最近の絵について悩んでいたことがあった。
それは一言で言うと「目の止まらなさ」。
絵が完成形に向かうにつれて段々とどこを見ればいいかわからない絵になっていく気がする……と思っていたし、実際ぱっと見でどこが主役か分からない絵が多かったハズ(自分が思っているよりもちゃんと主役が見えている絵が描けていたなら幸いだが)。
これには、まあそもそも構図にキャラの全身を入れがちとか、ポーズの単調さとかそういった要因もあるにせよ、似たような全身像、ポーズで自分の絵よりもキャラに目がいく絵が多くあるので一番の理由はそこじゃないな……と最近気づいた。
そうして、導き出した答えが「視線誘導」である。
別に今までも意識していなかった訳ではない。背景を薄暗くしてキャラに目がいくようにしたり、背景の彩度を落としてキャラを目立たせてみたりなどを実施してみたりした。
しかし結果は思ったようにいかなかった。
その理由が今ならわかる。
今回、思いつく限りの視線誘導を施してみて、気付いたことがあるからだ。
それは「視線誘導は複数を意図的に活用しないと、視線誘導の相殺が起きて意味がなくなってしまう」ということ。
この記事は、同じような悩みを持つ人、そして何より自分が忘れないための視線誘導に関する復習と確認のための記事である。
なお、私自身も勉強中の身であるため間違っている部分や自己解釈が強い部分もあるはずなので、あくまで参考の一つとして留めておいてほしい。
最終的に楽しく描ければよかろうなのだ。
まず今回描いた『メルブラ』のシオン。この絵に用いた視線誘導は全部で5つ。
①描き込み量の疎密
②彩度
③明度
④コントラスト
⑤視線の移動
これらを順に説明する。
⓪前提
視線誘導の話の前に前提として「どこに視線を誘導するか」という認識が大事。
早い話、視線の誘導先がその絵の「主役」である。
今回はメインの主役にお尻、サブの主役に顔……としたいので
お尻>顔>キャラのシルエット>その他
となるように視線誘導をした。
①描き込み量の疎密
例えば、
こういう規則正しい丸の集合があるとする。
これが、
こうなっていたり
こうなっていたりすると、周りより「より過密」だったり、「より過疎」な部分に目がいきがちになってしまうことを利用した視線誘導。
これを使って、
こうなるように視線誘導をする。
何も着ていない裸の状態の場合、服の皺や描き込みなどで「より過密」にすることで視線誘導することは難しいので
背景のシーツの皺を描き込むことでキャラのシルエットを「より過疎」にして視線誘導した。
また、髪の毛も髪の毛自体が目立つよりも顔が目立ってほしいので描き込みをしてより描き込みがシンプルな顔が目立つようにした。
シーツの皺を少なくしてみると、大きな画像ではそこまで変化を感じないがサムネイルで見たときではやはり皺が多い方がキャラのシルエットが分かりやすいように感じる。
②彩度
人間の目は彩度が低いものよりも彩度が高いものに目がいくことを利用した視線誘導。
これも先ほどと同じくキャラのシルエットを目立たせるために使った。
キャラの彩度が背景と同じだったり
背景の彩度がキャラと同じだったりすると、後述する「明度」や「コントラスト」の視線誘導のお陰でお尻は強調されたままだがキャラのシルエットや顔は印象がぼやけてしまう。
今回キャラの髪の色が発色のいい色だったので、髪の色は特に何もせず顔を目立たせるアクセントカラーとして使った。逆に帽子は目立ってほしくないので背景のシーツを帽子と同系色にして馴染ませることで存在をちょっとぼかした。
なお、補足として
こういった状況では彩度が低いほうに目がいくが、これはどちらかというと①の視線誘導が働いているからそう見えるのであって、
最初はチラッと彩度の低い方に目がいくが、段々彩度の高い周りの赤い点に目が移ってしまう。
そうすると今度はまた「より過疎な」彩度の低い赤い点に目がいき……を繰り返してしまって「どこを見ればいいかわからない」という状態になる。
これが上述した「視線誘導の相殺」という状態。
試しに彩度をひっくり返してみると
「疎密の視線誘導」「彩度の視線誘導」の二つが彩度の高い赤い点をにばっちり誘導してくれるので、視界がチラチラせず彩度の赤い点に集中できると思う。
③明度
明度の低いものよりも明度の高いもののほうに目がいく、という視線誘導。
ここからはよりお尻を強調して視線がいくようにしたいので
このようにして明度の差をつけた。キャラのシルエットはぼやけてほしくないのでキャラよりも背景は明度を下げつつ、キャラの中でもお尻を一際明るくすることで注目度に順序がついたと思う。
当初はいつもの癖で画面奥に行くほどグラデーションで暗くなっていくようにしていたのだが、
比較でみるとわかりやすいが、お尻は目立つ一方でキャラのシルエットはわかりづらくなってしまった。
これは意図に反するし、誘導が過剰だなと思ったのでやめた。
明度を統一してみると、キャラのシルエットがぼやけてしまったり背景だけ暗くしてもお尻が目立たなかったりしているのがわかる。
ところで、先ほどの補足で「視線誘導の相殺」を説明したが、あの状態に「明度」の視線誘導を足してみよう。
周りの赤い点の彩度はそのまま、明度だけ下げた。
先ほどよりも相殺が起きにくくなって、彩度が低い点に目がいきやすくなった。
今度は彩度の低い点だけ明度を下げたもの。
上述の物ほどではないが、彩度の低い点が暗くなったことで「疎密」の視線誘導が強くなり少し目がいきやすくなった。が、依然としてチラチラする。
このように視線誘導は相殺してしまうこともあるが、A→Bの視線誘導をしている状態でももっと強力なA←Bの視線誘導を行うと、効果は弱まるがちゃんとA←Bの視線誘導ができる。
これを利用したのが「逆光」だ。
主役の後ろから光を当てることで主役を強調する方法だが、このやり方は今説明した「明度」の視線誘導の法則に反して「暗い側」が強調される。
これは光に近づく程彩度が下がり、影に近づく程彩度が上がるという法則を利用した「彩度」の視線誘導と全体を光で白く飛ばして背景の描き込みを抑え、キャラの描き込みを「より過密」にすることで目立たせる「疎密」の視線誘導を違和感なく作りやすい。
更に場合によってはそこに後述する「コントラスト」の視線誘導を作ることも出来るため、キャラが目立ちやすくなる。
逆に言えば、逆光なのに背景が過密だったり、彩度が高かったり、キャラの彩度が低いと視線誘導が出来ずにちぐはぐになってしまう可能性があるので注意。
④コントラスト
明度や彩度の差が強いものほど目を引くという視線誘導。
これは上述の「明度」の視線誘導や「彩度」の視線誘導と併用しやすい。
キャラの最も明るい部分はお尻とそれ以外で差をつけたが、最も暗い部分はそこまで差をつけていないので、結果としておしりがもっともコントラストが強くなり一番目立つようになった。逆に背景は目立つ必要がないのでコントラストを①の視線誘導がなんとか機能する程度に抑えている。
コントラストを統一すると目立つ箇所が増えてチラチラしてしまうようになった。
チラチラするということは、この絵の主役がどこか分からないということである。
⑤視線の移動
「視線の移動」と「視線誘導」って意味被ってないか?と思ったかもしれないが、
これを見てほしい。
うまく誘導できていれば、あなたはおそらく「赤」「青」「緑」の点を順に注視し
最後にまた「赤」を見たはずだ。
「視線の移動」は今までに説明した視線誘導を使い、メイン→サブ→その他と視線を誘導するための構図やアイテムの配置のことを指す。
そして大事なのは視点の移動が一番最初に注視したものに戻ってくること。
円を描くように注視させることで、視点がループして絵を見る時間を一瞬で終わらせない、「見ごたえのある絵」に見せることが出来る。
今回の絵の場合、視線誘導に順序を付けたので
①お尻
②顔
③台詞
まで視線が移動することが予測でき、人によっては
④男性の手
まで視線が移動すると考えられる。
④まで見てくれればもしかしたら視点がループするかもしれないが④とは逆方向に視線が逃げてしまった場合そこで終わってしまうので、
この位置に少し目立つ蒸気を描き込んで、視点をループさせるための橋渡しをさせた。
お尻の周りの効果音が白一色なのもお尻に視線がいくことを確定させつつ、ループの橋渡し用にするためで、
明るいキャラに被った効果音は目立たないが暗い背景に被った効果音は目立つため、
いわゆる集中線のような効果を生み出している。
そのほか、絵の四隅を暗闇や蒸気で描き込みを飛ばして絵の真ん中に視線を引っ張ったり、
サインは目立たないように背景になじむ色を使っていたりする。
以上、今回の絵で学んだ視線誘導の備忘録でした。これがほかの方の役に立ってくれれば幸いですし、自分自身もさらに成長できるよう努めていきたいと思います。
長文乱文失礼いたしました。
阿多溜ますか
阿多溜ますか🔞
2022-03-24 06:49:00 +0000 UTCasdf
2022-03-23 15:49:33 +0000 UTC