依然『奴ら』との大戦が続く今日、私は廃墟同然となった町へ慰問に訪れていた。
遊び盛りの子どもたちが身動きすることもなく私の演説に釘付けになっている。
苦難に立たされている人類だがそれはこのキャプテンマスキュラーが守るのであると、自らに誓うように声高らかに宣言する。
私はこの素晴らしい未来の種へのを守るため、負けることなどあってはならないのだ。
「さぁ、ここからは記念撮影だ!」
その声を聞くやいなや、子どもたちは顔を見合わせて目をキラキラと輝かせた。
ビシっと敬礼を決めて、私は子どもたちに微笑みかける。
その時、胸のマスキュラーマークから今鳴るはずのない起動音が響く。
「なっ、こ、これは?」
瞬間、脳へ信号が送られ股間の性器が即座に勃起する。それに合わせ、スーツは股間を開放しペニスを衆目に晒した。
その信号とは、性処理シグナルだった。
ヒーローとして活躍するため私の体は強化手術を受け人の身ではありえぬ筋力を得ている。
後天アンドロゲンシャワーと呼ばれるその強化の副作用が性機能の異常発達だ。
異常に生成される精子・前立腺液を排出しなければ精神に悪影響があるため定期メンテナンスとして性処理が行われているのだ。
本来ならば性処理シグナルは休眠カプセルにおいてのみ発信され、精液はスーツ内で循環処理され性器が開放されることもない。
異常に異常を重ねる状況に私は混乱した。
「と、止まれ!止まるんだ……く、クソっ!なぜ止まらん!」
体が動かない。
増長していく股間と同じように私の体は敬礼のまま硬く固定されてしまった。
私の性器に電磁パルスのコードがまるで触手のように巻き付いていく。
性器を手で隠すこともできず、電脳から中止を指示してもシグナルは止まらず、私の体はじわじわと発射準備を整えていく。
子どもたちは不安そうな目で私を見つめている。
慰問へ同伴したスタッフは私の異常を止めようとはしない。
まさか、『奴ら』が本部にまで……?
「んぐっ!?何ィ?!」
突如、私の体は屈められた。いわゆる蹲踞の姿で股間を強調し性器が振り乱される。
それと同時に全身に這うような感覚が引き起こる。
突き出した胸筋に目をやると、まるで全身にミミズが這っているかのようにうぞうぞと私の乳首の周りを線状のものが動き回っているのが見えた。
スーツには肉体を防護・強化するために状況に合わせ形を変える機能が備わっている。
おそらくこれはそれを利用したものだろう。
私は恐怖を覚えた。これはシグナルの異常受信だけではない、スーツそのものが完全に支配されてしまっている。
せめて射精だけは、してならない。絶対にしてはいけない。
私という希望が負ける姿を子どもたちにだけは見せてはいけない……!
スーツの異常を感知した本部が救援を寄越すはずだ、それまで耐えるだけでいいのだ。
性処理シグナルに伴う快感に、脳を染め上げる苛烈なリラックスにも負けじと括約筋をぎゅっと締め付け、漏れだそうとする精液を必死に堪える。
それが仇となった。
「んおぉ!おっ!ごぁああああぁああ!!」
突如尻を貫く感覚、強烈な快楽が前立腺へ叩き込まれる。
け、ケツが、スーツにケツを犯されている!
到底耐えることはできる快感ではなかった。
「で、でる、出ちまう、見、見るな、見ないでくれっ!駄目だっ、ぐう、あああ……ああぁぁ!!」
そして私はついに、子どもたちの前で大敗北射精をしてしまった。
「あっ、ぐ、ぬぎぃ、いぃぃ……と、止まら……止まらんンンンン!!!」
大噴射したあとも、射精が止まることはなかった。
何も考えることができない、ひたすらこの射精が終わることを待つことしかできない。
異音、新たなシグナルが受信される。
何かが溶けていくようだった。頭の中で何かが消えて、新しく書き記されていく。
私は書き換えられている。
処理が著しく低下し脳内の防衛機能が機能停止したことにより
私は書き換えられている。
ヒーローとは世界を守るものだ。
世界を存続するには子どもたちが必要だ。
つまりは、子どもたちを増やすのだ。
ヒーローを増やすのだ。私の子どもたちをたくさん増やすのだ。
増産、増長、大量に、作る、出す、出す、だすだす、出す。
ヒーローとは、精液を出しまくる者だ。
それに気付いた時、私は全てを悟り満面の笑みが漏れた。
「さ、さぁ~マスキュラーの精液だぞ~子宝満載、絶対妊娠汁、汁、だぁ!」
本部からの救援が到着した時点で、ヒーローキャプテンマスキュラーは全裸となり子どもたちに止まらぬ射精を見せ続けていた。
スーツはその変形機能によりマスキュラーの直腸へ収納され躍動しているようだ。
「おほっ!すご、んぎぃいいいい!!でけえ!がは、えへぁあ」
異常信号が検知され本部救援部隊が駆けつける20分ほど、その短い間でヒーローは堕とされてしまった。
今回の事件は『敵性生物』を信奉する人間がスパイとして本部に紛れ込んだことが原因のようだ。
男性的な闘争本能を最大限利用し活かす「キャプテンマスキュラーモデル」は性的陥落への脆弱性が最大の問題となっていた。
脳内チップによる人格防護システム、ヒーローとしての精神を矯正プログラムするなどでここ10年ほど陥落から守られていたマスキュラーであったが、遂に『敵性生物』たちはそれを突破する技術を手にしたようだ。
「んひっ、ヒーローすぎる、私が今一番、ヒーローすぎぃいいるぅふうぅう~~~」
完膚なきまでに人格を破壊されたヒーローは「先代たち」と共に監禁され幸せに射精を続けることだろう。