XaiJu
肉月
肉月

fanbox


【ss/未公開過去作】餌

幾つか点在する世界の一つ。
魔物が存在する世界。
中世の景観を思わせる街々で、人々は平和に暮らしていた。

…しかし、その平和は、死と隣り合わせの不安定なもの。
街から少し離れた外の世界には、危険な魔物が徘徊しており、犠牲者が後を絶たない。

そんな世界で魔物狩りを生業とする女がいる。
名はイーリス。
魔物の駆除を目的に結成された組合に属する、ハンターの1人だ。

銀色の髪、相手を射るような鋭い目、金色の瞳、雪の様に白い肌、すらりとしながらも豊かな曲線を描く抜群のスタイルが特徴的。
身体のラインが分かる白いタートルネック、それ以外は黒いパンツにブーツ、ロングコートと黒で統一したファッション。
かなりの美人ではあるが、とても声を掛けられるような雰囲気ではない。
彼女は歴戦のハンター。
纏う空気が並ではなかった。
銃とナイフを巧みに操り、屠った魔物は数知れず。

そんなイーリスが、次にターゲットとして選んだ魔物。ある洞窟に巣食うとされるラミアだ。
この半年で、少なくとも14人が犠牲になっている。

イーリスはいつものように、単独で魔物の住処へ。
通常、ハンターは最低でも2人で行動しているのだが、そんな中でイーリスは「一人の方が身軽で良い」と単独行動を好んでいた。
周囲の人間がその事に対して口を出さないのは、イーリスが実績のある凄腕ハンターだからだ。

彼女を支えるのは、並外れた強さとそこから生まれる自信。
それが仇になると考えないのが、彼女の弱さでもあった。

***

街を出て洞窟へ向かう道中で、何体かの魔物を倒したイーリス。
襲ってきた魔物の中には、よく訓練された分隊でも歯が立たないものまでいたが、彼女は息すら切らしていない。

「…イーリスだ。例の洞窟に入る。洞窟内では通信が不安定になり、激しい戦闘も予想される。一度切るぞ」
イーリスは10里先にも信号を飛ばす事が可能な小型通信機器を懐にしまうと、洞窟へ足を踏み出した。

洞窟内は不自然な程に静か。
この手の洞窟は魔物の住処に適しているというのに、魔物と全く遭遇しない。
その不自然なまでの静寂から、深部に捕食者(ラミア)がいる事を確信した。
恐らく、元々ここにいた魔物は、残らずラミアに喰われたのだろう。

銃を片手に、警戒しながら洞窟を進む。
灯りは点けない。
相手に場所を悟られるし、微妙な空気の揺らぎで敵を察知する事が出来るイーリスには不要だ。

暫く進むと、死体が転がっているのがぼんやりと見えた。
「(これは……ゴブリンか)」
まだ腐食がそれ程進んでいない様子。
「(……何故1体だけここに捨てられている?…十中八九罠か。…いや、それよりも…)」
イーリスが奇妙だと感じたのは、ゴブリンの死体のサイズである。
従来のゴブリンと比較し、あまりに肥え太っていた。
ラミアに喰われたであろう腹は抉られているが、他の部位から異常なまでの肥えっぷりが分かる。
この世界の食物連鎖で下位のゴブリンが、ここまで肥えるのは考えにくい。
ラミアによって太らされたと考えるべきか。

「(成る程。捕らえた獲物を何らかの方法で肥やしてしまえば、一度の狩りでも存分に腹を満たせる訳か。家畜を肥育する……人間の様だな)」
イーリスの顔から、僅かばかりの苛立ちが伺えた。
魔物風情が、人間の真似事など。

「(……死体を調べようと動かせば、何らかの罠が発動する仕組みか…?いや、爆弾を敷いている訳じゃなさそうだ。…死体に意識がいっている間に背後に回り、襲い掛かってくるというところか)」
魔物が考えそうな、稚拙な罠。

…ッ……

背後から聞こえた、音というには余りにも小さな音に、イーリスは引き金を引いた。

ドンッ‼︎‼︎

深い暗闇を銃撃による光が照らす。
ラミアの姿を一瞬捉えるも、岩陰に逃げられる。

そして、振り返ったイーリスの後方から突如…

「ねぇ、ピット器官ってご存知?」

という女の声が。

「ああ、知ってるよ」
イーリスは声の主を、刹那のスピードで撃ち抜く。
「(…暗闇なら優位と踏んで挑発。やはり大した魔物では…)」
その考えは、半ばで寸断された。

ラミアがイーリスの首筋に噛み付いた。

「⁉︎ッ…!」
すぐさま振り払い、距離を取るラミアに銃弾を放つ。

易々と首を噛まれたイーリス。
ラミアの罠が、イーリスの上をいった。
ゴブリンの死臭に紛らせ、幻覚作用のあるガスを放っていたのだ。
先程イーリスが撃ち抜いたのは幻。
能力、経験、知識を過信し、相手はたかがラミアだと侮り、あらゆる想定を怠った。
こんなブービートラップに…。

「…毒か…」
「えぇ、少し変わった毒よ。もうじき貴女の"全て"を奪うわ」
暗闇からラミアの声。

「…油断はしたが、ラミアの毒の対策を打たない程迂闊ではない」
「ふぅん。解毒薬は無意味よ。貴女に打ち込んだ毒は普通の神経毒ではないから」
「何…?」
「ふふ、貴女、中々の強者だったみたいだけど、もうおしまい。一瞬の油断が招くものは…死よ」
そう言ってニタリと笑うラミア。

「(…それにしても…)」
不敵な笑みを浮かべるラミア。
彼女の腹部から血が流れている。
暗闇に姿を消し、変則的に動いていた自分に銃撃を浴びせたイーリスに、ラミアは「素敵」と呟いた。

「よく見ると…ふふ、かなり美人ね。まるで彫刻みたいな綺麗な顔」
「…」
挑発的な姿勢を崩さないラミアに、イーリスは再び銃を構えた。

「胸に風穴が開いても、その余裕を崩さずにいられるか見ものだな」
そう言って、引き金を引こうとする。
何千何万と繰り返した動作。
それに、違和感を覚えた。

「ッ…⁉︎」
見ると、酷く指が浮腫んでいる。
すらりとした指が、まるで赤子の指の様にぱんぱんに。
トリガーガードに指が締め付けられ、堪らず銃を手放してしまったイーリス。
足元に転がった銃に視線を向けると、何かが視界の邪魔になる。
「…⁉︎」
ようやく自分に起きた異変に気付いたイーリス。
視界の邪魔になっているのは自分の腹。
先程見たゴブリンのように、太らされている事に気付く。
「(!…この毒の所為か…⁉︎)」
既にぽっちゃりという域を超え、尚も太っていく。
衣服が悲鳴をあげ始めた。

「(厄介な毒を…。このスピードなら、2分も経たずに動けなくなるな。すぐに仕留める)」
イーリスは300mmのナイフを片手に、ラミアに向かっていった。
本気になったイーリスのナイフ捌きは、人間の反射神経を凌駕する。
獣や魔物ですら避け切れない。

だが…

「あら?随分とノロイのね。当てる気はある?攻撃を避けて欲しいのかしら?」
「…ッ!」
ナイフを振り続けるイーリス。
そのスピードは、肥満化に比例して遅くなっていく。
肉を付けて重くなる腕では、ぱんぱんに浮腫んだ手では、ナイフを上手く扱えない。

その姿は、大きく、そして、どんどん丸みを帯びていく。

足音を殆ど立てずに動ける筈のイーリスが、どすっどすっと鈍い音を響かせる。

ブクッ
ビッ…ミチッ…ブツンッ…!

「ねぇ、私って綺麗でしょ?私になら食べられても本望じゃない?」
「ッ誰が…貴様に…!」
首が肉に埋もれていき、コートが肩から破れていき、タートルネックやパンツが裂けて肉が露わになる。

「あぁん、今のは惜しかったわね♡」
「ぐっ…ふぅ…ふぅ」
二の腕をたぷたぷと揺らし、攻撃の手を緩めないイーリス。
どんどん弛んでいく体。
その顔から、余裕が消えていった。

「ふふふ、貴女、中々の美人だったけど、すっかり間抜けな豚面になってきたわね♡これはこれで可愛いかしら?うふふ♡」
「挑発には…ふぅ…乗らん…ぶひぃ…‼︎」
瞬く間に、イーリスの体重が150kgを超える。
「(…思ったより単純。これなら、すぐにご馳走の出来上がりね)」

脈が早くなれば、毒の巡りも早くなる。
大人しくしていればある程度のところで進行が止まる毒も、どんどん身体に広がっていく。
激しい動きに、ラミアの挑発に、脈が早まる。
彼女は、転がるように太っていった。

ゴブリンの様な単純な相手を無力化し、餌にするにはもってこいの毒。
そんな毒に、経験豊富なハンターであるイーリスが翻弄されているのは、何とも皮肉な話である。

ブクンッ、ブクブクッ

ブチンッ、ビビッ、ビリビリビリィッ…‼︎‼︎

「ふぅ…!ぶふぅ…!はぁ…‼︎」
いつのまにか服の残骸のみを纏い、真っ白な贅肉だらけの情けない体を晒しているイーリス。
「(まずい…このままでは…‼︎‼︎)」
焦って渾身の力で斬り込むも、勢い余って…

「‼︎」
ゴロンッ…!ドスンッ…‼︎‼︎

仰向けに倒れた。
ラミアは醜く膨らんだイーリスの腹の上に腰を下ろすと、「当たらなくて残念ね。まぁ頑張ったほうよ。…けど、もう貴女の人生おしまぁい♡」と言い放つ。

「ぐっ…くぅ…ぶふぅぅぅぅ…‼︎」
先程より早くイーリスの身体がブクブクと膨らむ。
「(ふふ、動けなくなった事で返って敵意が増長し、脈も更に早まった。……それにしても、プライドの高いハンター様には安い挑発も有効のようね)」
「貴様…、許さん…ッ、捻り潰してやるぞ」

ブクブクブクッ

「あら、捻り潰すって、その馬鹿でかいお尻で?それとも、みっともなく突き出たそのお腹で?いやーん、こわーい♡」
「ぐぅ…ぶふぅぅ…うぐぅう」

ブクブクブクブクッ

kgに換算するなら、300kg以上の肥満体と化したイーリス。
だが、肥満化が止まる気配は一向にない。

「ねぇ、貴方のおっぱい、とっても柔らかいわね。母乳は出るかしら?」
「ぐうぅ…や、やめりょ…ふごぉ」

たっぷりと脂肪を蓄積し、左右に分かれた胸をたぷん、ぶにょんと揉みしだかれる。
それだけでなく、ひくひくと立つ乳首を長い舌や尻尾でにゅるんっと刺激され、太く甘い声を漏らしてしまう。
羞恥心に比例して脈が早まり、肥満化に拍車をかけた。

ブクブクブクブクブクブクッ

「お腹も、こ〜〜んなにブヨブヨしてぇ。ベッドにしたらとっても気持ち良さそう。 貴女は今日から食べられるその日まで、私のベッドよ?光栄じゃない?ハンター様♡」

「ぶううぅぅぅ…ぶひいいぃぃぃぃ‼︎‼︎‼︎」

悲鳴か、怒りの声か、豚のような鳴き声をあげるイーリス。
彼女の身体が…

ブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクッ

物凄い速度で、風船の如く膨らんでいった。

***

「んふ♡これなら1年は狩りに出なくて良さそうね」
ラミアの眼前に、巨大な肌色の塊が鎮座していた。

「ふあぁぁ……」

身動きが取れず、その場に座らされている。
贅肉の塊と化したイーリスである。
その体重を計る術をラミアは持ち合わせていないが、貿易の際に使われる巨大な測りにイーリスを乗せれば、500kgという数字を叩き出す。

もうラミアと戦うどころか、立ち上がる事も不可能に思える程太ってしまった。

「安心して。すぐには食べないわ。貴方という玩具をじっくりと堪能して、飽きるまでは大切に遊んであげる♡」
そう言って、ラミアは艶やかな指先でイーリスの顎肉をなぞる。
「ううぅ…」
「あらあら?そんな顔もするのね。クールな美人ハンター像が崩れちゃうじゃない。…ねぇ、あまり私を失望させないで。早死にしたくないでしょ?」

歴戦のハンターであるイーリスが、ここまで動揺したのは初めての事かもしれない。
イーリスの強い自信は、その戦闘力に支えられている。
無力な贅肉の塊と化した今、自信を失うのも無理はない。

「わ、私を食べても…ぶふぅ…美味くはないぞ…」
「(命乞い…?強い"だけ"で、大したハンターじゃないわね)…安心して♡こんなにスベスベで柔かなお肉をした貴女が不味い訳ないわ。腐敗しないように管理して、そのブヨブヨの肉をしっかり食べ尽くしてあげるわ♡」
ポンポンとイーリスを叩くと、全身の肉が波打った。
「お尻の肉なんて、きっと絶品よ♡」
イーリスの後ろに回り、ぶにーっとの尻肉を掴んで揉みしだく。
「お腹の肉もご馳走ね♡こぉんなにお肉を溜め込んで♡」
ラミアは思い思いに、イーリスの肉を弄ぶ。

「ぶふぅう…うぅ(どうすればいい?こんな体ではもう戦うどころか、逃げる事すら…。兎に角、咄嗟に肉の隙間に隠した通信機器。こいつで助けを呼ぶしか…)」

自分の体の変化や絶望的な状況に動揺しつつも、打開策を冷静に考えているイーリス。
一見、ただ敵の掌で踊らされただけに見えたが、その裏でしっかり逃げ道を作る。
彼女が今日まで生き残れてきた理由の1つだ。

「ふふ、それにしても、抱き心地も寝心地も、揉み心地も最高ね♡情が移っちゃいそう。暫くはペットとして可愛がってあげるわ♡嬉しかったら肉をブルブル揺らして喜びを表しなさい。ブヒィって鳴くのよ?」
「(魔物風情が…。……今は恐怖におののく従順なペットを演じるしかないな)」

「………ぶふぅ…ふぅ…ぶひいぃ…ブヒィッ‼︎」

全身の肉という肉を揺らし、お情けでご主人様に生かされる喜びを表現するイーリス。
その滑稽極まる姿をどう表したものか。
歴戦のハンターの余りの無様な姿に、ラミアの口角が釣り上がる。

「ふふ、可愛いわね♡無様で、惨めで…ね♡何だか、虐めたくなってきたわ」

「!…」
すると、ラミアが暗闇に消える。
暫くして、何かを持って戻ってきた。

それは、どこから調達したのか、家畜の肥育用の餌が詰まった樽に、ホース。
「以前はこれを使っていたのだけれど、太らせるのに中々時間がかかってね。…毒で太らせるのが一番手っ取り早いのよ。……ただ、今の貴女を見て、フォアグラみたいにじわじわ太らせるのも面白いと思ってね♡」
「!んぐっ…、んぶ…んぶ」
口にホースを突っ込まれたと思えば、ドロドロと液状の餌が流し込まれた。
「そうそう、嫌がらずに沢山食べて、まだまだ太るのよ。私のフォアグラちゃん♡」
「んぶぅ(…いい気になるなよ…これは、お前を欺く為の演技であって、言いなりになった訳ではない…!誰が好き好んで豚の餌なんか…‼︎)」

***

「…ふふ、通信機器をお肉の隙間に隠していたのね」

あれから、10日後。
イーリスは徹底的に肥やされ、辱められていた。
情けなさと無力感に、次第に気持ちが弱まり、正常な判断力が失われていく。
そうして、体重が700kgを超え、焦ったイーリスは通信機を手にした。
ラミアの留守を狙ったが、何かを隠していると気付かれ、ラミアは再び幻術でイーリスを出し抜く。
結果、仲間に連絡がいかず、最後の希望も絶たれ、今に至る。

これより彼女を待っているのは、避けられない明確な死。

「ぶふぅぅ…ううぅ…」
「さぁ…て、悪い子は食べちゃおうかしら♡」
彼女の肉を、尻尾で撫で回すラミア。
肉を伝うひんやりとした感触。
全身を撫で回される感覚に、汗が止まらない。
そして、尻尾が徐々に身体を締め付けていき、無抵抗なイーリスに大木を折る程のラミアの力が、今…!

「⁉︎や、やめりょ…やめてくりぇ」

肉が付き過ぎた頰や顎を締め上げられ、まともに言葉を発せないイーリス。
彼女のものとは思えない、情け無い声を出した。
「…死にたくない?駄目よ。貴女は今ここで死ぬの。生きたまま丸呑みなんて残酷な事はしないから、安心してね♡全身の骨を砕いて、一瞬で楽にしてあげるから♡」
「ひ…ひぃっ」
「ん…?」
「も、もぉ、もうにげようなんて…かんがえないからぁぁ…」
「…?だから許せと?私を殺す為に仲間を呼ぼうとして…甘過ぎるんじゃない?舐めてるのかしら?」
「わ、わかった…‼︎ぺ、ぺ、ペットとしてぇ…生かしてくれぇ……」
「ペット?」
「あ、あぁ、そうだ…!これまでどおり…」
「……いいわ、条件次第じゃ考えてあげる」
「!ほ、ほ、ほんとか…‼︎」
「えぇ。……それじゃ、こうしましょう。一生太り続けるっていうなら、生かしてあげてもいいわ。ブクブク、ブクブクと、一生ね…♡」
「⁉︎…な、なぜ……?」

ペットになれば、本当に食べる気はないのか?
なら、何故これ以上太れと…?

イーリスが固まると…

「…嫌かしら?なら…」

ラミアは美しい顔が崩れる程の大口を開け、イーリスを頭から飲み込もうとした。

蛇を前にした小鳥…いや、それ以上に無力なイーリス。
喰われて、死んでしまうという恐怖心にイーリスは…

「わ、わ、わがっだ…‼︎バクバクたべて…ブクブクふとりましゅうぅ…‼︎‼︎だかりゃ、だから、ゆるじでえぇぇ‼︎‼︎ごろざないでええぇ……‼︎‼︎‼︎」

泣きながら命乞いをするイーリス。
演技などではない。
太り過ぎて何も出来ない無力感、そして、最後の希望が失われた事で、イーリスは恥も外聞を捨てた。

死にたくない…‼︎‼︎
どれだけ無様を晒そうと、こんな…こんな死に方だけは嫌だ…‼︎‼︎

「…、っぷ。あははは!そんなに死にたくないの?しょおにゃにょぉ?くく、美人ハンター様が、すっかり無様で可愛らしい肉の塊になっちゃって…♡」
ラミアは肩を震わせながら続ける。
「良いわ、私も貴方みたいな可愛いペットを失うのは胸が痛いもの。そうね。あの時食べられた方がマシだったってくらい太らせてあげるから、覚悟してね♡」



ーーそして、イーリスが消息を絶ってから3ヶ月。

イーリスが洞窟に入る前に発した最後の通信は、仲間のハンターが受け取っていたが、救助が来る事はなかった。
単独で動く事を好み、周囲との関係が薄く、また、周りもまさかイーリスがラミアに敗れるとは思っていない。
通信圏外の街に移り、今も魔物を狩っているのだろうと思われていた。

そんな中、あるハンターが洞窟へ足を踏み入れた。
姉妹でハンターをしている2人組。
どんな魔物を前にしても臆さずに戦うイーリスに憧れていた、美人姉妹だ。

別の街で狩りをしていた彼女達が街へ戻ると、ラミアを狩りに行ったきり戻らないイーリスの話を聞く。
周りは、「あいつなら大丈夫だろ」と口々に言う。
だが、姉妹は嫌な予感がして洞窟に足を運んだ。

その予感は、的中する事となる。

「…それにしても暗いわね。こんなに暗いと、流石のイーリスさんでも虚をつかれて…」
「馬鹿ね。この洞窟に来たのはラミアの骸を拝む為よ。イーリスさんが負けるなんて……そんな訳ないでしょう?」
姉妹はランプを片手に、小声で話しながら進んでいく。

すると…

ブヨンッ

何かにぶつかり、先頭を歩いていた姉が倒れた。

「っ、何…?」
「お姉ちゃん、話すにしてもちゃんと前を見て歩きなさいよ。壁にぶつかるなんて」
「壁?…それにしては…」
「…?この壁なんだかブヨブヨしてて気持ち悪いわ…それに、さっきから変な臭いが…」
「……え?」

姉は気付いた。
暗闇の中で、ランプの火が反射した金色の瞳に。
金色の瞳など、そうそう見るものでは…。

「…ああぁ…まさか」

それは、変わり果てた"憧れの存在"だった。
体重1t…、いや、2tだってあるかもしれない。
重さなど想像が及ばぬ肉の山。
脂肪が身体を押し上げ、体長2m以上ある肉塊となったイーリスの姿だ。
これ程太った人間など…いや、生物などこの世界にはいない。
もう銃の引き金を引く事も、立ち上がる事も、人並みの事すら何1つ出来ない肉の塊、それが2人が憧れたイーリスの今の姿だった。

虚ろな表情で「ぶふぅー…ぐふぅー…」と荒く息を吐くイーリスに、姉妹が必死に呼び掛けた。

だが、その声はイーリスには届かず、別の者に届いてしまった。
背後より、2人に…


「ねぇ、ピット器官ってご存知?」


ーーあれから数日後。
美人姉妹は2つの肉の塊と化し、太り続けて喰われる日を待つだけの家畜になった。

ラミアのお気に入りであるイーリスは、ペットとして際限なく肥え太らされている。

イーリスがどれだけ太ろうと、ラミアが満足する事はない。
有能なハンターを無力な存在に堕とす征服感に酔っているのか、はたまた別の理由か、兎に角イーリスはラミアが望むまま太らされ続けた。

ラミアがイーリスに飽きて捨てる事がない限り、永久にーー。

(了)

Comments

まさに家畜の扱い! こういう絶望が待つ 肥満シチュエーションも大好きです! しかもクールで美人なお方が フォアグラ扱いなんて 真逆な立場にされてるのも 凄く素敵です 最後の最後まで 肥満が広がるシチュエーションも良かったです! これは抵抗編とか続編も 欲しくなります!

メタリアン


More Creators