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【Skeb】『淫魔の仔ら』 

猫又の妖怪少年叉武(シャム)と流れ者淫魔とのお話。

挿絵は中にあります。

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『淫魔の仔ら』 長月ねじゅみ



 猫又の少年〝叉武(シャム)〟は後悔していた――。

 妖怪が見え、霊感を持つ人間の親友の少年から依頼された妖怪退治を「おいらに任せとけ!」と軽口を叩いて安請け合いしてしまったことを。そして、敵の正体を調べもせずに、ノコノコと妖怪が棲むという廃墟の屋敷に乗り込んでしまったことを……。

 何よりも今、叉武を恐れさせているのは、目の前にいる長身の影。ボロボロで濃紺のローブを身にまとい、フードを深く被った妖魔だ。異常なまでの妖気を放ちながら、叉武の前に対峙している。

「何故自分たちの住む平和な街に、これほどまでに強大な妖魔がいるのか」という本能的な絶望感と圧倒的な力の差に、二股に分かれた叉武の尻尾の毛が逆立っている。


 廃屋敷の一番奥にあるこの部屋は、まだ昼過ぎだというのに薄暗い。傷んで薄汚れたベッドが中央にある。どうやら以前は寝室だったらしい。

 叉武は妖術で操られたイバラのツルに雁字搦めにされ、壁に背を押し付けられていた。未熟ながらも、しなやかな筋肉を持った叉武の力を以てしても、身動き一つ取れない。

「クソっ! 動け……ねぇ……っ!」

 首に巻き付いたイバラが食い込む。呼吸が苦しくなり、叉武は小さく喘いだ。藻掻けば藻掻くほど、妖魔のイバラは叉武の手足や胴体を締め上げ、トゲが叉武の皮膚を傷付ける。

「てめぇ、何者だっ! どうして……、おいらたちの街にやって……来たッ!?」

 叉武は呼吸と勇気を振り絞り、自分自身を鼓舞させるように眼前の男に向かって叫んだ。


『チッ。なんだよ、まだガキじゃねぇか。驚かせやがって』


 意外なことに、フードの奥から聞こえてきたのは、叉武が想像していたような低く恐ろしい声ではなかった。それは涼やかな、それでいて〝チャラい〟若い男の声だった。叉武が睨む中、男は鋭い爪の両手で被っていたフードを捲りあげる。そこに立っていたのは、薄暗い寝室に差し込んでいる光を自身の身にまとうかのように、斑紋のある体毛の毛先を輝かせていた〝獣人〟の青年だった。美しくも野性的な紋様、鋭い眼差しとくっきりとした鼻筋、獲物を狩る獣のような冷酷さを宿した瞳。細身で逞しい筋肉を持つその体は、一瞬の隙も見せない。彼のスッとした立ち姿からは、獲物である叉武を前にして、圧倒的な実力の差からくる余裕と優雅さが感じられた。

 同じ猫族と思しき妖魔の妖艶で美しい姿に、叉武は一瞬見惚れてしまう。しかし、それは自分たちの街に害をなすかもしれない存在なのだ。魅了されてしまいそうになる自分に気付き、ハッと慌てて首を振って男に向かって叫んだ。

「ち、ちくしょう放せっ! 俺はガキなんかじゃねぇっ! お前を退治しに来た〝猫又の叉武〟様だっ!」

 男はキョトンと目を丸くする。

「退治? お前が? あはははっ、面白いことを言う奴だ。お前みたいな〝仔猫〟に、俺を退治できるとでも?」

 嘲るような笑みを浮かべながらも、その底の見えない漆黒の瞳には獲物を狙う獣のような冷酷さが宿っている。獣人の男は、ゆっくりと叉武へと近づいていく。彼の視線は、叉武の全身を舐めるように〝品定め〟していた。

「へぇ……。お前は日本の妖怪の『猫又』だな。初めて見たぜ。日本の妖怪の癖に、洋ネコのシャム柄とは珍しい」

「う、うるせぇ! お前だって、訳の分かんねぇ点々模様してんじゃねぇかっ!」

 小馬鹿にされたと思った叉武が食って掛かる。怒りながら縛られた身をよじり必死に抵抗するが、体を拘束する妖術のイバラはびくともしない。

「『チーター』っていうんだぜ? 覚えとけ、日本の妖怪小僧」

 チーターは、叉武の言葉を軽くあしらうように適当な返答をしながら、更に叉武の体をじっとりとした目で観察している。何か目的がありそうだ。

 まだ幼いながらも、叉武の肉体は、日々の鍛錬と数々の妖怪退治の証として、しなやかな筋肉の隆起が腹筋に美しい影を落としている。そして、何よりも目を引いたのは、その細く引き締まった腰付きでありながらも、むっちりとした臀部や太腿の肉付きだった。少年期特有の、瑞々しい生命力と、これから成長していくであろう強さが感じられる肉体に、チーターの瞳は欲望の熱を帯びる。

「しかし……。お前は〝いい体〟をしているな。小僧の分際で、これほど鍛え上げられているとはな」

 チーターの指が少年の腰巻にそっと触れる。ゾクッとした悪寒が下腹部から全身に広がり、叉武は身をよじった。背筋に冷たい汗が伝う。

「や……、やめろっ! 何すんだよっ」

 怒りと恐怖、恥ずかしさが混ざり合った声が震えて響く。チーターは叉武の抵抗を無視し、躊躇なく腰巻の中に指を滑り込ませる。硬く引き締まった腹筋をなぞるように、ゆっくりと下へと指先を潜り込ませていった。やがて、叉武の汗で少し湿った生暖かい幼いペニスと指先とが触れる。

「何なんだよ、やめろってばっ……!」

 少し涙目になった叉武は足を内股にさせて抗おうとするが、どうあがいてもそれ以上の抵抗は無駄だった。

「〝逃避行〟の流れ旅にも少し飽き飽きしてたところだ。久しぶりに楽しませてもらうぜ? 〝可愛い仔猫ちゃん〟」

 叉武のペニスが、チーターの指先から与えられる掻き回すような刺激と感触に反応し、少しずつ充血していく。そのことに気付き、叉武は屈辱に顔を歪めた。そんな少年の様子を面白そうに眺めながら、チーターはさらに指を動かし、固さを少しずつ増した叉武のペニスを摘まみ上げて扱き始めた。

「ほら、感じているんだろ? お前の体は、とても素直で〝ドスケベ〟だ」

 叉武は、自分が何をされているのがかわからず、言葉を失い、ただ喘ぐことしかできない。チーターの巧みな指の愛撫に嫌悪感を抱きながらも、叉武の正気が少しずつ削られていく。頭の中がボーッとし始め、思考が緩やかに鈍くなっていくのを感じた。

「あっ、ああっ……。お前……何なんだ、よ……。俺のチンチン触んなよぉ……」

 叉武はかろうじて声を絞り出した。こんなに気持ち悪いことをされているはずなのに、それを何だか気持ちが良いと感じ始めている自分自身に戸惑っている。

 チーターは、それを見てほくそ笑んだ。

 男だろうが女だろうが、何千人と堕としてきた『淫魔』としての性分と直感が、叉武を「未成熟で無知なだけのド淫乱」だと見抜いたのだ。

「お前、『交尾』したことはあるのか?」

 チーターのその言葉を聞いた瞬間、叉武は体毛の上からでも、恥ずかしさで紅潮したのがわかるほどの狼狽と羞恥の声を出す。

「そ、そんなことっ……!」

「んじゃあ、『射精』はしたことあんのか? 『精液』だよ、精液。出したことあんのか?」

「『セイ……エキ』? な、んだよ……それ……。いいから、放せ! おいらと勝負しろっ! おいらの……チンチン触んなってば……っ!」

 チーターは、叉武の反応を見て愉快そうに口元を緩める。その微笑みは、面白さや友好的なものではなく、残酷な獣が獲物を弄ぶ感情そのものだった。


「今から俺は、お前のすべてを喰らってやる」


 その言葉とともに、チーターは少年のペニスから指を離すと、叉武の唇に己の唇を重ねた。迫ってくるチーターの顔と口から見える鋭い牙に、本当に自分が食われてしまうのかと反射的に肩をすくめる。が、唇が何かに触れた。

 突然の口付けに、叉武は目をカッと見開く。チーターの唇と舌は氷のように冷たく、しかし、その奥には獲物を狙う燃えるような欲望と熱を秘めている。

「んっ……、んぐうんっ……!」

 叉武は舌を絡められながら、気持ち悪さと同時に、奥底から湧き立つような熱に心と体が飲み込まれていくのを感じた。

「(これは、〝捕食〟だ。俺はこの妖魔に身も心も食われちまうんだ)」

と、叉武は恐怖する。


 不意にチーターがパチンと指を鳴らした。その音が廃屋の寝室の壁に反響する。

 その瞬間、叉武の着衣と腰巻がびりびりと弾き飛び、その破片が音もなく空中にフワッと消えた。そこに露わになったのは、まだ幼さを残しながらも、逞しく臍の下に向かって反り上がった叉武のペニスだった。

「うっ、うわっ!?」

チーターの視線は、その肉体に釘付けになる。叉武は無防備な姿を晒された羞恥心から、顔から耳先までを真っ赤に染める。せめて股間だけでも隠そうとするが、腕は拘束されていて動かせない。

 叉武は体をくねらせて抵抗するが、そのたびに勃起させられたペニスがブルンブルンと滑稽に揺れ動く。叉武のペニスは、人間の少年の形状と似ているようで少し異なっていた。根本はしっかりと太く、先端に行くにつれてわずかに細くなっている。そして、亀頭の付け根には、肉球のように柔らかい小さな突起が並んでいた。猫科特有の器官である小さな棘が、未成熟な形で現れているのだ。まだ幼なさを残す証のように柔らかく、メスを知らず、それでいてオスらしい逞しさを感じ始めさせるそのペニスに、チーターは抗いがたい淫靡な魅力を感じているようだった。

 ペニスだけではなく、視線は叉武の下半身全体にも及んだ。

 猫のようにしなやかで、しかし確かな力強さを秘めた太腿と、丸みを帯びながらも引き締まった臀部。筋張った硬さだけでなく、若々しい弾力と幼さを残す柔らかな肉感が凝縮され、そのアンバランスさがチーターの〝捕食欲〟をさらに掻き立てていた。

「お前のその体……。まるでこの俺に『喰らってくれと』でも言いたげな淫乱な肉体だ」

 チーターは身勝手なことを吐き捨てながら、露わになった叉武のペニスをつま弾いた。「ひゃうっ!」と小さな悲鳴を上げる叉武。チーターはその指をくるっと回すと、妖術で叉武の体を拘束したまま宙に浮かせ、寝床にしている古びたベッドの上に投げ落とした。ドスッという音と共に、薄暗い寝室に差し込む外の光の筋にキラキラと埃が舞っているのが見える。長年放置された様子の黄ばんだシーツの上に転ばされて藻搔く叉武の傍らに立ち、チーターは懐から小瓶を取り出した。

「さあ、これでお前の〝才能〟を引き出してやるよ。仔猫ちゃんのスケベで淫乱な本性をな」

「うるせぇ……。おいらはそんなことしねぇぞ! それに、俺は仔猫じゃねぇ、叉武って名前があるっつってんだろっ!」

「ほう、こんなにされてもまだ随分と威勢が良い。これは愉しませてくれそうだ。お前のその威勢の良さは、もしかするとこの生意気なチンポ由来なのかもしれないぜ?」

 そう言うと、チーターは取り出した小瓶の栓を抜く。スポッという小さな音と共に、周囲に甘ったるい酒のような、花のような匂いが広がる。チーターは小瓶をひっくり返した。紫色に怪しく光る粘液が、瓶の口から手のひらにの上に垂れる。そして手に取ったそれを、叉武のペニスに塗り始めた。

 ピチャッ……ジュボッ、ビジュッ……。

 叉武の体とチーターの手の間に透明な糸を引き、卑猥な音を立てる。やがて勃起したままの叉武のペニスにも塗り広げられていった。

「んはっ!? や、めろおぉ……、く……っ!!」

 今まで感じたことのない刺激と感覚に、叉武は思わず腰を跳ねさせ、体が弓なりになった。

「何だ、これ。やめ……て……ッ!!」

「これは『淫魔の媚薬』だ。つっても、ガキのお前にはまだわからねぇか。だが、すぐにわかるようになる。お前の頭ん中はエロいことで一杯になって、涎を垂らしてよがり狂う。お前の体はドスケベの本性を現すんだぜ」

「そんなの……、俺っ、嫌……だよっ……」

 叉武は幼さ故の未知の恐怖に震えながら身をくねらせるが、彼を拘束しているイバラの鎖はそれを許さない。チーターは叉武の腰から足先、そして胸へと、全身に『淫魔の媚薬』を塗り広げていった。媚薬が塗られた叉武の体はてらてらと光っている。叉武の皮膚は熱を帯びて、体毛の下の肌は発情した火照りで血色の良いピンク色に染まっていく。

「この媚薬が、お前の体を素直にしてくれるだろうよ」

 チーターの指が、媚薬で濡れた腹筋をゆっくりと滑り、太腿を撫でていく。

「ひやあぁぅ……っ、や、め……っ、うぅ……うっ、はぁ……っ、ひゃうっ!!」

 猫又としての鋭い感覚と、性的には成熟していながらも無知ゆえにその発散の方法を知らなかった少年の肉体が、媚薬によって増幅される。肌に触れる微かな空気の流れすら、叉武の体を苦痛にも似た堪えがたい快楽で震わせる。叉武の頭は混乱していた。脳味噌が溶けていくようだ……。これほどまでに自分の体が敏感だとは思わなかった。ついさっきまであった「スケベなことは下品で駄目なことだ」という意識が、熱い火照りのせいで自分の中から蒸発するように消えていく。

「んん……っ、あ、あぁ……っ、ふぅ……ふうぅっ」

 叉武の泣いているような喘ぎ声は次第に高まる。頬は涙で濡れていた。理性ではチーターから受けている辱しめを拒絶しているのに、体とチンチンは正直に反応してしまう。その絶望と快楽の狭間で、叉武はひたすら声を上げ続けた。

 チーターはその様子に心を奪われていた。

 淫魔であるはずの自分自身が、このガキの下級妖怪の痴態に魅了されている。叉武の魅惑的で生命力に満ちた少年の肉体。

 そして身悶え、切ない声を上げる幼い妖怪の姿に、チーターは自身の幼い頃の記憶を重ね合わせた。彼自身もまた、師である妖魔から淫魔の洗礼を受けたのだった。その記憶は肉欲と共に、叉武への愛おしさを湧き上がらせた。

 この少年を「犯したい、守りたい」、「凌辱したい、愛でたい」。この相反するような感情が交互に、そして同時に、チーターの心を激しく揺さぶった。

「あっ、はぁっ……アッ、アアアアッ!!」

 叉武は体が受ける全ての感覚に敏感になっていた。

 チーターが身動きするたびに起こる空気の振動、汚れたシーツと肌が擦れる感覚、自分自身の心臓の鼓動でさえ、愛撫されている快楽となって襲い掛かってくる。涙と涎で頬を濡らし、全身からは火照った汗がひっきりなしにしたたり落ちる。自分ではどうしようもない性衝動で身を捩らせ、喘ぐことしかできなかった。

「今からもっとイイことしてやるぜ」

 チーターは、叉武の太ましい大腿部に手を滑らせる。肌を少し押さえると、柔らかい肉付きのほんの数ミリ下に、逞しい筋肉の塊がしっかりと詰まっている。チーターに内股を触れられた瞬間、「ひゃっ!?」と短い悲鳴を上げて体を震わせる叉武。

「やぁ……、やめ……ろよ……。何……すんだよ……っ」

「ふっ、たまんねぇな。エロい体しやがって。腰と腿がこんないやらしい形をしてるヤツぁ、スケベなド淫乱だって相場が決まってんだ」

「お、おいら……そんなんじゃねぇっ……はぁ、あっ……!!」

「何とぼけたこと言ってやがる。それじゃあ、お前のこのチンポのザマは何なんだ?」

 チーターは勃起した幼い巨根を指でピンと弾く。叉武は腰をビクッと引っ込めた。チーターの指が逃げる腰を追うようにして、媚薬と汗で濡れたペニスを握って捕まえる。叉武は再び、思わず腰を跳ねさせる。

「ひっ……! いゃ、だ……っ」

 チーターは叉武の拒絶を意に介さず、指をペニスに絡めた。粘り気のある媚薬と叉武自身の汗が、チーターの手と叉武のペニスの間を行き来し、グジュグジュとねっとりとした音を立てる。チーターは、叉武のペニスを手のひらで優しく包み込み、ゆっくりと上下に動かし始めた。その巧みな動きに、叉武は快楽の波に飲み込まれていく。

「ひっ……は、ああぁ、ぅ……っ、んん……っ」

 チーターは逃れようとする叉武の腰をガシッと掴み、その動きを封じる。


 ビチャッ、ジュブッ……ビチャッ、ジュボッ……。


「ほあっ、ひっ、アアッ……」

 手の動きに合わせて、喘ぎとも悲鳴ともつかない声を上げる。腹の下からムズムズとした感触が噴き上がりそうになる。

「ああ、うああっ……。もう……やめろよ、ちょ……シ、シッコ……出ちま……うよぅ……」

 チーターは指の先から、叉武のペニスが果てそうになる気配を感じ取った。すると、スッと手を止めて叉武の勃起したペニスの先端をパチンと叩いた。

「いてっ……!?」

「フッ……」

 ついさっきまで切なく喘いでいたくせに、その瞬間驚いた顔になった叉武を見て笑う。チーターは次に、ヒクヒクと脈打つペニスに口を近付けた。叉武は今度こそ「喰われる」と悲鳴を上げた。

「やっ、やめろ、おいらのチンチン、食べるなあっ⁉」

 チーターが口を開けて自分のペニスが口に包まれていく。叉武は体を強張らせ、目をきつく閉じた。しかし次の瞬間、叉武は息をのんだ。これまで体験したことのない、直接的な刺激が下半身から伝わる。チーターの温かく湿った口内にペニスが包み込まれていく。

「ああぁッ!? ……んっ、うぅ……っ! チンチン、舐めんなよぉ……」

 チーターに捕らえられるまで、叉武にとっては小便の出る場所でしかなかった。でもここが、自分の知らない自分自身の感情を増幅させている。快感、屈辱、興奮……様々な感情とともに、意識とは関係なく反応している。

 チーターは、猫の突起が並ぶ亀頭の付け根を、丁寧に舌先でなぞった。繊細な愛撫に、叉武は全身を硬直させ、天を仰いだ。そして、再び絶頂の予感に襲われ、腰を跳ねさせる。チーターは叉武のペニスを口に含み、空いた手で叉武の汗でぬれた下半身を撫でた。筋肉質でありながら、少年らしい柔らかな肉付きが残る太ももに、チーターの指がゆっくりと這っていく。その感触に、少年は新たな快感に震えた。

「ひっ……! で、出るっ。また、おいら、シ、シッコぉ……ッ!  シッコ漏れるっ、漏れちまううっ!!」

 だが、叉武が絶頂に達する直前、チーターは再び口を離した。絶望的な快感の寸止めに、少年は狂ったように涙を流し、息を詰まらせる。その後もチーターは何度も、叉武の射精気配を感じるたびに手や口を止めた。

「あぁっ……あアぁぁっ!!」

 絶頂の寸止めに、叉武は狂ったように涙を流し、息を詰まらせた。全身を襲うどうしようもない衝動に、叉武の正義の少年妖怪として街の平和を守っていた自信と自負は完崩壊しつつあった。性的に未熟な少年に施された快楽拷問の刺激は、叉武のペニスから直接、頭の中の自我をひっ掻きまわしていた。

「あ、アアあああっ! オシッコおぉ……ッ! シッ……コさせてくれよおおぅ! 何でお前ッ……、おいらにこんなことすんだよおぉ! アアアッ」

 叉武は叫んだ。それは、爆発してしまいそうな快感、そしてこれ以上じらされたら気がどうにかなってしまいそうな恐怖心だった。羞恥心が引き飛んだ悲痛な叫びだった。

 チーターはそんな叉武を見てほくそ笑んだ。

「出したいのか?」

「……はぁ、ああん……。おいら、もう……シッコさせてくれってばああぁ!」

「自分が淫乱なガキ妖怪だと認めるんだな?」

「うっうぅ……おいら、エロガキでもいいよぅ……はやく、お……っこさせて……」

「お願いするんなら、もっと丁寧に言ってみろ」

「お、おいらにもう……オシッコ、させて……ください」

 うるんだ瞳で求めるように「射精」を懇願してする叉武。つい一時間ほど前まで、自分を殺そうと息巻いてやってきた叉武の変わりように、チーターは背中が痺れるような言い知れぬ満足感と支配欲、そして堪えきれない『愛おしさ』が息吹く。

「(いや、俺はこいつより遥かに長く生きてきた淫魔だ。まさかこの俺が、こいつへの肉欲以外に魅せられ始めているだと?)」

 一瞬そんな考えが脳裏を過るが、すぐに首を横に振って我に返った。そしてさらに愛撫を激しくする。叉武への巧みな指がさらに凶暴さを増して、目の前で初めての射精を懇願する少年のペニスを狂おしいほどに刺激した。

「よく言ったな、淫乱仔猫ちゃん。じゃあ今から、お前の体が如何にドスケベなのかを見せてやるぜ」

「ひっ、は、ひゅっ、あぁ……ぁあああっ!  うぅん、ぅうううううううっ!! シッコ! 出そうっ!!」

 叉武の心臓がドクドクと高鳴り、体の奥から熱い波が押し寄せる。突然、ビクッと全身が震え、まるで時間が止まったかのような瞬間が訪れる。頭の奥が真っ白になり、世界が弾け飛ぶような感覚が下腹部から襲う。体が大きく痙攣し、硬く張ったペニスから、熱く、白濁した液体が勢いよく噴き出した。


 ピュルルル! ドピュ ドピュッ! ビュババッ!


「ふぁッ……ぁああっ! シ、シッコ、でたぁ……ッ! ああああっ!!!」

 信じられないほどの量の白濁液が次から次へと溢れ出し、ボトボトと音を立てながら周囲をびしょ濡れにする。その重たい感覚から、叉武は自分のペニスから小便ではない何かが噴き出していることを知った。「ハァ、ハァ、ハァッ!」と叉武の息が荒々しく乱れ、頭の中が真っ白に燃え尽きる中、最後の「ドクンッ! ブビュッ」という発射とともに、体が大げさに跳ね上がり、ようやく収まった。

 叉武は絶叫し、全身の力が抜けた。飛び散らせた自分の精液で体を濡らし、ぐったりとシーツの中に横たわっている。

 初めて味わう強烈な快感……。小便だと思っていたそれは、叉武の中で何かを満たしているようだった。チーターは、射精の余韻に肩を揺らし、喘ぐ少年を満足そうに見つめながら、叉武のペニスの中に残っている精液をぎゅっと摘まんで絞り出し、舐めとった。

 叉武の若く初々しい精液は、チーターの口の中で広がり、鼻の奥に甘く生臭い香りを焼き付けていた。

「はあっ……、はあっ……。これ、シッコじゃねぇ……。これが『セイエキ』なの……か?」

「ああ。お前が一人前のドスケベだって証拠さ」

「はぁ……はぁ……。それで、おいら……、これからお前に殺されちまうの……か?」

 まだ微かな闘志を燃やし、上目遣いで睨んでくる健気な叉武の姿に、チーターは再びゾワッとした加虐欲に襲われる。

「いや、まだまだこれからだ。もっとお前の体にスケベを刻み込んでやるのさ」

 チーターは粋がってはみたものの、まだ混乱していた。

「(俺はこいつを凌辱したいのか、愛したいのか。それとも、その両方なのか……)」

 自問自答しながら、チーターは叉武の睾丸に手を伸ばす。そして爪を立て、呪文を唱えた。「ジュッ」という灼けるような音を立てると、叉武が「うがっ」と短い悲鳴を上げて苦悶の表情を浮かべた。

「こ、今度は……おいらに何を……」

 叉武は痛みを感じた部分に視線を移す。自分のキンタマには紫色に光る怪しげな紋様が刻み込まれている。

 不安のような、それでいて微かに羨望のような声で尋ねる叉武。おそらく、叉武もまた混乱しているのだろう。この妖魔を討伐するためにやってきた廃屋で返り討ちに遭い、このような辱めを受けている。しかし、チータから受けた凌辱と同時に、自分の中で湧き上がる抗えない快楽に身を委ね始めてもいる。それに、どうしてこのチーターの妖魔はとんでもなく強いくせに、さっさと自分を殺さないのか……。

「これは『淫紋』の妖術だ」

「イン……モン……?」

「チッ。エロい体してやがるくせに、ホントに何にも知らねぇガキなんだな、お前は」

「お、おいらは……ガキじゃねぇ……おいらは叉武……」

 呂律の廻らなくなった声を出して反抗する。

「まあいいさ。答えは自分の体が教えてくれるだろうよ」

 チーターは叉武のペニスを指差す。叉武が慌てて自分の股間に視線を移すと、さっき射精して少し落ち着き始めていたペニスが再び固く勃起し、発情しているのに気付く。

 チーターは叉武の前で更に妖術を使って見せた。『分身』の術だ。チーターの姿がゆらりと揺らぐと、五つの残像となって叉武を取り囲んだ。分身はそれぞれ、叉武の体の各部位に張り付くように身を寄せた。叉武はその高度な術に目を丸くする。

「今のお前は、無限に射精を繰り返す体になった。さあてと、『第二ラウンド』といくぜ!」

 分身の一人は叉武のペニスに狙いを定め、濡れた口で包み込む。もう一人は媚薬の効果が残る乳首と腹を舐め、快楽の電流を走らせる。さらに別の分身は、太ももと引き締まった臀部に媚薬を塗り込みながら愛撫し、他の者は敏感な足裏を舐め上げた。そして、最後の分身は、叉武の肛門を舌で丁寧に舐め始めた。

「ぁ……っ、ひぅ……っ、や、めろぉ……っ、そこは……汚ねぇ……ってばっ!」

 五人からの同時攻撃に、少年の身体は激しく痙攣した。ジュボジュボッっと激しくペニスを吸い上げられる快感、乳首を舐められる甘い刺激、足裏を弄ばれるゾクゾクする感覚。そして、尻の穴を舐められる未知の快楽に、叉武の正気の糸は完全に断ち切られた。


 ドピュッ ドピュッ!!


「あ……っ、んっあぁ……っ、もう、だめぇ……っ」

 チーターから施された淫紋と媚薬のせいで、今度はたちまち射精してしまう。それでもまだ叉武は喘ぎ続けた。体とチンチンが勝手に反応し、全身から噴き出す汗が筋肉をしたたり落ちてシーツを湿らせていく。叉武のペニスは萎えるどころか、ますます勢いを増していった。五人の分身は、叉武の鼓動と脈動から湧き上がる快楽の波を巧みに探り、更なる深みへと引きずり込んでいく。そして、間髪入れずに訪れた三度目の絶頂に、叉武は盛大に白い飛沫を自身の体に浴びせた。

「はぁ……っ、うあぁ……っ! もう、出ない……っ、おね、がい……っ。これ以上セイエキ出したら……おいら、死んじまううぅ……」

 かすれた声で訴えるが、チーターたちの耳には届かない。精力は尽きることがなかったが、淫紋の妖術は確実に叉武の若い生命力を削っていった。しかし、疲弊した体とは裏腹にペニスは再び硬く、充血していく。

 三度、四度と、少年はその後も何度も絶頂を迎え、その度に大量の精液を噴き出した。


 ドピュッ! ドボッ!


 まるで壊れた散水口のように、叉武の体から精液が放出され、搾り取られていく。チーターたちは、彼が射精する度にその精液を口に含み、またある者は叉武の腹や胸に塗りつけて、その香りを堪能した。叉武にはもはや、これが「快感」なのか「苦痛」なのかすら分からなくなっていた。視界は霞み、意識は朦朧としている。それでも体はチーターの愛撫に正直に反応し、その度に激しく痙攣した。

「ぅ、うぅ……っ、やだっ! もう、オシッコもセイエキも出したくないっ……っ、ふぁあああ……っ⁉」

 嗚咽交じりの懇願は、チーターの歪んだ劣情と加虐欲求を更に燃え上がらせるだけだった。叉武はただ本能のままに喘ぎ、精液を搾り取られるだけの〝操り人形〟と化していた。

 チーターは、叉武の精液をすべて搾り取り、彼の意識が途切れるまで弄び続けたのだ――。




 意識を取り戻したとき、薄暗い廃屋の寝室は一層暗さを増していた。破れたカーテンの隙間からは、鈍いオレンジ色の光が差し込んでいる。

 叉武の体を拘束していた妖術のイバラは既に消え去っていた。媚薬は乾燥して効果を失い、睾丸に刻印された淫紋も薄くなっている。

 しかし叉武は、全身の力を使い果たし、指一つ動かすことも、逃げ出そうという気力さえ失っている。叉武が朦朧とした意識のを彷徨う中、チーターは分身を解除し、一糸まとわぬ姿で、ただじっと叉武の傍らに立ち、肉食獣の美しい瞳で少年を見下ろしていた。その股間には、血管を浮かび上がらせたグロテスクな〝イチモツ〟が、静かに叉武の肉体を狙っている。

 たくましく、美しい毛並みの腕が、ぐったりと横たわる叉武の体を軽々と抱え上げる。そして叉武の腰を掴むと乱暴にひっくり返し、四つん這いの体勢にさせる。

「う……ぁぁ……。もう、らめ……やめれぇ……ぇっ」

 叉武は抗う力もなく、呂律の廻らない吐息のような声を出し、だらりと頭を垂れる。チーターは少年の腰に手を回し、その引き締まった臀部を掴んだ。

「まだ終わってねぇぜ、仔猫ちゃん……」

 冷たい声が叉武の耳元で響く。しかしその声は、冷静で落ち着き払ったような声でありながらも、奥に荒々しい息遣いを潜めていた。

 チーター自身が、この取るに足らない下級妖怪の小僧に、これまでにないほどの抑えきれない欲情と興奮を催しているのを、多少の戸惑いと共に自覚していた。その証拠に、チーターのケダモノのようなペニスは透明な涎を垂らしながら、ビクンビクンと脈打ち、いきり立っている。

 叉武は、先ほど舐められたアナルがヒリヒリと疼くのを感じ、これから何が起こるかを本能的に察知した。全身が震え、恐怖に顔を歪ませる。性の知識が乏しい叉武だったが、これから自分が「メス猫」のように弄ばれ、犯されるのだと悟った。

 チーターは、再び甘ったるい匂いを放つ媚薬の小瓶を取り出す。そして瓶の底にわずかに残った紫色のヌルヌルした粘液を指で撫で取ると、叉武の肛門に擦りつけるように塗り始めた。チーターの無骨な指が、少年の秘部にゆっくりと押し込まれていく……。

「ひっ……! やあぁあぁ、ヤダぁ……っ」


〝男である自分の尻の穴に、男であるこいつのチンチンを入れられる……〟


 媚薬と淫紋で淫乱になっていた頭の中が僅かに正気を取り戻し始めると、反比例するように屈辱と恐怖が心を覆っていく。

 しかし、叉武の願いは当然の如くチーターには受け入れられない。

 指が一本、また一本と、奥へと挿入されていく。指の関節がゴリッゴリッと肉色の蕾を押し広げる度に、叉武は悲鳴を上げ、四肢に力を入れて無駄な抵抗をする。「ウンコ」や「おなら」を出すことはあっても、異物が侵入してくる感覚は初めてだ。叉武の赤味がかった肉色の肛門が、受け入れの準備を十分に整えたことを確認すると、チーターは腰を低くして叉武の背後に回り込み、自らの荒々しい肉棒を少年の肛門に押し当てた。

「はあっ……っ! ひぎいっ……!?」

 同系統の妖魔でありながらも、淫紋を刻まれ勃起していた叉武の〝ソレ〟とは比較にならない、熱く硬い塊の先端が、叉武のひくついた秘部に押し付けられる。ゆっくりと、しかし確実に、チーターのペニスが「ズンッ、ズンッ」と重く少年の内部へと入り込んでいく。猫族特有の〝かえし〟の付いたトゲのあるペニスが、叉武の肛門と肉壁を裂くように進む。逃れられない激しい痛みに、少年は喘ぐ。

 ミチッ、ミチミチ……。メリメリッ……。

「うぅあああああ、アアアアァっ!! しりっ、おいらの尻がああぁぁぁあっ!!」

 叉武の泣き叫ぶ声が狭い寝室に響き渡る。チーターは少年の体をしっかりと押さえつけ、そのペニスを根元まで一気に突き刺した。

 「……くうっ!?」

 そのとき、百戦錬磨であるはずのチーターが思わず快楽の声を上げる。

 叉武の恐怖と苦痛、そしてまだ叉武自身が自覚していない〝淫乱な肉体〟がチーターのペニスに吸い付くように包み込み、刺激を増幅させる。一方の叉武は、痛みに続いて全身を貫くような快感の波が、尻の穴から脳天まで押し寄せて少年は全身を硬直させ、切ない吐息を漏らした。

 チーターは、叉武の直腸内部の熱い感触を確かめ、想像していた以上の〝具合の良さ〟にニヤリと笑った。

「やはり貴様のチンポとケツマンコは、百年に一度の〝名器〟だぜ」

 そして、ゆっくりと腰を動かし始めた。


 ドスッ、ドスッ……。 


 激しく、そして深く、チーターのペニスが少年の内部を突き上げ、腹の中を掻き回す。叉武は快感と痛みの狭間で喘ぎ、絶叫を繰り返した。

「ひっ、は、ぁ……っ! ん、ぁあぁ……っ! うぅ、ひぃ……っ! お、おいらの……ウンコが出る、穴っ、がっ……壊れちまううぅ……ッ!!」

 チーターの激しい突き上げは止まらない。叉武の肉体は、チーターの腰の動きに合わせて揺れ、快楽に満たされていく。叉武は、抵抗することをやめ、ただされるがままに快楽の波に身を委ねるしかなかった。叉武の妖力と生命力は、淫紋により既に大量の精液に変換されて搾り取られていたのだ。

 ベチン、ベチンと肉がぶつかり合う鈍い音と、ヌチャッ、ヌチャッという粘液が泡立つ卑猥な音が、部屋に響き渡る。叉武は高速で交互に襲いくる痛みと快感で頭を混乱させるが、それはチーターも同じだった。

 チーターはただ、目の前の幼い妖怪の肉体をむさぼり尽くすかのように「フンッ、フンッ」と鼻息荒く叉武を犯し続ける。

「ひっ、は、ぁ……っ! ん、ぁあぁ……っ! うぎゅうぅ、ひぃ……っ、はひいぃ……っ」

 激しい突き上げは止まらない。チーターは叉武を〝串刺し〟にしたまま体を起こし、腰の上に座らせた。

 叉武の肉体はチーターの動きに合わせて上下に激しく揺れ、快楽に満たされていく。チーターは少年の腰を掴み、さらに深く、強く突き上げた。少年の下腹部はチーターのペニスに突き上げられるたびに盛り上がり、敏感な部分から血と白濁の混ざった泡が飛び散る。チーターの膝の上に乗せられた叉武の体は、まるで弄ばれている玩具人形のように、チーターの胸の前で反りを繰り返し、揺れている。

 二人の息遣いが、部屋に満ちる。

 満月は南中を過ぎ、外はもう真っ暗になっていた。一体何時間、叉武は犯され続けたのだろうか。

 チーターは、少年の絶頂を何度も味わった後、自らも限界に達した。

「この俺がこんなにも……!? ぐっ!」

 〝無限の絶倫〟と呼ばれていたはずのチーターのペニスの根元が膨れ上がり、精液の塊を運んでいるのが形となって現れる。


 ドクン!! ドクドクドクッ!!!


 ペニスは大暴れする大蛇のごとく叉武の内臓で荒々しく暴れ、熱く大量の精液を注ぎ込む。同時に叉武は手足の指をピンと伸ばし切り、全身を痙攣させた。叉武の肛門から漏れる出る音が「ジュブジュブ」という音から「ゴボオッ、ゴボオッ」という音に変化する。チーターは「チッ」と小さく舌打ちし、すぐさま自らに淫紋の術を施してそのまま交尾を続けた。

 叉武は立て続けに腹の中に精液を流し込まれ、腸の中をタプタプに〝孕まされ〟ている。

 凌辱を受けながらも、快楽に身を委ねている自分自身に意識が混濁する。犯されながら、振り絞ったような声で力なく口を開く。

「あっ……ああっ……何で……おいらに、ひあっ……こんなこと……する、んだよ……ひあうっ!?」

 自分を殺そうと思えばいつでもできたはずだ。また、捕まえたネズミをいたぶり殺すように、犯して愉しんだ後で殺すのとも違うような気がする。まるでチーターは、何かを〝もったいぶっている〟かのようだった。叉武は、この憎むべき敵から〝求められている〟ような気配さえ感じている……。

 その問いかけにチーターは、下半身で激しく少年の蕾を犯しながらも、その耳元に顔を近付けて静かに、そして優しい声で囁いた。

「お前が〝欲しく〟なった……。俺のこの体が、この魂が……。お前を〝俺の物にしろ〟と言っている」

「うっ、ああぁあ……で、でも、俺は……お前を倒しに……」

「わかっている。だが、俺の淫魔としての本能が、『お前は俺に抗えない』と……、そしてお前自身も、それを『望んでいる』と……教えている」

 叉武は犯されながら快楽の海に沈みそうになる頭で、こいつに捕まってからずっと感じていた違和感にようやく勘付き始めた。


 孤独は妖怪同士の〝運命〟だ。

 だからこそ、互いを求め合うようになるのだと。

 叉武はずっと孤独だった。薄っすらと微かに、猫として人間に飼われていた前世の記憶があったが、物心付いたときから自分はずっと『猫又の叉武』だった。人間の少年の友達はできたけれども、人の味方をする叉武は、人間の世界にも、妖怪の世界にも完全には属せない。どちらの世界でも異物として扱われ、常に安心できる居場所を求めていた。だからこそ叉武は、強さを求め、悪い妖怪を退治するというヤンチャな振る舞いをすることで、自分の存在を必死に主張していたのだ。

 チーターにも何か、自分と同じような理由があるに違いないと思った。

 自分を「獲物」として狙ったのは、最初はそうだったのかもしれないが、自分の体を欲しただけではなかったのだろう。美しく妖艶な瞳の奥に、自分と同じ孤独の影があったことに、無意識に気付いたのだ。快楽の術に抵抗しながらも、どこかでチーターを憎み切れずにいたのは、本能がそう叫んでいたからだ。

 この男こそ、敵でありながら自分の孤独を理解してくれる唯一の存在なのかもしれないと……。

 この激しい交尾は、単なる肉体の交わりではなかった。それは、互いの孤独を確かめ合い、その深淵を埋め合うための、切実な行為だったのではないか。


 二人が出会ったのは、偶然ではなかったのかもしれない――。


 体を突き上げられながら、叉武は肩越しにチーターの顔を見上げた。

 それに気付いたチーターは、叉武と視線を合わせる。これまで、ただの獲物だと思っていた相手が、自分をこんなにも愛おしげに見つめていることに気付く。

「お前の淫乱な肉体は、俺を狂わせる。そのしなやかな筋肉、引き締まった腰……そして、このオスとしての証……」

 チーターの指が、少年のペニスに絡み、先端を優しく弄ぶ。叉武は、快感に喘ぎながらも、その言葉に心を揺さぶられていた。叉武はチーターの首に両腕を回し、しがみついた。叉武はチーターの瞳を覗き込むように見つめ、自分の意思でその唇を重ねる。もう、「気持ち悪い」とは感じなかった。二人の交尾は、激しさを増しながらも、互いの存在を確かめ合うように、優しく、深く、そして濃厚に交わされていく。

「ぅ、あぁ……っ、ひっ……、もっと……っ」

「どうした? もっと、チンポが欲しいのか? 可愛い小猫ちゃん」

「おっ……おいら……、あっ……あひああぁんッ……お前の目ん玉と、その声、好き……あっ、あっ……」

「ん……。俺も、お前のそのイヤラシイ喘ぎ声と体の具合が気に入ったぜ?」

「……おいら……おいらを、あふんっ、お前のものに……っ、して……っ」

 肛門を激しく摩擦する激しい交尾の最中だったが、もはや叉武には痛みも苦痛もなかった。ただ、じんわりと温かい快感が広がっていく。

 そしてこの光景は、チーターにとって、かつて下級妖魔として惨めでみすぼらしい日々を送るだけだった彼に、『上級淫魔』として生きる術を与えてくれた師と交わした、彼自身の回想そのものだった。チーターはふと、そのとき師から言われた言葉を思い出した。

「ああ、『お前はもう、俺のものだ』」

「……お、おいら……お前のこと……好き……かも……」

「俺もお前を愛してやろう……、『叉武』……」


 ドスッ、ドスッ、ドスッ!


 チーターは、締め上げるように叉武の肉体をむさぼり、肛門をさらに激しく突き上げる。肉と肉がぶつかり合う音、大きな睾丸が尻を叩く音、汗で濡れた肌が擦れる音が、「二匹」の肉欲にまみれたケダモノの営みを激しくかき鳴らす。叉武は、チーターの動きに合わせて自分から腰を揺らし始めた。

 その瞳は恍惚で潤んでいた。

「あぁっ! あぁぁぁアアァーッ!!」

 叉武の喘ぎ声は、今までのような恐怖や苦痛ではなく、愛しい相手に全身を委ねる喜びと、快楽に身を任せる至福の叫びだったのかもしれない。二匹の咆哮が重なり合った瞬間、チーターのペニスからは熱い精液が叉武の腸の中に激しく注ぎ込まれ、溢れ出した精液が肛門から噴き出した。同時に、叉武もまた、肩越しにチーターの顔面へと自らの精液を勢いよく打ち上げた。


 ブバッ、ブバッ!

 ドピュドピュ! ドビュドビュ、ビュルビュル!!


 全身を貫くような強烈な快感を共有し、二人の体は大きく痙攣する。叉武とチーターの体は互いを抱き締めたまま、ぐったりとベッドに崩れ落ちた。汗と精液にまみれた二人の体には、肩を揺らす熱い吐息と共に、深い充足感が満ちていた。

 意識が完全に途切れた叉武の体は、チーターの腕の中で弛緩し、ぐったりと崩れ落ちるのだった。

 チーターは叉武の乱れた髪を優しく撫で、その頬に口づけを落とした。


「お前はもう一人じゃない。いずれまた、どこかで会おう、叉武……」


 極限の疲労で深い眠りに落ちた叉武の耳元で静かにそう囁いたとき、スースーと寝息を立てている叉武の口元は、僅かに緩んでいた――。



「んっ、んんー……」

 鳥の鳴き声と、カーテンの隙間から差し込む鋭い朝の光が叉武の目を刺す。ハッとして体を起こした。周囲を見渡すが、この廃屋敷には既に誰の気配も妖気も感じられない。

「チーターの兄貴っ⁉」

 そう声を上げたとき、叉武はチーターの本当の名前を聞きそびれていたことに気付いた。ただ、精液と汗がベトベトに染みついたシーツが、甘く青臭い匂いを放ちながら、昨夜の出来事が本当のことだったのだと静かに物語っているようだった。

「行っちまったのか……」

 溜め息を吐くように小さく呟く。確かチーターは、何かから隠れ、逃げていると言っていたのを思い出す。

 だが不思議と「寂しい」という気持ちは湧かなかった。その代わりに、きっとまた会えるような、会わなければいけないような気がしていた。体を起こそうとすると、全身と、ケツの穴がズキッと痛む。ふと、自身の肛門から太腿に垂れ落ちる生温かい液体に気がついた。まだ痛みの残る尻穴の蕾にゆっくりと指を差し入れ、奥に残る精液をほじり出すと、ペニスがビクンと動いて、尿道に残っていた精液が滴り落ちた。

 指先に付いたチーターの〝置き土産〟と自分の肛門のものが混ざった甘い匂いを嗅ぎ、舌で舐め取る。

(兄貴の匂いだ……)

 ビクンビクンと勃起し始めたペニスを握り、片方の手で肛門を弄ってチーターの精液を掻き出してはそれを堪能する。

「あっ……あぁ……、うっ!!」

 まだ微かに淫紋の跡がミミズ腫れになって残っているキンタマを揺らし、昨日より少し大きさを増したチンチンを上下に擦った。切ない声とともに、叉武はシーツに精液をまき散らす。

「はぁ、はぁっ……。へへっ、おいらすっかり〝インラン〟だな。アイツの言ってた通りだ」

 叉武は寝室のカーテンを引きちぎると、それを自分の腰に巻きつけて結び目を作る。そして窓の外の朝日に向かって拳を突き上げた。


「おいら、もっともっと強くなる! 強くなって、またチーターの兄貴に会いに行くッ! ……その前に、人間のダチに報告だ。『廃墟の悪い妖怪はもういねぇ』ってな!」


 叉武は鼻の下を手の甲で軽く擦る。バッと窓を開けて手すりに足を掛けると、外に朝の光に向かって飛び出していった。


(了)


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【差分 背景・エフェクト無し】


Skebでの小説と挿絵のご依頼でした!

ありがとうございました!

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Comments

ありがとうございます! 苦労したので、そう言って頂けると嬉しいです。

ねじゅみ

これは凄い! えっちい描写てんこ盛りの長編大作かと思いきや、お互いの存在を認め合い求め合う二人の愛の物語に変わっていく内容が見事すぎます。 お話読み始めた時には破滅エンドしか思い浮かばなかったので、爽やかなラストには驚くと共に元気出てくるような不思議な気持ちになりました。 素晴らしいです、傑作です。

げるげる


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