Loser dog~深夜の負け犬ファイト~2-2
Added 2020-05-05 02:24:41 +0000 UTC●
「オラ。今度はテメェの番だろうが」
「……わかってるっすよ、クソ!」
大したインターバルもなく。豪太に急かされて、蓮は苛立たしそうに吐き捨てた後、震える指先で己の下着に手をかける。
この勝負は二回先取だ。そして、いま息を荒らしつつ全裸を晒している豪太同様、一度でもギブしてしまえば……。
……問答無用で、言うことなんて聞かずこのままボコボコにして犯してしまうか? ふと胸の底に悪魔のささやきが差し込む。
だが、豪太が守っている約束を反故にすることは、それ以上の敗北感を感じてできなかった。
蓮は結局、己の下着に手をかける羽目となった。
下着を降ろす。それと同時に、その中から勢いよく蓮の性器が跳ね上がった。
もともと下着を内側から突き上げてきた性器が、豪太に先端を向けて勃起しきっている。その豪太からの視線を浴びて、蓮は頬を赤らめつつ堪え続ける。
「……ご立派なもんだなぁ、あぁ?」
「うっせぇな……、アンタだって勃たせてるじゃん」
「っ! うっせぇな……」
そして、いつしか豪太の性器も勃起している。蓮に指摘された豪太は一気に赤面し、正真正銘裸になった蓮から目を逸らした。
「……そんな状態で、俺と渡り合えるんすかぁ? 諦めるんなら、ここでやめてやってもいいっすけど?」
「うるせぇ……、今更引き下がれっか。さっさと続けんぞ」
とはいうものの。豪太の動揺は分かりやすかった。蓮とは違い、蓮の裸体にまだ慣れてはいないようで、その挑戦的な口ぶりとは裏腹に目を逸らし続けている。
「そうっすね……、うらぁっ!!」
「……!!」
自分から目を逸らしている……、それに構わず、蓮は一気に豪太と距離を詰めた。
「テ、テメェ……!」
「油断してる方が悪いんすよ、俺等しかいないんだから、さぁ!」
背後に回る。そして、豪太の体に抱き着くようにして、また腕と足を組み込んでいく。
再び、羽交い絞めになって豪太の全身の関節を責め立てていく。蓮の勃起した性器は豪太の汗に濡れた腰にこすりつけ、その刺激に蓮が少し息を漏らす。
「ぐあぁぁぁ……!!」
「ふはっ、おんなじ技に引っかかるとか、豪太さんマヌケっすねぇ? ホラ、絶対に逃げられないっすよ。怪我する前に諦めた方がいいんじゃないっすかぁ~?」
「うる、せぇ……」
「ははっ! マジの試合じゃなくてよかったっすね? 技決められて、こんな格好で勃起させてるとこ観客に晒されなくってさ?」
「はぁ……、はぁ……、ぐぅ……、テメェ……!!」
「くはは……、おらよっ!」
自分の極めた技で苦しむ豪太の有様を散々に嘲笑った後、蓮は力を抜き、どういうわけか豪太を解放した。
「はぁ……、はぁ……」
「さっきのでギブしなかったことは褒めてあげますけど、終わりじゃないっすよ?」
だが、休ませるつもりも毛頭なく。豪太の短髪をひっつかむと、無理やりに引き起こした。
疲労で揺れる豪太の体に再び密着し、腕で首を巻き込んでいく。豪太の脇腹を突き出すようにして、肩とあばらを極めていった。
半場汗ばむ肉体を密着させ、より技を深く決め込んでいった。
「ぐあぁぁ……!」
「ははっ、どうっすか? どうせ俺には勝てないんだから、さっさと諦めた方が身の為っすよ?」
「はぁ……、はぁ……、……はっ」
「……!?」
鈍痛で苦しんでいた筈が……ふと、豪太が鼻を鳴らして笑った。蓮ははっとして口をつぐむ。
「はぁ……、はぁ……、てめぇの先っぽ、当たってんだよ。バケモンは年中発情してんのかよ……、あぁ?」
「っ! ……そういう豪太さんも、立派に勃起してんじゃん」
明らかに強がりだ。だが、蓮はその余裕ぶった態度にすら引っかかりを感じ、不満そうに顔をしかめた。
「それに。この状況で、あんま図に乗ったこと言わない方がいいっすよ?」
豪太の耳元で囁くと、蓮はそっと、密着している豪太の肌をすべるように、手を這わせていく。
鍛えられ膨らんだ胸を這い、太腿まで。その指先になぞられるようにして、差し込んできた刺激に豪太は肩をびくつかせた。
……だが、蓮の狙いがそんな生易しいものではないことを察した時、豪太の顔は一気に青ざめていった。
「……!! テメェ、まさか……」
「男臭ぇオッサンの面して、玉なしになりたいなら別っすけど」
肌を添うようにして、蓮の手はそのまま豪太の下腹部へと伸びていく。その感触の移動を敏感に感じ取り、恐怖で豪太の顔が引きつり切った。
「テメェ、まさか……冗談だろ……? これは、プロレスで……」
「へっ、知るかよ、俺に舐めた口聞く奴は……」
蓮に技を極められながら見下される中、その指先が、豪太の性器の先端をかすった。
慄く豪太の予想通り。蓮の手が、ついに豪太の性器、その下の睾丸へと至る。
「徹底的に、ぶっ潰してやるよ……!」
「や、……やめ……、が……、ぁぁああああああっ!!!」
ギュウウウッ……!!
「があああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
まさぐるようにして蓮が握りこんだ、その直後。絶叫がリングの上にこだました。
豪太は途端に腰を引くものの、蓮は技を極めたまま、手の力を緩めずに離さない。豪太の睾丸を生で皮ごとひとまとめに鷲掴みにして、握りこむ握力を強める度、豪太が高らかに悲鳴を上げる。
「ははっ! 面白れぇ、オラもっと鳴けよ!!」
「ぐあぁ! あああぁぁぁっ!!」
「ホラホラ、ギブしなくていいんすかぁ!? マジで潰れちゃうんじゃねぇの!?」
「がぁぁぁぁぁぁ、あぁぁ……っ!!」
二つの睾丸をこすりつけるように、手の中で揉みしだき、そして押しつぶしていく。本気でないとはいえ、蓮の超人的な握力の中でこすられ、その激痛に豪太は関節の痛みすら忘れていた。
そして、腫れあがるように勃起した性器の先からも、その危機感に比例するように、先走りがこぼれ始める。
ドサッ!
「ぐぁ!」
「おっと」
もともと不安定な体勢だった為、バランスを崩した豪太に引きずられるようにして、二人ともがキャンバスに寝転がった。
「はぁー……、はぁー……」
「オラ、まだだっての!」
……ギュッ!!
「あがっ!!」
だが、蓮はすぐに豪太の背後から伸し掛かるようにして、その性器をすぐに手さぐりで捕えては、続きとばかりに鷲掴みにした。
片方では豪太の肩をキャンバスに押し付け、組み敷いて、完全な体勢でもって豪太の睾丸を握りこんでいく。急所を狙った拷問じみた蓮の責め苦に、豪太の悲鳴も次第に弱々しくなっていった。
「ホラ、豪太さん、負け認めないと取り返し付かないっすよ?」
「あがぁぁあぁ!! ぐぁぁ……」
「くはは、少し腫れてきたっすね。先っぽもぬるぬるだし」
ふとして、ようやく蓮が豪太の睾丸から手を放す。
激痛の波から解放され、一気に弛緩した表情の豪太が微かな息を吸うのを見て、蓮は豪太の勃起した先端を指先でなぞり、その先走りを塗り広げていくようにして軽く扱いていった。
「ん……ぁぁ……蓮、こんな、真似……!」
「はは……。別に、反則とってもいいっすよ? 勝ち誇ったアンタが、その後でどうなるか……」
俯せに組み伏せた体勢のままで、豪太の腰あたりに自身の性器をすりつけながら、蓮がそっと耳元で囁く。
一気に体力を消耗した豪太は、蓮の体重とその性器の感触を確かに感じ取りつつ、いまだ下腹部に響いている痛みと戦っていた。
「うる、せぇな……別に、何も言ってねぇだろうが……!」
「じゃ、分かってますよね? またこんな目に遭いたくなかったら、さっさとギブしたほうがいいっすよ?
いつもみたいに、アンタの事そのまま犯してやっからさ?」
「…………」
言うと、蓮は己の勃起した性器の根元を掴み、豪太の腰に何度も叩き付けた。挑発めいた言動と態度に、豪太は眉をひそめつつ、蓮が気付かない程度の小さな息を吐いた。
「……ったく。ラフプレイしてなんぼだろうが……、だけどなぁ……」
背後に蓮がいる。豪太はその油断を見計らったように、勢いよく首を逸らした。
ゴキッ!
「っぐ!」
詰め寄っていた蓮の鼻先に、豪太の後頭部からの頭突きが命中した。唐突な反撃に怯んだ隙を見逃さず、豪太はすぐに蓮を突き飛ばした。
……そして同時に、思い切り拳を握り締める。
……ドゴォォ……ッ!
「へ……? ……がぁ……あああぁぁ!」
されたことは、忘れない。めり込んだ拳の先から感じるその手応えに、豪太は悪い笑みを引く。
立ち上がると同時に、豪太は拳を突き上げていた。それはままに蓮の下腹部、性器の下にめり込んでいる。
少しの間の後、蓮はそれをしかと目視し、直後に悲鳴をあげた。
「あ、があぁぁぁぁっ……!!」
あっけない声の後、込み上げてきた激痛に苛まれ、蓮は一気にキャンバスへと崩れこんでしまう。油断していた直後の金的がかなり抉りこんでしまったのか、下腹部を押えて転げ回っていた。
「悪ぃなぁ……? 俺もどちらかと言えば、ヒーローよりヒール応援派なんだわ」
「あがぁぁ……! はぁ……、はぁ……、テ、メェ……!!」
キャンバスの顎を立てて、腰を上げ、その激痛に悶えながらも必死に豪太を見上げて睨み付ける。
豪太は鼻を鳴らすと、そんな蓮の髪を鷲掴みにした。
「……立てよ、コラァッ! テメェが俺とプロレスしたい、つったんだよなぁ、あぁ!?」
「ひ、ぐっ……、うる、せぇ、…ぜってぇ、殺す……! ……ぶっ殺すっ!」
無理やりに蓮の顔を上げ、目と鼻の先で睨み付け、吠え掛かる。蓮も痛みに表情を歪めつつも、涙目になって豪太を睨み返した。
「それが先輩に対する口の聞き方か? 礼儀を知らない吸血鬼野郎には、躾が必要みたいだなぁ……?」
「う、るせぇ……、…………死ねオラァッ!」
言った直後、髪を掴まれたままの蓮が復讐とばかりに怒声を上げ、豪太の性器を狙って拳を突き上げる。
……だが、予め予期していたように、豪太は腰をかがめてそれを避けてしまった。
「甘いんだよ、コラッ!!」
ドボオオオォォッ!!
「がぁぁぁぁああっ!!」
そして、逆に豪太が、蓮を今度は股下から蹴り上げる。勃起し硬くなった性器と睾丸に的確に命中する感覚。再び蓮の下腹部に残酷なほどの衝撃が付き走った。
再び、蓮は悶絶して崩れる。豪太は蓮に覆いかぶさるように襲い掛かると、必死に性器を庇っている手を無理やりに引きはがし、その勃起している性器ごと、蓮の睾丸を握りこんだ。
ギュウッ!!
「!! うあぁぁぁぁぁっ!!!」
生の性器の先端と皮の隙間に親指を食い込ませ、残りの四本の指で、先ほどやられた様に蓮の睾丸を握り潰しにかかった。
指を突き入れ、押しつぶされるような激痛に苛まれ、蓮は腰を捻じって悲鳴をあげる。
その刺激に呼応するように、豪太の手の中で性器が暴れるように何度も弾け、その先端からはぷつりと先走りがこぼれ始めた。
「オラ! そっくりそのまま返してやるよ、このままぶっ潰してやろうか、あぁ!?」
「があああああぁぁ!! ……はぁ……はぁ……! く、そ…………んぁ……!」
「はっ、こんだけ責められて、何おっ勃ててんだよ……なぁ?」
「は、ぐ……、ん……、アンタ、だって……さっきは……!!」
「へっ……、もうすぐ、テメェに日頃の仕返しができると思うと、なぁ?」
「うる、せぇ……、やめ、ろ…………!」
「あぁ? 止めてください、だろうが!」
ギュウウウッ!!
「ぐあぁぁぁぁぁあああっ!!」
蓮の言動や態度は相変わらず。ならばと、豪太が再び力を込める。
すれば、蓮はひき伸びた悲鳴をこぼした後、目の淵に涙を溜め、嗚咽に似た呻きも漏らし始めた。
先に仕掛けたのは蓮の方だとは言え……、自分でも見ていて正直痛々しい。握りこむ力のあまり、指の隙間から皮がはみ出てしまっている。
(…………やり過ぎたか、ちょっと、気分が乗っちまったみたいだ……)
目元を押え、必死に痛みを堪えている蓮を眼下に眺め、豪太は蓮の性器から手を放すと、その肩を掴み、キャンバスに押し付けた。
「オラ、フォールだ。ワン、ツー……」
スリー……。言いかけたその寸前に、蓮は奥歯を噛みしめ、自分を抑え込む豪太を小さく突き飛ばした。
「はぁ……、はぁ……!」
「……テメェ、まだやる気かよ」
互いに勃起した性器を晒し、汗だくになってキャンバスの中央で乱れた息を吐き続ける。それもついに決着かと想像したが、思いもよらぬ抵抗に豪太はすこし目を細めた。
蓮の体に組み付いたまま、豪太は尋ねると、蓮は目元を腕で隠したまま口を開く。
「はぁ、はぁ。当たり、前だ……、……こんな、真似して……、絶対に、許さねぇ……!!」
「……そうかよ、まぁ俺も暴れたりねぇところだ。頑丈なテメェの体で、試したい技がいくつもあんだよ」
豪太が笑みを含ませながら言い放つ。と、蓮は腕を降ろし、豪太を睨み付けた。
目蓋の影に、瞳孔の開ききった、怒りに染まった瞳。人のものでない眼光が殺意すら帯びて突き刺さってくるものの、豪太は怯むことなく睨み返す。
「はぁ……、はぁ……! 黙れよ……! ただの、人間のくせに、舐めた真似しやがって……絶対、ぶっ殺してやる……!!」
「そうかよ。じゃ、せいぜい覚悟しとけや、吸血鬼野郎」
豪太は言うと、笑みを引く。蓮が反抗するのもままならないまま、その両足首を掴み、同時に蓮の背に腰を下ろした。
「がぁぁぁ……ああぁぁっ!!」
「オラ、俺をぶっ殺すんじゃなかったのかよ? なぁ?」
腰かけた連へとしっかり体重をかけ、蓮の足を両脇に抱え込み、逸らすように持ち上げていく。
逆エビ固め。背骨が真反対にのけ反り始め、筋肉と関節がきしんでいく痛みに、蓮はキャンバスに頬をすりつけながら悶絶した。
「はぁ……、はぁ……!! お……覚え、てろ……、ぜってぇ、アンタを……があああぁぁぁぁっ!!!」
蓮の悲鳴がこだまする。いつもは余裕ぶっている蓮だが、当然だが今ばかりはそうではないらしい。怒りと苦しみで鬼のような形相を浮かべ、牙の隙間から漏らすような悲鳴を上げ続ける。
「うぁ……ああぁぁ……! がぁぁああああっ!!」
「はっ……!」
蓮の声が弱まり、それでも豪太は嗜虐心が収まらず、更に蓮の体を責め立てようと、抱え込んだ足をさらに持ち上げようとする。
「っ!」
……そこで、汗で滑ってしまい、蓮の片足を落としてしまった。
途端に鈍痛が引き、技が解けかかり、必死に堪えていた蓮にとって、食らいつくには十分すぎる好機となってしまった。
「ぐっ! ……はなせやっ!!」
ドゴッ!
「ぐふっ……!」
蓮は即座に、抜け出した足で豪太の顔を蹴りつける。
同時に豪太の技からキャンバスを這うようにして抜け出すと、痛めつけられた体でぎこちないながらも、なんとかすぐに立ち上がる。
「テメェ……蓮……!」
「……うらああぁぁぁっ!!」
ドボオオオォォッ!!
「が、は……!」
豪太が頬をくすり、向き直った、その瞬間。
怒りに染まった顔で繰り出された蓮の拳が、豪太の頬にめり込んでいた。
勢いはすさまじく、豪太は一気に吹き飛ばされ、キャンバスに大の字に倒れていく。それでも蓮は止まらず、すぐに豪太へと迫っていった。
怒りに震える獣のような瞳で、なんとか腰を上げつつ頬をくする豪太を映し、そして拳を構える。
「……テ、……テメェ、懲りもせず、こんな反則……」
「うるせぇ! 死ねオラッ!」
ドボオオォォッ!!
ボゴオオォォッ!!
「が……、がはっ……!」
「このっ! 調子に、乗ってんじゃ、ねぇぞ! オラァッ!」
ドゴッ! ドガッ! グボッ!
ドゴォッ! グボォッ!
ストレートで振りぬいて尚、キャンバスに崩れる豪太の肩に掴みかかり、その頬に拳を叩き付けていく。
冷静を失い、理性を飛ばしたその形相で、何度も豪太の顔を振りぬいていった。
蓮に殴られる度、豪太の性器もその勢いで激しく揺れ、先走りを飛ばして何度も腹筋に叩き付けられた。
「もう……、プロレスなんざどうでもいい! この俺に、舐めた真似しやがって!」
ドゴッ! グボッ!
「か……、ぐぁ……!」
「アンタはっ! ただ俺にぶち込まれて! 泣いてりゃいいんだよ!!」
ドゴォッ! ドガッ!
「ぐはっ! がぁ! っが……!」
互いの汗の滴が弾け、幾度となく顔面を殴られ続け、意識が朦朧とし始めている豪太を見下し、蓮はさらに拳を構える。
「……くたばれ、クソがああぁぁっ!」
ドボオオオォォッ!!
●
「はぁ……、はぁ……はぁ……」
気が付いたら、キャンバス中央でぐったりと動かなくなっている豪太。
繰り出し続けた自分の拳を今一度見つめた後、蓮は息を乱したままで、再び豪太へと迫っていった。
「オラ、起きろよ……」
ルールも何もかもかなぐり捨てて、何度も殴りつけ、怒りはそれでも冷めなかった。
徹底的に、潰す。決め込んだ瞳で、キャンバスの中央で無抵抗な体を晒している豪太を睨み付ける。
「少し計画が狂ったけど、まぁいいや……、アンタをぶちのめせれば、なんだって」
「…………」
こうなったらもう、なりふり構っても無意味だろう。ただ単純に痛めつけて、力の差を嫌というほど刷り込んでやる。
……二人の関係で有利をとれるというのなら、別に恐怖という繋がりでもよかった。恐れられるのは慣れている、だが、馬鹿にされるのは我慢ならない。
……まぁ、この人に限っては、それは当てはまらないかもしれないが。蓮はなんとなくの自己分析をしながら、豪太へと手を伸ばす。
何はともあれ、絶対に許さない。中途半端では終わらせない、やるなら徹底的に、この人が俺に泣いて許しを請うまで、だ。
「これ以上ボコられたくなかったら、俺に……、!!」
蓮が言いかけた、と同時に、蓮は腕を掴まれた。
いつの間にか、すっかりくたびれていた筈の豪太が、目を細め、睨み返していた。
あそこまで殴りつけた筈が、まさかまだ動けたとは。予想だにしない豪太の反応に蓮は肩を震わせた。
そんな蓮の腕を引いて、巻き込む様にして立ち上がり、その背後に回る。蓮も驚愕の最中ながら必死に抵抗するものの、疲労でうまくいかず、間もなくして豪太にされるがままになっていった。
「ん……っは……、なん、で……?」
「……簡単に楽になれると思うなよ。決めてんだよ、この際徹底的にテメェを躾直すってなぁ……!」
全裸で密着し、豪太とキャンバスの上でもつれあいながら、蓮が息も絶え絶えに尋ねる。汗に濡れ、熱く火照った互いの肉体が触れ合い、性器が互いの肌やキャンバスに擦られる。
その折でも、豪太は笑みを覗かせていた。余裕はないが、確かに自分を痛めつけようとして、それを期待している笑み。
まさか、コイツがこんなにタフなはずはない。完全に予想外の流れに、蓮は顔を青ざめさせる。
ビクッ! ビクッ!
「か、はっ……!」
ふと、蓮と組み合い、キャンバスに転がり合う中で、豪太は蓮の性器を指先でとらえた。
まるで弄ぶように蓮の性器を指で弾き、軽く扱いていく。込み上げる刺激に蓮が腕の中で小刻みに震えているのを見やった後、豪太は目を細めた。
「はぁ……、はぁ……、んぐ……ぁ……」
「……オラ、拷問の時間だ、コラ!」
すっかり動揺している蓮の両手首を掴んで、背後から締め上げていく。熱い吐息が肩にかかり、背後から襲い来る豪太の気配に、蓮は体を震わせた。
「はぁ……、はぁ……、うらぁぁっ!!」
「っ!!!」
蓮の両手首を掴む。同時に股を踏みつけるようにして固定し、勢いをつけ、蓮の体を一気に持ち上げる。
蓮が、自身が浮き上がった感触を感じた直後には、その直後に肩と足が引きちぎられるような激痛が突き走った。
吊り天井固め。
豪太によって四肢の自由を奪われたうえで、蓮の全身が照明に晒される。技が決まると同時に、勃起しきっていた性器も勢いよく天井へと向いた。
「あぁ……が、あぁ……!」
「……こんな目に遭うのは初めてか? いつもの生意気な態度はどうした、あぁ?」
「がぁ……、ア……アンタ、なんで……」
あれほど痛めつけて、もはや限界の筈だ。なのに、どうして。
豪太の上で四肢を絞り上げられながらぼそりという蓮に、豪太は鼻を鳴らした。
「……言うほど効いてねぇんだよ、テメェも関節痛めてたくせに、自分の状態を顧みない癖は相変わらずだな。
それに、プロレスは、相手の技を受けてなんぼだろうが。……まさか、テメェがあそこまでやるとは思わなかったけどなぁ……?」
「う……うるせぇ……はな、せよ……!」
「あぁ? ただの人間ごとき、すぐ倒せるんじゃねえのか! コラ!?」
「があぁ……!」
腰を上ぞりにして、蓮が呻く。豪太が体を揺らす度に、吊り上げられている蓮の体も揺れ、性器も大きく弾けた。
体中の関節が軋み、悲鳴を上げる。そしてそれは刺激となって、下腹部にでも伝導した。勃起した性器が揺らされるたびに、先走りと汗の滴がはじけ飛ぶ。
「オラ、ギブしねぇなら、テメェのガタイこのままぶっ潰すぞ!」
「がぁぁ……うあぁぁぁぁっ!!」
「オラ! 「いままでなめた口聞いてすいません」、って言え! いわねぇと離さねぇからなっ!!」
「んぐ、……だ、れが……、がぁぁぁぁっ!!」
蓮が弱々しく首を振る。想定できたことだが、いつまでも観念しない蓮に苛立ち、豪太は更に技にかける力を強めていった。
「オラオラ! いつまでも強情這ってんじゃねぇぞ! 骨いっちまう前に、さっさと観念しやがれ!!」
「は、ぐ……っ、ふぁ……ぁぁぁっ!!!」
豪太が吠え、蓮が淡く声を漏らした、次の瞬間。
ビュル……ビュルルッ……!!
「…………!?」
ビュル……ビュルルルッ!!
おおよそ二度に分けて、引き伸びた様に蓮が白濁を吐き出した。勢い良く吹き出した白濁は、蓮自身の顔にまで至り、胸や頬に滴っていく。
蓮の四肢を掴んで持ち上げている豪太がそれに気づくには少しかかったが、腰をビクンとひくつかせ、息の乱れ方が明らかに変わっているのを目の当たりに、やがて見当をつけていった。
「はぁ……はぁ……」
「……見えねぇが、お前まさかイったのかよ?」
「ひ、ぐ…………!」
「マジか。さっき責めたとはいえ、とんだザマじゃねぇか」
自身はもう、痛みと恥じらいでもう訳が分からなくなっているのだろう。錯乱したように体を震わせ、嗚咽以外には何も言わなくなった蓮を鑑みて、豪太は技を解き、蓮の体をキャンバスに投げ出した。
キャンバスに横倒れになった蓮は、身じろぎした後、すぐに性器を庇った。だが、豪太によって無理やりにその手を引き剥がされる。
……そして、弱々しく痙攣し、尚も白濁を垂れ流し続けている性器を見つけて、豪太は目を丸めた。
「はぁ……、はぁ……! み、みんじゃ……ねぇ……っ!」
「本当にイってやがる。オラ、出したからってまだ終わってねぇぞ」
「ぐ……ぁ……、こ、のぉ……!!」
蓮自身でも、技をかけられ全身の自由を奪われたうえで、まさか射精してしまうなんて全く考えていなかったろう。
恍惚に浸り、それを上回る恥辱への怒りで、蓮は引き摺るようにかろうじて自身を立たせると、肩からぶつかって言うようにして、豪太へと組み付いた。
だが、豪太を押し倒すことはおろか、殴りかかることもできず。ただ、豪太の分厚い胸板に頬をすりつけるのみにとどまってしまう。
それでも、鋭く反抗的な目つきは変わらない。荒れた息が胸にかかってくるのに、豪太はそれをただじっと見下していた。
「はぁ……はぁ……、……よ、くも……ぶっ殺して、やる……!!」
「……まだ、足りねぇみてぇだな……!」
もう、終わらせる。豪太は最後に試したい技を己のうちに決め込んで、自分にもたれかかってくる蓮の肩を掴む。
まさか、コイツからプロレスのルールで勝負を仕掛けてくるなんて予想もしていなかった。それでも、実に燃えた。子供のころからプロレスには釘付けだったし、リングの上で戦うレスラーの姿はまさしくヒーローだった。
蓮の腰へと掴み直すと、その力の入らない体を持ち上げ、その体を逆さに反転させる。
腕を交差させて腰に巻き付け、逆を向いた頭部を股に挟んで固定する。
「はっ、このまま、吸血鬼狩りとしゃれ込んでやるよ……」
「っ……アンタ……、覚え……、てろよ……」
最後に自分がどういう技を受けるのか、もう分かり切っているのだろう。蓮がうわ言のように呟く。
準備は完了。これでとどめだと、豪太は威勢よく声をはった。
「……これで、しまいだぁぁっ!!」
ドゴオオオオォォォッ!!
ドゴオオオォォ……ッ!!
「っ!」
キャンバスに響く、衝撃音。
パイルドライバー。蓮は逆さに抱え込まれたまま、脳天からキャンバスに打ち付けられた。
豪太が腕を離すと、蓮の体は二つに折れ曲がるようにして、ゆっくりと崩れていく。
息を荒らす豪太へ、……それでも蓮は、指を震わせて豪太へと伸ばした後……、ばたりと手を落とす。
身体能力の差をひけらかしていた流石の吸血鬼も、体力の限界に至ってしまったようだ。
小さな鼻息をこぼすのみで蓮の意識が飛んだのを確認して、豪太も嘆息を吐き、自分の体もまた、キャンバスの上に投げ出した。
●
「……かはっ!」
「おう、目ぇ覚めたか」
少しの休憩の後、豪太は蓮の頬を叩いて気付けをする。意識を取り戻した蓮に、さっそく豪太は低い声で詰め寄った。
「まさかお前とプロレスで対決する日が来るなんてな。……まぁ、後半は何でもありだったが」
浮いたような意識が次第に定まっていくにつれて、全てを思い出していったのだろう。蓮は緩んでいた表情を、少しづつ、苛烈なものへと変えていった。
「っ!!」
次の瞬間、蓮は勢いよくキャンバスを蹴ると、目の前の豪太を押し倒した。
たいして抵抗しない豪太に対し、馬乗りになり、その肩を掴んでキャンバスに張り付ける。
必死に牙を噛み、悔しさをにじませている蓮の顔を見上げ、豪太は嘆息を吐いた。
「……俺に、復讐する気かよ。かっこ悪ぃな、勝負を仕掛けたのはテメェなのによ」
「……っ……」
豪太がつまらなそうに言う。蓮は言葉を詰まらせ、すぐに殴りかかろうとした拳を力なく落とした。
だが、やりようのない気持ちが燃え上がっているのは変わらないようで、蓮は豪太の上にまたがったまま、じっと睨み続けた。
「……俺は、負けてねぇ……! 認めねぇからな、こんな……」
「はっ、お前が挑んだんだろうが」
豪太が鼻を鳴らす、蓮は恥じらいと屈辱で一気に顔を紅潮させたが、それでも、不用意に殴りかかるということはしなかった。
プライドの問題だろう。無抵抗の豪太を殴ることはたやすいだろうが、自分の仕掛けた勝負に負けて、反則すら使ったうえで、結果に満足せずに相手に襲い掛かる。
それを、豪太に見つめられている。蓮は牙をそろえ下唇ごとかみしめた後、豪太に吠え掛かった。
「……っ! うっせえな! わかってるよ! ……やるなら、さっさとやれよ!」
目を振り絞った蓮が、ついに言い放った。負けは認められない。それが精一杯の譲歩だったようだ。
「……へぇ、今回は潔いこった。じゃあ、せいぜい前の仕返しをさせてもらおうか」
いうと、豪太は腹筋を使って状態を少し持ち上げる。自分に馬乗りになっている蓮の肩を掴むと、そのまま逆に押し倒した。
蓮は抵抗しない。ただ、そっぽを向いてされるがままになっていた。そんな蓮の顎先を掴むと、豪太は半ば無理やりに自分へと向かせる。
「ん、ぐ……」
ひとまず今は、蓮がすっかり観念したのを確認して、豪太は早速、蓮の唇を割るように舌を突き入れ始める。
汗だくの体と唇を重ね、蓮の口内へと侵入する。蓮の鋭利な牙をなぞりつつ、舌を絡ませていく。
キャンバスの中央。粘着質な音が響く中、豪太の指先が蓮の胸に触れ、その肌や乳首をゆっくりと撫でていった。
「はぁ……、はぁ……」
喰らいつくような長いキスと同時に、蓮の乳首をつまみ、握りこむ。途端に蓮は腰を引くつかせ、性器を跳ねさせた。
蓮との行為は初めてではない。したりされたりの繰り返しだが、蓮の弱い部分はもう感覚的に掴んでいた。
豪太の愛撫で、息の詰まるような刺激とキスによって呼吸すらままならない蓮は、目の淵に涙を浮かべて、豪太の肩に自然と手を回していた。
「……へっ、顔緩んでんぞ、そんなによかったかよ?」
長かったキスを終え、自身に抱き着いてくる蓮の顔を見下ろし、豪太が唸るように尋ねる。
「はぁ……、はぁ……、……っ! んなもん、ぜんぜん……! 効かねぇ……っ!」
「まだ、勝負の途中だと思ってんのか。まぁ、お前相手だと、その方がしっくりくるけどな」
「ん……ぁ……、っく……!」
蓮を静かに組み敷いて、その首筋に舌を這わせる。
必死に声を出すことを堪えている様子だが、次第に豪太からの熱に耐え兼ねて、指先を震わせ、口の端から甘い嗚咽がこぼれだしていく。
しばらく蓮の体を堪能した後……、豪太は体を起こし、勃起しきって血管の浮いている自分の性器の根元を掴んだ。
「オラ、そろそろぶち込むぞ、覚悟はできてるよな?」
自分のその先端を親指でなぞるようにして、先走りを塗り広げる。着々と準備を進めていく様を目の当たりに、蓮は火照った表情に焦りを浮かべ始める。
だが、それでも。これ以上の敗北感は受け入れがたいらしく。逃げることも抵抗もしないまま、それを睨み続けた。
「はぁ……、はぁ……、うっせぇ……、さっさと、やれ、よ……!
いっとくが……、次は絶対にアンタをぶちのめすからな……!あんま調子こいて油断してっと、今だって、俺はアンタを……!」
「……ふっ。最後まで生意気な野郎だ。そんな奴は、慣らしてやらねぇでも平気だよな?」
「ぐ……、……かかって、こいよ……! 耐えきったら、今度は俺がアンタを犯す……! 何度もぶん殴って、蹴り飛ばして、腹の中ぶち壊すまで、何度でもブチ犯してやる……っ!!」
……豪太のそのまっすぐに見下ろしてくる目に、胸に刺さってくる痛みとは違う感情、そして、それを決して受けいれられない
自分との葛藤。
ここまで追い詰められたとしても、咬みつくしかなかった。蓮は必死に牙を剥く。
優位をとれなかったことは、悔しい。けれども本当は、いくら負かされたって、今のコイツに犯されることを、俺は……。
(……ただのペットの筈なのに。なんで、俺……こんなヤツに惚れてんだよ……!)
「…………! だから……来いよっ! アンタの、粗末なもんなんかで、俺は負けねぇ……!」
「……言うじゃねぇか。じゃあ、勝負と行こうぜ。俺とお前、決着の時だ」
豪太は蓮の股を担ぎ上げると、足を持ち上げる。すれば未だ落ち着かずに勃起している性器の、その下。蓮のひくついたその秘部が晒される。
汗で湿ったその秘部は、蓮の反抗的な言葉とは裏腹に、あたかも挿入の時を待ち望んでいるかのように、股に染まり、艶やかになっていた。
「じゃあ…………挿れんぞ」
ズリュ……、グリュ!
「……っ! く、は、……あぁぁ……!」
豪太の性器の先端が、ついに蓮の秘部へと吸い付いた。
豪太はその温かな感触を性器の先端から感じ取り、そして、煽情的なその状況に推されるように、次第に余裕を消していく。
性器をあてがう。そして、豪太は少しずつ、性器を蓮の中へと押し込んでいった。
「蓮……、覚悟、しとけよ……、俺のは決して、生易しくねぇからよぉ……?」
グリュ……、ヌチュッ!
「ぐぅ……う……が、ああああぁぁぁぁっ!!」
「かはぁっ! ……はぁ……、はぁ……、うぐぅっ!」
本格的に挿入を開始。蓮の体内を、豪太の性器が入り込み、その形へと蹂躙していく。
己の内側に入ってくる、豪太の性器の感触、そして熱い温度はこすり合わせるにつれ、下腹部を裏側から抉りぬかれるような得も言えぬ刺激を蓮にもたらした。
グリュ、グチュ。
「かは……はぁ……、はぁ……、うあぁ……!」
腰の動きを止めず、何度も蓮の中へ責を突き入れ続ける。蓮の中で圧迫された性器は、その蓮の必死さが分かるからこそ、豪太に快楽と快感をもたらしていった。
「相変わらずなかなか悪くねぇな、お前の中。さて、前にお前は俺に中だししてくれたよなぁ? ま、前に限らずだけどよ」
「んぐ……あぁ……かぁ……!」
「とりあえずは、前の分、利子付けて返してやるよ……オラァッ!」
蓮の中で、豪太が性器を引くつかせる。体内を暴れまわる豪太の堅く熱い性器に翻弄され、蓮は必死に目を振り絞る。
だが、その抵抗は、豪太に屈することに対してのみではなかった。蓮の白濁交じりの先走りは止まることは知らず、自分の腹筋を艶やかに汚し、その溝にたまり始めている。
豪太に抱かれていることを、意識すればするほど……。
単純な快楽だけではない。……いやに性器が、むずがゆくなって、それは次第に堪えがたいものへと強まっていく。
「ご……、ごうた……さんっ……!」
「あぁ!? なんかいったか!? 蓮!」
だが、豪太は強い笑みを引いたまま、蓮を一心不乱に犯し続けている。腰を叩き付け、蓮の最奥に性器が至ったとしても、今度はその最奥を何度も突き上げ続ける。
蓮は胸を突き出してその快楽に溺れつつ、虚ろな目で、ただ熱の集まってくる自分の性器をちらと見た。
ただの射精ではない。この感覚は……!
「っ!! や、なん、か……やべぇ……!」
「あぁ?」
豪太が、さらに一押し。蓮の体内の最奥を穿ち、そしてこすりつける。
力強い、その一突きの直後、蓮の表情は一変した。
「ふぁ……あぁ……ぐあぁぁぁぁああっ!!」
……プシャァッ!
「!?」
蓮の身体が小刻みに震え、白濁を散らしていた蓮の性器から、白濁で濁った、透明な液体が噴出した。
それが何か、察しをつけた豪太は、腰を動かしつつ笑みを引く。
「……俺に犯されてて、テメェがまさか潮吹くとはなぁ。感慨深いこった」
「あぁ……くぅ……」
もはやプライドの高い当人にとっては、反抗すらできない程の心この折れようなのだろう。先ほどにはプロレス技で射精し、今には潮まで吹いた。
……だが、潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめてくる蓮からは、それだけではない感情を感じた。
……ともかく、だ。集中して蓮を犯し続けていた豪太にも、いよいよ絶頂の時が差し迫っていた。
「オラ、俺も出すぞ……!」
ビュル……ビュルルッ!
思い切り深く、性器を突き入れたその後には、蓮の中に白濁を吐き出した。
熱い奔流が体内にあふれ、刺激の後の余韻に、蓮は痙攣気味で表情をすっかり弛緩させてしまう。
「ん、ぁぁ……っ……、……ごう、た、さん……」
「っ!」
ふと、蓮は震える腕を何とか持ち上げ、その背中に手を回して抱きしめてきた。
弱々しく、されど筋肉に力のこもった硬い腕の感触を感じ取る。そして、そのとろけきった表情。
豪太の影に覆われた蓮が、虚ろな目でじっと見つめてくる。もはや怒りすら、快楽に凌駕されてしまっているのだろう。
そして不覚にも、豪太はその表情に釘付けになってしまった。
(これが、あの蓮かよ……、クソ、妙な気にさせやがって……!)
豪太はそれ以上何も言わず、されるがままに蓮に抱かれ、その頬を撫でる。弱々しく息をこぼすばかりの蓮を、切ない瞳で見据え、同様に蓮の腰に手を回し、抱き寄せた。
触れ合う肌と濡れた性器から、熾烈な戦いの末に汗にまみれ、上昇した体温で互いの熱を交わし、確かめあう。
蓮のそんな声、そして表情を見るのは初めてだった。
……正直、胸の内がざわめき、反応するのを感じた。あれほど生意気なやつだというのに、今は、まるで……。
(……悪くないって、ほんの一瞬考えちまったじゃねぇか……)
いつしか、豪太は再び蓮と唇を重ねていた。普段の蓮ならもう抵抗するはずだが、蓮も顔をしかめることすらせず、ただじっとそれを受け入れていた。
●
ウェットタオルで体を吹き終わり、着替えを済ませて、早々の事だった。
ガシッ!
「っ」
リングを降りて、着替えを終えて間もなく。豪太は蓮に胸倉を掴まれた。
鋭利な牙を食いしばって、悔しそうに睨んでくる。そんな蓮に、豪太は目を逸らして対応した。
「や、やっぱ……、もう一回俺と勝負しろよ!」
「……もうお互いに体力残ってねぇだろうが……」
ぽつりと漏らす言葉はその通りで、着替えることすら億劫なほどだった。それは、いくら吸血鬼である蓮といえど変わらないだろう。
だが、蓮は我慢ならないようで、豪太の胸倉をさらに絞り上げた。
「うっせぇ! アンタにやられっぱなしで帰れるかよ! お、俺は……!」
「はいはい、また今度な」
豪太が疲労感のままに、投げやりになって言う。その態度に蓮は顔をしかめ、ずいと顔を近づけていく。
「……っ! 別に、勝負じゃなくてもいいし。アンタをぶちのめして、犯せれば、俺は……!」
そして、拳を握り締める。
殴る気か。豪太はそれを目の当たりにしても動揺せず、逆に低く唸っている蓮の肩を掴み、その首元へと顔を近づけた。
「…………また、俺に潮吹かされてぇのかよ?」
「!!!」
そう一言、耳元で囁くだけで、見る見るうちに蓮の顔が一気に赤くなる。止めを刺す様に蓮の性器を服の上から軽く叩いてやれば、蓮は途端に腰をひくつかせた。
自分でも、自分のその反応は予期しなかったのだろう。蓮は豪太の胸倉から乱暴に手を放すと、ひったくるように床から自分の鞄をさらい、廃墟の扉を開く。
「……く……、くそ……っ! 今日のは全部ナシだっ! 覚えとけよ、テメェッ!」
最後にそう吐き捨てるや、蓮は尻尾を巻いて逃げ去ってしまった。
後に一人残された豪太は、途端に疲労感を思い出す。実質勝利したとはいえ、手段を選ばない蓮を相手に最後まで立っていられたのが、自分でも不思議なほどだった。
(やっぱ、プロレスっていいな)
最後まで突っぱねるような態度を変えなかった蓮に嘆息を吐きつつも、豪太はしてやったりの顔をして、ぐっとこぶしを握り締めた。