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「許して、ほしいか?」
怒りに震えるクロキが、敢えて笑みを浮かべてせっつく。それがまた、アラトを威圧した。
ほんの一瞬の反逆だった。クロキが容赦なく金的で報復してからは、攻守は瞬く間に逆転した。
そもそもにして、いくら打つ手をなくしたといえどヒール的な勝負を挑む相手が悪かった。クロキはアラトよりはるかに勝利のためには手段を選ばないタイプだ。「BLACK」頃はそうではなかったが……。
「はぁーっ! はぁーっ!
すんません、すんません……っ! 許してください……っ!!」
「どの口が言うんだ、コラ。先に汚い真似仕掛けてきたのはテメェだろうが」
「ふーっ! ふーっ! ……、だ、だって……!」
「俺を倒しきれなきゃ、テメェはとんでもない目に遭う。他でもない、テメェが一番理解してたことだろ、あん?」
「くく、ヒールになりきれなかったか? とどめをぬかったテメェの負けだ、馬鹿」
「…………」
金的を食らい、腰を砕かれコーナー際にまで追い詰められたアラトは、再びクロキに股の間を拳で狙われている。
また、あの激痛が襲ってくる。プライドをかなぐり捨ててでも、それだけは回避したかった。
「テメェはいつもそうだ。都合が悪くなると結局ビビって何もできなくなる。……許すワケねぇだろが、よっ!!」
ドガァッ!!
「んぎぃぃっ!!」
拳がねじ込まれる。再び襲い掛かってきた激痛に、アラトは顎をそらして悶絶した。
「がぁぁあああああっ!」
「オラ! 大人しくしろや! じゃねぇとマジで潰すぞ!!」
「がぁぁぁ……、ひっ……!!」
四肢を振って暴れもがくアラトだが、クロキに低い声色で迫られ、動きを止める。拳をちらつかせた脅迫が効いて、クロキは悪戯な笑みを引いた。
さも、自分から次の衝撃を欲するように。アラトは絶望に打ちひしがれながらも拳を受け止めやすいように股を開く。
「そう、いいぜ……。嫌がってねぇで、もっと楽しませてくれや。さっき俺に歯向かった分も含めて、よぉ?」
「ふぁぁ……ぁぁ!! すんません! すんませんっ!! マジで、それだけ、は……っ!」
ドガァッ!!
「んごぁぁあああああああああぁぁぁぁぁっ!!」
「オラっ!!」
グボオオオォォォ!!
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うらぁぁっ!!」
ドガァッ!! グボォッ!
「んがぁぁぁあぁぁぁあああああっ!!」
「うっわ。我ながら、俺の方が痛くなりそうだぜ……」
かつて子供の頃に味わった屈辱、それに足して先ほど味わった後輩からの反逆の屈辱を乗せ、何度も拳をめり込ませていく。
アラトはすでに虫の息だった。痛みのあまりだらしなく表情を崩し、下半身をがくつかせている。
闘志をみなぎらせていたアラトの面影はすでになく、陥落寸前だった。
「ひ、ぎぃぃ……ぃぃ……」
「ま、だからってやめねぇけど」
ドボオオオォォォ!!
弱々しく懇願の目を向けるアラトに対し、クロキは寧ろそこからだといわんばかりに手を止めなかった。さらに先にあるだろうアラトの反応を引き出すように……、残虐に股間辺りを殴り潰していく。
「ぐぎぃっ!!」
グボオオオォォォ!!
「んごっぁぁぁぁぁっ!!」
「シンプルに地獄だろ、なぁ?」
グボオオオォォォ!!
「ごぁぁぁぁぁぁ!?」
「……あ? 何無視してんの?」
ドボオオオォォォ!!
「がぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
「マジで潰しちまうぞ、コラ」
「んがぁぁあああああああっ!」
クロキの腕に手をかけて止めようとしても、細かく震えた指先ではそれも叶わない。筋張った色黒の腕が、また下半身を狙ってくる。
もう、嫌だ。逃げたい。アラトの頭は敗北感ではなく現実逃避で一杯になった。虚ろになった目でどこでもない虚空を見据える。
「ぁぁ……んごぁぁ……ぁぁ……ぁぁ……っ!!」
「ぷはっ! なーに半イきしてんだよっ! 大の男がパンツ汚しちゃって、あらら」
そして、再び睾丸の下よりアッパーをねじ込もうとした、その矢先。アラトのパンツの影で、勃起しきった性器にさらに変化があることを見つける。
アラトが、わずかに白濁を漏らしている。クロキは腹を抱えて笑いながら、それを見下した。
「ぐはははははっ! なーに漏らしてんだよ! だらしなく半イきしやがって! それでも男か? はははっ!!」
「んぁぁ……がぁぁぁ……ぁぁ……、も、う……やめ、て……なんでもする、からぁぁ……っ!!」
「あー?」
「はぁーっ! はぁーっ! はぁーっ!
マジで、潰れちまう、からぁぁ……、許して、ください……クロキ、君……っ!!」
「まぁ、まぁ。立てよ」
クロキがわざとらしく嘆息を吐きながら立ち上がる。次はいったい何が、といった顔でアラトは呻きながら声を漏らした。
「立て、つってんだろ。……逆らうんか?」
「ひ……ぐ……っ!」
クロキに逆らえば殺される。いや、いっそ死んだほうがましかもしれない。不能寸前、潰れない加減で甚振られているのだ。この拷問はクロキが満足するまで終わらない。
アラトは渋々と立ち上がろうとしたが、やはり散々に下半身を甚振られた分、足が震えていうことを聞かない。
「立て、ねぇ……」
「ホラ、俺にしがみついていいからよぉ……」
クロキの肩を掴み、抱きつくような格好になって始めて立ち上がれた。普段なら、喧嘩相手に腰を折って立たせてもらうなど屈辱以外の何物でもなかったが、今ばかりは状況が違う。
「…………へぇ、ようやく可愛い後輩の面になってきたな。普段からそれくらいなら、かわいがってやったのによぉ?」
涙目になって懇願するアラトの顔を間近で覗き込む。普段の生意気さや熱血さはすっかり雲隠れしており、クロキは少し表情を崩した。
「なぁ、アラト。この際だ、……もっと従順になるか?」
グボオオオォォォ!!
首相撲を無理やりに挑み、膝をめり込ませる。
耳元で響くアラトの絶叫さえ、サディストなクロキには心地よかった。
「が、っぁ……ぁぁあああああああああああああっ!」
「ぶははははははっ!! ざまぁみろ、「RAD」! あの時の恨みだぜ!!」
膝蹴りを見舞い、その感触を確かめるように奥へ奥へと捻じ込んだ後……、クロキは手を離した。
ひしゃげた下腹部を庇い、アラトがまた地面に崩れる。
股間を庇い、亀のように丸くなって痙攣するアラト。……だが、その目はクロキへの恐怖から一周回って、殺意をたぎらせていた。
「……殺す……」
「ははははは! ……あ?」
「殺す……ぜってぇ、ぶっ殺す、からなぁっ!!」
「……いいぜぇ、その目。ようやくお前も俺と同じ立場に立ったか」
アラトも、自分に復讐心を覚える立場になった。クロキはそれを単純に好機だと思っていた。
これでようやく、コイツから優位を奪える。本当の意味であの時の雪辱を晴らすことができる。
「だがよぉ……何度も言っただろ? 先輩への口のききかた、気をつけろや」
獣のように瞳孔を開き、低く唸るアラトに対し。クロキは再び、拳を握りこんだ。
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yukibou
2020-12-03 23:18:40 +0000 UTCa-b
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2020-11-18 02:11:47 +0000 UTCyshbs177
2020-11-17 23:13:23 +0000 UTC