スカサハの槍(ゲイ・ボルク)の一突きは、どんなものをも貫く紅い閃光。 ある特異点の探索中、不意に空を覆う程のワイバーンに囲まれた立香達。 立香のサーヴァントである"影の国の女王 スカサハ"は、自分達を取り囲むワイバーンを次々に突き崩している。 並みの人間(マスター)には驚異的なそれらは、彼女の強大な力の前では有象無象でしかなかった。 サーヴァントの強さの指標を表すデータによると、スカサハの筋力はB、耐久力と敏捷はAと評価されている。 それは、近代オリンピックのメダリストの身体能力を遥かに上回る程の力。 彼女の槍は、鉄の甲冑を容易く貫く。 …だから、だからなのだろう。 "あの身体"でも動けるのは…。 「ふぅ…はぁ…!」 影の国の女王 スカサハ。 その肩書きが疑わしく思う程の肥満体のスカサハは、肩で息をしながら戦っていた。 水着姿で、彼女の猛攻に呼応するようにたぷんっと波打つ肉が嫌でも目に入る。 その体重は500kg近いとか。 スカサハでなければ満足に歩く事すら叶わない贅肉塗れの身体。 何でも、娯楽の少ない影の国から娯楽溢れるカルデアに召喚された事により、丸々太ってしまったとか。 彼女の水着は、娯楽に浮かれた心情を表すようだった。 「はあああぁ…‼︎」 太い腕を揺らしながら巧みに槍を操る。 その槍術は、キレは僅かに落ちたものの、殺傷能力は十分。 ワイバーンの眉間を確実に射抜く。 そして、背で槍を回転させながら身体の向きを変え、また1体葬り去る。 その槍捌きは息を呑む程のもの。 優雅で鮮烈な攻撃。 よくあの太い指で、太い肢体で、何より大きく突き出た腹で、あれ程の動きが出来ると感心する。 "多少太った"ところで、彼女の強さが揺らぐ事はなかった。 おまけに… ぼゆんっ‼︎ ワイバーンの尾がスカサハの腹部に当たった。肉がぶつかる鈍い音が響く。 直撃すればサーヴァントといえど無傷では済まない一撃。 …が、スカサハは意に介さず迎撃する。 分厚い脂肪が緩衝材の役割を果たしていて、並大抵の事ではスカサハにダメージを与える事が出来ない。 体力に難があるが、その強さは一騎当千。 太った事により、一撃の重さや耐久力が上がっていて、寧ろ強くなったとさえ感じる。 彼女の戦いぶりを見るマスターと、マスターを守る為に防戦一方になっているマシュは、スカサハにならどんな戦いも任せられると確信している。 そして、あとたったの1体のところまできた。 どむんっ‼︎ 最後のワイバーンが、スカサハの巨体目掛けて体当たりをしてきた。 ずっしりと重心が据わっているスカサハだが、流石にバランスを崩してドッシーン‼︎‼︎と盛大に尻餅をつく。 そのまま勢いで仰向けに倒れてしまった。 土煙を上げ、一見派手に倒れたように見えるが、マスターは彼女にダメージが無い事を分かっていた。 すんなりと起き上がるだろう。 …だが、その場でジタバタしていて中々起き上がらない。どうしたのだろうか? 「…て」 「?」 仰向けのスカサハが何かを口にした。 マスターとマシュは耳を傾ける。 「手を…貸して…くれ…///」 スカサハは、起き上がれずにいた。 ぜぇぜぇと息を切らし、起き上がろうにも全身の肉という肉をブルブルと揺らす事しか出来ない始末。 苦悶と羞恥に赤ら顔を浮かべているが、マスター達からはぼよんっと突き出た腹が邪魔でスカサハの顔が見えずにいた。てっきり余裕の表情を浮かべて起き上がるものかと…。 これ以上醜態を晒すまいと起き上がろうとするスカサハ。だが、自重がそれを許さない。 先程、彼女を一騎当千の強者と評したが、これではそこらの運動不足のデブと変わらない。 情け無い、余りにも情け無い姿を晒す影の国の女王 スカサハ。 そんなスカサハの代わりに最後のワイバーンを倒したマシュ。 その後、2人によって起こされたスカサハに、いつもの余裕は無かった。 そして、ダイエットを決意するも、スカサハが痩せる事はなかったとか。 (了)
KujoJotaro
2021-09-12 13:00:47 +0000 UTCメタリアン
2020-06-15 17:49:49 +0000 UTC