルどんだけ強いんだ!
「まーあれが我が国最強の武人って感じだよなぁ」
ぽかーんと口を開けたおれにヤードの言葉が響く。真正面から戦ったらおれがスキルを発動する前に切られてるなこれ。
改めて思うが、ジェルって本当に強いんだな。それであの優しさって神かよ。好き。
ジェルがいなくなった馬車の中はストッパーを失った無法地帯と化していて、誰も制御できない空気を醸している。
フォグがうっとりとした顔で服を託し上げて乳輪をいじっているの、まじで意味不明なんだけど。
「はぁ……ジェル様の期待がおれの陥没乳首に集まっているのを感じる」
いや集まってねえよ? お前のその性感帯推しの芸なに?
「はぁ……くっそつまんねえ……帰って本でも読んでた方がましだわこんなの」
リブラは相変わらずやる気が皆無だし。でもスペック自体は高いんだよな。
「はぁ……成功するヴィジョンが見えねえ。こいつらと団体行動ってもう無理だと思うんだが」
ヤードが最もらしいことを述べる。おれも帰りたいです。
車内はため息の三重奏に包まれて、息苦しさが急上昇中だ。いかに基本スペックが高いこいつらと一緒とはいえ、団体行動という点で不備しかない。
だけど、それでもおれの胸にはわくわくが満ちているのだ。
なにせおれにとっては初めての遠征で、城の外を出る事すら始めてなんだ。
不安に嘆く胸中で、未知への好奇心がくすぶっていることを否定できやしない。
そんなおれの気持ちを悟られていたんだろう。全員の視線が集まってくるのを感じた。
「っま、お前もいるんだし、頑張らないとな」ヤードがふてぶてしく笑う。
「ジェル様におれのことをしっかり宣伝しておくんだぞ」フォグが嬉しそうに親指を立てる。
「でも、お前がいればちょっとは面白くなるかもな」リブラが牙をむいて口角を上げた。
こうして、不安しかないおれの初任務は幕を開ける。
何がどう転ぶかもわからない、そんな中で、ジェルの期待に応えるために最善を尽くそう。
おれは心に誓ったのだった。
****
「はぁー、それがどうしてこうなったんだろうなぁ」
理想ではもっとかっこいい活躍をするつもりだったんだ。信じてほしい。
「おい、マスターさん。今日は誰が空いてる?」
おっといけない、客が来ていた。おれは気を取り直して眼前に集中する。
でかい狼の雄。何度か来てくれている常連だな。身なりもそこそこだし、中流から上流と言ったところか。
おれは台の上に置いた帳簿をパラパラとめくってそれぞれの予定を確認する。
「……うん、今日はもう予約が一杯だ」
「あーくっそ。やっぱりだめか。急なキャンセルが出てるかもって思ったんだがなぁ」
「さすがにそんな甘くないって。ショーなら今からなんだし、寄って行けば?」
「そうする」
残念そうに言い捨てて銀貨を一枚放り投げる。これだけで破格の値段だが、この店ではこの程度も払えない客はそもそもお断りなんだ。
狼が入って行くのを見送ったし、たぶんあれが最後の客だな。じゃあおれもそろそろ動くかぁ。
入り口を施錠して、これ以上は入れないようにする。おれがいなくなったら店番する人いなくなるから、今日はもう店じまい。
そのまま狼と同じ入り口を潜り抜けると、中は完全な別世界だった。
薄暗く絞られた照明に赤や黄色のスポットライト、甘い芳香が舞い上がるここがおれらの戦場だ。
ステージの上で踊るのは三人のケダモノ。もちろん言うまでもなくヤード、フォグ、リブラだ。
彼らの鍛え上げた四肢が垂涎ものであることはおれが保証する。屈強な傭兵崩れという触れ込みがなければいぶかし気に見られてしまうほどに、彼らの肢体はたくましい。
筋肉のつき方に違いはあれど、個々としては最上位の肉体だ。それが淫らに、激しく、雄を求めて踊るのだ。
こうしてみると本当に上達したなぁ。最初のフォグとかヤードなんてがちがちだったのに。
リブラが持つ金持ちの道楽息子という設定のおかげだ。遊び歩いた経験がこうして活かされているんだから。
まあ、本当にすごいのはそれを数回見ただけでなんとなく雰囲気を掴んで実践できる記憶力とかなんだろうけど。
観客たちは彼らの肉体美に酔いしれ、マンコにぶち込む妄想に忙しい。おれのスキルで魅了耐性デバフを撒いてるっていうのもあるけど、身内の欲目なしに見てもあいつらの肉体は素晴らしいのだ。
十分にデバフを撒いたので、おれの仕事はおしまい。あとはのんびりしようと、いきさつに思いを寄せた。
御覧の通り、おれらはここ『スニーグスの町』で娼館を経営している。情報を集めようにも手段もわからないんだ、考え抜いた結論がこれしかないのも寂しい話。
幸いにして、任務期間は長めにもらっている。そこはジェルがかけあってくれたようで、感謝の言葉しかない。
「今日は来てくれてありがとうな!」
牙がたくましい笑みを浮かべるのはヤードだ。隆々とした筋肉に頼りがいのある態度。兄貴然とした態度のバリ受けがたまらないのだとか。いやわかるけどね。
本人の要領の良さもあるのだろう。浮かべる笑みは勝気でかっこいい。媚びる動きもスムーズだし、騎士をやめても食っていけそう。
「た、楽しんでいってくれっ!」
まだぎこちなさが残るのはフォグ。貴族の、しかも騎士の家系に生まれた身としてはこんなことに縁もゆかりもなかったはずだ。
その不慣れな感じが庇護欲をそそるらしく、年上のおじさんたちに大人気だ。毎日陥没乳首をいじられて本人も嬉しそう。
「今のうちにたくさんザーメン出しとかねえと、後悔するぞ」
そして、煌びやかなイケメンオーラが強すぎるリブラ。踊りも動きもまじでアイドルばり。
動きの一つ一つがセクシーだし、キレがあるしで、なんだこいつ。基本スペックが高いことは知ってたけど、想像以上すぎるだろ。完全無欠系男子かお前は。
アイドルユニットで言うならリーダー役は間違いなくリブラだ。ステージの中心で尻を振れば観客の視線も揺れ、スマイル一つで腰砕けにさせる魅力を放つ。
花道を歩けば多くの手が硬貨をパンツにねじ込んでいき、獅子のちんぽを見ようと群がっていく。
ちなみに、ここのステージは硬貨を突っ込んで重くすることで、パンツをずり下ろさせちんぽを出すことが目的だ。一番最初にちんぽを出した、つまりたくさんの硬貨をもらえた雄は特別ショーを一人で披露する決まりになっている。
この調子でいくと今日もリブラかなぁ。フォグもヤードも最高にエッチなんだけど、魅力っていう意味ではリブラが強すぎる。
「ニップくーーんっ! 今日もかわいいよー!」
さっきの狼はフォグ推しだったようで、しきりにフォグの源氏名を呼んでいる。
フォグがテレの強めた顔で視線を送ると、ものすごく喜んだ。やべえ財布から大量の硬貨を取り出しだぞ。破産まではマジでやめてね。夢見が悪いから。
アイドルのコンサートさながらの熱気が、場を支配している。オナニーする人もいれば、歓声を送るだけの人もあり、カオス度が高すぎる。
まさか魅了耐性デバフをちょっとまいただけでここまでやばいことになるとは、まったく予想していなかった。
それもこれもあの三人が魅力的過ぎるからだ。騎士とした鍛えた肉体は才能の塊で、それを媚びるために使うというチート。同じ雄だからこそ、培った魅力が倍増して映るんだろう。
目標は敵国の……名前なんだっけか、忘れた。まあそこの偉い人を釣ることを目的にみんなで頑張ってます。
おれはデバフとか店番とか裏方担当。あとは道行く雄を娼夫に勧誘したりしてる。さすがにあの三人ほど雄の魅力が強いやつはなかなかいないが、おれのスキルがあれば雄漁りなんて簡単簡単。
……ジェルがいないからって羽目を外しすぎてる自覚はある。
おっと、案の定リブラのパンツがずり落ちたか。形のいい巨根が汁をまき散らしながら現れたせいで、観客の熱気が一気に爆発したぞ。
んじゃあ、あとはリブラの単独ショーで今日は終わりだな。その後休憩をはさんで各自客をとるんだが……予定客はっと。
――――お。
帳簿に並んだ文字におれはほくそ笑む。うわさがうわさを呼び、この娼館は今や最高の知名度を誇るようになっている。リブラをはじめとする最上級の雄が、おれのスキルによってどスケベに進化した性技を駆使してくれるんだ。満足しない雄なんているわけがない。
そしてついに、目的へと毒牙が届く距離まで来たんだ。
ようやくおれの出番かな。じゃあウォーミングアップもかねてギルド帰りの雄を何人か落としてこようっと。緩衝地帯だからか、自衛に力を入れてて屈強な雄が多いんだよなここ。
ジェルがいないのをいいことに、おれのスケベスキルをどんどんレベルアップさせてこう。早く『愛撫』のスキルをオンオフしたい。
リブラの独占ステージに背を向けて、おれは夜の町へと繰り出すのだった。
****
「ああ、来たか。入れ」
尊大な声をかけられ男は怒りに熱を灯すが、部屋に入ったとたんにそれはしぼんでしまった。
窓から差し込む月明りを受ける獅子が、あまりにきれいだったからだ。
「どうした、おれ様に見ほれるのはわかるが、そんなところで突っ立ってても満足できないだろ?」
金色の毛皮は月明りを受けて淡く輝いて、妖艶な魅力を醸し出している。不遜な物言いさせこの獅子の魅力を昂らせる装飾品のような感覚。
まさに二つとない生きる芸術は尻込みする来訪者を鼻で笑う。白い布一枚を巻き付けただけの簡素な装いは、肉体を際立たせるスパイスとなって鼻腔をくすぐった。
「それとも、地位の高い方はこちらからかしずかなければならない決まりでもあったか。……何を驚いている。お前はおれを買った。なら、おれ様に命令でもすればいいだろ。奉仕しろと」
布をわざとらしくはためかせれば、隙間から金色が漏れてくる。筋肉の凹凸を消し去るほどでもなく、かといって短すぎるというわけでもない。
撫でれば極上の触り心地が味わえるだろう。そう予感させるに足る、つややかな毛皮がのぞくのだ。喉を鳴らすのはまさに本能にも近い、衝動。下腹部が熱を持ち、乾きが男を支配した。
不遜に妖艶な顔で口角を上げるリブラは、来訪者をどう料理しようかと楽しんでいた。飽き性な彼にしては珍しく、雄を落とすということは長く楽しめている遊びだった。
「あいつにちんぽ狂いにされた時はまあそれも一興だと思ったが、なかなかどうして、こういうのも悪くない。少なくとも、くそ退屈はしないな」
ようやくつかんだ情報源だ。最高のおもてなしをしろと異世界人からも言われている。
なら、骨の髄まで溺れてもらわなければならない。おれ様の魅力に依存して、渇望して、すべてをなげうってもらうまでに躾けて見せよう。とリブラは舌なめずりをした。
「……あまりおれ様を待たせるなよ。お前だって初心というわけでもあるまい」
異世界人のスキルで即座にちんぽ狂いに堕としてもいいのだが、それではリブラがつまらないとはねのけた。効率より過程を重視するこの快楽主義者は、回り道を楽しむ悪癖がある。
あまりにリブラが挑発を繰り返したせいか、ようやく男のプライドが反骨精神を思い出したようだった。竜の雄は鋭い眼光をリブラに向けると、怒りをにじませた声音を演出した。
「たかだか娼夫風情が、舐めた口をきく。大枚はたいたんだ、貴様こそおれを楽しませてくれるんだろうな」
「誰に物を言っている。おれ様はお前の金玉を空っぽにするためにいるんだ。その図体で先にばててもらったら困るぞ?」
軍服に身を包んだ竜は苛立たし気に尻尾で床を打つ。リブラのくくっと喉でかみ殺したような笑い声で気に食わなかったようだ。
『竜の爪』で精鋭を見慣れたリブラだが、この竜には及第点を出すだろう。
プライドと筋肉を詰め込んだ体は肉汁あふれたハムのようにいたるところが丸々と膨れ上がっている。折れた片角は勇猛さの演出としては申し分ない。ただ、少し鱗の緑が濁っていることと、マズルが平べったいのは減点だなと、リブラの審美眼は採点した。
「及第点だ」
それをそのまま伝えることがリブラの悪いところ。
「お前にはおれ様を身請けする権利をやる。確か、ここらの地区を管理する軍部の偉い奴なんだろ? 地位までは興味がない」
「貴様っ、今ここで切って捨てるぞ!」
「高い金を払ってここまで来たのにか? そんな短絡的な馬鹿、こっちも興味はないね」
剣を取り出そうとした竜を目線だけで制し、リブラは歩み寄る。
途中、布がはらりと舞い落ちて、獅子の全貌があらわになった。
獅子の美貌が、竜の怒りに冷や水をぶっかけた。どこの娼館を探しても、いや、この世界のどこを探してもこれほどまでの芸術品にはお目にかかれない。
そう思わせるほどにリブラは美しかった。
鍛え上げた肉体という物はこれほどまでに綺麗に研磨されるものなのか。竜は己が肉体を鑑みて、そして、生まれ持った差という不条理を痛感した。
「なに、気に病むことはない。おれ様が特別なだけで、お前もまあまあな部類だ」
竜に肉薄した獅子は、纏う軍服を丁寧にはがす。腰を絡み付け、鼻面をこすりつけながら、ボリューミーな肢体をさらけ出していく。
上半身をさらけ出したところで、獅子は嗤う。なるほど、ヤード以下か。筋肉はついているが、少しの丸みがある。昇進して食生活が乱れたのだろう。リブラの判定は厳しい。
もっとも、あのコンプレックスまみれの努力馬鹿に勝てる雄の方が珍しい。リブラはそういう意味ではあの鮫を高く評価している。
「ん……」
鼻面を竜の首にこすりつけて甘えるような声を出す。先ほどまでの不遜な物言いとは真逆な声音に、思わず竜のちんぽが勃起した。
「風呂に入って来たのか。おれ様はどちらでもいいが、その気遣いは悪くない。おっと、ちんちんが硬くなってきたな。おれ様に種付けしたいのか?」
いまだズボンに包まれ、高くテントを押し上げるドラゴンちんぽに、獅子は嘲笑を投げかける。
竜は赤らめた顔で唸ると、主導権を取り返そうと噛みつくように口づけを送った。
「はっ、んんっ……ちゅぅぅ❤はふ、はうぅ❤❤」
「グゥ、ぢゅうぅぅ」
リブラは腕を回し、深くに舌を誘って喘ぐ。他者の肉が気道をふさぐ息苦しさは不自由な興奮を覚え、思わず目がとろけてしまう。
腕はどんどんと下がっていき、竜のズボンに手をかける。そのままベルトを外し、わざとらしく竜のちんぽにひっかけるように下ろしてやった。
「んぐぅ!」
ビタンッと汁をまき散らしながらドラゴンちんぽがそそり立つ。スリットの周辺も赤く熟れており、興奮に色づいていたのは明白だった。
「んはぁ❤」
唾液の糸をわざとらしくたらしながら、獅子は笑う。
「こんなに興奮してたのか。口ではなんだかんだ言いつつ、やっぱり雄だもんな」
大きさはまあまあ。使い込んでいるわけでも童貞というわけでもない。
普通と判断されうるものだ。
手荒に扱われたことなどないのだろう。鈴口をぐりぐりといじってやると、竜の腰が引けた。
「最低限の大きさがあってよかったぞ。これで粗末なおちんちんだったら身請けの話なんて白紙にしてたところだ」
「まだそんな減らず口を……っおおぉ!」
ちょっと強く握るだけで、竜は喘いでくれる。
だが、ここでは竜の立場が上なのだ。彼が怒りを抱くのは当然のことであり、たかが娼夫ごときにコケにされるなどあってはならないことだった。
「いい加減にしろ! 誰が貴様みたいな礼儀知らずを身請けするものか! 貴様みたいな低俗な輩はおれのオナホでちょうどいいわ!」
「ほう、くそ雑魚みたいなトカゲでも一丁前によく吼える」
「まだ言うか! ええいくそ、少し見目がいいからって調子にのりおってからに! そこになおれ、おれのちんぽでひいひい言わせてやる!」
「そうだなぁ、今の啖呵はいいぞ。あいつの言うフラグってやつだな」
この竜の落とし方は決まった。リブラは百獣の王にふさわしい獰猛で美麗な笑みを浮かべ、竜に相対する。
鬣を払いのけるだけで月の粉が舞うほどの美丈夫が、眼光をハートにして獲物に狙いを定めた瞬間だった。
ヤードがコンプレックスのはけ口を性欲に見出したように、この獅子もまた、退屈しのぎのはけ口を性欲に見出しているのだ。
「お前はマンコじゃなくてちんぽに敗北させよう。それも、自分のちんぽだ」
それはいいと自画自賛しながら竜のちんぽにスキルを発動する。
何を馬鹿なことを、と憤る竜を無視して、獅子は楽しそうに笑う。
それは、いつもの退屈そうな顔ではなく、心の底からの笑顔だった。
****
「おっおおぉ~~~~ん❤❤ちんぽちんぽちんぽちんぽおおおおぉぉぉおぉ❤❤❤❤」
勝敗は見るまでもなく明らかだが、竜の情けない声が結果を物語っていた。
全裸になった竜はたくましい体を見せつけるように手を頭の後ろに置いて、がに股で腰を振っていた。
「じゃぜいざぜでぐだざぁい……❤❤ちんぽぉ❤ちんぽっちんぽぉ❤❤❤」
精悍な顔を涙と鼻水でぐずぐずにしながら腰を振り続ける竜に対して、リブラはそっとドラゴンちんぽに手を添える。
「さて、どうしたものか。えっと、名前はなんだっけ」
「おれの名前はドラゴンおちんぽでぇす❤❤射精することじが頭にない、ちんぽの付属品がいきがってすみまぜんでじだぁ❤❤❤❤」
「そうだった。おいドラゴンおちんぽ、お前はどうしてそんな間抜けな姿勢で腰を振ってるんだ?」
「それはぁ、ご主人様から射精許可をもらうために、自己紹介しながら腰を振れって命令されたからですぅ❤❤❤❤」
「そうだったそうだった。自己紹介腰振り百回で射精させてやる約束だったな。それで、今何回目だ?」
「あ、へぇ❤❤いま、いまぁ何回目だぁ❤❤❤」
「数もわからんのか、この馬鹿ちんぽめ」
勢いよくちんぽにビンタすると、ガチガチになった勃起ちんぽが涙を流しながらブルンブルンと震えた。
快楽は相当なものだったようで、竜の長い顔がぴんっと天井を向く。
「おほおぉ~~❤❤❤ごべんなじゃいいぃ~❤❤は、じめかりゃやりましゅうぅ❤❤ちんぽっ❤ちんぽちんぽちんぽちんぽぉぉ~❤❤」
屈強な足腰を懸命に振り続け、竜は自己紹介を続けた。
体はすでに汗だくで、射精を制御された股間からは雄の臭いが煮詰まっている。粘度の高い先走りを釣り糸のように垂らし、こぼれた舌からも唾液が滴っていた。
たくましい雄が間抜けなポーズで射精を乞うていることにリブラはご満悦で、さらなるスキルを発動して遊ぶことにした。
「『感度上昇』、これでちんぽがさらに敏感になったな。感謝しろ」
「ふひいぃいぃぃ~~❤❤❤空気オナホきぼぢいぃいよおおぉぉぉ❤❤ありがとちんぽっ❤ありがとうございまちんぽおおぉぉおぉ❤❤❤❤❤」
「ふっくく、無様極まりないな。でも、あいつならもっとスキルレベルも高いし、うまくやるんだろうな。まさかおれ様が練習不足を感じることになるとは」
生まれてこの方、何をやらせても人並み以上にこなしてきたリブラだ。練習不足を感じる事なんて一度もなかった。
だからこそ、やりがいという物を感じている。雄を性欲のるつぼに叩き落す行為に目覚めてから、彼の進歩はすさまじいものがあった。
完全に師として仰ぐものを間違えている気もするが、本人もそれは承知の上だ。
「ちんぽちんぽちんぽっ❤ちんぽちんぽぉぉおぉ❤❤おでの名前はドラゴンおちんぽっ❤❤❤ちんぽちんぽちんぽちんぽちんぽぉっほおぉ~~❤❤❤射精したいがために、自分の名前をちんぽにしまじたぁ❤❤射精❤射精させてくれぇ~❤❤」
空気オナホで腰振りオナニーに忙しい竜だが、マンコには一切触れられていない。
彼はちんぽの快楽だけで完全敗北したのだ。