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弐宮幽二@R18小説
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(R-18)進捗【シャニマス】淫辱の美術館 凛世 02

 山道をプロデューサーと、和装のアイドルは歩いていた。

 プロデューサーが額の汗を拭って言った。

「少し休もうか」

 アイドル――|杜野《もりの》|凛世《りんぜ》は微笑みを返した。

「……レッスンで……慣れておりますゆえ……」

「はは。そうか。でも少しだけ、水分補給しようか」

「……では……お言葉に甘えて……」

 そうしてまた歩き出し、ようやく目的地へ到着した。

 バスを降りてから二十分ほどのことだった。

 森の奥深くに、ぽつねんと寂しく建つ美術館。凛世は、その存在すら知らなかった。そこへ、こうして二人が足を運ぶことになったのは、写真集のロケ地の候補となったためである。

 プロデューサーはすでに何度か訪れたことがあるようで、

「おもしろいところだよ」

 と語っていた。

 彼がそう言うのなら、と、美術というものに対して特別に興味を抱いていない凛世も、少し期待していた。ただ、一口におもしろいと言っても種類はある。もしも彼が奇妙という意味で使ったのなら、なるほど納得だ。館内に入った凛世は、そう思った。

 受付はなかった。ちょっとした目隠し程度の壁の両端には、それぞれ左右の矢印が書かれており、どちらから回っても良いらしい。事実、通路はなかった。壁の向こう側は、だだっ広い空間になっていた。どうやら彫刻類をメインの展示物としているようだ。点々と置かれた像は、無秩序な趣を放っていた。

 凛世も、有名なもの――ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、考える人、ダヴィデ像など――写真や映像で見たことがある。彫刻に限らず、産まれたままの姿で表現されるものが多々あることも知っている。

 けれど、ここのものは、それらとは違うように思えた。古典と現代という違いでもなく……なにか言いようのない不安感と不快感があった。凛世には、それを言語化することは出来ず、また、芸術に対してそのように思う己の教養の無さを恥じた。

 入って最初に目に入った石柱は、目の高さに妙な、そして覚えのある形の穴が開いていた。それに気付いて視線を少しばかり上にやれば、その正体を悟った。女性が、柱に手足は元より体のほとんどを塗りこめられたかのような作品だった。同僚の、占い好きな彼女に似た、苦悶あるいは悦楽に喘ぐような顔と、なだらかな胸――乳首がとても長い――そして開いた女性器だけが表に出ていたのだ。凛世は、精巧な作りの穴の奥に子宮口を認めると、いけないものを見たような気持ちになって、ふいと顔を逸らした。

 プロデューサーは少し先で、別の作品を見ていた。それは、放クラ最年長の彼女によく似ていた。引き締まった体を惜しみなく晒す、全裸の格好で、両手を頭の後ろに回し、スクワットよろしく腰を深く深く落としている。その陰部にはなにか太い棒状のものが突き刺さっているようだった。

 プロデューサーが言った。

「なにを咥え込んでいるか、わかるかい?」

「……いいえ」

「拳だよ。入らないと思うだろう? これはね、女性の持つ可能性の広さを表した作品なんだ」

 凛世は、やはり自分には理解の難しい芸術だと思った。

 化粧室にも作品はあった。普段は清楚だけれどステージの上ではサイバーパンクをこなす、同僚にそっくりなのは、ともかく。恍惚とした表情で、大股を開いてしゃがむ全裸の女性の、股間に手を差し伸べて水を受けなければならない仕様には、凛世はただただ困り顔を浮かべるほかなかった。

 化粧室を出ると、ある作品の前でプロデューサーが男性と話していた。

「ああ、凛世。こちらが館長さんだ」

「どうぞよろしく」

「……ご挨拶が遅れて……申し訳ございません。杜野凛世……と申します……。……この度は、お世話になります……」

「これはこれは、ご丁寧に。どうでしょう。すでにいくつか見て頂いたと思いますが、若い方から見て、私の作品は」

 凛世は曖昧な微笑を返す。

「……とても興味深く……拝見いたしました」

 館長はお世辞を真に受ける人種だったのか、満面の笑みで、

「それは良かった! これなんかも自信作なのですよ。ヒエラルキーを表現したものでしてね」

 そう言って目の前の作品を指し示す。

 側面から見る形になったが、それが、裸で土下座をする女性像であることは一目瞭然だった。いや、土下座とは少し違う。土下座ならば、もっと尻は低いだろう。その女は頭よりも高く、下半身を掲げていた。もう一つ不思議なことに、それは、透明な机のような台の上に置かれていた。

 館長に促されるまま、机の下に潜り込んで寝そべってみれば、彼女の顔が明らかとなった。後輩にあたるユニットの、どこかアンニュイな雰囲気のある彼女だ。斜に構えたような表情は見る影もなく、下品な半笑いを浮かべていた。

 立ちあがって、さて、この自信作とやらになにを言ったものか思案していると、

「この状態は未完成なのです。さあ、プロデューサーくん、頼むよ」

「え……」

 思いがけない言葉に凛世はプロデューサーを見る。

 彼は当然のような顔をして、次々に服を脱ぎ去っていく。

「プロデューサー様……!?」

 思わず顔を覆う凛世。

 しばらくして館長が言った。

「さあさあ、これが本当の姿です」

 恐る恐る目を開ければ、台の下でプロデューサーそっくりの全裸像が寝そべっていた。いや、そっくりなのではない。これは彼なのだ。異常ともいえる事態にもかかわらず、凛世は、そう理解できた。すると同時に恐れが込み上げてきて後退る。その肩に、館長が手を置いた。

「ご安心ください。彼はずっと前に、この作品になってくれました。けれども、困ったことはないでしょう。今日だって、ここまでやって来たではないですか」

 すると、たちまち不安感は萎んでいった。

 確かに館長の言うように、作品と人間、二重生活になにも問題はない。

「杜野さん、この後は撮影の予行をするつもりだったと聞いておりますが」

「……あ……はい」

 凛世は、ちらりと彼の像を見た。その股間は男らしく反り立っていたが、凛世の秘するべき夜に想像していたそれよりかは、いくらか小さく思えた。下半身を頭より上位に置く女、それより下位に位置する男もまた、頭よりも下半身のほうが、勃起した分だけ上にある。それらの上には、女を屈服させる男がいるのだろう。実像はなく、想像させるという形で。

 彼はしばらく動けないようだが、館長に監督してもらうのだし、問題はないだろう。

「……お手数をおかけします……」

「頑丈な作りですから、どうぞ気兼ねなく」

 それから凛世は、色々な像の前でポーズを取ってみたりした。時には館長にスマホで撮影をしてもらって確かめた。すると彼の芸術家の血が騒いだのか。

「服を脱いでみるのは、どうでしょう」

「…………え?」

「裸婦像が多いですからね。杜野さんも脱いだ方が、無機質な像と肉感が互いに引き立つかと思います」

 一理あると凛世は思った。

 殿方の前で、それも愛しい男性を差し置いて、肌を晒すのには一抹の抵抗感があったけれど、仕事の成功はまさに、その愛しい男性を喜ばせる。となれば恥は一時のもの。凛世は意を決し、それでもゆっくりと、和服の帯を解き、襟元を開いていった。静寂する館内に、衣擦れる音が染みていく。とうとう凛世は、生まれて初めて、家族以外の男に、その体を晒した。薄くとも膨らみある乳房。さくらんぼのような、可愛らしい乳首。ほとんど不毛地帯に近い股。そこに縦に走る一筋。小ぶりながらも丸みを帯びた尻。恥ずかしさから、純白の肌にほのかに帯びた桃色は生命を象徴し、気品に溢れ、血の通わぬ、硬くて浅ましい像とのコントラストが映える。

(R-18)進捗【シャニマス】淫辱の美術館 凛世 02

Comments

ざざざ さん ありがとうございますー! 完成までもうしばらくお待ちくださいませ!

弐宮幽二@R18小説

とても良いです…! 続きも楽しみにしてます!! どうかご無理されませんように


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