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SS_神罰代行サービスとの出会い(おまけ、設定編)

先月書いた作品のおまけ編です。

簡単に言えば設定集です。


前編はこちら。

https://th-chara-gts.fanbox.cc/posts/4924555

後編はこちら。

https://th-chara-gts.fanbox.cc/posts/5010448


元々は箇条書きで手元にまとめていたのですが、

そのまま出すのも面白くないかなと思ったので

2人の会話風にしています。

おかげで文字数が普段のSS1本分相当になりましたが……

(約5,000字、フェチ要素は無し)


具体的には本編の最後の部分、

佐藤さんに会いに行ったときのお話です。


それでは、どうぞ。


※無断転載禁止


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「こんにちは。」


『いらっしゃいませ。

 昨日はお疲れさまでした。』



普段どおり席に案内される。

ここに来るのも3日目、正確には4回目だから慣れてきた。


今回も少し上品なホットココアを出してもらった。



『よく眠れましたか?』


「たくさん眠ったと思います。

 気が付いたら眠っていたので……

 あっ、私のベッドまで運んでいただいてありがとうございました。」


『いえいえ。

 執行者として動き回ることが初めてということも影響していると思いますが、

 しっかり体を動かすので結構な体力を消費しますよ。』


「おかげさまで、終わってから朝までぐっすりでした。

 ……そういえば、昨日が月曜日だったはずなのに

 今日もまた月曜日なのですね?」


『この世界で神罰を下した日が日曜日だったからですよ。

 リセットを行ったことで世界が日曜日の夜に戻ったんです。

 貴女の記憶や身体はリセットされていませんけどね。』


「なるほど……」



やっぱりゲームみたいなことしているなぁ。

神罰が起きる前にセーブしておいて、私が昨日執行者をやって、

私が眠っている間にそのセーブデータをロード。

世界が日曜日の夜に戻って、神罰が起きないまま一晩過ぎた、ってことらしい。


そうなると、私が神罰執行をしたこともリセットされそうだけど、

そういえばあれは異世界の出来事だから、

そっちにはこの世界のリセットの影響がないんだ。


あえて言えば、私の寿命が1日縮んだってことかな?

寿命の1日を犠牲にリセット出来るなら相当軽い。



『ちなみに、昨日の神罰執行はいかがでしたか?』


「えっと、いろいろと常識では考えられない出来事が多くて、

 ある意味貴重な体験ができたと思います。

 神罰執行者としてとんでもないことをやったのに

 そこまで実感がなくて……?」


『それで問題ないと思いますよ。

 ゲームっぽく感じさせるように工夫しているんです。

 むしろ実感がないことで罪悪感などに悩まされるおそれが減りますので?』


「たしかに、正直罪悪感はあまりなかったです。

 神罰ポイントとかいうのを200万くらい稼ぎましたけど……

 アレってやっぱり……?」


『はい、1人倒すと1ポイント増える仕組みです。

 分かっていても少しは気持ちの負担が減ったかなと?』



やっぱりそうだったんだ。

人が多そうなところを狙うとたくさん増えたからそんな気がしていた。

私は、あの世界の住人を神罰執行で200万人以上の命を奪った。


それなのに実感や罪悪感がわかない。

そもそも体が大きかったし、襲われる住人たちは見えなかったし、

200万人っていう数字自体が大きすぎて想像できないし……

さらに言えば、神罰執行を頼まれたからやっただけ。


他にもいろいろ要因はありそうだけど、

実感がわかないからこそ私は比較的まともな精神で過ごせているのかな。



『安心してください。

 あの世界の神罰代行サービス依頼人も早速リセットを依頼しています。

 近いうちにあの世界もリセットされて、

 貴女の神罰執行も無かったことになりますよ。』


「そうなんですね。

 それなら、よかった……のかな?」



やっぱり神罰代行サービスで満足する人は他の世界でも居ないのかも。

観ている瞬間はドキドキするけど、その後を考えると案外うまくいかないもんね。


それにしても、リセットが可能って考えると

神罰代行サービスの意味って何なんだろう?


私の神罰代行サービスも、私の神罰執行も、結局はリセットされる。

もちろん、この数日で私が学べたことはたくさんある。

運よく私が選ばれたということだけでは、ちょっと都合が良すぎる。


神罰代行サービスとそのリセットを繰り返すことで変わることといえば……



「ちなみに、あっちの世界をリセットするときに

 必要な神罰ポイントってどのくらいなんですか?」


『あちらの担当が私ではないので確実ではありませんが……

 最低でも280万ポイントかなと?』



280万ポイント……つまり、280万人。

私がこの世界で神罰代行を依頼したときの被害者数は約140万人。

そのときの倍。


やっぱり、だんだんと数が大きくなっている。



『リセットのためにはリセットするもの以上のエネルギーが必要でして、

 神罰を下した規模以上の神罰により、そのエネルギーを回収しているんです。

 永久機関というわけにはいかないので?』


「あっ、なるほど……」



佐藤さんたちは神さまみたいなものだからなんでもできると勝手に信じていたけど、

よくよく考えたらそんな都合のいい話はないか。


だけど、これを繰り返していると億単位になるはずだから

星ひとつじゃ足りなくなりそう?



『……まあ、今の説明はもっともらしいウソでして。』


「えっ、ウソなんですか?」


『リセット希望者にはこのように話して納得させているだけです。

 今回はそれも終わっていますし、

 ご内密にしていただけるなら、いろいろとお話しますよ?』


「わ、分かりました。

 お願いします……!」



まんまと騙されてしまった。


考えてみれば、神罰代行サービスを依頼した時点で

佐藤さんに騙されているようなものだと思う。

ここまで来たからには、本当の意味を教えてもらおう。



『先ほど言ったことがウソである理由ですが、

 正直なところ、惑星ひとつ程度のリセットは私たちの中では簡単なんです。

 リセット時に戻すタイミングをあらかじめ記録する必要がありますけどね。』


「セーブが必要、ってことですかね?

 やっぱり神さまみたいなものってなんでもできるんだ……」


『神さまみたいなもの、というのも厳密に言えばウソですね。

 貴女がイメージしやすいものとして挙げているだけなので?』


「そうなんですか?

 でも異世界になら神さまみたいな人たちが居てもおかしくないかも……」


『その認識でよろしいかなと?

 理解しやすいようにある程度たとえ話も含みますが、

 私はさまざまな世界を管理するのが仕事でして。

 そのなかでも各宇宙の人間相当の数を調整することをしています。』



ファンタジー系の本で読んだことがある気がする。


世界とか宇宙とか、そういうものがたくさん存在する上位の世界があって、

そこで過ごしたり世界を管理したりする人たちが出てくることがあるけど、

そんな感じみたい。


私たちが世界っていうと大体は地球全体の話になるけど、

佐藤さんの場合は宇宙とかそれより上のことを指すってことだよね。

宇宙より上が存在するのかは知らないけど……



『もちろん、佐藤という名前も偽名です。

 この星のこの国では馴染みのあるものなので受け入れやすいかなと?』


「たしかに、まさか地球人ではなかったとは思いませんでしたね……」


『宇宙人は実在しないというのがここの常識ですからね。

 想像力自体はとても感心してしまうものですが……』



よくよく考えてみると、宇宙人ですって言われるより

神さまみたいなものですって言われる方がなんでもできそうな気がするかも。


宇宙人は侵略者~みたいなイメージも正直あるから尚更のような?



『話がそれてしまいました。

 何故、神罰代行サービスとそのリセットを繰り返しているのか、ですよね。』


「はい、そうですね。

 リセット自体は簡単にできるのに、

 わざわざ別の世界で神罰代行サービスを使わせているんですよね。

 しかもだんだんと神罰に巻き込む人を増やし続けている……」


『巻き込む人を増やしていく、というのがポイントですよ。

 増やし続けていくとどうなるか、というのはご想像のとおりですね。』


「えっと、星ひとつでは足りなくなる?」


『その通りです。

 そしてそのまま、神罰でその星の全ての文明や星そのものを滅ぼす。

 これがひとつのゴールなんです。』



なんだかすごい話になった。

星ひとつでは足りなくなるからこのやり方は破綻する、じゃなくて

実際にはそれが目的のひとつだったなんて。


でも、どうして?



『それによって、その宇宙全体の人類相当の存在の過剰な増加を防いでいるんです。

 世界の一部だけに神罰を与えても人口増加を防ぐのは難しいので、

 その星に居る全ての人を消すことで確実に防ごう、というものですね。

 なので、星全体を神罰で滅ぼした場合は

 リセットは不可ということにしています。』


「間引き、ってことなのかな?

 宇宙を管理するっていうのはそんな感じなんですね……

 えっと、もしかして、

 運が悪いと突然この星が終わっちゃうってことですか?」


『お気の毒ですが、その通りですね。

 とはいえ、この星のように文明の栄えているところは無数にあるので、

 相当運が悪くないとそういうことにはなりませんよ。

 具体的な名前は念のため伏せますけど、

 ここは〇〇宇宙の××銀河、途中を省略して、恒星第☆☆☆号、第3衛星です。

 この星に居る人間から1人を選ぶ、というよりも確率は低いかなと?』



たしかに、銀河のなかには太陽と同じような恒星がたくさんある。

その中には私たちみたいに文明を築いている存在が居る可能性は充分あるはず。

さらには他にも宇宙があるらしい。

そうなると、相当運が悪くないと地球が突然終わることは起きなさそう?


まあ、私が今回選ばれたのは相当なことが起きたからなんだろうけど。



『……正確に言うと、

 自分たちの居る社会や星が滅んでほしいと望む人が多いほど

 選ばれやすくなりますね。』


「望む人が多いほど、ですか?」


『そうです。

 何故なら、私たちが声をかけるのは

 神罰代行サービスを依頼することが分かっている人だけだからです。

 さらに言えば、その中でもリセットを希望する人にしか声をかけません。

 星全体への神罰を行う際には

 リセットを希望するかどうかは気にしませんけどね。』


「えっと、社会とかに不満を持っていて、

 なおかつ神罰代行を依頼したことで後悔すると分かっている人に声をかける、

 ということですか?

 ……私みたいに。」



佐藤さんは小さく頷いた。


なるほど。

私は社会への不満を持っていた。

だから街ひとつくらいの神罰代行を持ちかけてきた、っていうことらしい。

絶対に依頼するから、そして絶対に後悔してリセットを希望するから。


これはもしかしたら、神さまよりもすごい存在かも。

あるいは、悪徳業者よりも恐ろしい?



『とはいえ、このペースですと少なくとも数十年は来ないと思います。

 次に来るとしても別の国になるでしょうね。

 同じ場所で何度も行っていると目をつけられるおそれがありますので?』


「なるほど……って

 こういうことまで私に話してもいいんですか?」


『大丈夫ですよ。

 誰も覚えていないタイミングで来るつもりなので。

 貴女がまだ生きているときにまた来る場合は別の国で行うつもりです。』



たしかに、こんな話を誰が信じてくれるだろう。

まだ小説やマンガの設定という方が納得できる。


それに、私が依頼者じゃなければ、

世界のリセットのときに記憶を消されるだろうから問題なさそう。


とりあえず数十年は安心?



『えっと、あえて言えば、

 別部隊がこの星をターゲットにした場合は

 その日のうちに滅ぶと思いますが……』


「別部隊……?」


『私が各宇宙の人間相当の数を調整する担当であると先ほど申し上げましたけど、

 もちろん担当者は他にも複数居まして。

 私以外は、標的を決めたら自分の手で星を滅ぼしているんです。』


「つまり……その人たちは自分たちで神罰執行者になって

 突然やってくるってことですか?」


『そうなりますね。

 神罰執行者というのは私が勝手に名付けたものですが……

 ちなみに、一応申し上げておきますけど、私もそういうことできますよ?』



勝手に間引きされる対象に選ばれて、そのまま滅ぼされる。

理不尽というかホラーというか……とんでもない話だ。

でも、人間は人間で他の動物にそれっぽいことしてる気がする……


というか、佐藤さん本当はそういうこともできるんだ。

たしかにいろいろな魔法使っていたし、おかしな話ではないけど。



『自分でやることに飽きたというのもあるのですが、

 他の人にやらせつつ、遊びになるようなものにしたいなと考えまして。

 それが今の神罰代行サービスのきっかけですね。

 神罰を与える前に同意をとることもできますし?』


「たしかに、同意したうえで神罰をお願いしましたからね。

 いきなりやってきて星が滅ぼされたらたまったものじゃないです……」


『そうでしょう?

 まあ、同意をとるのはこの星の住人のなかでも依頼者とだけなので、

 正直あんまり意味ないんですけどね?』


「あっ、たしかに……」


『とりあえず、

 各宇宙の人間相当の数を調整するために星を滅ぼす頻度はさほど多くないので、

 そこは心配されなくてもいいと思います。

 そもそも、そのときが来たら抵抗できないと思いますので……?』



苦笑いする佐藤さんを見てこちらも思わず苦笑いしてしまった。


たしかに、私が執行者として変身したあの姿でも無敵だったことを考えると、

きっとそれよりももっとすごい存在なんだと思う。



「……ちなみに、あと100年は地球をターゲットにしないように

 お願いすることはできますか?」


『うーん……

 私だけでは決められないので、相談はしてみますね?』



佐藤さんだけで決められる問題ではないと思うけど、

とりあえずお願いだけしてみた。

この世界がめちゃくちゃになるのはフィクションだけでいいかな。


ココアも飲み終わり、気になっていることも大体聞けた気がする。

昼ご飯の時間が近くなってきた。



『とりあえず、話したいことは以上ですかね?

 ここでの用は済みましたので、

 数日で店じまいして私は戻るつもりです。』


「戻るというと、別の宇宙……でしたっけ? 

 あっという間でしたけど、とっても濃厚な時間を過ごせた気がします。」


『そう言っていただけると嬉しいですね。

 こちらこそ、いろいろとお付き合いいただきありがとうございました。』



お互いに立ち上がると頭を下げて、

この数日のことを振り返りながら私は店を後にした。


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おしまい。



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