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煉瓦
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屋敷視点の十二月の話

 屋敷昴が通う高校は進学校であるせいか、期末考査の二週間前から部活動が休止する。  だから十二月に入ってから週に三回行われていた部活動は無くなり、授業が終われば恋人である中野聡司を待たせることが無くなった。部活動にとられていた時間分、彼と長く一緒に過ごせる。そのことは昴の心を弾ませ、気分を良くさせた。  六限目の数学が終わり、さっさと帰宅の準備を済ませた昴は聡司の席へと目をやった。彼はまだ机の中の教科書やノートを鞄に移している途中で、昴の視線には気付いていない。自分と相対しているときとは違う聡司のこの表情も、もちろん昴は好きだった。  聡司は最後に筆箱を入れた鞄を肩にかけ、立ち上がる。そのタイミングで昴は聡司に声をかけた。 「聡司。帰ろうか」 「……ぁ、う、うん」  少し怯えたような表情。揺れる目線。それでも八ヶ月前よりは随分とマシになった。怯えてはいるが、慣れもある。少しずつ違う表情を見せてくる聡司を昴は愛おしいと思っている。  自分は他人が怯え、慄き、へつらう表情だけが好きなのだと思っていた。聡司に対してもそうだ。けれど、たまにふと彼の唇が笑みの形に緩むのもまた、昴の目には新鮮な魅力として映っている。彼は自分に、己の知らなかった面を教えてくれる。その意味でも昴は聡司のことを好きだった。 「今日はどこにする? 図書館か、駅前の○ックでも良いし……」  期末考査の準備期間に入ってから毎日、放課後は一緒に試験勉強をする約束をしている。その場所の候補を幾つか挙げると、聡司は昴の顔を見上げ、少し微笑みながら言った。 「どこでも……昴くんの好きな場所で良いよ」  このところ聡司は昴に対し、更に従順になった。ふた月ほど前、昴が聡司の進路を決めてやったころからだろうか。この付き合いが高校生でいる間の限定的なものでなく、これからも続くものなのだと分からせてやったのが良かったのかもしれない。  より自分好みになった聡司の肩を抱き、昴は上機嫌になって笑いながら言った。 「じゃあ俺の部屋に来いよ。……久しぶりにシタいからさ」  わざと品のない物言いをして俯いた聡司の顔を覗き込む。その顔は赤く染まっており、昴はそれを見てえも言われぬ満足を得た。それだけで十分だったから答えはどちらでも良い。ほぼ毎日セックスをしていたせいで中間考査の成績を落としてしまった聡司を考慮して、この一週間、昴は聡司を抱くことを我慢していた。それがあと一週間と少し、期末考査が終わるまで延びたとしても構わない。成績を上げて受験に成功し、同じ大学に通えれば、これからもっと長い時間、一緒にいられるのだから。 「べ、勉強のあとでも、良い?」  俯いたまま耳まで赤くした聡司の声は小さかった。相当恥ずかしいのだろう。それでも自分に抱かれたいという意思を伝えてきたのだと思うと、昴の中の加虐的な部分がムクムクと首をもたげる。この可愛い恋人は、どこまで自分に虐められたいのだろう。それなら望み通り、動けないように縛って、けれど焦らして、自分から挿れてくださいと言わせたい。涙を流して前を勃たせ、恥ずかしさに身をくゆらせながら、それでも昴に犯して欲しいと求めさせたい。 「……良いよ」  答えた声音に聡司はビクリと肩を震わせた。恐る恐ると言った風にこちらを見上げる顔。笑顔も良いのだが、昴の機嫌を伺うような、恐れているような、その眼がやはり一番好きだと昴は思った。 「嬉しい?」  答えは分かっているが、それでも聞きたくなる。聡司は間をおかず、うんと頷いた。 「う、嬉しい。昴くんのこと、す、好きだから、僕……い、いっぱい、抱いて欲しい」  上出来の返事だ。無理矢理犯したときも良かったけれど、両思いになって、こうして想いを伝え合うのは格別に良い。その想いが真実かどうかなど、昴にとってはどうでも良いことだったが。 「ゴム、どうする? いま切れてるから買って帰ろうか」 「う、ううん……中に……出してほしい、です」 「ハハッ。やらしいな、聡司は」  前を向いて歩きながらチラリと横目で恋人を見る。彼は胸の前で白くなるまで両手を固く握りしめ、思い詰めたような表情をしていた。堪らない。こんな風にしてまで自分に従わざるを得ない彼が愛おしい。昴をこんな風に思わせてくれる人間は他にいないだろう。一生離したくない、と改めて昴は確信した。  自分が自分らしくいるために、昴には聡司が必要だ。  彼に対し、最初に感じた直感は間違ってはいなかった。時間をかけて手に入れて、周囲に根回しをし、教師やクラスメイトはおろか、聡司の両親まで抱き込めた自信はある。昴にとって聡司にはそれだけの価値があった。もはや他人ではない。彼はもう、昴を構成する一部だとも言える存在だ。  そういう存在に対する感情をどう言い表すのか、昴は既に知っている。  愛している。  いま言葉にすれば、切羽詰まった様子の聡司は泣き出してしまうかもしれない。だから部屋で抱きながら、キスをして挿入し、奥を突きながら言ってやろうと昴は思った。

Comments

完全に聡司くんの人生は屋敷くんのものになっちゃってますもんね笑💗🥰 これからも2人のことを見れるのは幸せですが、聡司くんからすると本当に迷惑ですもんね笑 そういうところも大好きです🥳💖

屋敷は聡司のことがめちゃくちゃ好きですね~ なので、とにかく聡司を囲い込もうと必死になっております でも基本的に自分勝手で自分が一番な性格なので、聡司にとっては凄く迷惑な話でしかないのですが笑

煉瓦

屋敷くん視点ほんとにほんとに好きです😍❤️本編でもオメガバでもそうなんですが、ファンボで屋敷くん視点のお話見た時、こんなに聡司くんの事好きだったの!?ってめちゃくちゃビックリしました笑😳💚本編の時は、聡司くんのことめちゃくちゃ好きなんだな〜🤤💕と思ってたんですがここまでとは思っていなくて本当にビックリしました笑🥰屋敷くんの聡司くんへのひとつひとつの愛の思いが好きで、ファンボではいっぱい見れて本当に嬉しいです🥰💖我慢して考慮してあげたり、優しい所もある屋敷くん好きです😍😍


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