↓前回

捕えられた真白は幹部らしい女の前に突き出された。両端には屈強な男が二人構えている。 魔力を封じられた魔法少年はただの非力な子どもである。椅子に縄で括り付けられ腕を縛られただけで身動きは封じられた。床につかない足が頼りなく空を掻く。 妖艶な姿をした女は見下げながら真白へと話しかけた。 「あらあら~...
「あ”ぁ”あ”ぁ”あ”…ッ ーーーーーー!!!あ、あ”ッ、あ”、あ……!!」
傷口のみならず、頭蓋全体を揺るがす鋭い痛みが激しく脈打つ。息を吸えず、叫びだけが体から出ていく。
無意識に体をよじるが、内側から発生する痛みからは逃れようがない。
「あらぁ!泣いちゃったのね~!なんだぁ、大きい声も出せるんじゃない。赤ちゃんみたいに元気な泣き声でカワイイわよ。」
「歯抜ケ、マヌケ・・・」
敵の雑談は叫び声にかき消され彼には届かない。
視界はフラッシュをたいたようにチカチカとし、体中から汗が噴き出す。
「これできっと目も冴えたでしょうから、そろそろ話せるかしらぁ?」
「ッ・・・ァ、ハッ、はっ・・・」
声を出しきると彼は浅い呼吸に切り替わった。揺れる脳はまだ言葉を認識していない。息を吸う、それが最優先だった。
「…。話はちゃんと聞かなきゃだめよぉ~。叩き起こしてあげるしかないわねぇ」
女は腰につけていた鞭を取り出し、真白の赤い頬をめがけて振り下ろした。
跳ねるような音が鳴ると、彼の頬は裂けた。集まっていた血が外へ流れ出る。
真白の呼吸は再び停止した。痛みではなく、衝撃によって。
女が手に持っているものと、その先端が鋭く尖り、血がついていることによって何をされたのか理解した。
「目が覚めたかしら?なら、言えるかなぁ?」
未だ鮮明に痛覚を受信し続ける脳内に、必死に意識を呼び起こす。
まだ”これ”は終わっていない。
これはなんと言うのだろう。殺さない程度に純粋に痛みを与え続ける。拷問だ。そうでしかないことに彼はようやく気付き、言葉の持つ恐ろしさにぞっとした。
喋るなら今しかない。言葉を繋がなければ。一本抜けただけでぎこちなくなった口をなんとか動かす。
「…ぁっ、の・・・・・・ごめん、なひゃい・・・ぼくは、しょ、そ…!れがなんらか・・・わかりま、しぇ・・・へ…ば、場所も、しりま・・・!っ…」
ふざけてなんかいないのに、空気が漏れて変な発音になってしまう。室内の静寂に自分の間抜けな声が響くのを聞いて真白は恥ずかしくなり、口をつぐんだ。
「…ひっ、ぅ……」
ぼろぼろと涙がこぼれる。何に起因する涙なのか、理由が多すぎて何が何だか分からなかった。
「困ったわねぇ。あなたから何も聞き出せなかったら、私たちボスに怒られちゃうわぁ。
言ったでしょ?正直に話してくれたら何もしないって」
まるで小バエでも払うように自然な動きで鞭が飛んだ。
今度は太腿に細かい切れ筋がいくつも入った。先ほどは顔全体の痛みとして一つになって紛れていたが、場所が離れているせいか単独で痛みを主張し始める。
「あ”ぁ”っ…!!」
「こういう時はねぇ。あなたが嘘をついていない可能性より、嘘をついていた可能性のほうを重視するわけ。・・・分かる?」
そこで真白は気づいた。本当は知っているということなら、白状すれば拷問は終わるだろう。
しかし、知らないことは証明できない。
つまりこの拷問には終わりがないということだ。
「ーーーッ・・・・・・」
真白は視界が歪み、意識が遠退きそうになった。
女は一つため息をつくと、男を顎で指した。
男の持ったペンチが柔らかな唇を突き、もう片方の男が口をこじ開けた。ぽっかりと穴の開いた隣の歯に錆びた金属が当たる。
「ヤレヤレ・・・メンドクセエナァ」
痛みが再び彼を呼び起こす。
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拷問を受けるましろくんの話、いかがでしたか?
私はヒーローが尋問・拷問されているシーンが大好きなので描いててめちゃめちゃ楽しかったです。
拷問に耐えるのは正義を背負う者の宿命ですね。かっこいいなぁ~~
こちらは私が最近ドはまりしている「チ。-地球の運動について-」という作品に影響を受けて描きました。知っている方なら印象深いシーンだと思います。超超おすすめです。