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202304_NinoNakano (JapaneseShortStory)

ギシギシッ…

「…ちょっ!なんでっ…!」

某マンションに住まいを構える中野家の脱衣所から、2ヶ月ぶりにまた次女の悲痛な叫びが上がる。

午後10時半、他の姉妹が入浴を終え、後片付けも込みで順番の回ってきた彼女は、自身のリラックスタイムを前に全裸で体重計に両足を乗せていた。

その光景が中野家の脱衣所で繰り返されること、今年に入ってもう3回目。

正月明けの1月とバレンタイン&ホワイトデーシーズンの過ぎた3月、そして夏を目前に控えた現在5月末日である。


「ななじゅ…よん……って、そんなこと、あり得ないわっ!」

女子高校生の平均体重から逸脱した自重を受け入れられず、お高い体重計の誤作動を信じてもう一度計測し直す。

ギシッ、ギシギシ…ピピッ

「嘘っ…そんなぁ……」

失意にまみれた声と共に脱力し、中野家次女・中野二乃はペタンと床に尻もちをつく。

元来の体重より20キロも増量した彼女の腹には、樽のように脂肪が付き、へそはしっかりと横につぶれていた。

「なんでまた太ってるのよ~!!」

ブニッブニッ…

乙女の手は何度となく贅肉の付いた腹を揉みしだき、粘土のように両手の内で弾力を見せる腹肉がやはり科学技術に間違いはなかったらしいと裏付ける。

とはいえ、半年の間に3回も減量と増量を繰り返していれば、また太ってしまった自分というのを信じたくないのも頷けよう。

何を隠そう、彼女、中野二乃はこの短期間で50kgから70kgを何度も行ったり来たりしているのである。

原因は大方検討がつく。


撮影で帰りが遅い上に、しょっちゅうお土産を持ち帰ってくる長女。

風太郎へのバレンタインチョコやその後もお菓子作りに奔走するあまり、二乃に試食という名の協力を迫ってくる三女。

スポーツに明け暮れているため、栄養補給が必要となり多くの食事を用意しなければならない四女。

そして、ただ人並外れた食欲の備え持った五女。

一人の食事を作るだけならそこまでの問題にはならなかっただろうが、五人ひとつ屋根の下に住んでいるとなれば話は別だ。

「昨日の夜食に一花のお土産のプリンを食べたから?それとも三玖の創作パン……いやいや五月に合わせてご飯を作りすぎたからかしら……わ、分からないわ…なんで私、太ってるの…!?」


この家の家事を任されている二乃にとって、この問題はいずれ直面することが運命付けられていたのかもしれない。試食や土産、各々の嗜好に合った料理を作るとなるとあまりにもこの家は食に関する誘惑が多いのである。

その結果がおよそ70kgという体重とそれに相応しいボディライン。しなやかで筋のしっかりとしていた二の腕やふくらはぎは同級生や姉妹と比べると一回り太く、夏の体育の授業をワンシーンに考えれば体操服から出た四肢は明らかに一人ぽっちゃりの域に達していよう。

おまけに胸も同様の成長を遂げており、たわわさの度合いに磨きがかかっているため、実情以上に着る服次第では太って見えるかもしれない。

加えてへそが横につぶれてたるんだ腹に、輪郭の丸くなった顔ときたら、もう誰が見ても彼女は「肥満」体型に片足を突っ込んでいる。


しかしここで終わる二乃ではない。五つ子で最も粘り強くそして諦めないのが彼女だ。現にリバウンドしてはいるものの、2回は減量に成功しているのも事実。

一度目は四葉に運動を指南してもらい、二度目は一花に女優ならではの体型管理を教わった。

今回もこれまでレクチャーされた方法に倣って…と思いながらも、だかなかなかそうはいかなかった。

「痩せないとフー君に幻滅されそうね……でも前と同じ方法じゃまたリバウンドするかも……。運動も大変だし…新しいダイエット方法を見つけるべきだわ…!となるとあとは……」

前例踏襲では痩せてもまた太るところまで同じ結果となってしまう、そう考え至った彼女は新たな減量法を模索すべく立ち上がる。

ブルンっと勢いよく揺れる腹肉。20kg分の体脂肪のいくらかが集中した腹肉は少しの動きでもプルプルと震える。

これがクラスで美人と称される女子高校生の身体なのだから恐ろしい。


リバウンドのショックからそのままの身体で脱衣所を飛び出す二乃。早足でずんずん廊下を進み各自の部屋がある二階へと階段を上る。

脚を上げる度に太ももが波打ち、それに連動して、たるんでぽっこりと膨らんだ腹はブルブルと揺れる。1か月前はダイエットに成功したと喜んでいたというのに、たった30日間でこうも激太りするほど二乃の身体は太りやすくなっていた。

コンコンッ

「入るわよ!」

姉妹の部屋の扉を勢いそのまま軽快にノックしドアノブに手を掛ける。まだ寝るには早い時刻だ。きっと中の住人も起きているのだろう。

「んぐっ…!?な、何ですか二乃!こんな時間に…」

「ちょっと、五月、夕食にあんだけ食べてまたお菓子食べてるの?」

「い、いえ…!これはですね…勉強で脳に糖分が不足したのでその補給をと…」

二乃によって開けられたドアの先には整理整頓の行き届いた部屋と、そこでポテトチップスの袋を抱えては既にいくらか頬張った後の五月の姿があった。

「ま、まあいいわ!それより…あんた、いったいどうやって体型キープしてるの?」

単刀直入に切り出される質問に五月自身、口の中の食べ物を呑み込んだ後に回答をなんとか捻り出す。

「キープ…と言われても私は特に…」

「う、嘘よ!毎日私や三玖の数倍は食べてるのに、それでも肉まんお化けレベルで済んでるんだから、何かしてるはず…!」

「に、肉まん…!急に部屋に押し入ってきたかと思えばいきなり罵倒されるなんて…!」

体型管理など特に意識していないという五月と、急ぎで新たな減量法を知りたい二乃の間に恒例の火花が飛ぶ。これでは仲が良いのか悪いのか分からない。

だが、今回ばかりは二乃の切り返しで衝突は免れた。

「いいから見なさい!…な、なんであんたより少食な私がこんな、こんなに太って、あんたは変わらないでいられるのよ…!」


ブヨッ…ブニュンッ

裸体のまま押し入った室内で、五月を前に顔を赤らめ、羞恥に苛まれながら己の駄肉を揉む。

五月を肉まんお化けと呼ぶのなら、自身の身体はその数倍、スーパー肉まんお化けとでも呼べるのではないか。

そんなことを思いながら、姉妹の目の前で肥えた身体の惨めさを訴える。

「二、乃……」

「なによ…」

「ふ、太りすぎでは…」

「そんなの分かってるわよ!」

深刻そうな目で見たかと思えばうっすらと笑みを溢す五月に、二乃が顔を真っ赤に染めたまま言い返す。その語気からしても二乃の痩せたい気持ちは本物らしい。

愛しの風太郎にこれ以上太った身体を見られたら堪ったものではないからだろう。

一方、五月もただ嘲笑するだけの妹ではない。

「す、すみません…ですが二乃。さっき自身のことを『少食』と言っていましたが、少なくとも私の目から見て最近の二乃はお世辞にも少食とは……」

「えっ、わ、私は少食よ!間違いないわ!でないと今頃好き放題食べてブックブクになってる……はず…」

「はず……ですよね…?ちなみに今朝は何を食べたのですか?」

少食と自負した次女の顔が目線を自身の腹へと下ろすに連れて青ざめていく。それと同時に、五月の助けを借りながら今日一日の食事内容を思い出すよう試みる。

「朝は…寝起きにハニートースト…」

「寝起きに?その後他に何か食べたのですか…?」

「あとは三玖のパンの試食と…一花の持って帰ってきたロケのお弁当……」

「他にはないのですか?」

「……デザートにプリン」

「た、食べ過ぎですっ!!」

「あんたには言われたくないわっ!」

脳裏に浮んでは言語化されていく二乃の今朝の朝食内容を聞いて驚く五月に、すかさずツッコミを返すが、実際にその量は他人の事をとやかく言えない。

流石の五月でも朝からそこまでは食べないはずだ。

「ま、まぁ…ちょっと食欲がコントロールできていなかったのは確かね……でも、なんで五月、あんたはいつも私と同じくらいバクバク食べてるのに体型キープできてるのよ!それを聞きにきたのよ、私は!」

「んんっ……なんでと言われましても…昔からその、よく食べていたので…身体が適応しているからとしか……。ダイエットなら四葉か一花に聞くのが適切ではないですか…?それにまだ私よりも三玖の方が…」

眉間にシワを寄せながら、焦った様子で問い詰めてくる姉に対して自身の見解を述べる五月。

確かに彼女は昔から姉妹の中でも目立って大食いだった。それゆえに体内の基準が高い度合いで適応している為に、普段が少食だった人に比べて常に大食いであっても特段太るということはなかった、というのが彼女の主張だ。

それに、四葉や一花に相談すべきだというのもまたもっともらしい。

「…聞けないわよ、前にせっかくダイエットの方法を教えてもらったのにそれでまたリバウンドするような私が、もう一度減量に協力してほしいなんて頼むのは失礼だわ…。それに、三玖は…あの子は毎日料理の勉強を頑張ってる。昨日も一昨日もずっと寝る時間を削って…。だから今日くらい休ませてあげたいのよ」

既にダイエットに付き合わせている手前、「太ったからまた手伝って」とは頼みにくいからこそ、最後の頼みで二乃は五月を訪ねてきているのだった。

むちむちパンパンに肉の付いたぽっちゃりボディをなんとかしなければ、姉妹に格好もつかないし彼にも顔向けできない。最も恐ろしいのは、彼にデブだと冷めた目で見られることだ。

「だから…お願い五月。なんでもいいからあんたの知ってる良い減量法を教えて!も、もう肉まんお化けなんて呼ばないから…」

今生の頼みと言わんばかりの勢いで目を瞑り手を合わせる姉の姿を見て、悩み抜いた結果五月は一つの提案をする。

だがそれはとてもリスクの高いもので…。

「わ、分かりました…。一つ思い当たるものがあるのですが…」

「何!?」

「断食…と言いますか、食事制限がいいかと…」

「食事制限ね……い、いいわ!四葉に教わった運動は少しハードだったし一花の使っていたサプリメントは値段が高過ぎたから……我慢すればいいのね!」

「ですが二乃、これには…!」

「いいの!夏までに痩せなきゃフー君と海に行けないでしょ!こんな身体のまま行ったら水着にお肉が乗っちゃうわ!」

ブルッ…たぷん

ぽっこり膨らんだ腹肉を両手で少し持ち上げて手を離せば、重力に勝てるはずもなく二乃の贅肉はたぷんと落下しバウンドする。これでは水着に腹肉が乗るのは避けられない。

今の二乃にとって、夏までに痩せることが最重要ミッションとなっていた。

「我慢すればいいんでしょ、それくらいできるわ!夏までに絶対…痩せてやるんだから!!」

五月の危惧している状況を聞くことなく、二乃は闘志を燃やす。食べたい気持ちや目の前の食べ物を我慢すればいいだけの話。そう考え、今まで無意識の内に食べ過ぎていた自分の過ちを省みて決心する。

目標は7月までの1ヶ月で20kgの減量。それさえクリアできれば風太郎と海やプールに行くことも叶うだろう。

こうして彼女の三度目のダイエットが始まるのだった。



§§§



あれから2か月。本気で減量に取り組み、かつ代謝の良い若い年代の者であれば20kgのダイエットは成功していてもいい頃合いだろう。

太陽は燦燦と砂浜を照らし、その砂の上を水着を纏った男女の足跡が埋め尽くす。気温は30度を余裕で超え、絶好の海水浴日和だ。

「おいお前ら、二乃を置いてきて本当によかったのか?てっきりいつも五人揃ってるお前らなら『二乃がいないなら行きませんっ!』とでも四葉か五月あたりが言い出すもんだと思ってたんだが」

「そ、そうでしょうか…あはは…」

「た、確かに今の五月ちゃんならそう言いそうだね~…」

両手に花とはまさにこのことだと、男子グループのみで海に来ている高校生や大学生の目には映るであろう風太郎、一花、五月の3人。

分かりやすい苦笑いと誤魔化しを含んだ様子の姉妹2人は、未だ海に入ることなく、残り3人の姉妹の到着を待っていた。

というのも、三玖と四葉は、6月半ばから家に籠りきりで人前に出ようとしない二乃をいい加減外に連れ出そうと、いや、風太郎の前に出させようとしているのだ。


「っていうか、二乃のやつ、最近俺のこと避けてないか?勉強はしてるようだが学校にも来ないし、挙句家庭教師中だってのに家に行ったら部屋から出てきやしねぇ、大丈夫か…?」

「う、う~ん、大丈夫、だと思うんだけどね…(やっぱりこれ以上は隠しきれないよ二乃…勇気を出してもうありのままをフータロー君に見せないと…)」

「きっと食べ過ぎでお腹を壊してるのかと…!(うう…二乃、もう無理ですぅ…!)」

「食べ過ぎって…お前じゃあるまいしアイツに限ってそんなわけあるかっ!」

今にも帰って二乃の顔を一目見ようと言い出さんばかりの落ち着かない様子で風太郎の心はここにあらず。それをなんとかはぐらかしながら引き留めようともがく長女と五女の姿を、件の彼女らは海の家の裏から眺めていた。

「二乃、もう隠しきれないよ…上杉さんだって今の二乃のこと、受け入れてくれるって!だからね…行こ?」

日向へどうにか自主的に出るよう説得する四葉。だがその声の届く先の者はというと乗り気ではないらしい。

「ふぅ…い、イヤよ!フー君の前には出たくないわ!だって…だって、さっきすれ違った人にも私、笑われたもの…」

息も絶え絶えで決して彼の前に姿を見せようとはしない、その声の主はこのゴタゴタの渦中にいる二乃その人である。

だが声を震わせながら頑なに意志を曲げようとしない彼女の隣で、寄り添う人がもう一人。

「別に笑いたい人には笑わせておけばいい。フータローは絶対に二乃を見ても笑わないから」

三玖もまた、二乃の存在を誤魔化し続けながら風太郎と2か月弱過ごしてきた現状に限界を感じていた。このままでは事態はどんどんややこしくなり、またどんどん二乃が姿を見せづらくなる一方だと分かっているからだ。

「ね、行こう二乃、ほら…」

なんとか一歩を踏み出させようと三玖は二乃の腕に触れ、持ち上げようとする。

だがその行為は既に物理的な形で叶わぬものとなっていた。

「うっ、重っ…」

「い、今「重い」って思ったでしょ!そ、そうよ!惨めにブクブク太って肉団子みたいになった私の腕はブヨブヨで、皆には重いに決まってるわ!デブな私なんて…やっぱりこんな身体、彼には見せられないわ!痩せては太っての繰り返し…。今度だって結局痩せてもご飯を我慢できなくなって…こんなに…」


そう言って目に涙を浮かべつつある二乃の身体は、2か月前の減量決心時からは比べ物にならないほど膨れ上がり、全身くまなくついた贅肉が段を成すほどの肥満体へと変貌していた。

水着が身体中の肉に食い込む中、二の腕に大きくついた脂肪の重さを体感した三玖。彼女の口から零れた一言を巨体の主は聞き漏らさなかった。

水着から溢れそうな巨乳もさることながら、ダイエット番組で見かける肥満女性の更に上をいくほど太った二乃の身体で最も特徴的なのはエプロンのように垂れ下がった腹肉。

70kgの時点で腹に脂肪が付きやすいようだった二乃の体質はここにきても変わることなく、200kgオーバーの超肥満体となって一層目につくほど、腹の脂肪は大きく膨らみこびりついている。歩く度に波打ち、その度重力による負荷を受け、彼女自身の息を荒くするだろう。

おまけに顔まで丸くなり、尻や太ももにも肉がついて全体的に丸いシルエットに近づいたためか、着ぐるみにも見えてしまいそうな身体となっている。

これでは大好きな人の前に出たくないという気持ちにもなろう。

だが、当の彼女を取り巻く姉妹たちはそうは思っていないようだった。

「大丈夫だよ二乃!昔と変わったとしても、上杉さんなら気にしないって!」

「ねぇ二乃。ずっとフータローと海に行きたかったんでしょ。皆知ってるから。…それとも、フータローのこと、私が奪っちゃっても、いいの…?」


視線を妹に向ければ、二人とも攻めた水着。特に三玖の方はいかにも彼を落とす気満々だと言わんばかりに谷間をガッツリ見えるようにしながら食い込みのキツい少しだけサイズの小さな水着でバストの偉大さを主張している。

このままでは、いずれ風太郎が他の姉妹に取られるのは必至…。

そう思うと、自然に一歩が前に出ていた。

「それはもっとイヤ!フー君を振り向かせるのは私…!だ、だから……行くわ!怖いけど、彼と海を…楽しみたいもの…!」

案の定、脚を上げて一歩前に進むたびに、極太の太ももでバウンドした下っ腹から腹部全体、大きな二段腹に波が伝わり、皮下脂肪の山がぶるんっぶるんっ、と波打つ。

まるで二乃本人ではなく、まもなく200cmに達しそうなウエストの巨腹の方が本体に見えそうなほど、でかい腹は上下左右に揺れ、二乃の呼吸を乱れさせる。

「ふぅ…!んふぅ、ほふぅ…!フー、君…、んふぅ…」

頬肉がたっぷりと付いたことで呼吸をすると同時に顔に肉が揺れ、苦しさが増していく。脇の下や胸の下、腹肉で覆われた脚の付け根や局部に濃厚な汗が溜まっていき、ジメジメとした湿度が身体を包む。巨体に流れる汗は肉汁のよう。きっとここが屋外でなく室内だったなら、女性の汗の匂いとは到底思い難いほど、濃く、そしてじんわりと鼻を衝くような汗臭を放って彼を驚かせたことだろう。

「んぶふぅ…あるくの…ぐるし…ふぅ、こんなに、きつい、なんて…んほふぅ…!」

ブルンッ、だぽんっ!どぷっ…

息が上がり、顎が上を向いてまるでまもなくゴールを迎えそうなマラソンランナーかのような額に汗を浮かべた表情でこの数メートルの距離を歩く。

砂浜ということもあって足場はそこまで安定しているわけでもなく、足裏に伝わる熱が高まるにつれて体力も底に近づき、やがて身体は左右に揺れながら一歩ずつゆっくり踏み出すようになっていく。

『ねぇあの人、ヤバくない?』

『うっわ、すっげぇ身体…』

『あの身体で水着ってマジかよ…』

どこの誰か知らない人間の、奇妙なものを見るかのような懐疑的な視線と一言がやたら存在感を放つ。声は鼓膜の内側で反響し一向に離れない。だが汗が入りそうな中で閉じていた目をうっすら開ければ、あの三玖と四葉が周りに圧を向けている。これで多少は二乃の体型に驚き集まったヤジどもを黙らせているのだろう。

「んぼふぅ…ふぅ…ありがと…、んふぅ…」

乱れた息の中、小声で二乃はせめてもの礼を言う。こういう姉妹だからこそ、ここまでいろんな苦境を乗り越えられたのかもしれない。


風太郎の姿がうっすら視界に映る。周りを見回す彼に自身の姿が見られたら、どんな反応をするのだろうか。断食の結果、一時は痩せたものの大きすぎる反動による食欲の暴走と、運動をしなかったために衰えた筋肉と代謝の影響で100kg以上もリバウンドした身体。自制が効かなくなり好きなだけ食べ物を胃に詰め込むようになっては、70kgを再び超えた頃から彼に会おうとしなくなった身体。それがもうすぐ彼に見られる。

彼女は実際のところ、まだ怖いと感じていた。嫌われるのではないか、幻滅されるのではないか、距離を置かれるのではないか…。太ったことで失われた自信と、代わりに得てしまった彼女らしくない卑屈さがより恐怖を掻き立てる。

一方で、そうなっても自業自得だ。誰に太らされたわけでもない。自分の意志で動き、その結果太ってしまったのだから。

だが彼女は重い身体を動かし続ける。他の姉妹よりも、この海水浴場の誰よりもくっきりとした足跡をまだ刻み続ける。「上杉さんだって今の二乃のこと、受け入れてくれるって!」「フータローは絶対に二乃を見ても笑わないから」と言った三女と四女。

(信じるわ…あんたたちの言葉…)

10年以上共に過ごしてきた姉妹の言葉が勇気をくれる。きっと彼なら、今の自分でも…。


「ふぅ…んふぅ…ほふぅ…!フー、君っ…!おまた、せ…!ふぅ…!」

上がった息を整える間のなく、吐息交じりのまま声を振り絞り彼を呼ぶ。思いの外、声量が出た。首に肉がついたせいか声は太くなっているがそれはどうでもいい。ただ彼を振り向かせるためだけに発した。

「んっ、二乃か、遅いぞ!というかお前、この1,2か月どうして……は…?」

映ってしまった。彼の視界に。みっともなく垂れた巨大な腹肉がこうも縦横無尽に揺れ動き、波打ちながら二段の肉段を強く主張している姿が。

全身びっしりと付いた贅肉で太ももや背中、二の腕にまで段が作られ、全身汗まみれで肉を揺らしながら歩み寄ってきたこの巨躯が。

きっと今まで見たことないほどの肥満体だ。二乃の内心はこの時もなお不安定だった。ちゃんとした告白の場面でもないのに脈拍数はやたらと多い。これは太りすぎた上に運動し慣れていないからだで動いたからか?それとも…。


「ふ、フー君、ごめん、なさい。…んふぅ、かなり、遅れちゃったわ…ね……はふぅ…」

開口一番に頭を下げる。今日もそうだが2か月弱も彼と顔も合わせようとせず、意図的に避けていた事がどうしても誤りたかったのだ。

「いや、そんなことは別にいいんだが、おまっ、その身体…!何があったんだ!?」

ざわつく周囲の声が大きくなる。きっと「あれって、あの女の彼氏か!?」「っていうか周りにいる女とあの子、顔似てない?」なんて言ってるのだろう。鬱陶しく思う。

だがそんな中でも彼の声だけははっきり聞こえる。そして彼の横でずっと彼女を待ってくれていた長女と末っ子の静かなエールが届いた気が二乃にはした。

「…え、えっと…ふぅ…実は、ダイエットに失敗して……だいぶ太っちゃったの…。はふぅ…んぅ…それで、ずっとフー君に会うのが怖くて…こんなに太った私を見たら、フー君、幻滅しちゃうかもって…」

振り絞った声はなんとも普段の彼女とは対照的に弱弱しくあった。だが彼にはちゃんと届いている。

「何言ってんだ!」

「ご、ごめんなさい…!こんなに太っちゃって…」

反射的に謝ってしまう。だが彼女のその謝罪は不要なものだった。

「違う、そうじゃない!多少驚きはしたが…俺が人を見た目で判断するように見えるか!?」

「えっ…」

「ずっと心配してたんだぞ!高校最後の1年、卒業まであと少しだっていうのに全然顔も見せないから、お前に何かあったのかと…!」

下げた頭を上げようにも目から零れる汗が彼に見られるのを拒む。まだ顔を上げたくない。もう少し待ってからだと。

「じゃ、じゃあフー君は…」

「ああ、別に二乃、お前がどんな見かけになろうと一向に構わん。髪が長いか短いかと同じくらいどうでもいい!あんまり俺を見くびるな!…それと、あまり自分を卑下するな。分かったなら、さっさと海、楽しむぞ」

ずずっと鼻を啜り、顔を上げる。気づけば呼吸もだいぶ落ち着き始めていた。

顔を赤らめて照れくさそうにする彼の横で、姉妹4人が二乃に笑顔を向けている。

そういえば彼女らの安心したような顔を見るのはいつぶりだっただろうか。

そう考えていると、次第に心配や不安は消え去り、少しだけ気持ちが前向きになる。…と同時に、一つの違和感が彼女の視界に齎された。

「ね、ねぇ…フー君…それ…何…」

「はぁ?な、何のことだ…?」

吸い込まれるようにして違和感の正体へと二乃の視線が向けられる。顔を上げた際に目の前をよぎった一物。彼の履いた水着が明らかに内部から押し上げられているようなそのフォルム。

それは普段目にするようなものでもなく、特別感のあるもののように思えた。

「あらら…ちょっとフータロー君…それはお姉さんも…びっくりだな…」

「う、上杉くん!?何してるんですか…!は、はやく元に…」

「フータローなんてもう知らない。でも…あとで話があるから覚悟して」

「上杉さん!?そ、そんなに…おっきかったんですかぁ!?(チラッ)」

先程までそんなこともなかったはずのそれが、二乃を目の前にして突如反応していた。間違いない。そしてその場にいる誰もが「あ、そういうことね」と内心納得した。彼一人ともう一人、先ほどまで自身の肥満体が受け入れられないものだと信じ込んでいた彼女の計二人を除いて。

「これは…!違う!違うんだお前ら!お、俺は…!」

「ふふっ…」

自身のそれの変化に気づき、一気に焦り始めた風太郎とは反対に、二乃はくすりと笑みを浮かべる。

「二乃!お前も見るな!というか笑うな…!」

ぶにっ、ぶるんっ、ブヨッどぷんっ!

「何ぃ?フー君、私の身体、好き、なの…?」

「うっ…!」

形勢逆転、とはまた違うような、先ほどまで乙女チックに弱っていた様子とは打って変わって、今度はまるで自分が優位に立ったような笑みと口調で二乃が迫る。口はいくらでも嘘をつけるが、身体は嘘をつかない。一歩踏みよれば彼の目は泳ぎ、太い指とパンパンに膨らんだ手で大きな二段腹を掴んでわざと揺らせば、彼の目線は一瞬にして二乃の巨腹へと向く。

間違いない、風太郎の嗜好は明らかに二乃の豊満な爆裂ボディへと吸い寄せられていた。

正直二乃にとって、悔しそうな三玖の顔や一花の表情が目に入ると申し訳なさが募っていく。だが勝負はいつも、思いがけないことであっても公平に…。

「フー君、耳、貸して」

「な、なんだよ…!悪ふざけなら俺は…」

「ありがと、大好きよ。いっぱい遊ぼうね…!」

しぶしぶ風太郎が顔を寄せると、鼻息がかかりそうな距離で彼女はささやく。

彼女の攻めはここから始まった。

この日、海水浴場でもっとも大きい身体で、もっとも楽しんでいた少女が一人。彼女にとって人生が変わった日がいつかと言えば、今日を挙げることだろう。

それと…なぜかこの日を境に若者の内でふくよかな女性が好みだという男性が増えたとかなんとか…。


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中野二乃

Height: 159.4cm

Weight: 200.3kg

B: 191.9

W: 194.3

H: 195.0

ーーーーーーーーー




§§§



時は流れ上杉風太郎、大学1年の9月某平日。

基本的に世の中の風潮としては夏休みというと8月末までというイメージが強いが、大学生の夏休みはその限りではない。世の中の中高生が新学期を迎えても、かの有名な都内の某大学に通う風太郎は未だ休暇の最中だった。

とはいえ、この日の彼は暇をもて余してなどいない。普段からバイトや勉学に励んではいるが、今日はまたそれらとは違った予定が、神奈川の海水浴場で詰まっている。

その予定のために、移動費や娯楽費として出費が増えるからという理由でバイトに熱心だったのかもしれない。

照りつける陽に1年前の海を思い出す。

今日は高校卒業以来、遠距離恋愛となっていた二乃とのビーチデートの約束をしていた。


(にしても二乃のやつ、久しぶりに会ったらあんなに……)

妙にソワソワした様子の風太郎はちょうど1年前と同じように先に浜辺で彼女を待っていた。違う点といえば、彼の胸の高鳴りが心配によるものではなく、彼女の水着姿を想像してのものだという点くらいか。

と、待つこと数分の内に彼女は着替えを済ませてやってきた。


ズシッズシッ、どぷんっだぷんっ

「ぶふぅ…ほふぅ…フー君っ、待った…?」

脂っこい吐息と共に野太くなった声が彼を振り向かせる。赤みがかった髪を靡かせながらあの日と同様に水着の彼女が彼の視界に現れた。

だが彼女の身体はあの日よりも、誰が見ても分かるほど更に大きく太い。

「い、いやそんなに待ってないから平気だ!」

咄嗟に風太郎は目をそらす。身体のデカさも相まって今の二乃は水着て隠せている部分が少なすぎる。遠目に見れば全裸と大差がない。

そんな風太郎の一挙一動を彼女が見逃すはずもなかった。

「んふぅ…はふぅ…あ、あら、そう?ねぇ、ちなみに…久しぶりに見る私の水着姿、どうかしら?感想が聞きたいわ…はふぅ」

汗だくで呼吸を整えながら、感想を求める形で半ば強制的に彼の目を自分に向けさせる。

ろくに姿も見ずに「似合ってる」など言おうものなら、テキトーに言っているだろうと追求をされ後味も悪い。彼には後で二乃にいじられるごとになったとしても、ちゃんとマジマジ彼女の水着を見て意見を述べるしか選択肢はなかった。


「に、似合ってる、と思う…。可愛い。…が、いくらなんでもその…小さすぎないか…?それ……」

上から下までざっと目を通す。余りしっかり見てはまたドキドキが止まらなくなってしまう。だがそんな一瞥であっても、明らかに分かるほど、二乃の水着は身体のサイズに比べて小さかった。

「ふふっ、流石ねフー君!…すぅはぁ…わ、わざと小さいのを着てきたのよ!…1年でもっと身体、おっきくなっちゃったから…////」ぶにゅん、どぷっ…

誉めたかと思えば顔を赤く染め、二乃は自身の腹を両手で掴む。確かに去年より、いや最後に会った3月の時点から二回り以上大きく太っている。

へそを境にした二段の巨大な腹肉は上段も下段もいっそう分厚さを増しており、おそらく高校の頃の制服やワイシャツはボタンすら締まりそうにない。特大の肉が前にも横にも飛び出している。

そのデカさは、エプロンのような腹肉を彼女自身ががっしりと掴み持ち上げても未だ下の水着や太ももの付け根が見えないことからも明白だ。

それに成長、もとい肥え太ったのは腹だけではない。喋る度にたぷたぶと揺れる二重あごや頬肉、締め付けの効いた胸やより厚くなった腕の肉からも増量は伺える。

また、肉が重なりあった背中や腿は大量の汗をかいているのだろうと風太郎に推測されるほど艶やかに体表がテカっており、身体を流れる汗の雫が日の光を反射している。

去年の時点で200kg近くの体重になっていたのだから、現在の彼女はそこから何十kgと増量を重ねて、多ければ300kgの域にまで達しているのではないか。

そう彼に思わせるほどの巨躯へとその身体は化していた。


「まさかお前…!」

「そうよ、フー君をもっとドキドキさせたくてわざと太っちゃったっ//// 作ったら食べたくなっちゃうもの、仕方ないわよね!どう?私を見て興奮する?平日だし人も少ないから、正直になってもいいのよっ、フー君////」

大学に進学してからの数ヶ月はなかなか都合も合わず、メッセージアプリ上での会話や時折二乃から送られてくる自撮り写真だけでやりとりがされていたが、その裏で意図的に増量がされていたとは。いわばデブエットである。

大方、専門学校で作った料理を全て食べたり、相変わらず三玖の手伝いで試食を繰り返していたのだろう。


「そうだわ…!よいしょっと…んふぅ、んぐっ、ふぅ…こ、こういうのはどう、かしら…!」

ドスンっと下ろした巨尻を中心に、砂浜の上でなにやら寝転び動き始める二乃。体型が体型なだけあってアザラシやトドのように見えなくもないが、ぶよんぶよん、どぷんどぷんと波打ちながらぶつかり合う彼女の全身の肉が妖艶さを引き出す。

「ぜぇ…ふぅ、こ、こうで…げぷっ、ぜぇ、ぶふぅ…」

ぶよんっ!どぷっ!


「んふぅ、はふぅ…せ、セクシーに見えるわよね!く、苦しいけど…私の身体に興奮しても、いいのよ…?

思い出に、写真でも撮りましょうよ!…私のお肉で夢中にしてあ・げ・る♥️」

超肥満体ながらギリギリを攻めるセクシーポーズを決め誘惑をかます。巨体を寝かすだけでも本人にとっては息切れと大量の発汗を起こすほどの運動だというのに、二乃は一切退くことを知らない。

特徴的なほど大きく育った二段腹に比べればまだまだだが、それなりにたわわとなった巨乳でおそらく彼女の視界半分は埋められていよう。

思わずしゃがみこんで見とれている風太郎の様子を見て、二乃の表情は著しく悪魔的になっていく。

「そんなにこのお肉が好きなの…?変態ね、フー君////

じゃあ触ってみる?いいわよ、思いっきり抱きついても…////」

挑戦的な態度に風太郎も触発されそうになる。

ポージングを維持するほどの筋肉がない為、プルプルと揺れる二乃の腕。自重を支えるためにもモゾモゾと重心をずらそうともがくが、この度に全身の肉が連動して揺れ、へその形までもがぶよんぶよんと変動する。その身体は肉の塊のようだ。

サイズの小さな水着から乳輪が見え隠れする。彼女のそれをこんな機会に見ることになろうとは…。

「ふぅ…んはふぅ…、ど、どうしたのフー君、いいのよ、来なさい////」

「いや、その、見え…」

誘惑に理性で抵抗する彼と、その彼を更に誘惑する彼女。だがその綱引きもすぐに終わることとなった。

ブチブチッ…

「ん、何の音かしら…」

「お、おい二乃、お前、水着が…!」

300kg近い身体の制御と誘惑に夢中でどこから不穏な音がしたのか気づいていない二乃に、焦った様子で風太郎が告げる。だが既に手遅れだった。


ブチンッ!!!ばるるんんんっっ!

「きゃぁ!なんでっ!?うぐっ、見ちゃダメっ!!」

千切らそうになっている紐を押さえようと駆けよう風太郎の脚が間に合うはずもなく、200cmを優に超えるバストが拘束から解放されると瞬時にボンッと膨らみ、布地を飛ばして局部を顕にする。

風太郎の瞳にばっちりと映ったそれは立派なもので、おそらく彼が生涯忘れることはないだろう。瞬時に羞恥心のまま分厚い手のひらで打ち付けられた二乃からのビンタも共に。



§§§



揺れる電車内、日焼けで火照った身体と昼食を済ませたばかりの胃袋が睡魔を呼び寄せる。混んでいない時間帯というのもあって、車内は例のカップルの2人きり。

その雰囲気は当然ながらいかがわしさに包まれていた。

「んぅ…げぷっ、ふぅ…フー君、起きてる…?」

「ん、何だ?」

苦しそうに息を吐きながら横に座って目を閉じていた彼に声をかけると、すぐさま返答がある。大方、昼御飯をたらふく平らげてでっぷりと膨らんだ彼女の腹を見るとムラムラするから見ないようにしていたのだろう。

だが、そんな満腹状態の彼女から放たれるげっぷを聞くだけでも心が昂りをみせる。

「ぶふぅ…もうお腹いっぱぁい……見て、このお腹……こんなに膨らんで……パンパンっ♥️」

クリームパンのようなむちむちの手で自身の腹を布越しに撫で回す二乃を横目で眺める。皮下脂肪がたっぷりとついてブヨブヨだった二段腹が、風太郎の奢りで食べ歩きやローカルフードを堪能した結果、妊婦も顔負けなほどどっぷりと膨らみ前に迫り出した太鼓腹に近い状態にまでなっている。

この中に詰め込まれた栄養が全て贅肉に変わったらどうなってしまうのか。そう彼が思っていると彼女からまた一声発せられる。

「んぶふぅ……はぁふぅ……ねえフー君…、お腹…撫でて…♥️」

「なっ!そんなこと…」

「げぷっ、ここには私たちしかいないし、お腹もいっぱいで苦しいから……ぐぷっ、お願い♥️」

頬を赤らめながら周りを見回すが乗客は自分達だけ。中間車両のため車掌の目もない。逃げる理由も逃げ場もないとはこの事だ。一線を越えない覚悟だけして、彼はパンパンに膨らんだ彼女に巨大な腹肉に手をついた。


ブヨっ、ぶにゅん…

服を通しても分かる皮下脂肪の弾力と、それに矛盾するかのように触っただけで伝わる胃袋の膨らんでいる感触。重たいゴムボールに触れているようでいて、そうでない手触り。

ぶふぅ…ほふぅ…と荒い彼女の息と共に、巨腹は一層膨らんだり少し萎んだりを繰り返す。本当にこれが二乃の腹なのだ。

そのまま優しく撫でる。

「ぶふぅ…きもちぃ…ありがと、フーく…んっ、げふぅぅぅっ……んはぁ、でちゃった♥️」

300kgの肥満体から放たれる特大のげっぷが車内に響き渡る。本当に他人がこの場に居なくて良かった。

げっぷと同時に大きく揺れる腹肉と鼻をさす豚骨の匂いが風太郎の理性を容赦なくかき乱す。

「ふぅ…次は、録音しなきゃね…フー君用にっ…」

恥ずかしさを笑みで隠しながらわざとらしく彼女は告げ、鞄からスマートフォンを取り出し録音アプリを起動する。

下半身に血流がよく巡っていくのを直に感じながら風太郎は何とか耐えるしかなかった。

「ぶふぅ…んっ/////はぁ…ぶはぁ……んんぅ、でそうっ……♥️」

瞼を閉じて口を開き、パンパンに丸くなった顔の横にスマートフォンを添えて僅かながら声を発する。

ガタンッ!!

列車の揺れと同時に限界に達した。

「んっ♥️……げぷぅぅぅぅぅっ…♥️」

超肥満体の内側からこみ上げたものが、腹を揺らし胸を揺らし、喉を揺らし頬を揺らして野太い音と共に放出される。

車内広がる轟音と二乃の匂い。熱気もまた二人しかいない車内にじんわりと流れる。

「ぶふぅ…んっ、ふぅ…後で送ってあげるわね、フー君♥️」

全身汗だくかつ、腹を膨らませた彼女の笑みに風太郎もまた疲労感と幸福感に覆われた。

たった5秒だがげっぷだけで埋め尽くされたその短い録音が、彼に保存されて何十回、何百回と後に再生されたのかは、誰も知らない。



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中野二乃

Height: 159.4cm →161.2cm 

Weight: 200.3kg → 297.6kg (656lB)

B: 191.9 → 239.4

W: 194.3 → 269.2

H: 195.0 → 250.1

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