今回は月日の流れで髪型や、服装に変化をつけました。ただ、これは作業量が多くなるので立ち絵などはほとんど無く、おまけ程度です。
完成後、好評でしたら次回以降も、また違った形で取り入れていきたいと思います。
以下、シナリオの続きです。
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//(砂生視点)
砂生(緊張するな……)[]
いよいよ綾乃さんと二人きりでの食事会の日になった。[]
綾乃「お待たせー。 ごめんね、遅くなっちゃって」[]
砂生「い、いえっ……大丈夫ですっ……行きましょうか!」[]
綾乃「ふふっ、そうね」[]
綾乃さんはしっかりとメイクもしていて、心なしか楽しそうに見える。[]
もしかして僕との食事で、テンションが上がってくれているのだとしたら嬉しい。[]
//時間経過
アパートから電車で三駅ほど離れた場所にある、評判の良いお店に行くことになった。[]
砂生「少し遠いんですね」[]
綾乃「ん~、あんまり近い所だとご近所さんに見られちゃうかもしれないでしょ? 変に勘ぐられちゃうかもしれないしね」[]
確かにそうかもしれない。[]
綾乃さんはちゃんとそういう事も考えていてくれたんだな。[]
砂生「そうだ、いま自動車学校に通ってるんですよ」[]
綾乃「免許とるの?」[]
砂生「はい。 やっぱり運転できた方が便利かなって」[]
綾乃「そうよね~。 私も一応免許はあるんだけど、うちは車が一台だけだから、普段は夫が使ってて乗れないのよね」[]
砂生「そうなんですね……じゃあ、あの……僕が免許を取ったら、最初に東雲さんを乗せたいです」[]
勇気を振り絞って、そう誘ってみる。[]
綾乃「うふふ、ありがとう。 でも私が最初でいいの?」[]
砂生「はい、東雲さんがいいです!」[]
綾乃「じゃあ、楽しみにしてるね」[]
綾乃さんは嫌がる様子もなく、僕の助手席に乗ることを約束してくれた。[]
//時間経過
砂生「この辺りなんですか?」[]
綾乃「ええ、もうすぐよ」[]
電車を降りて少し歩き、狭い路地に差し掛かった時だった。[]
狭い道を自転車やバイクが走っていて、無意識のうちに綾乃さんを軽く抱き寄せ、自分が間に入るように位置を変えた。[]
綾乃「……」[]
すると綾乃さんが横目でじっと僕を見つめてくる。[]
砂生「な、何ですか……?」[]
綾乃「ん~? 西木くんって若いのに、なんだか手慣れてるな~って思ったの」[]
砂生「へ……!? そ、そんな事は……」[]
綾乃「いつも細かい気遣い忘れないもの。 そういう所も西木くんの叔父さんそっくりだし、モテるでしょう?」[]
綾乃さんの声には、少しだけ僕をからかうような響きがあった。[]
でもそれは嫌な感じではなくて、楽しげな雰囲気も伝わってくる。[]
砂生「いや、そんなことは本当に……ただ、叔父さんには常々女性には優しくしろって、口酸っぱく言われてましたね……」[]
綾乃「ふふ、覆井君らしいな。 凄く女の子に人気あったのよ西木くんの叔父さん」[]
砂生「そうだったんですか……あ、それでちょっと気になったんですけど……」[]
綾乃「ん? 何?」[]
前々から気になっていたことを、この際だから尋ねてみることにした。[]
砂生「東雲さんって叔父さんの事、好きだったんですよね? ちなみに、どんなところが好きだったんですか?」[]
綾乃「え~? んー……そうねぇ……覆井君って飾らないのよね、キザな所があるのに自然体に見えるって言うか……それに気持ちをまっすぐぶつけてくる所があるんだけど、それが嫌な感じじゃなかったのよね……」[]
僕が真剣に尋ねていると伝わったのか、綾乃さんも誤魔化さずに答えてくれた。[]
砂生「な、なるほど……」[]
綾乃さんはそう言うけれど、そこまで僕と似ているだろうか……?[]
綾乃「ふふ、それに爽やかで格好良かったわ。 西木くんと同じね」[]
すると綾乃さんはそう言って、優しげな微笑みを浮べた。[]
砂生{っ……}
思わずドキッとしてしまい、顔が熱くなるのを感じる。[]
砂生(ん……? じゃあ、僕も綾乃さんの好みってことなのか……?)[]
叔父さんが好みのタイプで、僕が叔父さんに似ているのなら、そういうことになる。[]
綾乃「西木くんの事も若い頃だったら絶対好きになってたと思うわ~」[]
そう思ってドキドキしていると、今度は少し冷静にさせられた。[]
砂生(じゃあ、今は違うのかな……? どうなんだろう……)[]
綾乃さんの言葉の一つ一つに、僕は一喜一憂させられる。[]
その気持ちが気になって仕方が無い。[]
でもそれを聞ける勇気もタイミングもないまま、お店に到着してしまった。[]
綾乃「ここよ。 安くて美味しいの。 よかった、まだあったのね~懐かしいわ」[]
砂生「前に来たのって、そんなに前なんですか?」[]
綾乃「そうなのよ。 夫と初めてのデートで来た時だから……ん~どれくらい前か分からないな~」[]
綾乃さんはそう言って苦笑いを浮べていた。[]
僕は必死になって、その言葉や表情から読み取れるものはないか探る。[]
今は少しでもいいから、綾乃さんの情報が欲しかった。[]
//店内
砂生「叔父さんの事はさっき聞いたんですけど、旦那さんの事はどういうところが良かったんですか?」[]
料理の注文を終えた所で、また綾乃さんに話を振ってみる。[]
綾乃「ん~? そうねぇ……ふふ、何かあの人放っておけないのよね」[]
砂生「あ、確かにそんな感じですよね」[]
頼りないというか、危なっかしいというか、とにかく心配になってしまうタイプだ。[]
綾乃「でしょ~? それで気づけばいつまにか結婚してたって感じなの。 ふふ、男女の縁って分からないものよね」[]
砂生「じゃあ、別に好みのタイプだったって訳じゃないんですか?」[]
綾乃「そうねぇ、タイプってわけではないかなぁ……あ、これ絶対夫には内緒よ?」[]
砂生「は、はい……じゃあやっぱりタイプって言うと叔父さんみたいな人なんですか?」[]
綾乃「……も、もう私の事はいいでしょう。 ほら、料理来たよ、食べましょう」[]
叔父さんのことを持ち出すと、綾乃さんは少し頬を赤らめて、強引に話を打ち切ろうとする。[]
砂生「僕は、東雲さんの事がもっと知りたいんです……」[]
すると綾乃さんは少し困ったような表情を浮べてしまった。[]
そしてそのまま出てきた料理の方へ目を向けてしまう。[]
綾乃「やっぱり美味しいな~、今度真似してみよっと……」[]
僕の声が小さくて聞き取れなかったのか、それとも誤魔化されてしまったのか。[]
綾乃さんの反応からは、どちらとも読み取れなかった。[]
砂生「あ、前に東雲さんから頂いた夕飯のお裾分け、凄く美味しかったです!」[]
綾乃「うふふ、前にメールで聞いたよ。 でもありがとう、やっぱり褒めてもらえると嬉しいな」[]
砂生「いや、やっぱり口でも伝えたくて……東雲さんって料理も上手なんですね、僕が今まで食べた料理の中一番美味しかったです!」[]
綾乃「またぁ、西木くんお世辞ばっかり言うんだもの……」[]
そう言いながらも、綾乃さんも満更でもない様子だ。[]
砂生「いや、僕は東雲さんには一度も嘘ついた事ないですよ、全部本心です!」[]
綾乃「ん~……西木くんはどうも私を買い被ってるのよね~……そんないいものじゃないよ?」[]
砂生「とんでもない! 僕は東雲さんほど優しい人に会った事ないですよ。 怒ったところなんて見たことないし」[]
綾乃「ふふふ、私だって怒る事くらいあるのよ?」[]
砂生「それはそうかもしれませんけど……でも、僕が東雲さんのおかげでどれだけ救われたか……」[]
綾乃「救われただなんて、大げさね~西木君たら」[]
砂生「本当ですよ……? 恥ずかしい話なんですけど、実は学生時代に彼女に酷い振られ方してから受験も失敗しちゃって、ずっと塞ぎ込んでたんです」[]
僕は思いきって、元カノとの別れ方について打ち明けてみた。[]
情けない男だと思われてしまう可能性もあったけれど、僕がどれだけのことを背負い、そして綾乃さんに救われたか知ってほしかった。[]
綾乃「……」[]
綾乃さんは呆れたりすることはなく、真剣な表情で聞いてくれる。[]
砂生「それで、このままじゃいけないと思って、地元を離れて新しい場所で頑張ろうと思ったんです。 でもやっぱりなかなか思うようにはいかなくて……」[]
綾乃「そうだったの……」[]
砂生「元気も出ないし、頼れる人も誰も居ないしで落ち込んでたし腐ってたんです」[]
あの頃の僕は本当に酷い状態だったと思う。[]
砂生「だけど東雲さんがいてくれて、その優しさに触れて少しずつ元気になれたんです。 もし東雲さんがいなかったらきっとあのまま……だから、本当に感謝してるんです」[]
僕は真っ直ぐに綾乃さんを見つめ、改めて感謝の気持ちを伝えた。[]
綾乃「そうだったのね……でもそれは西木くんが頑張って立ち直ったのよ? 私、本当に何もしてないもの」[]
砂生「いえ、東雲さんと話していると癒されるし元気になれるんです、僕にとっては特効薬みたいです」[]
綾乃「私なんかが特効薬って……ふふふ、でも話してくれてありがとう。 そんな話し難いこと……」[]
砂生「いえ……東雲さんにはもっと僕の事も知ってもらいたくて……」[]
綾乃「そ、そっか……そうなんだ……」[]
ちょっと気持ちをストレートに出し過ぎてしまったかもしれない。[]
何となくお互いに気恥ずかしくなって、僕も綾乃さんも頬が赤くなっていた。[]
//時間経過
そして充実した食事会を終えて店を出て、綾乃さんと二人で駅へと歩く。[]
電車に乗り、家の近くの駅で降りて、そこからまた並んで歩き出す。[]
綾乃「ふふ、今日は西木くんの事いっぱい知れて、嬉しかった」[]
砂生「僕の方こそ、東雲さんのことが知れて良かったです」[]
綾乃「西木くんが知ったのって、私の好みとかばかりじゃないの……そんなの知ってどうするの……」[]
砂生「僕は東雲さんの事なら何だって知りたいです……」[]
その中でも綾乃さんの好みは、最も重要な情報の一つだ。[]
だからそう伝わるように言ったつもりなのだが、綾乃さんは何も答えてくれない。[]
なにかを考えるように少しだけ俯き、淡々と歩いている。[]
砂生「東雲さん……?」[]
綾乃「……」[]
綾乃さんは目の前の横断歩道が見えていない様子だった。[]
信号が赤になっていて、目の前を車が通り過ぎようとしている。[]
砂生「あ、危ない!」[]
僕は咄嗟に綾乃さんの腕を引いた。[]
綾乃「へっ……? んむっ……!?」[]
少し足元がふらついた綾乃さんは、そのまま僕の腕の中に抱き締められてしまう。[]
砂生「だ、大丈夫ですか!?」[]
綾乃「ぇ……ぁ……」[]
しかし綾乃さんは僕の腕の中で、完全に硬直してしまっていた。[]
突然のことでショックが大きかったんだろうか。[]
砂生「怪我とかしてないですよね……っ……」[]
そう心配しつつ、不意にその感触が現実味を帯びてくる。[]
僕の腕の中に綾乃さんが居て、その柔らかな感触や温かさが伝わって来た。[]
砂生(あ、綾乃さん……!)[]
その感触にカッと体が熱くなり、思わず綾乃さんを抱き締めてしまう。[]
綾乃「さ、西木くん……? も、もう大丈夫よ……?」[]
すると少し驚いた様子で、綾乃さんが僕の背中を軽く叩いてきた。[]
砂生「あ……す、すいません! 車がきてたので……」[]
その感触で僕も我に返り、慌てて綾乃さんから腕を放す。[]
綾乃「わ、分かってるわ。 ありがとう……ちょっと考え事してて……ごめんね」[]
砂生「い、いえ……怪我が無くてよかったです……」[]
綾乃「……」[]
砂生「……」[]
綾乃「……そうそう! 西木くん、はいこれ」[]
一瞬、気不味くなりかけた空気を、綾乃さんが明るい声で吹き飛ばす。[]
そう言ってくれた小さな包みを開けると、オシャレなハンカチが入っていた。[]
砂生「え……これ……?」[]
綾乃「西木くん、いつもハンカチ持ってきてないでしょ? この間みたいな時もあるしプレゼントよ。 今日、誘ってくれたお礼かな」[]
砂生「そ、そんな……誘ってくれたなんて、僕が感謝する方なのに……」[]
綾乃「そんな事ないわ。 私も今日は良い気分転換になったし、凄く楽しかったもの。 だから受け取ってくれると嬉しいな」[]
砂生「……ありがとうございます! 一生大事にします!」[]
まさか綾乃さんから、こんなプレゼントまで貰えてしまうなんて。[]
しかも普段の僕の様子をちゃんと見てくれていて、何が必要なのかを考えてのことだ。[]
//時間経過
綾乃「ふふ……それじゃあね、西木くん」[]
気が付けばもうアパートの近くだった。[]
近所の目もあるし、ここで別れようということなんだろう。[]
砂生「はい、また……あ、あの……!」[]
僕は離れがたい気持ちと共に、綾乃さんへの思慕の念が溢れてきて、このまま想いを伝えたくなってしまった。[]
だけどいざとなると、言葉が上手く出てこない。[]
綾乃「ん? どうかしたの?」[]
砂生「い、いえ…………じゃあ、また……」[]
綾乃「……うん、またね」[]
綾乃さんは軽く手を振り、そのままアパートへと歩いていく。[]
僕も少しだけ離れて後に続き、そしてそれぞれの部屋へと帰った。[]
//砂生の部屋
砂生「はぁ……」[]
部屋に入った途端に溜め息が漏れてしまう。[]
相手は既婚者だし、実らない恋なのは分かっていたけれど、せめて想いだけでも伝えたかった。[]
そうしなければ、僕のこの恋心はいつまで立っても昇華できない。[]
砂生(綾乃さん……)[]
この腕に抱き締めた時、初めて綾乃さんを身近に感じた。[]
砂生「……はぁ」[]
その想いと共に貰ったハンカチを見ていると、また溜め息が漏れてしまう。[]
この恋心をどうすればいいのか、僕にはまだ分からないままだった。[]
//(綾乃視点)[]
綾乃「ふぅ……」[]
帰宅してバッグを置いたところで、ようやく肩の力が抜けた気がした。[]
それと同時に、西木くんから向けられていた好意が、本物だったんだと改めて認識する。[]
綾乃(私の好きなタイプを知りたがったり、自分の事を知って欲しがったり……本当に田浦さんの言ってた通り、私の事……)[]
今日の彼の言動、その一つ一つからそれが感じられた。[]
綾乃(それに、さっきも助けてくれたのは分かったけど……)[]
彼の思いが伝わってくるかのように、熱く抱き締められてしまった。[]
まだ若くて男性というよりは、年下の男の子という感じで見ていたのに、あんなにも逞しい体付きをしてたなんて。[]
綾乃(思わずポーっとしちゃった……)[]
可愛い後輩だと思っていたのに、実際にはしっかりとした男性の体付きだった。[]
綾乃(あの時は男らしかったな……温かくて力強くて……)[]
咄嗟にあんなふうに抱き寄せられるなんて、思ってもみなかった。[]
綾乃(……って何ときめいちゃってるの、いい歳して……一回り以上も離れた子に……)[]
親子とは言わないけれど、叔母と甥ぐらいの年の差はある。[]
そんな相手に異性を感じてしまうなんて、本当にどうかしてる。[]
綾乃(でも、あんな子が私の事を好きだなんて嘘みたいね……何がいいの……?)[]
自分で言うのもなんだけれど、そんな際立った美人という訳でもない。[]
綾乃「……」[]
ふと見下ろすと爪先が見えない程に、胸の大きさが際立っていた。[]
綾乃(む、胸だけは大きいから身体目的とか……? ってそんなわけないか。 お店にもっと若くて可愛い子もいっぱいいるし……それに西木くんはそんな子じゃないわ……失礼な事考えちゃってごめんね……)[]
一方的に色々なことを考えて、頭の中が混乱してくる。[]
綾乃(でも……あんな子に想いを寄せられたら、若い頃の私なら天にも昇る気持ちだっただろうな……覆井君そっくりな子だものね……)[]
もしもあの頃、覆井君が私に想いを寄せてくれていたら。[]
綾乃「っ……」[]
本当に何を考えてるの、私。[]
西木くんからの好意が明確になって、少し浮かれているのかもしれない。[]
//時間経過
そして次のパートの時、西木くんとシフトが重なった。[]
ただの偶然なのに、好意を意識してしまっているからなのか、そこに何か運命的なものを感じてしまう。[]
綾乃(うぅ……田浦さんがあんなこと言うから……)[]
仕事をしていても、チラチラと西木くんのことを見てしまい、何度か目が合ってしまう。[]
その度に目を逸らしてしまう自分が恥ずかしかった。[]
綾乃(あ……)[]
そして休憩の時、西木くんが手を洗っている様子が目に入る。[]
彼は私がプレゼントしたハンカチを使ってくれていて、それで手を拭いていた。[]
綾乃(使ってくれてるのね……ふふ)[]
すると西木くんの方も、私が見ていることに気付いて、はにかんだような笑みを浮べる。[]
それが可愛く思えて、気が付くと私も頬が緩んでいた。[]
綾乃「ありがとう、さっそく使ってくれてるのね」[]
砂生「こちらこそありがとうございます。 このハンカチ凄く使い心地良くって……東雲さんみたいでなんか優しい感じがします」[]
綾乃「ふふ、何言ってるの西木くんたら……」[]
頬を赤らめながらそんなことを言う西木くんが、本当に可愛らしく思えた。[]
//時間経過
そんなふうに彼のことを意識し始めると、その好意が日々の態度や行動に、分かり易いくらい表れていることにも気付く。[]
田浦さんに指摘されて初めて、それに気付くなんて私もちょっと鈍い。[]
田浦「ねえ、東雲さん」[]
綾乃「っ……は、はい……?」[]
すると休憩中、不意に田浦さんが私の横にやってきた。[]
そして耳打ちするように、こっそりと噂話をしてくる。[]
田浦「この前の休憩時間に、斉藤君が木下さんとキスしてるのを見ちゃったのよ」[]
綾乃「えっ……そ、そうなんですか……」[]
田浦「木下さんもまだ子供が小さいのに、あんな若い男の子に手を出すなんてね~」[]
綾乃「す、凄いですね……」[]
木下さんは私より少し若いパートで、斉藤君は西木くんよりは歳上の大学生だ。[]
そんな二人の浮気場面を、田浦さんは楽しそうに囁いてくる。[]
綾乃(うぅ……西木くんに聞こえてないかな……)[]
こんな話、あまり聞かせられるものでもない。[]
そう思いながら周りの様子を窺うと、西木くんが少し緊張した面持ちで、その頬を赤く染めていた。[]
綾乃(あ……)[]
田浦さんが私に体を寄せてきたせいで、そのまま西木くんへと押しやられていた。[]
噂話の方に気を取られていて気が付かなかったけれど、彼の腕が私の胸に軽く触れてしまっている。[]
たぶんそのせいで、西木くんは顔を赤くしているんだろう。[]
綾乃(や、やだ……)[]
そんな初心な反応をされてしまうと、私の方も強く意識してしまう。[]
結局、その後の田浦さんの話は、全く耳に入ってこなかった。[]
田浦「じゃあ、先に仕事に戻るわね。 ごゆっくり~」[]
たっぷりと噂話を囁いて満足したのか、田浦さんがそう言ってニヤニヤしながら仕事へ戻っていく。[]
綾乃「……」[]
砂生「……」[]
綾乃「……わ、私たちもそろそろ戻ろっか……」[]
砂生「そ、そうですね……」[]
お互いに意識してしまっているのが伝わってくる。[]
綾乃(私も意識しちゃって何だけど、ちょっとくっついただけであんな赤くなるなんて西木くんってホント可愛いなぁ……)[]
私のこの感情は、いったいどこから来ているのか。[]
それを上手く言葉に出来ない中で、砂生くんを交えた日常が過ぎていく。[]
ただ、パートと子育てに追われる忙しい毎日の中で、彼からの好意は私にとって人生に瑞々しさを与えてくれる。[]
そのせいで私は無意識のうちに、普段から少し浮かれてしまっていた。[]
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