3月4日
いい加減確定申告に行きました。学生の頃のも溜めてたからえらいことになっていて……来年からはネットでできるようにしたのでがんばろう。
3月5日
前々から訪れたかったブリティッシュヒルズへ一人やってきた。
奮発してスイートルームを取ったのだけど、部屋が広すぎて持て余した。
猫足のバスタブ初めて入ったかも…!バスタブに渡す形の金属の網棚、ここに飲み物と本を置いたらなんぼでも時間溶ける。画家ちゃんなんかはこれで夜を明かして「風邪を引く」とメイドちゃんに怒られてそう。
夕食。事前に連絡して少なめのコースにしてもらったので一人でも食べきれた。
コース料理をイギリス人のウェイターさんが給仕してくれます(ブリティッシュヒルズの公用語は英語です)。
「こちら亀のポタージュでございます」とスープが出てきておっかなびっくり飲んだのだけど、きちんとメニューを確認したら「亀(turtle)」ではなく「タロ芋(taro)」だった。イギリス英語だからきちんとTは発音するんだったね……英語はゆっくり話す人なら何言ってるか何となくは分かるけど、こうして頻繁に聞き間違えるし、心の準備をしてないと全く話せません。なんとかせねば。
デザートのクレープは、グリル機能付きのワゴンがやって来て、その場でフランベしたカラメルといちごを乗せてくれて美味しかった。
宿泊客はマナーハウスを自由に散策できる。お客さんが少なかったのか基本独占状態だったので、広い図書室の窓際の安楽椅子で雪の降る音を聴きながら本を読む。こんな幸せな事がこの世にあるのね。。。
皆川博子先生の「開かせて頂き光栄です」が好きすぎて、好きすぎるあまり続編の展開に耐えられずリタイアして積読にしていたのを意を決して読みます。そのためにイギリスの雰囲気に浸れる場所を探していたのよね。
なんとか読了。本当にしんどい。
皆川博子先生の作品、大好きと言いつつ毎作苦しいのでまだ読めていない方が多いのだけど、やっぱり先生は神や法、社会や人の定めた枠からずれてしまった人間を描くのがうますぎる。その間隙を知ってしまった者は幸せには……世間が定めるような幸福には絶対に辿り着けないのだけど、そんな残酷な結末すら圧倒的な描写力と幻想的な筆致で描くので、なんかもう……美しいけど辛い……辛いけど美しい……、しんどい。。。
特に「開かせて頂き光栄です」で登場人物が大好きになってしまった後の続編なので、具体的な感想が述べられないくらいしんどい。最終作「インタビュー・ウィズ・プリズナー」は多分2冊目読んで大ダメージを受けた自分は読めないだろうと持ってこなかったのだけど、正解だったな。
これを読む前に一度彼らを絵に描いて気持ちを整理してから、またブリティッシュヒルズの図書室で最初から再読、今度は最後まで読破したい。
あと18世紀イギリス、意外と想像がしにくくてどうしてもホームズが活躍した100年後の世界を思い浮かべてしまう。ロンドンで大火があったのはもっと前だから、建物のや街の雰囲気はそう変わってないのかな。服飾は割と18→19世紀で差がある気がする。
以前「暖房の文化史」を読んだ時に、「開かせて頂き光栄です」で出てきた「ルパート王子の暖炉」が出てきて感動したのだけど、実際「開かせて~」最後の参考文献にこの本が載っていた。
「暖房の~」を読んでいた時、焼き串を回すために回し車で走らされる不遇な犬の図が面白くて⬆️写真を撮ったのだけど、「アルモニカ~」にこの犬の描写があって、皆川先生もこの図ちょっとウケたんかな……とか思うと楽しい。
今度国会図書館に行ったら、好きな本の参考文献を漁ってニヤニヤする会を開こうかな。
3月6日
起きた瞬間部屋が18世紀(正確には17世紀様式らしいが)イギリスで、読んだ本の影響で夢を見ているのかと思った。
一人旅なので、部屋の中にいた大きめの蝿におはようの挨拶をする。汚いディズニープリンセスかも。
朝食のコースは断って二度寝、チェックアウトが12時なのも嬉しい。スイートだったからなのかな。
昨晩のコースであまりお腹が空かなかったので、宿泊サービスのアフタヌーンティーも品目を減らしていただいたのだけど、「あまり召し上がらなかったから」と帰りがけにショートブレットを持たせてくださった。ここで起きることは全体的に小説の中の出来事みたい。
うまく写真に撮れなかったのだけど、バスの車窓から見える雪の積もる森はとても綺麗だった。車酔いが心配だったのだけど、雪景色にワクワクしていたら余裕でした。
シベリウスの「もみの木」はこんな景色から作曲されたのかな…?この森には何の木が生えているのだろう。
植生が気になるな……と思っていたらお土産屋さんにこんな本があったから買ってみた。ブナやカエデの林が多いのかな…?葉を落としていなかった、背の高い木はなんだろう。常緑針葉樹、ヒノキかな……調べてみたらヒノキは雪に弱いようだから、よく似たアスナロかもしれない?
この本を読む限りどの季節も美しいので、また別の季節に再訪したい。
しかし序文に「妖精王(オーベロン)と妖精女王(タイターニア)が宴をするのに相応しい……」という文があり、林でこれを開いた自分は気絶。(「開かせて頂き~」シリーズの推しCPがこれに准えられている)
豪雪で東北新幹線が止まっていて往生した。もう一冊随行していた漱石の「夢十夜・草枕」を読んで時間を潰しながら移動。
夢十夜、教科書にも載る第一夜は美しいけど、他の夜はキモい奴がいっぱい出てきて…よく分からない挙動をして…なに……?って感じ。私には早すぎたのか。「アルモニカ~」で胸がいっぱいで解釈する気になれなかったのもあるかも。
途中駅に磐梯があり、有栖川有栖ファンの私は思わず停車中にホームに出て写真を撮っちゃった。
本当は旅程の中で裏磐梯まで赴き、五色沼のほとりで「ここが火村がアリスに雪ぶっかけた現場か~」と思う会を開きたかったのだけど、ブリティッシュヒルズのドレスコードに合わせてブーツで来ていたのでこの豪雪の中向かうのは危険と断念。
作中の季節はバレンタインデーだったので、これよりも雪は深かったのだろうな……。
湯を求めて会津若松の温泉宿。会津藩といえば白虎隊の礎ともなった、「ならぬものはなりません」と厳しい武家の教育で有名(と、幕末大好きの父が出発前夜にペラペラ喋っていた)だけど、露天風呂にまでこの厳しい標語が貼ってあって、なぜ……?若干くつろぎにくかった。
「アルモニカ~」の辛さを抱えて眠るのは不可能だと思ったので、全てを洗い流すべくガイ・リッチー版ホームズを見ました。ちょうど100年後のロンドンだしね。
私は結構いざとなったらぶん殴るタイプの探偵と助手が好きだから、ドンパチホームズはめっちゃ楽しかった。なんも考えずに見られる。
ジュード・ロウのワトソン、あまりに美しいし、ホームズに対して若干サディスティックな感じが「良」。ホームズはなんでこのワトソンの事大好きなんだろうな……。このホームズはワトソンに対してずっと「結婚するのか…俺以外の奴と…」って感じだった。
あと、アイリーン・アドラーがこんなに出張るのにちょっとびっくり。マイクロフトとかの方が見たかったな。続編で出てくるかな。
原作ホームズは多分2、3割程度しか読んでないので評価軸が薄いのだけど、今まで見た映像化の中で好みなのはやっぱりグラナダ版だな。SHERLOCKもガイ・リッチー版も最高だけども。はやく原作読破しなきゃ……。
3月7日
朝風呂に浸かってから、会津若松観光。
武家屋敷は思っていたより面白かったな。日本の屋敷の良さ、数ミリ程度だけどだんだん分かるようになってきたかも。
しかし資料館で読む武家の家訓は「外で女などと会話をしてはいけない」「女の意見など絶対に耳を貸してはならない」とえらい男尊女卑だったので、こうして若い絵描きの女が気楽に一人旅をする……なんて事が有り得るこの時代に感謝するしか無い。
年中無休の庭園に向かうと、何故か私の旅行期間だけは閉まっていた。そんなことある?
この庭園は「御楽園」と呼ばれており、「お」のつく楽園なんてどんなところだろうと気になっていただけに残念。
他にも平日だからか閉まっている所は多かったな。
色々みたけど、面白かったのは栄螺(さざえ)堂。
何かの本で読んで存在は知っていたのだけど、私は文化財の知識は0のはずだから多分スウェ館で読んだんだろうな。二重螺旋構造の御堂で、狭い螺旋状の木の坂道をぐるぐると登り、降りる。同じような狭い木の通路だけど登り降りで実は別の廻廊になっていて、すれ違うことは絶対に無い。こんなの子供の頃だったら10周はしていた。
かつては観音像が納められていたそうだけど、廃仏毀釈につき撤去され、今はただおもしろ建築としての役に徹しているっぽい。
栄螺堂のある飯尾山の階段はものすごい段数なのだけど、足腰の弱い方を慮ってか有料のエスカレーターがあります。私は……7cmヒールだったからさ……。
娘の一人旅が珍しいのか、タクシーの運転手さんやお土産家の人などがよく話しかけてくれて、意外と人と話す事が多く新鮮だった。
「お嬢さんは体温が低そうだから生姜湯を飲んだ方がいい」と言われたのに、いや福島が寒すぎて冷えてるんだよ!(前日豪雪)と返したかったけど、突っ込んでいいのか分からずそうしますね~と笑って流した。地元ボケだったのかな、突っこむべきだったのか。
家族にお土産買って帰路につく。
3日目は「草枕」を読みながら旅をしたのだけど、部分によっては意味わからん単語の羅列が続くところもあり、頭を使うと電車酔いとの闘いになるので字は気持ち程度に追いつつ朗読を聴いていた。これは時間がかかるけど、図書館の読み聞かせに通いつめていた幼少期を思い出すので良い読み方だ。
有栖川作品などは割とオーディブル化されているから、一度それで読んでみようかな。
本当に良い旅だった。思う存分22歳を満喫したので心置きなく誕生日を迎えられる。
疲れているけど、旅行中はリフレッシュのためいつもの最低限の絵もやめることにしていたので絵が描きたくて仕方がない、少しだけ作業する。
なんか人物のアオリの構図感が欠けていると思ったのでラフを取り直す。良くなったかな。
この子は じゃむらべの話が進むと出てくる女の子、シュテラちゃん。デザインは可愛いのだけど目が死んでて、私はこの子がちょっと怖い。

コミッションイラストをまとめる同人誌の表紙を描いていきます。 あくまでコミッションイラストなので、今回は自分で自分に依頼を出した、というていで描きます。じっくり取り組みたいので予算は無限とします。 でんさんに依頼できるなんて……!というワクワク感を味わえて楽しかった、私はおめでたい絵描きだな。 使用ア...
こちらのメイキング記事も書きました。最近メイキング記事書くの2時間くらいかかっている……。その割に、終始私が画家メイド好きって話しているだけなような気もする……。
3月8日
コミッションイラストのラフを練っていきます。
ライティングが強い絵、考えるのは楽しいんだけど最後の調整で毎回呻吟しているような気がする。
3枚提出!
月~木まであまり画面を見ずに過ごしていたせいか、眼精疲労の頭痛がある。普段の生活、本来目の酷使にあたるんだろうな……
線画をしようか迷ったけど、試しに厚塗りで描いてみることにします。
人物周りだけなんとなく手を入れる。3D素材がある時は厚塗りでもいいかもな~。
シュテラちゃん、やっぱり可愛いんだけどなんか怖いんだよな……。
背景の線は後回し……
体調崩したくないので早めに寝る!
3月9日
アートフェア東京、せっかくスタッフパスをもらったので見に行きました。
正直旅行と、その間ずっと読書や映画などでインプットをしていた事の反動で今あんまり芸術鑑賞する気分じゃなく、新しくおろした靴が靴擦れを起こしたのもありさっさと帰ってきた。
流し見した程度だけど出品しているのはきちんと作家としての色を持った作品ばかりだ。中世のサロンのようなものを想像して遊びに行ったのだけど、この人混みと情報量では築地の魚市場の方がイメージに近い。
やはり、自己表現として描いたものを売る事へ対する抵抗は、エディションを分ける事で多少薄らぐもののどうしても忌避感として胸に残る。この絵は特に自分が「永遠」を信じ、私一人だけの宗教画を描くような気持ちで制作した物だから、信仰を裏切っているような気持ちになるというか……
でも売り物なので買ってもらえるのは現金な事だけどすごく嬉しい。この相反する気持ちに折り合いをつけながら生きている専業画家はすごいな。私はイラストレーターにしかなれないかも。というよりも、王侯貴族からの依頼を受けて製作する、近現代以前の画家が一番心持ちとして近い。コミッション中心に、自分の好きなものはただ日記や物語の連載として自己満足で描く、この姿勢が一番自由でいられる。
イラスト界隈でいえば、イリヤクブシノブ先生もご出品なさっていました。大きな画面で見るといかに細部までバランスが完璧に整っているのかがよく分かる。
「草枕」読了。
英語に「Greek to me」というイディオムがある。『私にとってはギリシャ語も同然だ=ちんぷんかんぷん』という意味。これを学んだ時、「いくらなんでもそこまで意味の分かんない事ってなかなか無いだろ」と思ったものだけど、「草枕」の6章で、「これがギリシャ語か~」と納得した。朗読を聴きながらでなければ挫折していただろう。
漱石の芸術論については、私が漢詩や禅、日本画の知識が皆無な事もあり正直よく分からなかった。でも、話の筋自体は割と好き。ラストも好きだ。ところどころ見せ場となるシーンの描写はとても鮮烈な、というか躍如として、というか、目の前に景色が浮かぶような筆致で美しい。鏡池のシーンなどは特に、ジブリの絵柄で見てみたいな~と思ったのだけど、読了後調べてみたら、「草枕」と「風立ちぬ」は同じ地をモデルにしていたりするらしい。宮崎駿が漱石のファンだそうだけど、これは納得だな。言葉で説明しにくいけど、漱石のどういう点に影響を受けたのかなんとなく分かる気がする。
ミレイのオフィーリアについてはちらりと触れるだけかと思いきや、全編を通じて主題級のモチーフにされており、ミレイの画集のキャプションからこの本を選んだ甲斐があった……
のだけれど、あの絵を「土左衛門」と評すのは如何なものなのだろう。急に風情が無くなる。明治の言葉では違和感がなかったのだとしたら、文章としての賞味期限がもう切れているんだろうな。
引用されたり名前を出されていたりする芸術家、詩人の九割は知らない人だったけど、その中に「サロメ」を描いたオスカー・ワイルドがいて嬉しかった。今年の文学しりとりのスタート地点に戻ってきたよう。
まだこのしりとり風の読み方を続けたいから、次は「こころ」読んでみようかな。「草枕」は正直面白くなかったけど、中学の授業中に電子辞書付録の小説を辞書を引くふりをしながら読んでいた頃の漱石はもっと面白かった気がするし。それか堀辰雄の「風立ちぬ」でも良いかも。
ブリティッシュヒルズはおそらく東京より5度ほど気温が低い。これはつまり私の創作の世界の気候に似ているのだけど、「5度寒い」のは言葉のイメージよりだいぶ寒かった。
雨風は凌げるとはいえ暖房設備はない印刷所の床で寝泊まりしている新聞記者のアルくん、逞しすぎるな……こんな生活なのに風邪とか全然引かなそう。
昔作った表。
そこそこ裕福な子が多い中アルくんは庶民的、というよりお金に苦労してる子なんだろうけど、本人がこの生活を全く苦にしてなさそうなところが良い。あの面の皮が厚く破天荒な性格はタフさの裏返しなのかもしれない……。
ジョンくんの「千円札より五百円玉の方がキラキラしててうれしい」のコメントがジョンくんを体現している。
生まれが一番裕福なのはヴィオラだと思うけど、彼は実家との縁が薄い上、ギャンブル(あんま強くない)に興じてよく散財しているので、自由になる額で言えばカミラちゃんの方が多そう。
3月10日
新しい仕事のラフを練ります。
こういう椅子を見かけて、可愛いなあ……と思ったのでラフに取り入れます。あとは回転式書見台。
これもロマンがありますよね~…!ここにいろんな図鑑を並べて、片手で回しながら絵を描きたい。
シンプルに(?)デスクを描いたもの。こういう構図、数年前は頻繁に描いていたけどそういえば最近あまり描いてない。
いろんな楽器が弾ける魔法使いの女の子ということで、一人でアンサンブルをする構図。
私はピアノもヴィオラも中途半端だから、いろんな楽器を弾ける人をすぐ尊敬してしまう癖がある。
背景も錬成!
4話、なぜこんなに時間かかってるんだろう…?枚数としては3話の方が多い筈なのだけど。兎にも角にもようやく4話作業(下塗りまで)終わりそうで安心する。。。
jamlabelは10話で終わらせるつもりだったけど、シーンを増やしたりプロットを変えたりしたので到底収まりそうにない。気長に続けていきたいね。
5話ラフ。
レナちゃんは夏っぽいワンピース本当に似合う。彼女、自己評価がとにかく低いけど側から見たら美少女の部類だと思うんだよな~。
先週貼ったほしい物リストからプレゼントくださりありがとうございます!早速読んだり食べたりしております、、大事に頂きます🙏
来週は今週ラフ出した仕事しつつ、 4話の下塗りそれぞれ多少塗りつつ……って感じだろうか。息抜きに5話のラフも描いちゃいたい。今週全く行けなかったジムもちゃんと行かなきゃ。
それでは!
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