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今月から始めたシリーズです。 ストレス解消のために開いた「タイマン相手を探すアプリ」にて、とんでもなく強くてドライな青年とマッチングしてしまった……、みたいな話です! ● 怒りのまま、特に意味もなくはいった路地裏にて。放置気味のゴミ箱を蹴りつける。 それは派手な音を立てて転がり、小さなごみ袋や紙...
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グボォッ! ドゴォッ!!
……ドゴオオオォォォッ!!
「ぐぉぉぉっ……があああぁぁぁぁっ!!」
ただの陰気なガキだと……俺がその一方的な認知を改めるまでもなく。
鋭いアッパーで顎を勝ちあげられた俺は、早くも違和感、そして後悔を覚え始めていた。
「はぁ……はぁ……っ!」
(がぁぁ……こいつ、只者じゃ、ない……!)
マッチングアプリにもあたりとはずれがあり、今日のは勝てる喧嘩だ、マッチング当時はそう思っていた。実際に弱そうな奴だと見下して、負けるなんて思わなかった。
今頃は……、俺が数発弾いただけでビビッて大人しく俺に服従しているはず。恐れおののき、俺の強さに許しを請う相手を甚振って遊んでいた。……そのはず、だった。
(マジで、なんかやってんのか……、いや、素人に混じって、んなこと……!)
俺は、なすすべなく奴に痛めつけられていた。文字通り、一方的に。
奴の目は鋭い。俺が殴り飛ばされ、倒れ伏しても、見下しも何もない。ただ拳を構え、俺を見つめ続けている。
ドゴォッ!!
「んぎぃっ!」
グボオオオォォォッ!!
「があああぁぁっ!!」
ドゴオオオォォォッ!!
「がっは……!」
腹を穿たれ、首を抱きかかえられ膝をねじ込まれる。反撃は命中しない。俺は倒れる隙も与えられなくなっていた。
我流のマーシャルアーツだろうか……、決して勢いだけの喧嘩ではなく、さりとて形式ばった武術でもない。不自然なほどスムーズな動きで、俺は次々と肉体を破壊されていく。
明らかに、戦いなれた奴の動きだ。このアプリも使い古しているのかもしれない。
「がぁぁ、ぁぁぁぁ……」
俺は顔面を鼻血と唾液で乱しつつ、ふらと奴の前で立ち尽くす。
グボオオオォォォッ!!
「ごぁぁ、ぁ……!」
マッチングした相手とかち合ったその後には、立っているのは一人だけ。闘争を求めた男の暗黙の了解が、俺をこの場から逃がさない。
ただ、奴は容赦なく淡々と、俺を殴り続けた……。
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前回はこちら ● きっと、これまでも多くの相手を、ただ黙々と倒してきたのだろう。 目的すら感じない、そんな奴の無慈悲な攻撃に、俺はすでに心を折られていた。 「はぁーっ! はぁーっ!」 ここには二人きりしかいない、アプリの性質上やむなしだが。俺はこれまで自分の暴虐を許してきたそのシステムに追い詰...