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緋色のお楽しみ下校時間

 緋色は困っていた。学校の帰り道、怪しい雲行きのお腹を抱えながら家までの長い長い帰路を歩かなければならない。絶望的なまでに困っていた。 (お腹気持ち悪いなあ…お昼の牛乳おかわりするんじゃなかったなあ…)  実の所、最近あまり腹具合が優れなかったのだが、好物の牛乳が余っていると聞き飛びついてしまった。案の定、こうしてお腹を抱える羽目になっている現状にお昼の自分を心底恨んだ。しかし、幸いにも下しているような感じがないのが救いだろうか。 「あああうんち出る…漏れそう…//」  帰り道の唯一の信号に足止めをくらいながら、ぼそぼそとそんな事を呟いてはずくずくと主張を強める便意に下腹のあたりがきゅんとないた。これも最近の事なのだが、緋色はどうも便意に耐えたりその便意から開放される瞬間に興奮してしまうようで、ついでにとお昼からおしっこも溜め込んでいる。こうして口に出す事で余計に高まる排泄欲を楽しんでいる節がある。 「…よし、青だ」  周りに誰もいないのを確認してから、小さな声で漏れる漏れると呟きながら少し小走りでかばんを揺らしながら家を目指す。教科書が揺れて叩きつけられるがこんがこんという音に紛れて、ぷすぷすっとおならも漏れ始めている。ぱんつはもう既に何度かチビってしまったおしっこで濡れていたせいか、冷えてまとわりつく感覚が気持ち悪い。 (うんちっもうすぐうんちできるっ)  何も無いような田舎道は、もうただ一直線に走れば自然と家が見えてくる。後数メートル、後数歩、もう後一歩。 「着いたっ」  と玄関に手をかけたのも束の間、がちゃんと音がして一枚の重たい壁に道を阻まれてしまった。 「あれっあれあれっ今日お母さんお出かけだっけ」  何度引き戸に手をかけようと現実は変わらない。緋色は今朝のお母さんとの会話を思い出してみるが、お出かけと聞き下校後は一人だという事実に興奮し鍵を持って出るのをすっかり忘れていた。 「どうしよっどうしよどうしよっ!鍵っ鍵ない!え、やだっ出るっ出る出る出るっ!!!」  慌てて抑えたスカートのお尻辺りに、ごつっとした何かがあたった。それが自分のうんちだと気づくのにそう時間はかからなかっただろう。 「あっ」  むちむちむちっと硬そうなうんちが我慢した分だけ反動からか勢いよくぱんつの中へ吐き出されていく。同時に決壊したダムの如く溢れ出るおしっこが玄関の石畳に色をつけ、誤魔化しようのない証拠を生み出してしまった。  緋色は膨らみ続けるお尻に泣きそうになりながら、その場にしゃがみこんでトイレでするかのように息み始めた。それに合わせてぱんつの中身も質量を増していくが、あまりの量にずり下がって隙間から溢れ出しているが、気にせず柔らかくなっていくうんちを出し続けた。  暫くして、落ち着きを取り戻した頭が臭い立つお尻やびしょびしょの衣類をどうしようかと脳内会議を始めていると、ふと背中から影が差した。直後、ひっと小さな悲鳴が上がり緋色は恐る恐る後ろを振り向いた。 「お…お母さん…」  お出かけから帰ってきたお母さんが怪訝そうな顔で立っている。それもそうだろう。帰って来たら娘が玄関でうんちとおしっこを漏らしてしゃがみこんでいるのだ、普通では考えられない。 「緋色…あんたまた…」  必死に絞り出したような震えた声で言われ、緋色は体を強ばらせた。くる、アレがくる、と体が即座に反応した。 「次漏らしたらどうするって言ったか覚えてるわよね…」 「………はい」 「あんた、明日からおむつで登校なさい!」  よく通るお母さんの声は、きっと夕日に染まる長閑な田んぼ道を通って向こう側の家の方まで届いているんだろうな、と痒さを覚え始めた下半身から意識を逸らすようにぼんやりと考えていた。  翌日、クラス内に緋色のおむつ事情を知る者が何人かいた事は誰も知らない。


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