囚獄のセブンスヘイムのステージ設計は、某ホラーゲームに近いレベルデザインになっています。いわゆるゴールデンルールと呼ばれているものです。
ゴールデンルールとは、簡単に言えば以下の流れになっているものを指します。
①ゴールを見る
②方法を探す
③解けたらうれしいことがある(先に進める/いいものが手に入る)
全部同じだとダレるので鍵が先に見えるなど多少のアレンジを加えますが、全ての謎解きはほぼこの形に準じています。例えば最終廃棄層ヴィロンでも
①最初にゴールのシャッターを見せる
②横に見える扉を調べると、開けられそうな場所が見える
③そこに行くためには…? →地面の穴やマップを見て隠し部屋を探す
という流れになってます。例外はアラボトのループマップくらいでしょうか。
あそこは最初に未知の場所をあてもなく歩き回って欲しかったので、ゴールポイントを見せるのは少し後ろにずらしていたりします。良く出来てるレベルデザインのゲームは、基本的にこのゴールデンルールに準じた作りになっていることが多いです。意識しながら色んなゲームを見てみると楽しいかもしれません。
あと意識しているのは、各謎解きには殆どある程度のシナリオや設定的な理由付けをしていることが挙げられます。(このへんは極限脱出シリーズなんかではできてない、頑張った部分かと)クリア後にプレイし返すと実はこういうことだったのかな?みたいな考察ができるようになっているので物語の深みを多少なりとも出す要素になっているといいなぁと思っています。以下はネタバレ込みの各ステージの設定コメントです。クリア後に読んでくださいね!
各ステージ、作る前にこういう概要書を作ってます(これは開発途中のものなので、こっから更に変えてますが)
ジンクーが倒れ記憶を失い、ガラムに発見されたところから物語は始まります。
ガラムが最初に引き寄せられたのはジンクーの記憶にあった最後のあの人のせいなのか、それとも…?
作中での考察にもありますが、実験の非検体のうち自死を選ばずに生き残った者たちが監視者の目の届かない場所に生活と研究のエリアを作りました。それがヴィロンとアラボトです。上のエリアから生活に必要なものを集めた結果病院のベッドなどが置かれ、生気を失ったり狂気に染まる者が出るため、閉じ込めるための牢屋などが併設され、死体の埋葬に墓地が置かれています。
コントロールルームでの「上階で見つかった場合、殺処分にされる」のは何も知らない被検体側のことです。
最初はチュートリアルステージなので登場人物を少なく、最後に最初の場所に戻ってくるように謎が残る場所を作っておこうってのは最初に決めてました。ゴールのシャッターに、開けないけど印象の残るハッチの構造はその時からずっと変わりません。
複雑そうに見えて簡単に解けるように作っていますが、いかがだったでしょうか?
ガラムの家ですが、見慣れない置物やガラムの記憶にはない家具の配置になっています。これは6人委員会が発足後にガラム一人の家ではなく委員会の潜伏場所としても使用されていたからです。「サーキット」について最も覚えている可能性の高いガラムの記憶を強く呼び起こすことが目的の施設ですが、他のメンバーも関連が全くないわけではありません。
物語的には全員そろって明るい雰囲気のところをワイワイ進んで仲間の性格がわかってくるうちに、衝撃の事実1が明らかになる…という構想で作りました。食堂のエレベーターの謎解きや、子供部屋~中庭の突然ホラー感はよくできたんじゃないかなと思っています。Unityのライティングやアセットがないとここまで雰囲気作れなかったので本当にやってよかったです。
元ツール上の中庭と子供部屋。うーん、今ほどの雰囲気は出せないですね…。
サーキットの研究や治療が行われていた病院。廃病院を買い取り、表向きは廃墟として運営されていたので内部はボロっちい作りです。こんなところで研究を続けたオリジナルの「彼ら」は、恐らく現在の彼らとは全く違った精神状態だったに違いありません。本作では遺伝子や記憶が一部共通でも、本質的には全く違った「ヒト」なのです。恐らくこのまま記憶抽出の研究を続けても完成までは持っていけなかったんだろうなと思います。
ステージ2から続いてホラーな雰囲気の中進み、謎が謎を呼ぶ「ここからが本当のセブンスヘイムだ!」のつもりで作ったステージです。ステージ2まではけっこう普通の脱出ゲームのセオリーで作ってるんですが、ここから段々主観の遊びなんかを増やしていきました。
宇宙からの遺伝子の取り込みやパンスペルミア説、たんぽぽ計画…
突然話が壮大な飛躍する上に詳しくは明かされません。このゼブルは記念碑?慰霊碑的な存在でしょうか。宇宙関連の話は根本にありはするものの、本作ではあまり話の核心には突っ込んでいません。カラミティの名前の秘密なども関連していますが詳しく明かされるのは…次回作、かも…。
毎ステージキーになる謎解きのバリエーションは変えるように設計しています。ここでは高低差を使った遊びにしようとは思ってましたが、飛び降り先を主観で探すのがメインの遊びになりました。けっこうお気に入りです。
世界は滅亡していたのだ!最後に明かされることが多いですが、やりつくされたパターンでもあるので本作では中盤で明かしてしまうことにしました。絶望の中でどこに向かっていって、どう光を掴むのか…。落としてから上げるのが王道だし、ワクワクすると思うんですよね。世界滅亡より上の絶望ってなんだろう…って考えながらこの先は作っていきました。
衝撃の事実のわかる研究施設。マグナスとベルターは当初はチャプター3から登場してましたが、ステージの組み換えなどの結果ステージ5からの登場になりました。マグナスとベルターはネリスさんが原案描いてくれましたが、「外科手術で頭2つにされて、人格崩壊したケルベロス」って言ったらドン引きされました。どうして。
なおせっかく描いてもらったのに原型はほぼとどめておりません。どうして…。
ガラス越しに文字が見える謎解きはもうちょっといい使い方なかったかなとちょっと後悔していますがネタはいいと思うんですよね…。外に出る前のステージなので、壁的な扱いにしようと思ってましたが思った以上に難度が上がってしまったので少し反省しています。(壁の電源繋ぐところとか)
明らかになった事実で地獄に叩き落されたの中、最後の光を求めて最後の施設に向かう…。ほとんどクライマックスのようなステージです。曲もカッコイイ感じに仕上げてくれました。元々は地上との通信を行っていた施設ですが、職員は全員いなくなり、地上の施設も稼働を停止しているため無人の廃墟です。
今までは脱出が目的でしたが、ここでは目線を変えて全てのアンテナ起動が目的になりました。RPGダンジョンみが強いステージとなっています。
ほぼクライマックスだけあって凄いカッコイイステージになったので一番のお気に入りです。みんなここまで是非辿り着いて欲しいなぁ…。
本当はこんなライティングになる予定だったのですが、何故かビルドすると消えてしまうので断念…。もっとかっこよかったのに…。
希望を失っても、それでも前に進む意志を持った者に向けて遺された、最後の場所です。ジンクーが持っている地上の記憶は、この幻で作られた自然や空の映像なのかもしれません。
ステージ6まで進んだ人なら、もう結末が知りたくてしょうがないはず…なので謎解きはアッサリ目に、茫然とした景色の中あてもなく歩く体験を少し味わってもらうつもりで作りました。30分くらいでクリアできればいいかなと思ってましたが人によってはえらい迷ったみたいですね…。マップと自販機マークに気付けばすぐのはずなのですが。
ここも元々は水没した幻想的な風景だったんですが、環境によって糞重くなることが判明したので泣く泣く水面を削除しました…(ED動画だけその名残が残ってます)
クライマックス。チャプターとはいいつつEDを選ぶだけです。絶望の中で最後まであきらめない人にだけ、一筋の希望の光が導かれる…というのがトゥルーエンド。
個別のエンディングはどちらかというとバッドエンドに近いのですが数年後の全員の姿を見れるというキャラクターを好きになってくれた人向けのおまけ要素です。
結局「セブンスヘイム」ってなんなの?
ってなるかもしれませんが、天国でも地獄でもない第7の場所…っていうやんわりした理由で付けた造語です。最後がタイトルで締めるの、凄く好きなんです…。