(あらすじ) カフェに憑りついた色情霊に犯され続けるカフェとタキオン。 霊と交わりすぎた二人の身体は、もはや元の日常には戻れなくなっていた。 いつ終わるともしれない凌辱から一夜明けた翌朝、二人の姿は学園のどこにもなかった… ----------- 「おい、スカーレット!待てって!おーい!」 マンハッタンカフェとアグネスタキオンが行方不明になって数か月が経った。 トレセン学園の学生が行方不明になったことは大きな事件となり、 その捜索には多数の人員が動員されたが、二人の行方は杳として知れなかった。 時は無情にも流れる。 事件は徐々に風化しつつあった。今も細々と捜索は続けられているものの、かつてのような規模はない。 ダイワスカーレットは、この状況を世間がタキオンたちのことを忘れようとしていると受け取った。 これだけ探して見つからないのだから、仕方がないのだと。仕方がないことは忘れるほかはないのだ。 忘れるなんて冗談じゃない。 スカーレットはカフェのことを良くは知らないが、タキオンのことはよく知っている。 スカーレットの知るタキオンは、研究を途中で投げ出していなくなるようなことは絶対にしない。 だからスカーレットは、今もタキオンを探し続けている。 「やっと追いついたぜ!こんな夜中にどこ行くんだよ!?」 タキオンを探して黙々と歩き続けるスカーレットの肩をつかみ、ウオッカがそう言った。 その顔を見ないまま、スカーレットは今日の目標を話し出した。 「……この先のお寺でタキオンさんとマンハッタンカフェさんを見たっていう話を聞いたのよ。 だから今から行くわけ」 「はあ? なんじゃそりゃ、いったい誰から聞いたんだよ!?」 「話の出所なんて別にいいじゃない。とにかく行ってみればわかるわ」 「だとしたってよ、こんな夜遅くに行く必要ないんじゃねーか?」 「夜に見たっていう話よ」 「…だったら警察呼ぼうぜ。こりゃ単なる家出なんかじゃない、事件なんだぞ。お前だって知ってるだろ」 「警察なんて、アテになんないわよ。タキオンさんたちを探すのを諦めてるんだもの」 スカーレットの態度は頑なだ。 世間の誰もが行方を捜すことを諦める中、スカーレットだけは諦められずにいる。 「……はぁーっ、しっかたねぇなあ。寮長には一緒に謝ってやっから、さっさと行こうぜ」 ウオッカは大きく嘆息しながら、スカーレットに並んで歩きだした。 「…ありがと」 ----------- 「ここね」 やがて二人は一軒の廃寺にたどり着いた。 いつからこうなっているのかも知れないほど、古く荒れた寺だった。 肝試しのスポットとしても使われることがないほどに恐ろしく、不気味な雰囲気に包まれている。 二人は荒れた参道や墓地をかき分け、本堂へと入っていった。 しかし、探せど探せどタキオンらの痕跡はおろか、虫一匹、ネズミ一匹見つかることはなかった。 まるで、生き物が存在してはいけないかのように。 「おいおい、もうだいぶ探したぜ…? 本当にこんなところにいるのかよ…」 ウオッカはかなり参っている。 もともとこういう雰囲気の場所が苦手なのに、無理をしてスカーレットに付き合っていた。 もっとも、それはスカーレットも同じだ。タキオンを探すという気迫だけで、恐怖に耐えていた。 「……ここが最後ね。タキオンさん、お願い……!」 スカーレットは祈りを込めて、最後に残った部屋の障子をがらりと開けた。 力みすぎたか、もともと壊れていた障子はその勢いで枠から外れてどこかへ飛んで行った。 「やあ。スカーレット君、よく来てくれたね」 その部屋の中から、スカーレットの一番聞きたかった声が聞こえてきた。 障子を開けるとき思い切り目を閉じていたスカーレットは、 その声に勢いよく頭を振り上げ、両目を見開いて声のした方向を見た。 「タキオンさんっ!!」 スカーレットはアグネスタキオンの顔を見るなり、涙を流して駆け寄ろうとした。 駆け寄ろうとして、その異常さに気が付いた。 「タ…タキオンさん…その、お腹…は?」 タキオンはスカーレットが愕然とした表情を作るのを見て、ことさら笑顔になった。 まるで、いたずらが成功した子供のように。 「ああ、【この子】がスカーレット君を呼んだんだよ。産まれたあと、寂しくないようにね」 「どうしたんだ、スカーレット!? うおっ、こ、これは…!?」 ウオッカがスカーレットに続いて部屋に入り、同じ反応をした。 「ウオッカ君もいたのか。ちょうどいい、これでスカーレット君をカフェの子と取り合わずに済む」 廃寺を包んでいた異様な雰囲気がより強くなる。 スカーレットは衝撃のあまり腰が抜けていた。 ウオッカはある程度正気だったが、スカーレットを置いて逃げることもできない。 「君たちと別れていた数ヵ月、なにがあったのか…これからゆっくり教えてあげよう」 --------- 翌朝。トレセン学園から、再び二名の行方不明者が出た。 (終わり)
骨の人
2022-11-08 23:09:33 +0000 UTC八つの雲の狐
2022-11-08 22:32:58 +0000 UTC眠猫
2022-11-08 14:13:31 +0000 UTC