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弐宮幽二@R18小説
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(R-18)進捗【オリジナル】イヌ娘6 01

これを書き、おまけを書き、収録予定作品の推敲を改めてして、いよいよ電子同人誌発行となります。

boothとfanzaとdlsiteかなーと思っています。

初めてだし、とりあえず有名どこ全部でいいかな、と。

約13万字、イラストなし、一部公開済なので、値段は300円くらいと考えています。

手数料とかまだ見てないので変わるかもしれませんが。

いや、でも、初めてだしね。

知名度もないんだから、お試し価格でもう少し安くても?

まー、追々。まずは書き上げないとね。


さて、今作。

BSS風にしたいと思い、寝取られ男(寝てから言え)視点からのスタートです。

男視点で書くのは、めぐる寝取らせ以来でしょうか。


ガガッと一気に書き上げたいものですが、まだそんなにプロット固まってないという……。

おまけネタも悩み中。


――――――


 駅から車で十分。午後の穏やかな日差しに照らされた山道を静かに登っていく。入母屋造の瓦屋根が趣深い、その旅館は、北に赤く色づき始めた連山を、南に青々とした湖を望む高台に、ひっそりと佇んでいる。十ある部屋のいずれもが、湖を眺望できる。

 景色くらいしか取り柄らしい取り柄のない慎ましい小宿――とは先代女将の談だ。

「……到着いたしました。お疲れさまです」

 若き番頭、渡辺は運転していた送迎車から降りると、手早く後部座席のドアを開けた。

「ありがとうございますぅ」

 お礼の言葉を口にしながら、まずは社会人らしき三人の女性。女子旅というやつだろう。

 その次に歳の離れた男女が、どこかイチャついた雰囲気で降りてくる。

「やーん、レトロでいい感じぃー」

「気に入ってくれたかい」

 移動中からして、そうだった。

 初めは親子かと思った渡辺は、不倫かもしれないと思い直していた。

 そして最後に、チェック柄のシャツを着て、首からカメラを提げた小太りの男。旅行雑誌の記者で名を|肝田《きもた》という。

(まあ、取材というわけではないらしい、けど……女将も気にしちゃうよなぁ)

 三組の客を出迎える彼女を、渡辺は荷物を降ろしながら、ちらと窺った。

 前髪の右をやや長めにしたアシンメトリーなボブヘアで、薄紫色の着物をピシッと着こなし、涼やかな微笑。数人の仲居たちより一歩前に出て、凛とした所作で客の一人一人に頭を下げている。その立ち居振る舞いに、渡辺は、ついつい見惚れてしまう。赤みの強い茶色の頭には、ヤマイヌ――狼のような三角形の耳がピンと立っている。右耳の先端部分は前に折れている。生まれつきなのだそう。そして腰からはモフモフの尻尾が垂れ下がっている。

 イヌ娘――ここ【|清風楼《せいふうろう》】の女将、|南平《なべら》|霜華《そうか》のような形質を持って産まれた者を、そう呼ぶ。只人よりも優れた身体能力や整った容姿を持つ傾向にあり、古来より只人の良き友として共に社会を築いてきた。かつては主に狩猟や守衛。今では警察や消防、スポーツ、介護など。その活躍の場は只人と同じように多岐に渡る。

 霜華の苦労を思うと、渡辺は荷物を運ぶ腕に力がみなぎるようだった。

 数年前には、娘を遺して夫に先立たれた。最近には頼れる姑が入院を余儀なくされ、それも長期であるがゆえに、彼女に女将の重責が圧し掛かることになってしまった。まだまだ修行中、そのつもりでいただろうに、立場が人を作ると言ったところか、霜華は傍目には随分と立派にこなしているように見える。

(だからこそ、心配だ……無理してないと、いいけれど)

 しかし代われるようなものでもない。渡辺は、ただ、彼女に余計な心配や気苦労をかけまいと、日々の仕事を完璧にこなすことに努めるばかりだった。特に今回は、雑誌記者の宿泊する部屋は仲居が掃除した後にも、念入りに掃除をしたものだった。電球も変えた。館内の清掃も、他の番頭以上に頑張った。

 プライベートで来たとは言え、相手が相手。

 霜華も思いは一緒のようだ。

「それでは肝田さま、お部屋へご案内いたします。どうぞ、こちらへ」

 渡辺は彼の荷物を手にした。しかし他の客の部屋との位置関係を思い出し、結局、この帳場から一番近い部屋に運ぶほうへと持ち直した。仲居に先んじて、まずはそれを運ぶ。それから、もう一組のものを。そして最後に、二階の奥の部屋へと、肝田の荷物を持って向かう。

 ちょうど、霜華が部屋から静かに出てきたところだった。その顔が、少し雲って見えたのは、気のせいだろうか。霜華は彼に気付くと、すぐに涼やかな微笑へと変わった。この顔を見ると、すーっと心が癒されるようだった。

「お疲れさま、渡辺くん」

「あ、いえ……なんか、ありましたか?」

「ううん、なにも? 変なこと訊くのね」

 実際、もうすっかり、いつもの女将だった。

 去っていく彼女のお尻を、渡辺はじっと見た。いやらしい意味ではない。少なくとも、今は。イヌ娘には、しばしば尻尾や耳に感情が現れるものなのだ。しかし霜華の場合、先代に厳しく躾けられたこともあり、やはり、全く微動だにしない。

(……まあ、でも、うん。疲れた顔、だったんだろうな)

 この旅館の方針は安らぎある空間だ。そのため、部屋への出入りも必要最低限にしている。静かで、落ち着けるひと時を。それを支える者たちには、滅多にそれがないというのは、当然なのかもしれない。

 この後、霜華が客――肝田と顔を合わせることがあるとすれば、夕食時だろう。

(……お酌くらいは、申し出ることはするかもな。向こうが受けるかはわからないけど……)

 女とは縁遠そうな顔の男だ。美人女将がそう言えば、きっと断りはしないだろう。

(……いや、あるいは、断るかもな。女慣れしてなくて)

 渡辺は不愉快そうに曲げていた唇を、吊り上げ、部屋に荷物を運び入れるのだった。


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