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弐宮幽二@R18小説
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(R18小説)限定公開リクエスト【オリジナル】魔物に敗れた女武闘家が助けたつもりの村人に辱められる話(冒頭サンプル)

pixivリクエストの限定公開プランにて納品した作品です。


あらすじ

魔王復活の噂を聞いた女武闘家ルビニィは、師が止めるのも聞かず旅立った。

モンスター退治などの人助けをしながら、まずは仲間を探すため大都市を目指していた。

彼女は、ある村に差し掛かったところ、男たちの悲鳴を耳にする。

駆け付けると、この辺りでは見たことのない一つ目巨人に彼らは襲われそうになっていた。

間に入って村人を逃がすルビニィだったが、モンスターは思いのほか強い。

自分も逃げるため、下着姿になって魅了技を繰り出すのだが……。


総文字数

約16400文字


冒頭サンプル

 女が一人、山道を下っていく。

 日もまた、西に下りていく。


 年の頃は二十に満たないが、切れ長の、やや吊り上がった目は大人びた印象を人に与える。

 セミロングの艶やかな黒髪を後頭部の高い位置で一つに束ねている。


 ノースリーブの、深紅のトップスは体にピッタリと沿ってメリハリのある曲線を浮かび上がらせている。

 丈は膝上ほど。その両側には腰の上にまで深い切れ込みが入っている。


 それだけでは、無論、少し動くだけで下着が見えてしまう。

 そうはさせない黒色のショートパンツからはムチッとした両脚が伸びている。


 背中にはテント他、旅道具の詰まった大きな鞄を担いでいる。

 それでも、歩みは力強い。


 主要な道とはいえ、野盗やモンスターの危険性は大いにある。

 うら若き乙女の一人旅など、考えられない。


 だがそれは、なんの心得もなければ、の話だ。

 両拳を保護する革製の、厚手のオープンフィンガーグローブが示すように、彼女――ルビニィには武の心得があるのだ。


 魔族の生息域たる北方を目指して故郷を発ってから、そろそろ三ヵ月が経つか。


 ルビニィは「ふふん」と誇らし気に鼻を鳴らした。

(ほらね、師匠、私なら平気でしょう?)


 幼き頃に両親を病気で相次いで亡くした自分に、一人でも生きていけるように、と手ほどきしてくれた彼には、この旅――復活したと噂される魔王を討伐するための旅を反対されていた。

 しかし、いてもたってもいられず勝手に出てきた。


 そのことに後ろめたさがあったのも最初の一ヶ月くらいなもの。

 吸血モグラ退治からゴブリン退治、ケタケタキノコ狩りに盗賊退治……と、行く先々の町や村での依頼を難なく、こなせた後では過保護もいいところだと思う。


 この辺りのモンスターならば、全く、問題なし。


 けれど、この先はわからない。

 もっと北へ進めば、難敵も増えてくるだろう。

 旅をしながら実戦経験を積むことはもちろん、仲間も必要だ。


 何人かとは依頼を解決する上でパーティーを組んだが、この先も、と言うほどの者はいなかった。

 ここらはまだ平穏なほうの地域だから、無理もないけれど。

 魔王復活を眉唾に捉えている者も多い。

 実際そうなら良いが、ルビニィは、この辺りでも噂を耳にするくらいだから本当なのではないか、と思っていた。


(やっぱり仲間探しは、サシケーで腰を据えてすることになりそうね。この地方で特に大きな都市だし、その西の森のモンスターは結構なものと聞く)


 そろそろ山の麓のようだ。

 日が沈む頃には村につけるだろう、と二つ前の山を登る前に町で聞いた。

 西の空が赤くなるまで、まだまだ猶予はあるが、今日はそこで泊まらせてもらおう。

 少し急ぎ足になっていた気もする。


(これで、あと二つの村と一つの町……ね)

 ルビニィは額の汗を拭った。


 そのとき、どこからか、野太い悲鳴のようなものが聞こえた。


 木の上に登るルビニィ。

 再び聞こえてきた声で方向を確信すると荷物が万が一にも盗られてしまわないように、枝に縄で括り付けてから飛び降りる。

 そして彼らの元へ急いだ。


(声は三人……)

 きっと、向かっていた村の者たちだろう。

 狩りかなにかのために里山へ入ったところ、モンスターの類と出くわしでもしたか。


(この辺りの山で人を襲うとしたら、草食だけど縄張り意識の強い猪突猛進の鉄頭クラッシュボアか、肉食系なら、小さな狩猟竜ラプタァ、人呑み蛇ギガスネークといったところかしら?)


 魔力で強化した脚にかかれば、木々の合間を縫うように駆けるも容易いものだった。

 だが、そこにはルビニィの予想していなかった光景が広がっていた。


 三人の男たちは、弓を所持していたが、矢はもう射尽くした後らしい。

 今は鉈を握りしめて、へっぴり腰。

 そんな彼らと対峙していたのは、見たことのないモンスターだったのだ。


 一言で言えば、それは、巨人だった。


 人のように二本足で直立し、人の倍以上の背丈がある。

 皮膚は灰色。いかにも剛健な四肢。

 手には、大型モンスターのものと思しき骨を握っている。

 腰には毛皮を巻いている。

 そして、なによりの特徴は、顔の上半分を占める、大きな青色の一つ目だ。


 ゆえに丸い目――キュクロプスと呼ばれている。

 本来なら北方の人間領と魔族領との間に広がるユポ草原に生息する種である。


 ルビニィが知らないのは無理もない。

 こんなところに、いるはずがないのだから。


 彼らの、ちょうど真横に位置した彼女は、まだ、どちらにも気付かれていなかった。


 チャンスだ。

 ルビニィは「ふっ」と息を吸い込み、木の影から飛び出す。


 単眼巨人、キュクロプスが気付いた。

 棍棒の如くに太い骨で横薙ぐのをルビニィは掻い潜り、渾身の足払い。

 まず機動力を削ぐつもりだったが――、


(なんて硬さ!)

 多少、揺さぶることは出来たが、ヒビすら入れられた様子はない。


「貴方たち! 早く逃げなさい! 今のうちに!」


 彼らは、突然の助っ人に目を丸くし戸惑っていたが、そう鋭い声で指示されると我に返ったように遁走してくれた。

 これでひとまず安心だ。


 ルビニィは続けざま、脇腹に拳を叩きこむ。

だが分厚い皮膚に威力を吸収されたようだった。


(少しは、内部にダメージ入っていてちょうだいよ……!?)


 左から迫る、|掬《すく》いあげるような平手を踵で受け、空中を舞いつつ回転。

 難なく着地したところに白骨が振り下ろされる。


 地が揺れた。

 ルビニィは寸でで躱していた。


 キュクロプスの丸太のような腕を駆け上がる。


 狙うは、その大きな眼だ。

 魔力を込めた蹴撃で風の刃を生む技は、しかし、左手に阻まれた。

 灰色の掌に十字の傷、|奔《はし》る。


 やはり眼は弱点か。

 そして風刃脚なら皮膚を裂けることもわかった。


(いけるわ!)

 勝ち筋を見出し、思わず笑みを零すルビニィ。


 まだ宙にいる彼女の、その足をキュピクロスの巨腕が掴むまでのことだった。


「しまっ――!」

 刹那、全身を衝撃が襲う。


 地面に叩きつけられた反動でワンバウンド、ツーバウンド、スリーバウンド。

 樹の根元で止まった。


 ただの村人なら今のでバラバラになっていても不思議ではない。

 少なくとも、立てはしない。


 ルビニィは、樹に寄り掛かるようにして、息も絶え絶えに立ち上がった。

 立つのがやっとだ。背中がじんじんと痛む。

 額には脂汗が浮かび、脚は痙攣している。


 勝てない。

 そう悟るには、充分なダメージだった。


(ま、まずい……まずい!)

 万全のときに勝ち目はあっても、魔力、体力を著しく減衰させられた今では……。


(ポーションの一つくらい……持っていたのに!)

 どうして鞄から取り出して来なかったのか。

 こんなモンスターがいるとわかっていたら、必ず、そうしたのに。


 助けてくれる仲間も、いない。

 世界に、たった独りのよう。


 だが、それは錯覚だ。

 目の前に、強敵がいるではないか!


 キュクロプスが、ずんずんと近づいてくる。


 途端、恐怖がこみ上げてきた。

 それは後悔さえも塗りつぶす。

 脚の震えはもはや、疲労感ではなく、そのためだった。


 口からは吐息に混じり「あ、あぁ……っ!」と掠れた声が漏れ出ていた。


(に、逃げなきゃ……逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ――!)

 逃げたい。逃げなくてはならない。


 なのに、

(あ、ああ脚が……っ!)

 歯をガチガチ鳴らしながら、彼女は両手を胸元に伸ばす。


 襟のボタンを引き千切る。


 単眼巨人が、立ち止まった。

 警戒しているのだろう。


 ルビニィは前屈みになって、開かれた胸元から覗く、深く、長い谷間を強調するため両腕で挟み、寄せて上げた。

 強張った顔のまま「う、うっふ~ん」とウィンクまで決める。


 確かに彼女は冷静さを欠いている。

 しかし、これは窮地を前に起こした異常行動ではない。


 魅了技と呼ばれる、立派な技能の一つである。

 蠱惑的な仕草と共に、魔力の波動を放つことで対象を強制的にうっとりさせ、一時的に動きを止めるのだ。

 修得しやすい催眠術ゆえ、万が一の備えとして覚えている者は男女とも少なくない。


 生物系モンスターに効果あり――のはずなのだが、大きな瞳は依然として変わらぬ。


「な、なんでよぉっ! 待って、止まって! 止まりなさい!」


 一歩、また一歩とゆっくり迫り来る。


(こ、こんなところで――死にたく、ない! もっと凄い魅了技を!)


 どうせ見ているのはモンスターだけだ。

 ならば、恥も外聞も、あってないようなもの。


「ほ、ほぉら! 見なさぁい!?」




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